2024年10月17日
ISO9001の「品質管理責任者」って何をすればいいの?
ISO9001の品質管理責任者は、品質を維持・向上させ、顧客満足を達成するために業務を整備し改善する役割を担います。
ISO9001:2015の改訂以降、品質管理責任者という明確な役職は規格上、必須ではなくなりました。しかし、組織の規模や複雑さによっては、品質マネジメントシステムの円滑な運用のため、依然として品質管理責任者のような役割を担う人物が必要となる場合があります。
2025年4月14日
目次
「取引先からISO9001の取得状況を確認されたけど、取ったほうが良い?」
「ISO9001認証を取得すると、やっぱり取引が有利になるのかな?」
ISO9001認証取得の必要性を感じつつも、取得すべきかまだ判断できていないという企業は多いのではないでしょうか。
そのような企業に向けて、本記事では、ISO9001認証の現状やメリット・デメリットを詳しく説明するとともに、「ISO9001認証を取得した方が良いケース」と「取得しなくても良いケース」を具体的に解説していきます。
後半では、ISO9001認証取得・更新の費用やコストを削減するポイント、取得までの流れなども網羅的に解説していきます。
ISO9001の必要性だけでなく、網羅的な情報を理解したいという方はぜひ最後までお読みください。
まずはISO9001についての基礎知識を解説していきます。
ISO9001とは、品質マネジメントシステムに関する国際規格のことです。
読み方:アイエスオー キュウセンイチ
品質とは、顧客の要求や期待に応える製品やサービスの特徴のことを指します。たとえば、製品の性能・安全性・使いやすさ、サービスであれば迅速な対応や正確な手続きなどが含まれます。
マネジメントシステムとは、サービスが顧客の期待に応えられるよう、方針・手順・役割などを整備・運用し、計画的かつ組織的に管理する仕組みのことです。
つまり品質マネジメントシステムとは、顧客の要求や期待に応える高品質な製品やサービスを提供するために、組織が計画的に管理・運用する仕組みのことです。また、この品質マネジメントシステムは別名「QMS」とも呼ばれています。
国際規格とは、世界共通の基準として定めたルールのことです。いくつかの団体が自動車業界などの業界特有の規格を作成している中、ISOは幅広い業界で使える国際規格を作成しています。「ISO」は団体名ですが、規格名にも付けられています。
このISO9001を取得するということは、「品質を重視し、安定したサービスや製品を提供できる体制を世界基準で整えている」ことを証明できます。
最新の「ISO9001:2015」(JISQ9001:2015)の要求事項は、以下の通り全10章から構成されています。
具体的に環境マネジメントシステムの構築について解説されているのは4章から10章で、4章〜7章がPLAN(計画)、8章がDO(実行)、9章がCHECK(評価)、10章がACTION(改善)に該当しています。
これらの要求事項を組織活動に取り入れてISO9001審査にクリアすると、ISO9001認証を取得することができます。
ISO9001は2025年〜2026年に改訂が予定されている 現在ISO9001は2015年版が最新ですが、これまでも定期的に改訂されており、2025年〜2026年に改訂されるのではないかとされています。 具体的な改訂内容や時期はまだ公表されていませんが、改定作業のインプットとして6つの項目が含まれるのではないかといわれています。 更に詳しく知りたい方は、下記の記事もご参照ください。 |
ISO9001審査では、ISO9001が定める要求事項に則った「品質マネジメントシステムの基準を満たしているか」を認証機関が審査をおこないます。認証を得ることで、対外的に「ISO9001取得済み企業」としてアピールすることが可能になります。
つまり、ISO9001認証を得ることで、国際的な規格である「ISO9001の要求事項に則った運営ができている」ということを証明できるのです。
ISOサーベイ2023によると、2023年時点の日本国内のISO9001の認証数は「39,584件」です。日本国内のISO9001の認証数は2006年頃から減少傾向にありましたが、2022年(38,916件)から2023年は微増となっています。
多くの企業が、顧客からの信頼獲得や国際的な競争力強化などを目的としてISO9001を導入しています。取引先から認証取得を求められることもあり、取得が事実上の必須条件となるケースもあります。しかしながら、すべての企業が継続して認証を維持しているわけではありません。
実際に、ISO9001を取得した企業の中には、更新せずに認証をやめるケースも見られます。その理由としては、維持にかかるコストや工数が負担となったり、規模や事業内容に対して認証の必要性を再考した結果、メリットが薄いと判断されることが挙げられます。また、顧客や取引先からの要求がなくなった場合や、内部で品質管理の仕組みを確立できたと考えた場合も、更新を見送る決定がされることがあります。
一方で、ISO9001の本来の目的は、認証取得そのものではなく、品質マネジメントの継続的な改善にあります。認証を維持する企業はもちろん、更新を行わない企業においても、ISO9001で得た知識や経験を活かして独自の品質管理を続けている例も少なくありません。そのため、企業ごとの状況や目標に応じて、認証取得や更新の判断をすることが重要です。
ここからは、ISO9001認証を取得するメリットについて解説していきます。
ISO認証を取得するためには、適切なマネジメントシステムを構築して審査を受けるため、費用も労力もかかります。それでも「なぜISO9001認証を受けるべきか」について理解していきましょう。
ISO9001認証を取得するメリット ・メリット1:取引先からの要求や入札条件を満たせる ・メリット2:安定した製品・サービスを提供できるようになる ・メリット3:社内体制の強化や効率化にもつながる |
なお、次章では認証取得のデメリットについても解説するので、メリットとデメリットどちらが大きいかをイメージしながら読み進めることをおすすめします。
ISO9001認証を取得する最大のメリットは、「取引先からの要求や入札条件を満たせる」という点にあります。
実際にISO9001の認証を取得するきっかけとして、「取引先から取得を要求された」「官公庁の入札加点や参加条件にISO9001があった」というケースが圧倒的に多い現状があります。
特に大企業や官公庁との取引を有利に進めるようなケースで、ISO9001認証の取得が大きなメリットとなることが多いでしょう。
例えば建設業者の場合、ISO9001は公共工事に入札参加する場合の必須条件に指定されていることがあります。入札条件までにはなっていなくても、ISO9001を取得していることで加点の対象になるケースもあります。
参考:国土交通省「ISO9001人相取得を活用した工事について」
また、製造業では大企業の間でのISO9001認証取得は当たり前になっており、取引先選定においてもISO9001取得企業かどうかが一定の判断基準になるケースがあります。
なぜ大企業や官公庁がISO9001の取得を取引条件にするかというと、ISO9001認証を取得している企業であれば、その企業が国際的に標準化された品質マネジメントシステムを構築できていることを証明できるからです。
このように、大企業や官公庁など大きな組織からの仕事を受注するためには、ISO9001認証取得が有利に働くケースがあります。
ISO9001認証取得にあたって社内での品質管理のための明確な仕組みやプロセスを構築・運用を進めることになるため、結果として、安定した製品・サービスを提供できるようになります。
さらに、製品やサービスの設計から製造、提供に至るまでの全ての段階で一貫性を確保できるようになり、不良品の減少やトラブルの発生も未然に防ぐこともできます。
製品やサービスの品質が安定して顧客が安心して利用できる状態を実現できれば、顧客満足度が向上し、売上増加などにもつながるでしょう。結果として、企業の信頼性や競争力も向上するメリットがあります。
ISO9001認証取得に向けて、商品やサービスを顧客に提供するまでのプロセスを構築することで、今までなんとなくやっていた作業を明確に手順化することになります。
これにより、無駄な作業や属人化していた業務を排除・統一することができ、社内体制の強化や効率化にもつなげることができるメリットがあります。
さらに、PDCAサイクルを回すことで継続的な改善活動が根付き、社内の風通しが良くなります。部門間の連携強化にもつながり、従業員満足度アップにも寄与することになるでしょう。
さまざまなメリットがあるISO9001認証取得ですが、もちろんデメリットもあります。
簡単に取得できるものではないため、取得する前にどのようなデメリットや注意点があるかをしっかりと認識した上で進めていくようにしましょう。
ISO9001認証を取得するデメリット ・デメリット1:ISO9001認証を取得するための費用や労力が発生する ・デメリット2:取得して終わりではなく更新のための費用・労力も発生する |
それぞれのデメリットや懸念点を詳しく紹介します。
ISO9001認証取得は決して「簡単」といえるものではなく、審査にクリアするには相応の費用や労力が発生します。
具体的には、ISO9001取得にあたっては、以下のような費用や労力がかかります。
【ISO9001認証取得時にかかる費用・労力】
自力で認証取得する場合 | ・審査費用(規模によって40万円〜100万円超) ・自力で基準を満たすための準備には相当の労力がかかる |
認証取得コンサルタントに依頼する場合 | ・審査費用(規模によって40万円〜100万円超) + ・コンサルタント費用(50万円〜100万円程度が一般的) |
自力で認証を取得する場合でも40万円〜100万円(規模によってはそれ以上)かかり、コンサルにサポートを依頼する場合は、新規認証取得にだいたい90万円〜200万円(規模によってはそれ以上)が発生することを認識しておきましょう。
また、自力でISO9001認証取得を目指す場合には、ISO制度や求められる要求事項の理解や膨大な文書・記録の作成、審査や手続きの準備など、かなりの労力がかかります。
ISO9001は、取得したら終わりという訳にはいかず、取得後も3年に1度の「更新審査」や、1年ごとの「維持審査」の審査費用が必要になります。
【維持審査費用の目安】
対象人数 | 維持審査費用(更新年は不要) | 更新審査費用 |
1~10名 | 270,500円 | 300,000円 |
11~15名 | 280,000円 | 355,000円 |
16~25名 | 300,000円 | 400,000円 |
26~45名 | 355,000円 | 460,500円 |
46~65名 | 410,000円 | 515,000円 |
66〜85名 | 510,000円 | 680,000円 |
認証を維持し続けるために、業務プロセスをISO9001の規格に従って運用し続ける必要があり、新たな社員への教育や内部体制の改善・見直しといった活動も欠かせません。
そのため、ISO9001の取得を検討する際には、新規取得費用ではなく長期的にISO9001を維持し続けるための費用や運用に伴う労力についても事前に十分考慮することが重要です。
ISO9001認証取得には大きなメリットもある一方で、「取得時も取得後も毎年費用や労力がかかる」というデメリットが存在します。
そのため、ISO9001認証を取得した方が良いのか迷う企業も多いかもしれません。
ISO9001認証を取得するかどうかについて悩む場合に判断するポイントをまとめましたので、ぜひ参考になさってみてください。
ISO9001取得には金銭的にも業務的にも負荷がかかりますが、それでも取得したほうが良いケースは以下のようなケースです。
ISO9001認証を取得した方が良いケース (1)取引先からISO9001の取得を求められたり、取得有無を尋ねられたりした場合 (2)公共事業など、入札条件にISO9001認証取得がある場合 (3)製造業(特に自動車産業のような厳しい品質要求がある業界) (4)建設業(ISO9001取得が品質を担保する指標になることがあるため) (5)高品質な製品・サービスをアピールするために、差別化を図りたい場合 (6)ISO9001を品質管理の証拠として、新規取引を拡大したい場合 |
特に製造業や建設業などものづくりを主体にしている企業の場合は、しっかりとした品質の製品を作れる会社ということを証明できるため、ISO9001認証の取得がおすすめです。
また、他の業界や業種の企業でも、高品質を売りにしたい場合や競合他社と差別化を図りたい場合などには、ISO9001認証の取得を検討してみることをおすすめします。
一方で、ISO9001認証を取得しなくても良いケースは、認証取得や継続・更新にかかる費用やコストに見合ったメリットを受け取ることができないようなケースです。
例えば、ISO9001を取得しても取引が増えないと考えられるケースでは、費用や労力をかけてまで継続していくのが負担になってきてしまうでしょう。
ISO9001認証を取得するか迷う場合には、まずは「取得費用がいくらか」を正確に把握することをおすすめします。ぜひ業界シェアNO.1の認証パートナーに見積もりをご依頼ください。
5章ではISO9001認証取得についてメリットとデメリットをそれぞれ紹介しました。
実情からいうと、結局のところ、多くの場合は、特定の企業や官公庁などとの取引を継続するためにISO9001を取得するケースがほとんどになると考えられます。
「大口の取引先からISO9001を取得するように言われて断れない」「ISO0001を取得しないと、入札条件を満たせない」のような状況も多く聞かれます。
このような場合は、できるだけ費用・労力を抑えた上でISO9001取得を目指すのがおすすめです。社内の工数を抑えつつ、価格も抑えられる認証取得コンサルティングサービスを見つけるのがベストといえます。
ただし、認証取得コンサルティングサービスにもさまざまあり、受けられる内容や価格が異なります。必ず複数のサービスを比較して、「社内の工数負担をゼロに近づけるようなサービス」を選び、コストも抑えられる業者を選びましょう。
もしもどのコンサルティング会社を選ぶか迷ったら、「審査合格率100%」「コンサルティング費用:月額4万円」「3年以上継続率94%」の特徴を持つ認証パートナーにぜひご相談ください。
ISO9001認証を新規に取得する場合の費用は、40万円〜200万円程度が目安となります。
内訳としては以下のとおりです。
ISO9001認証取得時にかかる費用 (1)審査費用(審査料+審査員の移動費・宿泊費+ISO登録料):40万円〜100万円程度 (2)コンサルティング費用:50万円〜100万円程度 (3)設備投資・諸経費:0円〜 |
必ずかかる費用は「(1)審査費用」で、選択する認証機関(審査機関)や企業規模・業種などによっても異なりますが、40万円〜100万円程度が目安となります。
【新規審査費用の目安】
対象人数/年 | 審査費用 |
1~10名 | 400,000円 |
11~15名 | 520,000円 |
16~25名 | 610,000円 |
26~45名 | 770,000円 |
46~65名 | 910,000円 |
66〜85名 | 1,060,000円 |
「(2)コンサルティング費用」は、品質マネジメントシステムを構築する際にコンサルティング会社に依頼した場合にかかります。こちらも目安ですが、50万円〜100万円程度がかかります。
※コンサルティング会社に依頼しない場合にはこの費用はかかりませんが、自社の担当者の人件費がかかります。
「(3)設備投資・諸経費」は、企業によってかかるケースとかからないケースがあるでしょう。
ISO9001認証取得のための設備投資は必須ではありませんが、老朽化した設備の買い替えや運用・審査時に必要となる印刷代などがあります。
ISO9001の認証を維持するための費用は、年間30万円〜70万円程度が目安となります。
初回取得の1年後と2年後(または更新の1年後と2年後)に「維持審査」を、さらに初回取得・更新の3年後に「更新審査」を受ける必要があるからです。
取得・更新の1年後・2年後に受ける「維持審査」の費用目安は以下です。
【維持審査費用の目安】
対象人数 | 維持審査費用 |
1~10名 | 270,500円 |
11~15名 | 280,000円 |
16~25名 | 300,000円 |
26~45名 | 355,000円 |
46~65名 | 410,000円 |
66〜85名 | 510,000円 |
また、ISO9001取得後、3年ごとに受ける「更新審査」の費用目安は以下のとおりです。
【更新審査費用の目安】
対象人数 | 更新審査費用 |
1~10名 | 300,000円 |
11~15名 | 355,000円 |
16~25名 | 400,000円 |
26~45名 | 460,500円 |
46~65名 | 515,000円 |
66〜85名 | 680,000円 |
なお、ISO9001の維持を外部のコンサルタントに委託する場合には、別途コンサルティング費用がかかります。
コンサルティング費用はコンサル会社やコンサル内容、企業規模、業種などによってまちまちですが、年間50万円〜100万円程度が目安となるでしょう。
当社「認証パートナー」の場合は、年間48万円という業界トップクラスの安さでコンサルティングを請け負っています。3年以上継続率94%と満足度が高いサービスなので、ぜひご検討ください。
前述した通り、ISO9001の取得や維持には一定の費用がかかります。
できるだけISO9001のコストを削減したい場合には、以下の4つのポイントをぜひご検討ください。
ISO9001のコストを削減する4つのポイント 1. 費用対効果の高いコンサルタントに依頼する:社内工数を削減でき、費用を抑えられるコンサルティング会社を見つける 2. 複数の認証機関から見積もりを取得する:審査機関によって費用や内容が異なるため、十分に検討する 3. 業務上必要な投資を厳選する:形骸化した投資ではなく、業務に真に必要な投資のみに絞る 4. ほかの規格と複合して取得する:ほかのマネジメントシステムと同時に監査する「複合審査」を検討する |
それぞれのポイントをさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もぜひご参照ください。
ここからは、ISO9001認証の取得を目指す場合に、どのような流れで進めていくかを紹介します。
今後どのような流れになるか把握しておく意味でも、ぜひ内容を確認してみてください。
ISO9001認証を取得するためには、まず取得の計画を立てて、必要な準備を進めていきます。具体的には以下のような取り組みが必要です。
ISO9001取得計画の立案・準備のポイント ・経営層の意思決定:ISO9001取得の意義や目的を明確にし、経営層の強いリーダーシップのもと、全社一丸となって取り組む体制を整えます。 ・推進体制の構築:ISO9001の推進責任者や事務局を決め、部門横断的なプロジェクトチームを立ち上げます。全社的な推進体制を整備することが重要です。 ・現状の把握と課題抽出:現在の品質マネジメントの状況を把握し、ISO9001の要求事項とのギャップを分析します。課題を明確にし、克服すべき点を洗い出します。 ・目標の設定:品質方針を定め、具体的な品質目標を設定します。達成すべき目標を明確にして、取り組みの方向性を定めます。 ・スケジュールの策定:認証取得までのスケジュールを策定します。各段階に要する期間を見積もり、無理のない計画を立てることが大切です。 |
計画策定の段階では、ISO9001の要求事項をきちんと理解し、自社の実態に合わせて落とし込むことが大切です。ISOの専門家に相談しながら、取得に向けた綿密な計画を練ることをおすすめします。
認証パートナーでは無料でオンライン相談を実施しておりますので、お気軽にご利用ください。
次のステップは、ISO9001の要求事項に適合した品質マネジメントシステム(QMS)の構築です。業務の仕組みを見直し、必要な文書の整備を進めていきます。
品質マネジメントシステム構築の取り組み例 ・業務プロセスの可視化:業務の各段階を体系的に図式化し、全体の流れを明確にします。各工程のインプットとアウトプットを整理し、具体的な業務フローを作成します。 ・文書体系の整備:必要な文書を洗い出し、品質マニュアル、手順書、記録書式などを整備します。わかりやすい文書を作成し、文書管理のルールを定めます。 ・教育・訓練の実施:ISO9001の理解を深める教育を行い、従業員の意識改革を促します。品質マネジメントシステムを運用していくための力を養成します。 ・実施計画の策定:品質目標を達成するための実施計画を策定します。部門ごとの実施項目や目標値、スケジュールなどを具体的に定めていきます。 ・内部監査の準備:内部監査の仕組みを整え、監査員の育成を進めます。監査のポイントを押さえ、監査の実効性を高めるための準備を進めます。 |
この段階では、ISO9001の要求事項を満たす業務の仕組みやルールを整備していくことになります。書類の不備や記録の不足などが無いよう、ひとつひとつ丁寧に対応することが大切です。
品質マネジメントシステムを構築した後は、実際にQMSを運用して、最低1回はPDCAサイクルを回す必要があります(そのために必要な期間は3カ月〜です)。
品質マネジメントシステムを運用する具体例 ・日常管理の徹底:日々の業務のなかで、手順書通りに作業が行われているか、記録が適切につけられているかをチェックします。ルールの遵守状況を常時モニタリングします。 ・データの収集と分析:品質目標の達成状況を確認するため、必要なデータを収集・分析します。評価のための指標を設定し、定期的に進捗を確認します。 ・是正処置と予防処置:不適合が発生した場合は、迅速に対応し、再発防止策を講じます。リスクを未然に防ぐための予防処置にも取り組みます。 ・内部監査の実施:計画的に内部監査を実施し、システムの適合状況を確認します。不適合事項はすみやかに是正し、監査結果は改善活動に活かしていきます。 ・マネジメントレビューの実施:定期的にトップによるマネジメントレビューを実施します。品質マネジメントシステムの有効性を評価し、改善の方向性を打ち出します。 |
PDCAを回しながら、継続的にシステムを改善・強化していくことが求められます。運用を通じて、システムの定着度合いを高め、無理なく自然に回るサイクルを作り上げていくことが大切です。
4つめのステップでは、自社に適した認証機関(審査機関)を選定して、申し込みを行います。
ISOの認証機関は国内に約50社あり、それぞれ審査料金や審査の傾向、得意分野などが異なります。そのため、認証機関選びは、認証取得の成否を左右する重要な要素となります。
認証機関選定のポイント ・審査費用:企業規模や認証取得規格によって費用は大きく変動します。複数の機関から見積もりを取り、費用を比較検討します。 ・審査内容の柔軟性:審査基準の解釈や審査の進め方は、機関によって異なります。たとえば、認証取得を最優先とするか、改善の機会を重視するかによって、最適な機関が変わってきます。 ・対応スピード:認証手続きにかかる期間や、問い合わせへの対応スピードは、機関によってバラつきがあります。スムーズなコミュニケーションが取れる機関を選ぶことが大切です。 |
認証機関の選び方については、下記の記事も御覧ください。
ステップ5ではいよいよ、認証機関による審査を受けます。審査は、書類審査と現地審査の2段階で行われます。
ISO9001の審査の流れ ・一次審査(文書審査):提出した品質マニュアルや手順書などの文書類がチェックされます。記述内容の適切性の確認や、現地審査の準備状況の評価が行われます。 ・二次審査(現地審査):審査員が現地を訪問して、実際の運用状況を確認します。インタビューや記録のチェックなどを通じて、適合状況が評価されます。 ・不適合の指摘と是正:審査の過程で不適合が指摘された場合は、是正処置を行います。必要に応じて是正結果報告書を提出し、フォローアップ審査で確認を受けます。 ・判定委員会での判定:すべての審査が終了したら、認証機関の判定委員会にて認証可否の判定が行われます。 ・認証書の発行:認証基準に適合していると判定されれば、ISO9001の認証書が発行されます。 |
審査を受ける際は、審査員の指摘を真摯に受け止め、積極的に改善につなげていく姿勢で臨みましょう。
一次審査・二次審査を経て審査員の承認が出た後、審査会で認証が下りれば、ISO9001の認証取得となります。ただし、取得した後も取り組みの継続が欠かせません
認証取得後の取り組み ・認証の公表:認証取得の事実を社内外に公表し、取り組みの成果を広くアピールします。名刺やホームページなどに認証マークを掲載することも効果的です。 ・継続的改善の推進:認証取得で満足することなく、さらなる改善活動に取り組みます。新たな目標を掲げ、品質マネジメントシステムの深化を図ります。 ・定期的な審査の受審:認証取得後も1年ごとの維持審査や、3年ごとの更新審査を受審する必要があります。審査に向けた準備を怠らず、システムを適切に運用し続けることが大切です。 |
初回の認証取得が終わっても安心することなく、常に高い品質を追求し続けていきましょう。
本記事では「ISO9001」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
▼ISO9001(品質マネジメントシステム)とは
・ISOはスイスのジュネーブにある民間機関で、国際的に共通するガイドラインを決める団体 ・ISO9001とは、顧客満足の向上を目的とした品質マネジメントシステム(QMS)に関する規格 ・最新の「ISO9001:2015」(JISQ9001:2015)には10項目の「要求事項」がある ・認証を取得すると「ISO9001の要求事項に則った運営ができている企業」とアピールできる |
▼ISO9001認証取得の現状(取得数・取得が多い業種など)
・製造業・建設業を中心に多くの企業が認証を取得しており、他業種でも重要性が高まっている ・2023年時点の日本国内のISO9001の認証数は「39,584件」 |
▼ISO9001認証を取得するメリット
・メリット1:取引先からの要求や入札条件を満たせる ・メリット2:安定した製品・サービスを提供できるようになる ・メリット3:社内体制の強化や効率化にもつながる |
▼ISO9001を取得するデメリット・注意点
・デメリット1:ISO9001認証を取得するための費用や労力が発生する ・デメリット2:取得して終わりではなく更新のための費用・労力も発生する |
ISO9001取得のメリットが大きいケースでは、費用・労力を抑えた上でISO9001取得を目指すのがおすすめです。社内の工数を抑えつつ、価格も抑えられる認証取得コンサルティングサービスを見つけましょう。
もしもコンサルティング会社に迷ったら、「審査合格率100%」「コンサルティング費用:月額4万円」「3年以上継続率94%」の特徴を持つ認証パートナーにぜひご相談ください。
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品質マネジメントシステムは一貫した製品・サービスを提供し、顧客満足を向上させるための規格です。
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情報セキュリティマネジメントシステムは企業・組織の情報を守る規格です(ISMSとISO27001は同義)。
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環境マネジメントシステムは環境を保護し、変化する環境状態に対応するための組織の枠組みを示します。
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ISOやプライバシーマークを同時に認証取得すると費用や工数を抑えることができます。安心してご相談ください