2023年6月29日
ISO9001は品質管理の国際基準であり、QMS(品質マネジメントシステム)はその基準を実現するための仕組みという違いがあります。ただ、ISO9001の別称としてQMSと呼ぶ方もいるため、シンプルに同じものと考えても良いです。
1.ISO9001とは
ISO9001は、国際標準化機構(ISO)の定めた品質マネジメントシステムに関する規格の一つです。
例えば、ある会社が製品やサービスを提供するとき、その品質を高めるためのルールや仕組みを示します。
具体的には、製品やサービスの目標を設定し、効率的なプロセスを確立し、問題やリスクを予防する方法等のルールや仕組みです。また、お客様の要望を理解して満たすことも大切です。
この基準を使うことで、企業は品質を向上させ、お客様の満足度を高めることができます。
この規格はさまざまな業界や規模の企業に適用され、品質管理の基準を確立し、自社の信頼性と競争力を向上させる役割を果たしています。
2.QMS(品質マネジメントシステム)とは
QMSとは、Quality Management Systemの略称で、日本語にすると、品質マネジメントシステムといいます。
そして、QMS(品質マネジメントシステム)は、製品・サービスの品質を継続的に改善する仕組み(PDCAサイクル) です。
ここでの品質とは、単に質を良くするだけの意味ではなく、顧客の満足度を向上させるという意味があります。
仮に自社でアップデートを重ねて最高傑作と思われる商品ができたとしても、 お客様から「前のほうが良かった」とか「思っていたものと違う」という反応が多いなら、 QMS(品質マネジメントシステム)においては良い改善とは言えないのです。
そして、ISO9001は品質マネジメントシステムに関する規格のひとつと述べましたが、 QMS(品質マネジメントシステム)に関する規格は他にもあります(ISO9000、ISO9100など) 。
それらをまとめて「ISO9000ファミリー」や「ISO9000シリーズ」と呼びます。
QMS(品質マネジメントシステム)に関する規格の中で中心となるのはISO9001と言っていいでしょう。
3.ISO9001とQMSの違いとは?
ISO9001は、ISOの規格のひとつです。
品質マネジメントシステムは、仕組みを指します。
一見別物のように思える両者ですが、ISO9001の規格書を開いてみると表紙には「品質マネジメントシステム―要求事項」という記載があります。
そのことから、ISO9001のことを「品質マネジメントシステム」や、さらに略して「品質」と呼ぶこともあります。
ですので、「ISO9001=品質マネジメントシステム」と認識されている場合もあります。
QMS(品質マネジメントシステム)は、組織が品質を管理するための体系的なアプローチや手法を指します。
具体的には、以下の要素を含んでいます。
品質方針と目的の策定:
組織は品質に関する方針を定め、品質目標を設定します。
これにより、品質に関する明確な方向性や目標が示されます。
プロセスの設計と管理:
組織は品質に影響を与える各プロセスを明確に定義し、品質管理の手順や規定を策定します。
プロセスの監視や改善活動を通じて、品質を継続的に管理・向上させます。
資源の適切な管理:
組織は人材、設備、技術、情報などの必要な資源を適切に管理し、品質管理に必要なリソースを提供します。
品質監査と評価:
組織は定期的な品質監査を実施し、品質基準や規定の遵守状況を評価します。
さらに、顧客のフィードバックやデータ分析を通じて品質の問題点や改善の機会を特定します。
継続的な改善:
組織は継続的な改善のサイクルを確立し、品質管理プロセスやシステムを改善していきます。
問題の解決やプロセスの効率化に取り組み、品質を向上させることを目指します。
QMSは、品質管理に関わる活動や方針を組織全体で統一的に管理し、品質を向上させるためのフレームワークです。組織の効率性や顧客満足度の向上に貢献する重要な要素となります
こちらの記事でもISO9001について解説しておりますので是非ご覧ください。
4.同じような他の呼び方「JIS Q 9001」
ISO9001について調べていくと、「品質マネジメントシステム」と呼ばれる他に「JIS Q 9001」と呼ばれることもあるということが分かってきます。
JIS Q 9001
JISとはJapanese Industrial Standardsの略称で「日本産業規格」という意味です。
JIS Q とは、JISのうち、管理システムの分野のことです。
ISOが国際規格だったのに対して、こちらは日本限定標準です。
ISO9001とJIS Q 9001の大きな違いは言語のみです。
つまりJISQ9001とは、「英語で書かれているISO9001を日本語に置き換えたもの」です。
5.QMS(品質マネジメントシステム)って具体的に何をするの?
品質マネジメントシステムとは「顧客の満足度を上げよう」という改善の仕組みです。
改善といっても具体的に何をするかあまりイメージがつかない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、やることを5つに分けて簡単に紹介します。
①組織の状況を理解する
はじめにこれを行う必要があります。
内部・外部の課題、顧客や利害関係者のニーズ、期待など、現在の状況を把握し、理解します。
②目標を立てる
現状を理解できたら、目標を立てます。
わかりやすい目標といえば、「売上〇〇円」や「お客様からのクレーム件数ゼロ」、「返品ゼロ」などでしょう。
特に「クレーム件数ゼロ」や「返品ゼロ」は、「お客様が満足している」という指標になりやすいかもしれません。
③顧客からの評価を得る
実際に製品・サービスの提供を行った後の確認です。
顧客の要望をかなえているはずが、「思っていたよりも納品が遅かった」や「指定していた色より暗い」など満足していない可能性もありますし、「とても良かった!」という声をもらえる可能性もあります。
④社内で分析を行う
顧客からの評価を得た後は社内で分析を行いましょう。
例えば、「この目標で良かったのか」、「ルールでは毎月確認とあったものが確認できておらずクレームにつながったのではないか」、「お客様が満足していない原因は何なのか」など、あらゆる側面から評価・分析をします。
⑤改善のための計画を立てる
分析を行ったら、今後より良くするための計画を立てます。
ISO9001には「毎年少しずつでもよくしていこう」という継続的改善の要求事項が盛り込まれています。
そのため、「今後どうしたらもっとよくなるか?」ということを計画し、実行し、評価し、また次年度に向けた計画を繰り返す必要があります。
以上が品質マネジメントシステムで具体的に実施することです。
PDCAサイクルになっていることがお分かりいただけたでしょうか。
まとめ
ISO9001とは、国際標準化機構の定めた品質マネジメントシステムの名称の一つであり、別称として「QMS」や「品質マネジメントシステム」と呼ばれることもあります。
品質のための規格ですが、ここでの品質とは商品・製品の良し悪しではなく、「顧客が満足しているか」というものになります。
そのため実際に運用される際には、お客様の声を確認し社内の活かせるよう活用、継続してより良いお客様からの声をもらえるよう計画立て実行しましょう。
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