2025年3月24日

ISO9001の品質方針とは、マネジメントシステムの方針のことであり、必ず策定しなければならないものです。品質方針は組織の方向性を示す重要な要素で、審査でもチェックされます。
1.品質方針とは
⑴ISO9001における品質方針の重要性
ISO9001の品質方針とは、マネジメントシステムの方針のことであり、必ず策定しなければならないものです。品質方針は組織の方向性を示す重要な要素です。
品質方針は組織が掲げるゴールに向かって進むための指針であり、マネジメントシステムの土台となります。
品質マネジメントシステムが問題なく運用され、品質向上=顧客満足が高められれば方針は必要ないのでは、と考える方もいます。
しかし、結論として、品質方針は必要です。
そもそも方針とは、組織が掲げるゴール(理想の姿)に向けて、仕事を進められるよう策定するものです。
方針(方向性)が定まっていない場合、従業員が各自の考えでバラバラに行動し、結果として組織のゴールに向かう活動ができなくなる可能性があります。
組織が目指す方針(方向性)を提示し、共通認識を持たせることで同じゴールに向かった生産的な活動ができます。
方針という基準があることで、日々の活動をチェックし、間違いがあれば正すことができます。
⑵品質方針が組織にもたらすメリット
品質方針は、組織の品質マネジメントシステムの基盤となるものであり、以下のようなメリットをもたらします。
- 組織の方向性を明確化
- 顧客満足の向上
- 組織の競争力強化
①組織の方向性を明確化
品質方針は、組織が目指すべき方向性を明確に示します。これにより、従業員全員が同じ目標に向かって行動することが可能になります。
②顧客満足の向上
品質方針は、顧客のニーズや期待を満たすための指針となります。これにより、顧客満足度の向上が期待できます。
③組織の競争力強化
品質方針を基にした品質改善活動は、製品やサービスの品質向上につながり、結果として市場での競争力を高めます。
2.品質方針が必要な理由
⑴品質方針の役割
品質方針は、組織の方向性を示し、顧客満足を達成するための指針として機能します。
以下に、品質方針の具体的な役割を記載します。
- 組織の方向性を明確にする
- 顧客満足の向上
- 品質目標の基盤を提供する
- 従業員の意識統一
- 外部ステークホルダーへの信頼性の向上
- 継続的改善の推進
- リスクと機会への対応
⑵顧客満足と組織の方向性の明確化
ISO9001では、品質方針を通じて顧客満足を達成することが求められています。
品質方針は、組織のビジョンやミッションと連動し、顧客の期待に応えるための具体的な方向性を示します。
方針(方向性)が定まっていないと、従業員が各自の考えのみでバラバラに動いてしまい、結果組織が定めたゴールに向かった活動になっていないという状態になってしまう可能性があります。
組織が目指す方針(方向性)を提示し、共通認識を持たせることで同じゴールに向かった生産的な活動ができます。
方針という基準があることで、日々の活動をチェックし、間違いがあれば正すことができます。
これらの理由から品質方針は必要なのです。
3.ISO9001における品質方針の規定
⑴5.2 方針(規格要求事項)とは
5.2.1 品質方針の確立
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
トップマネジメントは、次の事項を満たす品質方針を確立し、実施し、維持しなければならない。
a) 組織の目的及び状況に対して適切であり、組織の戦略的な方向性を支援する。
b) 品質目標の設定のための枠組みを与える。
c) 適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
d) 品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。5.2.2 品質方針の伝達 品質方針は、次に示す事項を満たさなければならない。
a) 文書化した情報として利用可能な状態にされ、維持される。
b) 組織内に伝達され、理解され、適用される。
c) 必要に応じて、密接に関連する利害関係者が入手可能である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
引用元:「ISO9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項」
サンプルをお見せしましょう。

⑵規格要求事項の概要とポイント
ISO9001の5.2項では、品質方針に関する具体的な要求事項が規定されています。主なポイントは以下の通りです。
- 組織の目的に適合していること
- 顧客要求事項への対応
- 継続的改善のコミットメント
①組織の目的に適合していること
品質方針は、組織の目的や戦略に適合している必要があります。
②顧客要求事項への対応
品質方針は、顧客のニーズや期待を満たすための指針となるべきです。
③継続的改善のコミットメント
品質方針には、品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントが含まれている必要があります。
4.品質方針と品質目標の関連性
⑴品質方針と品質目標の違いと関係
品質方針と品質目標は密接に関連していますが、それぞれ異なる役割を持っています。
①品質方針
組織の全体的な方向性を示すもの。
品質目標: 品質方針を具体的な行動に落とし込んだもの。
②品質目標
品質方針を実現するための具体的な指標や目標値を設定することで、組織全体の活動を計画的に進める役割を果たします。
⑵品質目標の作り方と実例
品質目標を作成する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
SMARTの原則
- Specific(具体的であること)
- Measurable(測定可能であること)
- Achievable(達成可能であること)
- Relevant(関連性があること)
- Time-bound(期限が設定されていること)
品質目標も、方針と同じく具体的な内容は自社で決めてよいのですが、JISQ9001のゴールは「顧客満足」なので、まずは自社における顧客満足を定義するところから始めます。
例えば、クレームがない状態=顧客満足とするイメージです。
上記の場合、目標は「年間クレーム10件以内」などです。
この際、目標は測定可能であることが求められている為、出来るだけ数字を使って進捗を追えるよう工夫してください。
「年間クレーム10件以内」を達成するために、現場責任者が毎月5社の取引先に訪問して、納品後問題が起きていないか確認するという内容が具体的なアクションになります。
- 品質目標:年間クレーム10件以内
- 活動:現場責任者が毎月5社の取引先に訪問して、納品後問題が起きていないか確認する
目標と計画策定に関して、より具体的な話は、別の記事に記載しておりますのでこちらも参考にしてみてください。
※あわせて読みたい記事
5.品質方針の作り方

⑴5.2.1 品質方針の確立
品質方針を作成する際には、以下のプロセスを踏むことが推奨されます。
- 組織のビジョンやミッションの確認
- 顧客ニーズの分析
- ステークホルダーの意見収集
- 簡潔で分かりやすい表現
①組織のビジョンやミッションの確認
品質方針は、組織のビジョンやミッションと整合性が取れている必要があります。
②顧客ニーズの分析
顧客の期待や要求事項を把握し、それを品質方針に反映させます。
③ステークホルダーの意見収集
従業員や取引先など、関係者の意見を取り入れることで、実効性の高い品質方針を作成します。
④簡潔で分かりやすい表現
品質方針は、誰にでも理解できる簡潔な表現で記載することが重要です。
⑵実際の作成プロセスと注意点
品質方針は原則、自社の方針ですので社長や幹部の考えをそのまま落とし込む作り方で問題ありません。
例えば、既にある経営理念やクレド、コーポレートステートメントなどをそのまま品質方針として扱うこともできます。
ただし、規格要求事項と照らし合わせながら、この項目はここと紐づいているという規格要求との関連性を伝えられるようにする必要があります。
6.品質方針の周知・共有方法(5.2.2 品質方針の伝達)
ISO9001では、品質方針を組織内外に効果的に伝達することが求められています。
⑴社内への効果的な共有方法
定期的な研修やミーティングを通じて、従業員に品質方針を周知します。
品質方針をポスターや掲示物として職場に掲示することで、日常的に意識させることができます。
⑵社外への効果的な共有方法
ウェブサイトやパンフレットに品質方針を掲載することで、顧客や取引先に対して組織の姿勢を示します。
取引先との会議や説明会で品質方針を説明することで、信頼関係を構築します。
7.まとめ
品質方針は、ISO9001における品質マネジメントシステムの中核を成す重要な要素です。
それは、組織の方向性を示し、顧客満足を達成するための基盤を提供します。本記事で解説した内容を参考に、品質方針の策定や実践に取り組んでみてください。
もし、品質方針の作成やISO9001の導入に関して具体的なサポートが必要であれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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