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ISO9001の教育訓練は何をすれば良い?効果的な取り組み方を解説!

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2024年11月5日

ISO9001の教育訓練は何をすれば良い?効果的な取り組み方を解説!

ISO9001における教育とは、業務に必要な能力や知識の理想と現実のギャップを埋めるための手段です。ISO9001の教育の目的は、品質マネジメントシステムを実行し、製品やサービスを提供する際に必要な能力や知識を備えることにあります。

1.ISO9001の教育とは?

⑴ISO9001における教育訓練とは?

ISO9001(品質マネジメントシステム)における教育訓練は、7.2項で定められた「力量」に関するものです。
ISO9001の要求事項では、力量について以下の4つを求めています。

a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
b) 適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
c) 該当する場合には、必ず、必要な力量を身に付けるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。
d) 力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する。

【注記】
適用される処置には、例えば、現在雇用している人々に対する、教育訓練の提供、指導の実施、配置転換の実施などがあり、また、力量を備えた人々の雇用、そうした人々との契約締結などもあり得る。

引用元:「ISO9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項」

要するに、教育訓練では「必要に応じた実施」「有効性の評価」「文書化による管理」が求められています。

⑵ISO9001での力量とは?

ISO9001における「力量」とは、業務を遂行するために必要な能力が備わっているかどうかを指します。
具体的には、業務を行うための技能や経験、知識、資格を意味します。

この「力量」は、ISO9001だけでなく、ISO14001やISO45001などの他の規格でも求められています。

ISO9001における「力量」については、こちらの記事で詳しく説明しております。

2.ISO9001の教育訓練の目的とは?


2.ISO9001の教育訓練の目的とは?

 

ISO9001における教育の目的は、品質マネジメントシステムを実行し、製品やサービスを提供するために必要な能力や知識を身につけることです。

ISO9001の教育として講義やテキスト学習を行っている企業も見受けられますが、これは規格の内容を学ぶことが目的ではありません

3.要求事項と教育訓練でのスキルマップの活用

⑴要求されていること

ISO9001の要求事項である7.2項「力量」について簡潔にまとめると、以下の点が求められています。

  • 必要な力量を明確にすること
  • 適切な教育、訓練、経験を持つこと
  • 教育を実施した場合、その有効性を評価すること
  • 記録を保持すること

これにより、業務に従事する人が職務を遂行するためにどの程度の能力や力量を持っているかを把握することが重要です。もし不足がある場合は、それを補うための教育訓練が必要です。

従業員一人ひとりの力量を一覧にしたものを「スキルマップ」または「力量表」などと呼びます。スキルマップは、従業員の能力不足を一目で確認でき、計画的な教育訓練や人材育成に役立つ重要なツールです。

スキルマップは通常、次の3つのステップで作成されます。

①スキル体系の設定:業務項目や要素技術で分類し、職場に適した階層や細分化を設定します。
②スキル基準の設定:能力を4段階などにレベル分けします。

    • レベル1:補助ができる
    • レベル2:指導を受けながら実施できる
    • レベル3:一人で実施できる
    • レベル4:指導ができる

③スキルの評価:上司または本人と上司がスキルを評価します。

スキルマップは表やグラフで表現され、レーダーチャートを用いると視覚的に把握しやすいです。

スキルマップは職場内のスキルを可視化し、不足しているスキルに対する教育訓練を促進するだけでなく、従業員のモチベーション向上にも寄与します。また、個人の品質目標に数値化したスキルレベルを設定することも効果的です。

関連:【取得企業が解説】ISO9001の力量管理とは?スキルマップで最適化する方法

⑵要求していないこと

ISO9001では、「力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する」ことが要求されています。
これは、従業員の能力に関する記録を残すことを意味します。

この「力量の証拠」として何を用いるかについては、解釈が異なる場合がありますが、一般的には以下のようなものが考えられます。

  • 教育や研修の記録
  • 業務を実際に行わせて評価した記録
  • テスト結果
  • 力量と作業者のマトリクス
  • 資格一覧
  • 個人ごとの教育履歴

ここでいう「記録」とは、業務で必要な能力や知識を習得するためのものなので、それが分かる記録であれば書面にこだわる必要もありません。そのため、どの方法が適切かは、各企業が自ら決定すれば問題ありません。

必ずしも「教育実施報告書」のような教育のためだけに作成されたものでなくても良いのです。
報告書の類はもちろん、資格証明書、その他「これでいいの?」と思われるものも教育記録になるケースがあります。

以下、実際に審査で確認された2つの事例です。

  • 新入社員が指導を受けた時などに書き込みをしているノート
  • 部下に指導したという報告が記載されている「業務日報」

なお、業務に直接関係のない教育訓練や指導については、実施や記録を求められることはありません。
また、業務に関係のない教育訓練や指導を行ってはいけないという規定もありません。

企業では、現在の業務に直結する能力だけでなく、従業員の将来を見据えたり、知識を広げるために教育訓練や指導を計画することがあります。また、将来に備えて大学や研究機関での教育を受けさせることもあります。

将来必要となる教育や訓練を先取りして行うことは、担当者の視野を広げることが多く、デメリットよりもメリットが多いです。このような観点から、可能な範囲で積極的に教育訓練に取り組むことをおすすめします。


4.教育訓練の効果的な取り組み方法

ISO9001の7.2項「力量」では、教育の有効性を評価することが求められています。

多くの企業が教育を実施していますが、その効果を評価しているところは少ないようです。
教育を実施することは重要ですが、「実施して終わり」ではなく、「教育の結果、どのような効果があったのか」を確認することが大切です。
つまり、有効性評価が重要なポイントとなります。

有効性評価とは、教育を受けた結果、従業員が「できるようになったかどうか」を判定することです。
具体的な評価方法としては、テストを受けた後に「合格点を取れたか」を確認することが分かりやすい方法です。

また、他の評価方法としては、以下のようなものがあります。

  • 部署内の会議で人材の成長度合いを報告する
  • 新しい顧客や現場を担当することで、新しいスキルを習得し、多能工化を図る

これらの方法を参考にして、有効性評価を行うと良いでしょう。

5.審査の時に審査員から確認されるポイント

審査では、教育に関する記録があるかどうかを確認されます。

具体的には、日付、教育対象者、教育内容、教育方法、有効性の評価について確認されるため、これらがわかるように記載しておくことが望ましいです。

また、書面での提出がなくても、掲示されたスキルマップなど現場にしかない情報がある場合は、その旨を審査員に伝え、現場まで案内すると良いでしょう。

6.まとめ

ISO9001における教育とは、ISOの規格そのものを学ぶことではなく、業務に必要な能力や知識を習得することを指します。

審査では、いつ、誰が、どのような教育をどのように受けたのかが確認されるため、その内容がわかる記録を保管しておくことが重要です。

ISO9001の教育で特に重要なのは、有効性の評価です。
教育を受けた結果、「できるようになったかどうか」を振り返ることで、次の教育に活かすことができます。自社の教育が適切かどうか不安な場合は、コンサルティング会社など外部の専門家に相談するのも一つの方法です。

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