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脅威インテリジェンスの全体像を基本から活用法まで徹底解説

2025年6月27日

脅威インテリジェンスの全体像を基本から活用法まで徹底解説

「脅威インテリジェンスって何?」

脅威インテリジェンスは、サイバー攻撃に先手を打つために必要な情報を集め、整理し、活用する仕組みをいいます。

近年の攻撃は、手口が巧妙で、一度侵入されると大きな被害につながることが増えています。

だからこそ、攻撃された後に対応するのではなく、攻撃される前に備えるための情報活用が重要なのです。

この記事では、脅威インテリジェンスの基本的な考え方から、導入が求められる背景、4つの種類、実際の活用事例、導入ステップまでをわかりやすく解説しています。

セキュリティ対策を強化したいけれど、どこから始めればよいかわからない方は、ぜひご一読ください。

1.脅威インテリジェンスとは

まずはじめに、「脅威インテリジェンスとは何か」という基本的な定義から脅威インテリジェンスの重要性についてお伝えします。

いずれも理解を深めるうえで大切な内容ですので、順番に見ていきましょう。

(1)脅威インテリジェンスとは「サイバー攻撃の脅威を事前に知るための取り組み」

脅威インテリジェンスとは、サイバー攻撃に関する脅威を事前に知ることで、被害を防ぐための取り組みを指します。

多くのサイバー攻撃は、突然起きているように見えても、実際には事前に準備され、似たような手口が繰り返されています。

たとえば、最近よく使われているマルウェアや不審なメールの内容、攻撃に使われたサーバーの情報などを集め、分析することで、「このような攻撃が近いうちに来るかもしれない」といった予測も可能です。

情報処理推進機構(IPA)が公開している『脅威インテリジェンス導入・運用ガイドライン』でも、「方針策定」「情報収集」「分析」「配布」「評価」といった実施の流れが書かれており、組織が段階的に脅威インテリジェンスを取り入れるための方法が詳しく解説されています。

つまり脅威インテリジェンスとは、ただ攻撃を受けてから対応するのではなく、攻撃が来る前に気づき、先に動くための知識と行動なのです。

(2)脅威インテリジェンスの重要性

近年のサイバー攻撃はますます巧妙になっており、特定の企業や業種を狙った標的型攻撃や複数の手口を組み合わせた複雑な攻撃が増えています。

このような脅威に対し、事後対応だけでは十分とは言えません。攻撃の前兆を察知し、事前に防ぐことが求められます。

そこで活用されるのが、脅威インテリジェンスです。

攻撃者の動きや使われた手法、脆弱性の情報などを日々収集・分析し、「どのような危険があるか」「自社にとって何が重要か」を見極めるための考え方です。

脅威インテリジェンスがあることで、被害の拡大を防いだり、限られたリソースで効率的に守ったりする判断が可能になります。

2.脅威インテリジェンスの活用が求められる5つの理由

脅威インテリジェンスの活用が必要とされている理由は、大きく分けると以下のとおりです。

  • 巧妙化する攻撃に先手を打つため
  • 受け身ではなく先回りで防御するため
  • 大量の警告から本物の脅威を見抜くため
  • セキュリティ投資を的確に判断するため
  • 取引先からの攻撃リスクに備えるため

これらを理解せずに対策を進めてしまうと、時間やコストをかけても効果が出にくく、的外れな対応に終わってしまうかもしれません。

それぞれの視点について、順番に解説していきます。

(1)巧妙化する攻撃に先手を打つため

最近のサイバー攻撃は、以前のように無差別にばらまかれるものだけではなく、特定の組織や人物を狙い、長期間にわたって準備されたものが増えています。

攻撃者は企業の情報を事前に調べ上げ、メールの文面や送信タイミングまで工夫して、まるで信頼できる相手からの連絡のように見せかけます。

残念ながら、このような攻撃に後から対応するだけでは、情報の流出や業務の停止といった重大な被害を防ぐことが困難です。

そのため、事前に攻撃の兆候や手口を把握し、早めに対策を講じておくことが重要です。

脅威インテリジェンスは、こうした情報を集め、整理し、活用するための仕組みです。先回りして動くことで、被害の発生そのものを防ぐことが可能になります。

(2)受け身ではなく先回りで防御するため

従来のセキュリティ対策は、ウイルスの侵入やシステムの異常を検知してから対応する「受け身」の方法が中心でした。

しかし、今のサイバー攻撃は一度侵入されると、すぐに情報が抜き取られたり、業務が止まったりする恐れがあります。

そのため、被害が出てから対応していては間に合わないケースが増えてきているです。

そこで重要になってくるのが予測して備えることです。攻撃者が使う手口や狙っている業種、話題にしている脆弱性などの情報を事前に把握しておけば、対策を早めに行うことができます。

つまり、先回りの防御に必要な情報を整理、分析するのが、脅威インテリジェンスの役割なのです。

(3)​​大量の警告から本物の脅威を見抜くため

脅威インテリジェンスは、大量の警告の中から本当に危険な脅威を見抜くために欠かせません。

企業や組織では、日々多くのセキュリティ警告が発生します。しかし、そのすべてが重大な攻撃につながるとは限りません。すべてを同じように扱っていては、対応が追いつかず、本当に対処すべき脅威を見逃してしまう可能性があります。

たとえば、セキュリティ製品が発する「不審な通信」や「異常な操作」などの警告が一日に何百件も出ることがあります。その中に、実際に標的型攻撃やマルウェア感染につながるようなものが含まれていたとしても、情報が多すぎて気づけないことがあるでしょう。

脅威インテリジェンスは、攻撃者の傾向や攻撃パターン、関連する脆弱性の情報などをもとに、「どの警告が本物の脅威か」を判断する手助けをしてくれます。

つまり、限られた人員や時間の中で正しい判断を行うには、脅威インテリジェンスの活用が非常に有効なのです。

(4)セキュリティ投資を的確に判断するため

脅威インテリジェンスは、セキュリティに対してどこまで投資すべきかを判断するための判断材料にもなります。

セキュリティ対策には多くの製品やサービスがありますが、すべてにお金や人をかけるのは現実的ではありません。

限られた予算の中で、何を優先すべきかを正しく見極める必要があります。その判断を支えるのが、最新の脅威に関する正確な情報です。

たとえば、ある業界で特定のマルウェアが急増しているという情報を得られれば、自社でもその対策に力を入れるべきだとわかります。逆に、自社にはあまり関係のないリスクに過剰な投資をしていた場合は、見直すことができます。

このように、脅威インテリジェンスを活用することで、何に、いつ、どの程度お金や人をかけるべきかを根拠をもって判断できるようになるのです。

(5)取引先からの攻撃リスクに備えるため

脅威インテリジェンスは、取引先を経由したサイバー攻撃のリスクに備えるためにも重要です。

最近のサイバー攻撃では、大手企業だけでなく、その周囲にいる中小企業や外部委託先が狙われるケースが増えています。

攻撃者は、セキュリティの手薄な取引先のシステムを足がかりにして、本来の標的である企業へ侵入するという手口を使います。これはサプライチェーン攻撃と呼ばれるものです。

たとえば、取引先の業務システムにマルウェアが仕込まれ、それを通じて本社のネットワークに侵入される、といった被害が実際に起きています。たとえ、自社が厳重に対策をしていても、取引先の状況までを管理することは難しいでしょう。

脅威インテリジェンスを活用すれば、取引先や関連企業が関係する脅威の情報をいち早く把握でき、自社が受けるかもしれない影響を想定し、必要な対策を前もって打つことができます。

3.脅威インテリジェンスの種類

脅威インテリジェンスの種類には、以下の4つがあります。

  • 戦術的インテリジェンス
  • 運用的インテリジェンス
  • 戦略的インテリジェンス
  • 技術的インテリジェンス

それぞれの特徴を押さえることで、より効果的に脅威インテリジェンスを活用できるようになります。

(1)戦術的インテリジェンス

戦術的インテリジェンスとは、日々のセキュリティ運用に活用される短期的かつ、具体的な脅威情報のことを指します。

このインテリジェンスは、主にSOC(セキュリティオペレーションセンター)などでサイバー攻撃の監視・分析を行う運用担当者によって活用されます。目的としては、目の前にある攻撃への対応や再発防止のための具体的な対策を行うためです。

たとえば、マルウェアのハッシュ値や送信先のIPアドレス、不審なドメイン名、通信のパターン、トラフィックの変化などが代表的な情報です。

こうしたデータをもとに、セキュリティ機器の設定を見直したり、脆弱性へのパッチを適用したりといった、現場の対応に直接役立てられます。

つまり、戦術的インテリジェンスとは今まさに起きている攻撃に対して、迅速かつ的確に対応するための情報のことをいいます。

(2)運用的インテリジェンス

運用的インテリジェンスとは、セキュリティ対策を継続的に改善し、組織全体の防御力を高めるために活用される情報のことです。

このインテリジェンスは、戦術的インテリジェンスのような「すぐ使える情報」とは異なり、複数の攻撃事例や脅威の傾向を分析して、将来起こり得るリスクや弱点を見つけ出すことに重点を置いています。

対象となるのは、情報システム部門やセキュリティ管理者など、セキュリティ運用全体を管理・改善する立場にある人たちです。

たとえば、自社を標的とする可能性がある攻撃グループの活動が活発化しているという情報を得た場合、それに備えて侵入経路となりそうな箇所の点検や監視の強化を進めることができます。

つまり、運用的インテリジェンスとは自社に関係する脅威を見極め、先回りで対策を行うための情報を指します。

(3)戦略的インテリジェンス

戦略的インテリジェンスとは、組織全体の経営判断や長期的なセキュリティ方針を策定する際に役立つ広範囲な脅威情報のことです。

このインテリジェンスは、日々の運用ではなく、中長期的な視点でサイバーリスクに向き合うために用いられます。

主に経営層やリスク管理部門が対象で、将来予測や全社的な方針の見直しに活用されます。

国家や業界全体を対象とした攻撃傾向、国際的なサイバー情勢、法規制の変化など大規模なものも含まれ、技術的な情報よりも、事業や組織全体への影響に焦点を当てているのが特徴です。

戦略的インテリジェンスは今すぐ役立つ情報ではなく、「先を見据えた判断」に必要な知見といえるでしょう。

(4)技術的インテリジェンス

技術的インテリジェンスとは、マルウェアや攻撃ツールの構造や挙動など、技術的な分析に基づいた脅威情報のことです。

主にセキュリティエンジニアや解析者など、専門的な知識を持つ技術者が活用します。

目的としては、攻撃の仕組みを深く理解し、脆弱性の悪用方法や新種マルウェアの特徴を把握することで、検知ルールの作成やセキュリティツールの精度向上に役立ちます。

つまり、技術的インテリジェンスは脅威の中身そのものを理解するための情報であり、現場のセキュリティ対策を技術面からサポートするために欠かせない存在です。

4.脅威インテリジェンスのライフサイクル

脅威インテリジェンスのライフサイクルとは、脅威インテリジェンスを効果的に活用するための一連の流れを表す言葉で、大きく分けて5つの段階があります。

ここでは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開している「脅威インテリジェンス導入・運用ガイドライン(2024年版)」の内容をもとに、「方針策定」「収集・加工」「分析」「配布」「評価」の5つのステップについて解説していきます。

(1)方針策定フェーズ

最初に取り組むべきことは、「なぜ脅威インテリジェンスを導入するのか」という目的を明確にすることです。

たとえば、標的型攻撃への備えなのか、脆弱性対応の優先順位づけなのかといったように、自社が直面しているリスクや課題を洗い出す必要があります。

次に、その目的を達成するために「どんな情報が必要か」「誰にどのように届けるのか」といった方針を定めます。

対象とする脅威の種類や情報の鮮度、収集元の信頼性などもこの段階で検討しましょう。方針が曖昧なまま進めてしまうと、集めた情報が実際の業務に活かされず、労力ばかりがかかってしまうため注意が必要です。

(2)収集・加工フェーズ

このフェーズでは、あらかじめ決めた方針に基づいて、脅威に関するさまざまなデータを集めていきます。

情報源には、セキュリティベンダーの提供する有料サービスだけでなく、SNSやニュース、公開レポート、OSINT(オープンソース・インテリジェンス)といった無料の情報も含まれます。また、社内のログデータやインシデントの履歴も貴重な情報です。

しかし、集めただけでは使いものになりません。

バラバラな形式の情報を整理し、誰が見ても意味が分かるように文脈を加えることで、はじめて活用できるようになります。信頼性の低い情報が混ざっていないかを見極める目も必要です。

(3)分析フェーズ

この段階では、集めた情報をもとに、「どのような脅威が、どのような意図で、どのような影響をもたらすか」を読み解いていきます。

単に事実を並べるだけではなく、背景や目的、組織への関連性を踏まえた判断材料として情報を組み立てていくことが重要です。

たとえば、特定の攻撃グループが新たに使用しているマルウェアの情報を入手した場合、それが自社の業種や業務にどのようなリスクをもたらすかを考え、どのような対策が必要かを見極める必要があります。

攻撃の手法、頻度、影響範囲などを把握することで、実際の対応が可能になります。

(4)配布フェーズ

どれほど正確で価値のある分析結果が得られたとしても、それが共有されなければ意味がありません。

配布フェーズでは、インテリジェンスの内容や重要度に応じて、届ける相手や方法を選びます。

たとえば、技術的な詳細はSOCやCSIRTの担当者向けに、経営判断に関わる情報はCISOや経営層に向けて要点を整理した報告書としてまとめます。

外部のパートナー企業や官公庁と連携する場合は、情報の機密性や共有範囲にも配慮しましょう。

(5)評価フェーズ

脅威インテリジェンスは、一度実施すれば終わりというものではありません。方針の妥当性や収集した情報の質、分析の正確さ、配布の効果など、各フェーズが実際に目的を果たしていたかを客観的に評価する必要があります。

評価を行うことで、何がうまくいったのか、どこに課題があったのかが明確になり、次回以降の活動に反映できるようになります。

たとえば、配布した情報が現場で十分に活用されていなかった場合、伝達の手段や表現方法を見直す必要があるかもしれません。また、想定外の脅威に対応できなかった場合は、収集範囲や分析対象を広げる必要があるでしょう。

こうしたサイクルを回していくことで、インテリジェンスの質と組織全体の対応力を高めていくことができるようになるのです。

5.脅威インテリジェンスの活用事例

ここからは、脅威インテリジェンスの活用事例についてご紹介していきます。

活用事例を知っておくことで、自社のセキュリティ体制に脅威インテリジェンスをどう取り入れるべきか、具体的なイメージを持つことができるはずです。

ひとつずつ見ていきましょう。

(1)インシデント対応の迅速化

脅威インテリジェンスを活用することで、インシデント発生時の対応をより迅速かつ的確に行うことができるようになります。

サイバー攻撃を受けた際、最も重要なのは「いかに早く異常に気づき、適切に対処できるか」です。

実際に、IBMが発表した「データ侵害のコストに関する調査2023」では、脅威インテリジェンスを活用していた企業は、そうでない企業と比べて、侵害の特定と封じ込めにかかる時間が平均で28日間短縮され、さらに対応コストも約2億円分削減できたと報告されています。

脅威インテリジェンスは、インシデント対応のスピードと正確さを大きく向上させるだけでなく、被害を最小限に押さえるための重要な取り組みだといえるでしょう。

(2)脆弱性管理の効率化

脅威インテリジェンスを活用すれば、脆弱性管理を効率化することができるようになります。

現在、日々のように新しい脆弱性が発見されており、全てに対応するのは現実的ではありません。とくに大規模なシステムを運用している組織では、パッチの適用にかかる時間や人的リソースが限られており、すべての脆弱性に同じ工数をかけることは不可能です。

しかし、脅威インテリジェンスを取り入れることで、攻撃者が実際に悪用している脆弱性や業界で標的にされやすいソフトウェアなどの情報をもとに、「今すぐ対応すべきか否か」を判断することが可能になります。

セキュリティに対しても優先順位をつけることで、限られたリソースを本当に危険な脆弱性に集中させることができ、セキュリティと効率を両立させることができるはずです。

6.まとめ

今回は、脅威インテリジェンスの基本的な概念から、求められる背景、種類の分類、具体的な活用事例、そして導入・運用の流れまでを解説しました。

脅威インテリジェンスとは、サイバー攻撃の兆候や手口に関する情報を収集・分析し、組織のセキュリティ対策に活かす取り組みを指します。

近年の攻撃は高度化・巧妙化しており、従来の受け身の防御では対応が難しくなっています。だからこそ、脅威インテリジェンスを活用して先手を打ち、被害の未然防止や早期対応を図ることが重要です。

この記事を参考に、脅威インテリジェンスの全体像をつかみ、自社にとって必要な活用方法を検討するきっかけになれば幸いです。

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