2025年9月17日

目次
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- 1.品質管理体制が重要な理由
- 2.品質管理体制の種類と特徴
- (1)工程管理体制
- (2)品質検証体制(品質検査体制)
- (3)品質改善体制
- 3.失敗しないための品質管理体制構築の基準
- (1)業種・業界に合った管理手法を選ぶ
- (2)品質管理体制における役割分担を明確にする
- (3)組織規模とリソースに見合う人員配置を計画する
- (4)法規制や取引先要求に合わせた権限体系を整える
- (5)PDCAを回す責任ラインと評価指標を設定する
- 4.品質管理体制を構築するための7つのステップ
- (1)現状の課題と品質目標を明確にする
- (2)管理体制と責任者を決定する
- (3)標準手順書やマニュアルを整備する
- (4)教育・研修により社内の浸透を図る
- (5)試験運用で問題点を洗い出す
- (6)運用開始後にPDCAサイクルを回す
- (7)定期的な見直しと改善を実施する
- 5.まとめ
「品質管理の体制をどう整えればいいのかわからない」
「そもそも体制って何を決めるべきなの?」
結論から言うと、品質管理体制とは「品質を安定させるために、人・役割・ルールを仕組みとして整えること」です。
この体制がしっかりしていないと、不良品の発生やクレームの増加、現場の混乱につながってしまいます。
なぜなら、品質は「良いものを作ろう」という気持ちだけでは守れないからです。
誰が、どの工程を、どの基準で、どうやって管理するのかを明確にしないと、同じ作業でも人によって結果が変わってしまいます。
この記事では、品質管理体制とは何かという基本から、具体的にどう構築するのか、そのステップや注意点まで整理してご紹介します。
この記事を読み終えた後には、やるべきことがはっきりわかり、現場でムリなく品質を守る仕組みづくりに取りかかれるようになるはずです。
1.品質管理体制が重要な理由

品質管理体制は、製品やサービスの質を安定して保ち、信頼される企業をつくるために欠かせない仕組みです。
なぜなら、どれだけよい製品をつくっても、つくる人や工程が毎回違えば、品質にもばらつきが出てしまうからです。
そこで、誰が、いつ、どのように作業を行うのかを決め、社内全体でルールを共有することが大切になります。
また、不良が起きたときにすぐ原因を見つけて対応できるよう、情報を集めたり、改善を進めたりする体制も必要です。
このような仕組みがあれば、クレームの減少や生産の効率化につながり、働く人にとっても安心できる職場環境が整います。
つまり、品質管理体制はお客様の満足だけでなく、会社全体の成長や安定にも深く関わっているのです。
2.品質管理体制の種類と特徴
品質管理体制の種類には、主に3つあります。
- 工程管理体制
- 品質検証体制(品質検査体制)
- 品質改善体制
それぞれの体制を理解していないと、自社の実情に合わない運用をしてしまい、かえってミスや不良が増えてしまうかもしれません。
ここからは、各体制の特徴とポイントについて、順を追ってご紹介していきます。
(1)工程管理体制
工程管理体制とは、製品やサービスが一定の品質で仕上がるように、各作業の流れや手順を決めて管理する仕組みのことです。
ものづくりの現場では、作業する人やタイミングが変わることで、仕上がりにも差が出てしまうことも少なくありません。
そのため、どの工程で、誰が、どんなやり方で作業をするかを明確にして、ミスやばらつきが出ないようにします。
具体的な流れは以下のようになります。
■工程管理体制の主な流れ
①工程全体の流れと作業内容を決める
製造・サービス工程を分解し、各工程の役割や順序を明確にする。また、納期や作業時間、人員配置を計画する
②作業手順・品質基準を文書化し、統一する
標準作業手順書(SOP)を作成。検査基準や合否ラインを設定する
③現場で計画に基づき作業を進める
作業者は決められた手順、基準にしたがって作業を実施する。設備や材料も管理ルールに従う
④工程内で定期的に品質や進捗を確認する
中間検査・抜き取り検査などを実施。作業記録や進捗表を使って確認する
⑤ 問題があれば原因を調査し、再発防止を図る
ヒヤリハットや不良データを分析。作業方法やルールの見直しを行う
また、使う材料や設備の管理、作業中に確認すべきポイントなども事前に決めておくことで、不良の発生を未然に防ぐことが可能です。
このように、工程管理体制を整えることで、安定した品質を保ちやすくなり、全体の生産性や信頼性も高めることができます。
(2)品質検証体制(品質検査体制)
品質検証体制(品質検査体制)とは、製品やサービスが決められた基準をきちんと満たしているかを確認するための仕組みです。
どれだけ丁寧に作業をしていても、完成したものに不具合が混じってしまうことがあります。
そこで必要になるのが、製品の外観や寸法、動作などをチェックする品質検査です。この検査の主な流れは以下のとおりです。
■品質検証体制(品質検査体制)の主な流れ
①品質の合否を判断する基準を決める
製品仕様や顧客要求、法令に基づいた検査項目・許容範囲を設定する。図面・工程表・過去の不良情報などを参考にする
②誰が見ても同じ結果になるよう手順を統一する
測定方法、使う機器、頻度、記録様式などをマニュアル化する。検査環境の整備(温湿度、照明など)も重要
③ 材料や部品の品質を受け入れ前に確認する
サプライヤーから届いた資材の外観・寸法・機能をチェック。不良が多い場合は取引先へのフィードバックが必要
④製造中に定期的に品質を確認する
各工程の途中で抜き取り検査や全数検査を実施。異常があれば直ちに作業を中断し原因調査へ
⑤出荷前に製品の完成度を確認する
外観、寸法、性能、動作などをチェック。合格品のみを出荷、NG品は再加工や不良処理
⑥検査結果を記録し、共有・保存する
検査票やデジタル記録に検査日時・内容・合否・対応者などを記載する。品質レポートとして管理部門や顧客へ報告
⑦検査での気づきを現場改善につなげる
不良傾向を分析し、作業手順や教育内容を見直す。再発防止策を講じ、検査ルールに反映
とくに、出荷前の最終検査では、間違いを見逃さない体制をつくることが重要です。
(3)品質改善体制
品質改善体制とは、現場で発生した不良やトラブルに対して、その原因を調べ、再び起こらないように対策を進める仕組みのことです。
どれだけしっかり管理していても、不具合がまったく起きないとは限りません。
だからこそ、問題が起きたときにすぐに対応できる体制をつくっておくことが大切です。
品質改善体制の主な流れは以下のとおりです。
■品質改善体制の主な流れ
①問題の報告を受ける
現場で不良や異常が発生したら、すぐに担当者へ報告。報告内容は書面やデジタルで記録しておく
②情報を分析する
報告された内容をもとに、原因を調査。必要に応じて、過去のデータや現場の状況を確認
③関係部署と連携して対策を考える
製造部・品質管理部・保全担当などと協力。対策内容は「作業の見直し」「社員教育」「設備の調整」など
④改善策を実行する
決定した対策を現場で実施。その効果を短期間でチェックし、必要なら再調整
⑤改善内容を記録・共有する
対応内容や結果を文書でまとめる。他の部署や関連現場にも共有して、再発防止につなげる
このように、報告、分析、対策、実行、共有という一連の流れをチーム全体でまわすことが、品質改善体制の基本となります。
3.失敗しないための品質管理体制構築の基準
品質管理体制をつくるには、押さえておくべき基準が大きく分けて5つあります。
- 業種や業界に合った管理手法を選ぶ
- 品質管理体制における役割分担を明確にする
- 組織規模とリソースに見合う人員配置を計画する
- 法規制や取引先要求に合わせた権限体系を整える
- PDCAを回す責任ラインと評価指標を設定する
順番に見ていきましょう。
(1)業種・業界に合った管理手法を選ぶ
品質管理体制をつくる上で、自社の業種や業界に合った管理手法を選ぶことが大切です。
なぜなら、業界ごとに品質への考え方や重視されるポイントが異なるため、同じ方法がどこでも使えるわけではないからです。
品質管理における、主な業種と手法、さらに特徴については以下のとおりです。
| 業種・業界 | 主な品質管理手法 | 特徴・ポイント |
| 食品製造業 | ・HACCP(危害要因分析必須管理点)に基づく工程管理 ・トレーサビリティ手法 | 原材料から製造・出荷までの各工程で、食中毒などの危害要因を監視・管理する予防重視の手法。 |
| 医薬品・化粧品製造業 | ・工程分析 ・バリデーション手法 ・作業標準化 | 衛生管理、手順遵守、文書管理などを厳格に定めた制度で、安全性・一貫性のある製品製造を確保。 |
| 自動車・精密機器製造業 | ・SPC(統計的工程管理) ・故障モード解析(FMEA) ・MTBF分析 | ISO9001をベースに、自動車業界向けに強化された品質マネジメント。工程能力やトレーサビリティ重視。 |
| 製造業 | ・QC七つ道具 ・PDCAサイクル ・FMEA ・5S活動 | あらゆる業種に対応可能な国際規格。品質方針、プロセス管理、継続的改善を軸にした体系的管理。 |
| 建設業 | ・施工品質チェックリスト ・PDCA ・工程別品質記録 | 工程ごとの品質基準を定め、施工のばらつきを防止。文書化・記録管理の徹底が求められる。 |
上記のように、業界や取り扱う製品の特性によって、ふさわしい管理の方法は違ってきます。
そのため、まずは自社の業種でよく使われている手法を調べ、自社の実情や目標に合ったものを選ぶようにしましょう。
(2)品質管理体制における役割分担を明確にする
品質管理体制を機能させるためには、それぞれの担当者がどのような役割を持つかを明確にしておくことが重要です。
どれほど優れた手法やルールを用意しても、実際に動かす人の役割が曖昧だと、情報がうまく伝わらなかったり、責任の所在が不明になったりして、トラブルの原因となります。
例えば、現場での作業を管理する人、検査を行う人、改善提案をまとめる人、そして最終的に全体を統括する責任者など、それぞれの立場に応じた役割分担が必要です。
それぞれの役割を一覧表にまとめたものが以下です。
| 役割名 | 主な業務内容 | 適任者の特徴・条件 |
| 品質管理責任者 | ・品質方針の策定と全体の統括 ・部門横断的な指導・調整 ・上層部への報告と改善推進 | ・経営視点を持つ管理職・現場と経営層の橋渡しができる ・調整力と意思決定力がある人 |
| 現場管理者 (工程管理者) | ・作業工程の標準化と進行管理 ・作業者への指示とサポート ・異常時の初期対応 | ・工程に詳しいリーダー格の社員 ・判断力があり、現場の信頼が厚い人 |
| 検査担当者 | ・製品や工程の検査・測定 ・検査記録の作成と管理 ・異常の報告と一次対応 | ・丁寧な作業ができる人 ・ルールを守る意識が高く、細かい変化にも気づける人 |
| 改善推進担当 | ・品質データの分析 ・改善提案のまとめと実行支援 ・定例会議の運営と進捗管理 | ・数値やデータに強い人 ・現場を理解しつつ、論理的な改善提案ができる人 |
| 情報共有・調整係 | ・関係部署との連携調整 ・報告ルートの明確化 ・会議資料や手順書の整備 | ・コミュニケーション能力が高く、部署間の調整に長けた人 ・事務系総務担当でも可能 |
また、担当者だけでなく、関係部署との連携体制も含めて設計しておくことで、異常が起きたときの対応が早くなり、品質の安定につながります。
日常の点検や記録、報告の流れまでを具体的に決めておくと、現場の混乱も防ぎやすくなるでしょう。
(3)組織規模とリソースに見合う人員配置を計画する
自社の組織規模やリソースに合った人員配置を計画することも忘れてはいけません。
人が多ければよいというわけではなく、限られた人手や予算の中で、どのように役割を分けて運用していくかを考える必要があります。
例えば、大企業であれば品質管理部門を独立させ、専門の担当者を多く配置することができますが、中小企業では一人が複数の業務を兼ねることもあるでしょう。
そのような場合でも、検査や記録、改善などの業務ごとに必要な作業を洗い出し、どの作業を誰が行うかを明確にしておくことが重要です。
また、外部の支援を活用したり、効率的に管理できるツールを導入したりすることで、少ない人員でも品質を保つことが可能になります。
無理に大きな仕組みを真似するのではなく、自社にとって実行できる体制をつくることが失敗しないポイントです。
(4)法規制や取引先要求に合わせた権限体系を整える
業種や業界によっては、法律や行政指導により、品質に関する管理方法や報告義務が定められている場合があります。
また、大手企業と取引する際には、ISO規格の取得や製品検査の記録提出など、一定の品質水準を満たすことが求められることも少なくありません。
このような要求に対して、現場の担当者だけで判断しないように注意しましょう。
どのような内容であれば誰が判断し、最終的な承認をどの役職が行うのかといった、明確な判断基準と権限の流れをあらかじめ決めておく必要があります。
例えば、「検査結果に異常があった場合は品質管理責任者が対応する」「改善案の実施には部門長の承認が必要」など、事前にルールをつくっておけば、対応の早さと正確さが格段に高まります。
つまり、外部からの要請にも迅速に対応できる権限体系を整えておくことが、品質管理体制の要となるのです。
(5)PDCAを回す責任ラインと評価指標を設定する
PDCAとは、「計画(Plan)」「実行(Do)」「確認(Check)」「改善(Action)」の流れをくり返しながら、仕組みをより良くしていく考え方です。
このサイクルを正しく回すためには、誰が各段階を担当するのか、責任の所在をはっきりさせる必要があります。
例えば、計画は品質管理責任者が中心になって立て、実行は現場リーダーが管理し、確認や評価は管理職が行うといった分担が考えられます。
また、改善の成果を見えるかたちで測るために、「不良率」「クレーム件数」「改善提案の実施数」などの評価指標を設定しておくと効果的です。
これらの指標を設定することで、目標とのずれに気づきやすくなり、次の対策も立てやすくなります。
PDCAを形だけで終わらせず、責任と数字をともなった仕組みとして定着させることが、品質向上につながるのです。
4.品質管理体制を構築するための7つのステップ
品質管理体制を構築するための手順を、以下の7つのステップに分けてご紹介します。
- 現状の課題と品質目標を明確にする
- 管理体制と責任者を決定する
- 標準手順書やマニュアルを整備する
- 教育研修により社内の浸透を図る
- 試験運用で問題点を洗い出す
- 運用開始後にPDCAサイクルを回す
- 定期的な見直しと改善を実施する
現状把握から体制整備、運用後の見直しまでの流れを、順を追って解説していきます。
(1)現状の課題と品質目標を明確にする
最初にやるべきことは、現在の課題を正しく把握し、それに対してどのような品質を目指すのかを明確にすることです。
まず、自社の製品やサービスにおいて、どこに問題があるのかを見つけることが大切です。
具体的には、以下のような視点で課題を洗い出します。
- 不良品が多く発生していないか
- 納期が守れないことが続いていないか
- クレームや返品が減らない原因は何か
- 担当者ごとに作業のばらつきがあるか
- 過去のトラブルの傾向に変化がないか
現場の声や実際のデータ(検査記録・日報など)を活用して、具体的な問題点を明確にします。
課題が見つかったら、それに対応する目標を設定します。
その際は、次の点に注意しましょう。
- 数字で表せる目標にする:不良率を月5%以下にする、納期遅延をゼロにする
- 現実的な達成可能な水準にする
- 現場のメンバーが見てすぐ理解できるようにする
- できれば期限を設けて評価しやすくする
明確な目標があることで、社内の行動がそろいやすくなり、改善にもつながります。
今の状態を正しく知り、目指すべき品質の水準をはっきりさせることから始めてみてください。
(2)管理体制と責任者を決定する
管理体制とは、誰が、どの範囲を、どのように見ていくかを決める仕組みのことです。
例えば、全体の品質方針を統括する責任者、工程ごとのチェックを担当する現場管理者、検査や記録を行う担当者など、役割を整理して配置する必要があります。
とくに責任者は、品質に関する判断を下す立場であり、社内の意見をまとめたり、必要に応じて上層部に報告したりする役目を担います。
この責任が曖昧だと、トラブルが起きた際の対応が遅れたり、指示が混乱したりしてしまうことになりかねません。
また、部署をまたいで管理する場合には、関係者の間で情報共有ができる体制づくりも重要です。
(3)標準手順書やマニュアルを整備する
品質管理体制を安定して運用するためには、標準手順書やマニュアルを整備し、すべての作業を統一されたやり方で進められるようにしておきましょう。
現場では、人によってやり方が少しずつ違ってしまうことがあります。このばらつきが、不良やミスの原因になることも少なくありません。
そこで、どの作業を、どの順番で、どのような基準で行うかを、文書にして明確にする必要があります。
標準手順書やマニュアルに記載すべき内容の例は以下のとおりです。
【検査の手順】
- 完成品は出荷前に、以下3項目をチェック
└外観(キズ・汚れ)
└寸法(定規やゲージで確認)
└動作(スイッチや動作確認テスト) - 不良が見つかった場合は「不良品タグ」をつけ、専用棚に移動
- チェック内容は検査記録用紙にその場で記入
【記録のつけ方】
- 検査結果は、日付・製品番号・担当者名を記入
- 書いた記録は、検査日ごとにファイルにとじて管理
- デジタル管理の場合は、指定のExcelファイルに入力し、サーバーへ保存
【異常が出たときの報告方法】
- まず、現場リーダーへ口頭で報告
- 次に、「異常報告書」に内容・日時・対応を記入
- 記入後、品質管理部へ提出し、対応内容の確認を依頼
このように、作業の流れを具体的に示しておくことで、現場で迷うことが減り、誰が作業しても品質を保つことができます。
また、新人の教育にも役立ち、指導の内容がぶれにくくなるというメリットもあります。
(4)教育・研修により社内の浸透を図る
品質管理体制を社内に定着させるためには、教育や研修を通して、全社員に考え方ややり方を伝えることが大切です。
新しいルールや仕組みをつくっても、それが現場で正しく理解されていなければ、期待した効果を得ることは難しいでしょう。
ですので、まずは品質管理の基本的な考え方や重要性について、全社員を対象に説明します。
その上で、以下のような役割ごとに必要な知識や手順を学べるように、実務に合わせた研修を行うと効果的です。
| 対象者 | 研修内容の例 |
| 検査担当者 | 検査項目の確認方法、測定器の使い方、記録の書き方 |
| 製造担当者 | 作業手順の遵守、異常時の初期対応、報告の流れ |
| 現場リーダー | 不良報告のまとめ方、改善提案の進め方、チーム指導法 |
| 品質管理責任者 | 全体の品質方針管理、データ分析、改善計画の立案方法 |
つまり、教育と研修を通して、社員一人ひとりが品質管理の目的を正しく理解することが大切になります。
(5)試験運用で問題点を洗い出す
新しい体制やルールは、実際に現場で使ってみないと見えてこない課題が多くあります。
品質管理体制を本格的に導入する前に、試験運用を行って問題点を洗い出しておくことも忘れてはいけません。
例えば、手順書の内容がわかりにくい、記録の方法が複雑で作業に負担がかかる、報告の流れがうまく伝わっていないなど、机上では気づけなかった点が明らかになります。
こうした小さなズレを放置してしまうと、あとから大きなミスや混乱につながる恐れもあるため、試験運用の段階で細かく確認しておくことが大切です。
実施する際は、特定の部署や工程を対象に短期間だけ運用してみるなど、無理のない範囲で始めると効果的です。
また、実際に作業した人から感想や意見を集め、改善案に反映させることで、より実践的で使いやすい体制に近づけることができるでしょう。
(6)運用開始後にPDCAサイクルを回す
品質管理体制を本格的に運用し始めた後は、PDCAサイクルを意識して、継続的に見直しと改善をくり返すことが大切です。
品質管理への活用例には以下のような方法があります。
| 項目 | 具体例 |
| P(Plan:計画) | 不良率を下げるための対策を考える |
| D(Do:実行) | 計画した対策を現場で実施する |
| C(Check:確認) | 改善後の不良率をデータで確認する |
| A(Action:改善) | 効果が不十分なら対策を見直し、次の計画に反映する |
この仕組みを回し続けることで、現場の課題に早く気づけるようになり、対応も早くなります。
また、担当者任せにせず、責任者や管理者が中心となって、定期的に結果を確認する場を設けることで、チーム全体の意識も高まりやすくなります。
運用開始後もPDCAを根気よく回し続けることが、品質管理体制を長期的に機能させるためのポイントです。
(7)定期的な見直しと改善を実施する
どれだけよくできた体制であっても、時の経過とともに現場の状況や製品の内容、顧客の求める品質も少しずつ変わっていきます。
そのため、一度つくったルールや手順をそのまま使い続けるのではなく、一定の間隔で内容を振り返り、今の実態に合っているかを確認することが大切です。
例えば、以前は問題なかった検査方法が、今では時間がかかりすぎていたり、記録のやり方が現場で負担になっていたりすることがあります。
こうした声を定期的に集め、記録やルール、役割分担などを見直すことで、体制がより使いやすくなり、現場の負担も減らせます。
改善点が見つかったときには、小さなことでもすぐに反映できるよう、体制の見直しを社内で共有する仕組みをつくっておくとより効果的です。
5.まとめ
今回は、品質管理体制を構築したい方に向けて、その基準や進め方をわかりやすく解説しました。
まず、業種や規模に適した管理手法の選定、明確な役割分担、適切な人員配置といった基本的な考え方を整理することが大切です。
さらに、法規制や取引先の要求に応じた権限設計や、PDCAサイクルの責任範囲、評価指標の設定など、構築手順についてもご紹介しました。
体制づくりは一度決めたら終わりではなく、運用しながら継続的に見直し、改善を続けることが重要です。
本記事を参考に、自社の品質管理体制を見直し、安定した品質づくりを始めてみてください。
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