2021年2月19日
ISO 9001における教育とは、業務上必要な能力や知識の理想と現実のギャップを埋める手段のことです。
ISO9001の教育で求められていることや有効性の評価方法などを解説していきます。
審査では、いつ・誰が・どんな教育を・どのように受けたかを確認されるため、内容がわかるものを保管しておきましょう。
1.ISO9001の教育とは
ISO 9001でいう教育とは、要求事項にある「7.2力量」にあたります。
例えば新入社員教育、OJT、資格取得のための受講、オンライン研修、技術訓練、さらにはマンツーマン指導なども全てISO9001の教育に該当します。
2.ISO9001教育の目的とは
ISO9001教育の目的は、品質マネジメントシステムを実行するために、つまり製品やサービスを提供するにあたって必要な能力・知識を備えるために行います。
ISO9001の教育として講義やテキスト学習をしているところもちらほら見受けられますが、ISO 9001の規格の内容を学ぶということではありません。
3.ISO9001教育で必ず求められていること
ISO9001の要求事項では、
力量を明確にすること
適切な教育・訓練・経験があること
教育を実施した場合には有効性を評価すること
記録を保持すること
が求められています。 ここでいう「記録」とは、業務で必要な能力や知識を習得するためのものなので、それが分かる記録であれば書面にこだわる必要もありません。
必ずしも「教育実施報告書」のような教育のためだけに作成されたものでなくても良いのです。報告書の類はもちろん、資格証明書、その他「これでいいの?」と思われるものも教育記録になるケースがあります。
以下、実際に審査で確認された2つの事例です。
① 新入社員が指導を受けた時などに書き込みをしているノート
② 部下に指導したという報告が記載されている「業務日報」
4.有効性の評価方法
教育はどの企業も実施されている仕組みですが、意外にも有効性の評価までやっているところは多くありません。
教育の実施は大事なことですが、「実施して終わり」ではなく、「教育を行った結果どうだったか?」「その教育は効果があったのか?」を確認して評価する、つまり有効性評価が重要なポイントです。
有効性評価とは、要するに「できるようになったかどうか」を判定することです。
有効性の評価方法についてはテストを受けたことで終わりではなく「テストで合格点を取れたか」を確認することが分かりやすい方法です。
その他にも、
① 部署内の会議で行われる人材の成長度合いの報告
② 新しい顧客や現場を担当する、新しいスキル習得による多能工化
といった評価方法もありますので、ご参考にしてください。
5.審査の時に審査員から確認されるポイント
審査では、教育について記録があるかを尋ねられます。
日付・教育対象者・教育内容・教育方法・有効性評価について確認されますので、わかるように記載しておくことが望ましいです。
また、書面での提出でなくとも、掲示されたスキルマップなど現場にしかない情報がある場合は、その旨を審査員に伝えて現場まで案内すると良いでしょう。
6.まとめ
ISO9001の教育は、ISOの規格内容を学ぶということではなく、業務上必要な能力や知識を身につけることです。
審査ではいつ・誰が・どんな教育を・どのように受けたかを確認されます。内容がわかるものを保管しておきましょう。
ISO9001の教育において重要なのは有効性評価です。「できるようになったかどうか」を振り返ることで次の教育につなげられます。
自社の教育が妥当かどうか迷う場合は外部の専門家に相談してみるのも良いでしょう。
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