2024年6月12日
ISO9001における「6.3 変更の計画」とは、組織が品質マネジメントシステム(QMS)に変更を加える際の指針です。組織がマネジメントシステム変更を実施する際に考慮すべき要素や手順について規定しています。組織が変化に適応し、持続的な改善を実現するために変更の計画のポイントを理解しましょう。
1.ISO9001 変更の計画の要求事項
「変更の計画」についての要求事項は以下の通りです。
6.3 変更の計画
組織が品質マネジメントシステムの変更の必要性を決定したとき,その変更は,計画的な方法で行わな
ければならない(4.4 参照)。
組織は,次の事項を考慮しなければならない。
a) 変更の目的,及びそれによって起こり得る結果
b) 品質マネジメントシステムの“完全に整っている状態”(integrity)
c) 資源の利用可能性
d) 責任及び権限の割当て又は再割当て
引用:ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項
主にマネジメントシステムの計画について言及しています。
2.ISO9001 変更の計画とは?
変更の計画は、ISO9001:2015の品質マネジメントシステムにおける重要な要素の一つです。
変更の計画は、組織がマネジメントシステムに変更を加える際に、
その変更の目的、影響、および実施方法を計画するためのプロセスです。具体的な事例を見てみましょう。
1) 変更の計画についての具体的な事例
例えば、ある製造会社が新しい生産ラインを導入する場合、変更の計画は次のような要素を含むでしょう。
a) 変更の目的,及びそれによって起こり得る結果
変更の目的を「製品の品質向上」や「効率化」を掲げるとします。
そのために必要なスペックの製造ラインの導入が必要になりますし、どの程度の品質を目指すのかどの程度の効率化を目指すのかで導入計画が大きく変わってきます。
b) 品質マネジメントシステムの“完全に整っている状態”(integrity)
変更後の品質マネジメントシステムが、ISO9001の要求事項を満たし、システムの完全性が保たれることが重要です。
導入後の製造ラインがマネジメントシステムの要求事項を満たしていない状態や導入後に変更を必要とするようの無いように計画段階で要求事項を満たしている状態であるかを確認しておきましょう。
c) 資源の利用可能性
変更に必要なリソース:人員、場所、予算などが適切に確保されているかを確認しましょう。
確認せずに導入するとなれば、スムーズなライン導入が出来ずに、製造に大きな影響を与えてしまいます。
スムーズな変更プロセスをサポートできるようにする必要があります。
d) 責任及び権限の割当て又は再割当て
変更の実行に必要な責任と権限が明確に割り当てましょう。
変更の承認者・責任者・実施者が誰なのかを明確にすることで、それぞれの役割・責任が明確になります。
3.変更管理における適切な流れ
1) 変更によるリスクを洗い出す
変更がもたらす可能性のあるリスクを評価し、洗い出します。
以下のようなリスクを考慮してください。
- 予算超過
- 期限超過
- 品質低下
- リソース不足
- 顧客満足の低下
2) リスクの対応策を検討する
リスクを軽減するための対応策を検討し、実行可能な解決策を見つけます。
上記であげたリスクに対しては下記の通り対策を検討します。
- 予算超過 :予算の管理と進捗の監視、必要に応じた調整
- 期限超過 :変更スケジュールの管理と遅延した場合の原因追求とその対処
- 品質低下 :事前のテストや検証の実施
- リソース不足 :適切な人員や設備の配置
- 顧客満足の低下:顧客とのコミュニケーション、顧客からのフィードバック
3) 顧客への通知をする(必要と判断した場合)
変更が顧客に影響を与える場合は、適切なタイミングで顧客に通知します。
適切なタイミングとは事前通知が望ましいです。変更が実施される前に通知しましょう。
また通知内容は、
- 変更の目的 :なぜ変更するのか、
- 予想される変化:顧客が最も気にする箇所です
- 対応策 :この点も顧客とすり合わせが必要
というように前もって決めておくとスムーズです。
4) 変更を実施する
計画された変更を実施し、必要な手順を遵守します。
その際に以下の点に気を付けましょう。
- 計画の徹底 :まずは計画通りに行いましょう
- リスク管理 :プロセスの中でどんなリスクがあるか、どう対応するのか
- 変更の追跡と監視:どのタイミングでどんな内容を実施するか、いつ・だれによって行われたのか
- 変更の文書化 :いつでも必要な情報が得られる状態が理想です
5) 変更実施状況のレビューをする
変更の実施状況を定期的にレビューし、目標達成に向けて必要な修正を行います。
下記の項目をレビューし、変更が目的通りに進んでいるかをレビューします。
- リソースの状況:必要な時間、人、設備だったのか
- 変更プロセス :計画通りにいったのか
- 変更の効果 :当初の目的を果たせているか
6) 変更内容を管理する
変更内容やその影響を文書化し、将来の参照や改善のために管理します。
文書化する内容は以下の項目が望ましいです。
- 変更の承認 :いつだれが を追えるようにしましょう
- 変更プロセスの追跡:組織のノウハウになる
- 変更の評価 :計画、目的達成を行いましょう
4.ISO9001 変更の計画の記載場所は?
ISO9001 6.3変更の計画に関する要求事項の対応は、基本的な内容を品質マニュアルに記載することが適切です。
具体的には、変更の目的、変更の影響、資源の利用可能性、責任と権限の割り当てなどの情報を明確に記述します。
品質マニュアルは、組織内で変更に関する情報を一元管理し、関係者が容易にアクセスできる場所に置かれるべきです。
これにより、変更の計画と実施が適切に管理され、マネジメントシステムの効果的な運用が確保されます。
5.まとめ
ISO9001 6.3変更の計画は、組織が変更を実施する際の計画プロセスを定義し、組織がマネジメントシステムの変更を効果的かつ効率的に実施できるようにサポートします。
組織は、適切な変更計画の策定と実施を通じて、持続的な改善と品質管理の向上を実現できるでしょう。
品質マニュアルに変更の計画を明確に記載することで、組織内での情報共有と変更プロセスの管理が円滑化されます。
これにより、組織はISO9001の要求事項を遵守し、マネジメントシステムの効果的な運用を維持することができます。
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