2022年7月29日

ISO14001とは、環境マネジメントシステムについての国際規格です。ISO14001とは世界的にも環境に配慮した活動を求められる機会が増えている背景で国際標準化機構(ISO)が1996年に策定した認証規格です。
本記事では、ISO14001とは何かといった基本的なことから、取得のメリットやマークの捉え方まで解説していきます。
1.ISO14001とは
ISO14001の正式名称は「環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引」です。
環境マネジメントシステム(略称EMS)が満たさなければならない要求事項がまとめられています。
ISO14001(環境マネジメントシステム)は、「環境に配慮した企業を増やす」という狙いがあります。自社の利益だけを考え、環境に配慮しない施策を行い続けるなということですね。
「環境問題」というキーワードは、以前から耳にする機会が多くあり、今もなお国際問題としてテーマに用いられています。最近では「サスティナブル」「SDGs」などという言葉があふれています。
※ISOについてはこちらに記載しております。:ISOとは?
2.ISO14001取得のメリット・デメリット
ISO14001とは、取得することで今まで行っていた活動を見直し、改善を行うことが出来るシステムになっています。
取得することでのメリットは、社外・社内の両方であります。
しかし、もちろんデメリットもありますので、両方を考えた上で取得する必要があります。
■社外のメリット
・環境活動への取り組みをアピールできる
・取引先との契約や業務がスムーズに進められる
・入札案件への申し込みが出来る
■社内でのメリット
・環境に関して組織的な活動が可能になる
・今まで見ていなかった環境に関する数字を見ることが出来るので改善が可能になる
・自社の取り組みを見直すきっかけとなり、ムダをなくすことが出来る
■デメリット
・マニュアルや書類を作成する手間がかかる
・保管する記録が増える
・審査費用が発生する
なお、ISO14001取得のメリットデメリットについては、こちらの記事で詳しく説明しております。
3.ISO14001認証取得の具体的な効果
ISO14001を取得すると、どんな効果があるのでしょうか。
営業側面では下記があげられます。
・取引先との要求に対応でき、仕事が増えた
・入札案件へ参加できるようになった
・競合、ライバルとの差別化になった
官公庁の入札案件や、取引先企業の要求などは当たり前のように普及しております。
特にヨーロッパ圏では、環境に配慮していない会社とは取引しないと決めている会社もあるくらい力を入れている企業もあるそうです。
また、対外的なアピールとしては、
・企業イメージ向上につながった
・投資家へのアピールになった
・環境配慮をしている会社ということを世の中に示せた
というものが多いです。
さらに最近では、
・会社の「サスティナブルレポート」の中にISO14001の取り組みを書いている
・SDGsへの取り組みの一環としてISO14001の活動を記載している
・IR資料の中に環境保全活動としてISO14001の活動を記載している
など、ISO14001のみならず、会社として取り組むべき活動とISOの親和性を高めている企業も増えてきました。ISO14001の審査のためだけではなく、会社の活動の一環となるのがよいですよね。
ただ、「SDGsとISO14001をどう絡めたらいいの?」など、会社の他の活動とISOの親和性を高める手法を事例が無い状態で進めるのは難しく、コンサルティング会社に依頼するケースがほとんどです。
認証パートナーでは、月額4万円~で新規認証、運用更新をサポートしています。
お悩みの際はお気軽にお問い合わせください。
4.認証範囲はどうするべき?
業界・業種・業態問わず、どんな会社でも認証を取得することができます。
全社で取得することが一般的に多いですが、まれに「〇〇支店」「〇〇事業部」「〇〇課」のみでの取得など、対象を絞って認証される企業もいらっしゃいます。
しかし、「環境」はあくまでも「企業全体でやるべき取り組み」であるため、全社での取得をオススメしております。
5.ISO14001取得の流れ
ISO14001を取得するには以下の流れになります。
①ルール(マニュアル)の構築
②ルール(マニュアル)通りに運用する
③審査機関に審査申し込みをする
④現地審査を受ける
⑤認証完了
参考:詳しい方法と流れはこちらの記事で書いております。
ISO9001(品質マネジメントシステム)とは?はじめての方にも分かりやすく解説
6.ISO14001取得までの期間
ISO14001取得までの期間は一般的には6か月程度になりますが
会社の規模、状況によって変化してきます。
どれくらいの期間になるか気になる方は、是非弊社にお問合せ下さい。
7.ISO14001認証取得にかかる3つの費用
ISO14001の取得には、以下3つの費用が必要になってきます。
①審査費用
審査を受けるための費用で、審査料、ISO登録料の他に、審査員の交通費や宿泊費なども発生します。
審査の費用は会社の規模や拠点数で大きく異なり、また、審査機関によっても異なります。
『当社の場合はいくらかかるの?』という場合は、一度お問合せください。審査機関にお見積りを依頼させていただきます。
②マネジメントシステム構築のための費用
ISO14001のルールや基準を策定するのにかかる費用です。
自社のリソースで取得する場合は担当者の人件費や手当などがこれに当たります。
コンサルティング会社など外部の専門業者のサポートを利用する場合、コンサルティング費用が該当します。初めての取得の場合は、専門家のサポートを利用したほうが早くスムーズに取得完了までたどり着けるでしょう。
③設備費・諸経費
ISO14001を取得するにあたって必要な設備があるか聞かれることがありますが、実際にはISO14001取得のためだけの設備投資はありません。
設備投資、諸経費に関しては、ISO14001の取得という観点だけでなく、会社にとって必要なものなら導入するという視点で考えると良いでしょう。
例えば、機器の修理費や新しくシステムを導入するなど、業務上必要な設備費用はISO14001の視点から見ても必要になります。
こちらの記事:ISO14001を取得するための3つの費用とはにて、さらに詳しく解説しております。
8.規格の構成
規格の構成は下記になります。
グリーンに塗ってある部分が、「記録化要求」、つまり毎年書類を作らなければならない必須記録になります。
審査で重大な不適合になりやすい下記3つは特に重要です。
①内部監査の記録
②マネジメントレビューの記録
③不適合及び是正処置の記録
(すでにISO14001を取得している企業であれば、昨年の審査の不適合・改善の機会の検討結果も含む)
「昨年の記録を使いまわしている。去年の記録の日付を変えただけ」
「マネジメントレビューの記録、毎年同じようなことを書いている」
「社長が忙しいので、マネジメントレビューの記録は事務局が作文して書いている」
というような企業が往々に存在します。
そのような企業は審査で重大な不適合が出されることが大半ですし、最悪の場合、再審査・認証はく奪の危険性もございます。
毎年きちんと運用しなければならないということですね。
9.ISO14001の変化
ISO14001は当初、「環境に悪い活動を減らそう」という削減をテーマにした運用がメインとなっていました。
ISO14001と聞くと、「紙・ゴミ・電気」というキーワードを思い出す人も多いのではないでしょうか。
実際、ISO14001の目標として、「紙・ゴミ・電気」の削減を掲げている企業が多くありました。 しかし、こういった削減目標には限界があります。
「頑張ってももう減らせない」
「受注が増えれば電気代も増える」
「審査のための活動になっており、形骸化している」
このような声も耳にするようになりました。
次のフェーズとして、「環境に対してプラスになる活動や取り組み」を重視する活動が注目されるようになりました。
「車をエコカーに切り替える」
「ライトをLEDに切り替える」
「紙を買う時はグリーン購入のものを選ぶ」
というイメージの活動です。
何となく環境に良さそうですよね。(笑)
ISO14001は何度か、時代に合わせたカスタマイズである規格改訂が行われています。
直近での変更があったのは2015年。
この頃になると、「もっと経営に近づくISOを行おう」と言う考えにシフトしていきます。
ISO14001をもっと会社のために使っていこう、と言う考えです。
規格改訂についてはこちらでご確認ください。
現在はISO14001も会社の取り組みとリンクすることで、
以前よりも会社の実態に合わせた運用が行える体制になっています。
10.マークのとらえ方
ISO14001を取得すると、審査機関から取得した証明として「登録証」「ISO14001を証明するマーク」が発行されます。
ISO14001のマークは名刺や会社案内、webサイトで目にすることも多いのではないでしょうか。
一番目にするのは名刺だと思います。
実際にマークを名刺に入れることで、対外アピールをしやすいというメリットがあります。
・ISO14001を取得しているとアピールできる
・取引要件でISO14001の取得が条件にある場合、聞かずとも取引先が認識できる
・環境活動に取り組む組織としての証明が出来る
ISO14001を証明するマークを名刺などに配置することで、対外アピールができます。
まとめ
ISO14001とは、環境マネジメントシステムについての国際規格です。
取得して終わりではなく、「環境マネジメントシステム」としてPDCAサイクルを回して運用していく必要があります。
ISO14001を取得する方法と流れについては、こちらで詳しく解説しておりますので、ご参考にしてください。
現在の自社に合った体制と仕組みを作り、適切な運用を行っていくことで、会社へのメリットも広がります。目的を明確にし、適切な体制での取得、運用を行っていきましょう。
認証パートナーは、ISO14001の取得・運用のお手伝いをしております。サービスページもご覧ください。
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