2023年3月10日
ISO9001・ISO14001の認証機関は、ISO取得・更新の審査を行う第三者機関です。認証機関は国内に何十機関も存在しますが、選定するときは、審査にかかる金額・審査内容・柔軟さ・対応のスピードを比較して決めるとよいでしょう。
1.ISO9001・ISO14001どちらも選ぶ基準は同じ
ISO9001・ISO14001はどちらも国際規格ですが、
ISO9001は品質、ISO14001は環境についてであり、異なる規格です。
規格が異なる場合、別々の専門機関があり別の認証機関で受ける必要があると思われるかもしれませんが、
認証機関のほとんどは両方の審査が可能です。
選ぶ基準についても、規格が異なるからと変わるわけではなく、同じ基準で選ぶことができます。
2.そもそもISOの認証機関(審査機関)とは
ISO認証機関とは、ISOを取得するための審査を行う第三者機関です。
基本的には、規格要求事項と実態を見て適合性をチェックする機関です。
認証機関の審査にて、適合していればISOの認証となります。
認定機関と認証機関は紐づいています。
認定機関の認定なしに認証機関が審査を行うことはできません。
3.ISOの認定機関とは?
ISOの認定機関とは、「認証機関(審査機関)の審査をする機関」と言うとわかりやすいと思います。
各認証機関がそれぞれで勝手な対応をしないよう、ISOの認証制度を確立する役割を担っています。
4.ISO認定機関の選び方
認定機関は様々あります。しかし、認定機関を選ぶ必要は特にありません。
なぜなら、世界標準のはずのISOなので、どの認定機関でISOを取得しても差はないはずだからです。
ただし、2つだけ認定機関を選ぶときに注意した方がいい場合があります。
1つ目はお客様やお取引先などどこかからの要求で指定される場合、です。
その場合は指定の認定機関を選ぶと良いでしょう。
わかりやすいのは親会社が●●で取っているから、などです。
2つ目はマークのデザインです。
認証自体に差はありませんが、名刺やHPに載せるので認定機関のマークが気に入らないということがあれば、自分が良いなと思ったマークの認定機関を選んでおくと良いです。
5.ISO認証機関、3つの選定ポイント
認証機関を選ぶ際のポイントについて、3点ご紹介します。
⑴費用 ⑵審査内容(柔軟さ) ⑶対応スピードです。
⑴費用
1つ目が費用についてです。
費用については人数、審査を受ける拠点数などによって変動します。また、認証までにかかる費用は認証機関によって異なります。
均一価格でないため、顧客などから認証機関の指定がない場合、相見積もりを取ったりして安価な認証機関で受けられるのが良いでしょう。
平均してISO9001では30名規模の企業費用で46万円、ISO14001では30名規模の企業費用で66万円となっています。
⑵審査内容(柔軟さ)
審査を行う基準は同じでも、その解釈は審査員によっても異なります。
さらに認証機関によっては最低限の仕組みが構築できているかを最優先とする機関もあれば、認証後にISOの運用を通して改善の機会を多く与えようとする機関もあり、認証するまでの柔軟さが異なるケースもあります。
業界に特化している認証機関ではより業務における改善提議が多く、そうでない認証機関では最低限の構築ができているかという判断がなされるかもしれません。
顧客要求や認証までのスケジュールなどにより、認証を優先するか、すぐの改善を優先するかの判断は企業により異なります。
⑶対応スピード
ISOの認証に関しては番号の発行や認定証の発行が不可欠です。
この発行は、平均審査通過連絡後ひと月が目安となっていますが、認証機関によっては発行されるまでの猶予期間が異なります。
例えば海外に拠点のある認証機関でしたら、新型コロナウイルスや紛争などにより認定証の到着が物理的に遅れる可能性があります。
また、所属するスタッフの数により問い合わせをしても対応が遅く必要な時期までに間に合わなかったという例もあります。
認証機関を選ぶ際は「対応が早いか」「レスポンスが早いか」も選定の基準に入れておくと良いでしょう。
6.認証機関ごとに違う審査方針
認証機関ごとに審査方針や規格要求の解釈に違いがある場合があります。
審査方針や審査内容を必ず確認しておきましょう。
また、規格要求事項の解釈にこだわりがあり、規格にはそこまで具体的に書かれていないにもかかわらず、認証機関の要求として細かく求められることがあります。
他にも外部の人間は参加不可、オブザーバーならOK、参加OKとバラバラな部分もあるので、認証機関は良く選びましょう。
7.なぜ認証機関によって価格の違いがあるのか
認証機関により、利益の取り方や、審査員に支払う人件費に差があるので、認証機関によって価格に差が出ます。
審査業務というのは形のないものを売っているサービス業でもあるので、言い値が価格という部分があります。
したがって、必ず相見積もりを取って比較しましょう。
8.認証機関、失敗事例紹介
ここまでで認証機関の選定基準やポイントについて記載しましたが、「もしも選定に失敗してしまったら」という事例を見ていきましょう。
①必要な期日までに認証されなかった
「5.ISO認証機関、3つの選定ポイント⑶対応スピード」にも記載した事例です。
顧客の要求により事前に期限が決まっており、現地審査2か月後目途で認証が必要でした。
ほとんどの場合、現地審査1か月~1か月半目途で認証証が企業に届きます。
ただ、認証機関の拠点が海外にあり、認証証が物理的に届かず、顧客要求を満たすことができなかったため受注できたはずの案件を受注できませんでした。
②顧客要求の認定シンボルではなかった
認定シンボルとは認証機関ごとに持っているロゴマークのことです。顧客要求によってこのシンボルが指定されているケースもあります。
特に指定がない場合は、どの認証機関、認定機関でも良いと思われます。
しかし、もし顧客から日本の認証機関(審査機関)でなければならない、認証シンボルは日本の認定機関でなければならないという指定のある場合は認定証提出時に揉める可能性もありますのでご注意ください。
③認証までの期間が想定よりもかかってしまう
審査員や認証機関ごとに審査通過までの柔軟さが異なるため、想定していたよりも認証までの期間がかかってしまうという事例があります。
認証に至るまでには大きくわけて
[審査 → 審査時に発生した改善事項の対応 → 認証機関のチェック → 認証]
という段階がありますが、この改善対応を通過しなければISOの認証は行われません。
認証機関でこの改善指示に対する難易度や量は異なりますので認証取得を第一目標とし、最低限度の構築・運用を行う場合には各機関の審査に対する柔軟性を考慮しなければ、改善事項に追われ、日々の業務とISOの両立が難しくなったケースがあります。
9.認証機関は途中で変更可能なのか
申し出れば、認証機関の変更は可能です。「認証期間(審査機関)移転」と言います。
移転の際、必要な書類は認証機関ごとに異なりますので、移転を検討したら確認しましょう。
また、移転の手続きが完了するとそこで新たな認定機関から受け入れ可能かという審査が行われます。
時期によってはISOの定期審査と移転審査が度々来てしまう可能性もありますので、移転時期はISO定期審査の時期にされると良いでしょう。
まとめ
ISO9001、ISO14001であっても認証機関を選ぶポイントについては同じであることを見てきました。
選定の差異はありませんが、選ぶときには
①認証までの費用が適っているか
②審査内容が希望するものか――改善の機会を多く与えてくれる認証機関か、認証までのスケジュールを最優先にした認証機関か
③認証までのスケジュールやスピード感が想定の範囲内のものか
この3点に注意し、その上で顧客要求や業務内容に合った認証機関を選ぶと良いでしょう。
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