2024年8月8日
ISOとは「国際標準化機構」の略称で、世界中の国々が共通の基準をもつことで、製品やサービスの品質を保証し、国際的な取引をスムーズに行うために設立された非政府組織です。ISOは、様々な業界で品質管理や環境管理など、多岐にわたる分野で国際規格を策定しています。
目次
- 1.ISOとは?
- (1) ISOの目的とは
- (2) ISO規格とは
- (3) ISOの種類っていくつあるの?
- 2.ISOとJISの違いは?
- 【適用範囲】
- 【制定プロセス】
- 3.ISOマネジメントシステム規格の認証
- (1) 認証制度の仕組み
- (2) マネジメントシステムの仕組みとPDCAサイクル
- 4.有名なISOマネジメントシステム規格
- (1)メジャー規格とセクター規格とは?
- (2)ISOマネジメントシステム規格の種類
- 5.企業がISO規格を認証取得する理由とは?
- 6.ISO規格の認証取得の流れ
- ①規格の選択
- ②取得までの計画立案
- ③審査機関の選定
- ④マネジメントシステムの構築
- ⑤運用
- ⑥認証審査
- ⑦認証取得
- ⑧継続的な改善
- 7.ISO認証取得のメリット・デメリットは?
- 8.ISO認証取得にかかる費用
- 9.ISO認証取得におけるコンサルタントの必要性とは
- 10.まとめ
1.ISOとは?
ISOは、International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称で、スイスのジュネーブに本部を置く非政府組織です。
1947年に設立され、現在165か国の国と地域が加盟しています。ISOへの加盟は1か国につき1機関と定められており、日本からはJISC(日本工業標準調査会)が加盟しています。
(1) ISOの目的とは
ISOは、「物質及びサービスの国際交換を容易にし、知的、科学的技術的及び経済的活動分野の協力を助長させるために世界的な標準化、その関連活動の発展開発を図ること」を目的に発足しました。
つまり、様々な製品やサービスに対して世界共通の基準を設けることで、国際的な取引をスムーズに進めることを目指しています。
ISOの考えや取り組みが浸透する前は、各国に独自の基準が存在しており、その解釈や品質の違いが国際間の取引の障害となっていました。ISOによって、製品やサービスの品質、安全性、信頼性が確保され、消費者の利益が保護されるようになりました。
(2) ISO規格とは
ISO規格とは、ISOが制定する国際標準のことを指します。「国際規格」や「標準」というと少し難しく聞こえますが、簡単に言うと「モノサシ」のようなものです。
これには、製品の寸法や性能などを定めた「品物」の規格と、組織のマネジメントシステムを評価する「マネジメントシステム」の規格があります。例えば、「品物」の規格の1つである「ネジ」の規格では、その形状や大きさ、強度などが定められており、製品の互換性を保障します。
一方、マネジメントシステムの規格は、組織の「仕組み」にフォーカスしており、品質管理といった、組織が商品やサービスを作るときのルールを決めて、そのルール通りにきちんと作られているかをチェックするための規格などがあります。
(3) ISOの種類っていくつあるの?
ISOは、様々な分野で20,000以上の規格を策定しています。これらは、製品やサービスの品質、環境、エネルギー、食品安全、情報セキュリティなど、幅広い分野をカバーしています。
規格の策定には、各国の標準化団体や関連組織が参加し、定められた手順に従って審議が行われ、その過程で、各国の合意を得る必要があります。
しかし、それらの規格がすべて均等に認知されているかと言えば答えは「NO」で、各規格の認証取得件数はバラバラです。これは、規格の内容や適用範囲、取得の難易度などによるものです。
例えば、製造業に特化した規格は、製造業の企業にとっては非常に重要なものである一方で、サービス業の企業にとってはあまり関係がないかもしれません。また、規格の取得には一定のコストと時間がかかるため、それが負担となる小規模な企業は取得を見送ることもあります。
しかしながら、規格を認証取得することで、企業の信頼性を高めビジネスチャンスを広げることも可能です。自社の事業内容や目指す方向性に合ったISO規格を選び、認証取得するのがよいでしょう。
2.ISOとJISの違いは?
ISO規格とJIS規格の主な違いは、適用範囲と制定プロセスにあります。
【適用範囲】
ISO規格:国際的な規格であり、世界中の多くの国々で採用されています。これにより、国際的な取引や技術の標準化が促進されます。
JIS規格:日本国内で適用される規格で、日本の産業や消費者のニーズに合わせて設計されています。
【制定プロセス】
ISO規格:国際標準化機構(ISO)によって制定され、世界各国の代表が参加するプロセスを通じて開発されます。
JIS規格:日本工業標準調査会(JISC)によって管理され、日本国内の関連業界や専門家の意見を基に制定されます。
また、多くのJIS規格はISO規格に基づいて作成されており、国際標準に準拠しているため、ISO規格との互換性が保たれています。これにより、日本の製品やサービスが国際市場で競争力をもつことができます。逆に、ISOがJIS規格を国際標準として採用することもあります。
3.ISOマネジメントシステム規格の認証
ISOマネジメントシステム規格では、以下のように、認証の基準が定められています。
(1) 認証制度の仕組み
ISOの認証には、それぞれ規格ごとに要求事項と呼ばれる基準があります。
組織がISO規格の要求事項を満たしているかどうかのチェックは、認証機関によって行われます。
認証機関は、ISOの規定に基づいて公正かつ厳密に審査を行い、要求事項を満たしている企業に対してISO認証を付与します。
(2) マネジメントシステムの仕組みとPDCAサイクル
マネジメントシステムとは、組織が目標を達成するために設計された一連の手順やプロセスを指します。
簡単に言うと、目標達成のための仕組みやルールのことです。
ISO規格では、それぞれの規格のテーマに応じて、組織がISOの要求事項を満たすためにマネジメントシステムを構築し、その運用と維持を通じて組織のパフォーマンスを向上させることを目指します。
また、マネジメントシステムの運用において、PDCAサイクルは必要不可欠な仕組みであり、継続的改善手法の一つにあたります。
- Plan :計画を作成すること
- Do :実施すること
- Check:点検すること
- Action:改善すること
の頭文字からPDCAサイクルと称します。
このPDCAサイクルを繰り返すことで、組織は継続的に改善し、成長していくことができます。
4.有名なISOマネジメントシステム規格
(1)メジャー規格とセクター規格とは?
ISO規格は、「メジャー規格」と「セクター規格」の2つのカテゴリーに分けられます。
「メジャー規格」は、広く一般的に使用されるマネジメントシステム規格を指し、ISO9001やISO14001などがこのグループに含まれます。
対して、「セクター規格」は特定の産業分野に特化したマネジメントシステム規格で、各メジャー規格を基に、その業界特有の追加要求事項が設けられています。
たとえば、ISO9001の場合、ISO13485(医療機器・体外診断用医薬品)やJISQ9100(航空宇宙)などがセクター規格として存在します。
(2)ISOマネジメントシステム規格の種類
ISO9001(品質マネジメントシステム)
ISO9001は品質マネジメントシステムに関する国際規格で、製品やサービスの品質向上と顧客満足の向上、組織の業務効率向上を目的としています。この規格は、あらゆる業種や規模の組織に適用可能です。
ISO9001について、詳しくはこちらをご確認ください。
ISO14001(環境マネジメントシステム)
ISO14001は環境マネジメントシステムに関する国際規格で、組織が環境への影響を効果的に管理し、持続可能な運営を促進するための枠組みを提供します。組織は、環境への配慮を組織文化に組み込み、継続的な改善を行うことで、ISO14001の要件を満たすことができます。
ISO14001について、詳しくはこちらをご確認ください。
ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)
ISO/IEC 27001は情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格で、組織が情報セキュリティリスクを管理し、機密性、完全性、可用性を保護するための指針を提供します。ISO/IEC 27001の導入により、組織は情報資産のセキュリティを強化し、顧客からの信頼を獲得することができます。
ISO/IEC 27001(ISMS)について、詳しくはこちらをご確認ください。
ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)
ISO45001は労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格で、職場のリスク管理と労働者の安全・健康保護を目的としています。ISO45001は、あらゆる業種や規模の組織に適用可能で、より安全な職場環境の構築を支援します。
ISO22000(食品安全マネジメントシステム)
ISO22000は食品安全マネジメントシステムに関する国際規格で、食品チェーン全体で食品の安全性を確保するための要求事項を定めています。ISO22000は、食品の製造、加工、包装、配送、小売に至るまでの全過程に適用され、組織が食品安全のリスクを管理し、消費者に安全な食品を提供するための体系的なアプローチを提供します。
ISO13485(医療機器品質マネジメントシステム)
ISO13485は医療機器の品質マネジメントシステムに関する国際規格で、医療機器メーカーが製品の品質と安全性を確保するための要件を定めています。ISO13485の遵守により、メーカーは製品の品質管理を向上させ、規制要件を満たすことができます。
5.企業がISO規格を認証取得する理由とは?
企業がISO規格を認証取得する理由は、
- 信頼性の向上
- 取引機会の拡大
- 内部プロセスの改善
- 規制遵守
の4つの観点から考えることができます。
ISO規格を認証取得することで、企業は管理体制が国際基準に適合していることを証明でき、取引先や顧客からの信頼を得やすくなります。また、多くの企業が取引先を選定する際にISO認証をもつ企業を優先するため、認証を取得していることが新たなビジネスチャンスにつながります。
さらに、ISO規格の要求事項に従ってシステムを整備することで、社内のプロセスが標準化され、効率化が進みます。これにより、品質の向上やコスト削減が期待できます。特定の業界では、ISO規格の遵守が法的要件となっているケースがあり、ISO認証を取得することで、これらの規制要件を満たすことができます。
ISO規格は、時代の変化に応じて更新され続けており、常に現代のビジネス環境に適した基準を提供しています。これにより、企業は持続可能な成長を支援されるとともに、グローバルな市場で競争力を保つことができます。
6.ISO規格の認証取得の流れ
ISO規格であれば、認証取得の大まかな流れは同じです。
①規格の選択
取得するISO規格を選択します。
ISO規格は多数存在するため、自社の事業内容や目指す目標に合った規格を選びましょう。
②取得までの計画立案
取得目標時期の設定や、管理責任者の選定、自社でやるか、外部のコンサルタントに依頼するかなど取得までの計画を立てます。
③審査機関の選定
審査機関によって費用や審査傾向に違いがあるため、自社に合った審査機関を選びましょう。
④マネジメントシステムの構築
要求事項を満たすためのマネジメントシステムを構築します。
⑤運用
構築したマネジメントシステムに基づいて、管理責任者を中心に運用します。
⑥認証審査
認証機関が審査を行い、マネジメントシステムがISO規格の要求事項を満たしているかを確認します。
⑦認証取得
審査で問題がなければ、ISO規格の認証を取得できます。
⑧継続的な改善
認証取得後も、マネジメントシステムの継続的な改善と、定期的な再認証審査が求められるため、組織は常に高い品質でのサービス提供を維持する必要があります。
7.ISO認証取得のメリット・デメリットは?
ISO認証を取得することは、組織が高品質の製品やサービスを提供できる仕組みが整っていることを示し、顧客から信頼を得られる重要な手段です。また、特定の市場への参入にISO認証が求められることもあります。
認証を保持することで、組織は製品やサービスの品質を維持し、必要な改善を行うことが求められ、これがビジネスの継続的な改善を促します。これらはISO認証を取得することによって得られるメリットです。
しかし、ISO認証を取得し維持するには、多くの時間、費用、労力が伴います。認証取得の初期費用のみならず、関連する文書の作成や管理、定期的な更新、内部監査、マネジメントシステムの継続的改善にもコストと手間が必要であり、これらはデメリットといえます。
一方で、ISO認証の取得は組織の信頼性や認知度向上につながり、新しいビジネスチャンスが生まれる可能性があることから、長期的な成功への投資とも考えられます。
ISO認証の価値は組織の状況や目標によって異なるため、それぞれの状況を考慮した上で認証取得を検討するとよいでしょう。
8.ISO認証取得にかかる費用
ISO認証を取得する際にかかる主な費用は、「審査費用」と「コンサルティング費用」の2つです。
審査費用は、ISO認証取得に必要な審査のための費用で、これは削減することができません。審査費用は審査機関によって基準が異なるため、複数の機関から見積もりを取り比較することをおすすめします。
一方で、コンサルティング費用は通常年間50万円〜100万円が相場です。
ただし、コンサルティング会社によって提供されるサービスの内容や費用が異なるため、上記の相場はあくまで目安です。
具体的なサービスの詳細や費用については、各コンサルティング会社に直接問い合わせるか、公式ウェブサイトで確認することをおすすめします。
ISO9001の取得費用・維持費用について、詳しくはこちらをご確認ください。
9.ISO認証取得におけるコンサルタントの必要性とは
ISO認証を取得する際にコンサルタントの支援を受けると、その豊富な経験と専門知識により、自社で取得するよりも効率的に認証を取得することができます。
また、社内の負担や必要な労力を減らすことができるため、人的リソースが限られている場合には特におすすめです。スムーズかつ確実に認証取得したい場合、自社の業務に合わせたマネジメントシステムの構築と運用をのぞむ場合にも、コンサルタントの利用が効果的です。
ISO認証の取得を検討する際は、自社の状況や経験を考慮して、自力で取得するかコンサルタントを利用するか選択するとよいでしょう。
『認証パートナー』のサポート内容について、詳しくはこちらをご確認ください。
10.まとめ
ISO認証制度は、製品やサービスの品質、安全性、信頼性を確保し、消費者の利益を保護するための重要な制度です。
また、ISOマネジメントシステム規格の認証は、組織が継続的な改善を行い、様々な目標を達成するための枠組みを提供します。これらの規格を理解し、適切に活用することで、組織は競争力を強化し、持続可能な成長を達成することができます。
ISO・Pマーク(プライバシーマーク)に関することなら
何でもお気軽にご相談ください
今聞きたいこと、今すぐ回答!
最短即日・全国対応いたします!お問合せは
こちらから全国どこでもオンラインで対応!
気軽にご相談ください!相談予約は
こちらから
お電話受付:平日9:30〜17:00
認証パートナーのサービスご説明資料
8,000社以上の支援実績に裏付けされた、
弊社サービスの概要を紹介しております。
資料の内容
- ・当社のサポート内容
- ・規格の概要
- ・取得までに必要な審査費用
ISO9001認証パートナー
サービスのご案内
認証パートナーの専門コンサルタントが御社の一員となって事務局業務を行います。
お客様の作業は審査機関との窓口役だけ。それ以外はすべてお任せください。
-
Pマーク
個人情報保護マネジメントシステム
高い保護レベルの個人情報保護マネジメントシステムを確立し、運用していることを示します。
認証パートナーなら、個人情報漏えい防止の観点も踏まえたサポートを実現します。Pマークの認証ページへ -
ISO9001
品質マネジメントシステム
品質マネジメントシステムは一貫した製品・サービスを提供し、顧客満足を向上させるための規格です。
認証パートナーなら、負担が増える形だけのISOではなく、より現場の実態に沿ったISOを実現します。ISO9001の認証ページへ -
ISMS・ISO27001
情報セキュリティマネジメントシステム
情報セキュリティマネジメントシステムは企業・組織の情報を守る規格です(ISMSとISO27001は同義)。
認証パートナーなら、情報セキュリティリスクへの対応計画、緊急時の対応計画踏まえPDCAサイクル回せるような仕組み作りを実現します。ISMS/ISO27001の認証ページへ -
ISO14001
環境マネジメントシステム
環境マネジメントシステムは環境を保護し、変化する環境状態に対応するための組織の枠組みを示します。
認証パートナーなら、課題になりがちな環境法令の対応についても一緒にサポート致します。ISO14001の認証ページへ -
ISO27017など各種対応規格
ISO27017やISO22000など各種規格もお得に 新規取得や運用・更新ができます。ご気軽にお見積りください。
ISO27017など各種対応規格ページへ -
複数規格の同時取得
ISOやプライバシーマークを同時に認証取得すると費用や工数を抑えることができます。安心してご相談ください
複数規格の同時取得ページへ