2023年8月1日

ISO9001認証の目的は、企業が品質管理システムを適切に運用し、顧客満足度を向上させることです。これにより、製品やサービスの品質が一定以上であることを保証し、顧客からの信頼を得ることができます。また企業のメリットとして、組織の効率化や生産性の向上、コスト削減などが挙げられます。
1.ISO9001とは
ISO9001とは、国際標準化機構(ISO)が定めた品質管理・品質保証のための国際規格です。
企業や組織が顧客満足度を高め、製品・サービスの品質を向上を目指すためのマネジメントシステムを構築し、運用、維持するためのルールを定めています。
2.ISO9001規格本来の目的について
⑴ISO9001規格の目的・狙い
ISO9001規格の目的や狙いは主に3つあります。
①品質の向上と維持
ISO9001は、企業が製品やサービスの品質を一定に保つためのシステムを構築することを求めています。
これにより、企業は製品やサービスの品質を向上させ、維持することができます。
例えば、製造業では製品の不良品率を低減させるためのプロセス改善が求められます。
②顧客満足度の向上
ISO9001は、企業が顧客の要求を満たすためのシステムを構築することを求めています。
これにより、企業は顧客満足度を向上させることができます。
例えば、サービス業ではアンケートなどにより顧客の声を収集し、それをもとにサービス改善を行うことが求められます。
③継続的な改善
ISO9001は、企業が品質管理システムを継続的に改善することを求めています。
これにより、企業は組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。
例えば、定期的に内部監査を行い、その結果をもとにシステムの改善を行うことが求められます。
⑵ISO9001の規格要求事項:構成
ISO9001は、品質マネジメントシステムの国際規格で、その構成は以下のようになっています。
- 1.適用範囲:ISO9001が適用される範囲を定義します。
- 2.引用規格:ISO9001を理解・適用するために参照する必要がある規格を示します。
- 3.用語及び定義:ISO9001で使用される専門用語を定義します。
- 4.組織の状況:組織の内外の課題を理解し分析することを定義します。
- 5.リーダーシップ:組織のトップマネジメントが果たすべき役割と責任を定義します。
- 6.計画:品質マネジメントシステムの計画とリスクに対するアプローチを定義します。
- 7.支援:品質マネジメントシステムを運用するために必要な資源と文書化を定義します。
- 8.運用:製品やサービスの開発から納品までのプロセスを定義します。
- 9.パフォーマンス評価:品質マネジメントシステムのパフォーマンスを監視、測定、分析、評価する方法を定義します。
- 10.改善:不適合と改善のためのアプローチを定義します。
これらの要素が全て連携し、組織全体で品質マネジメントを行うことを目指しています。
⑶ISO9001とISO14001との違い
ISO9001とISO14001は、ともに国際標準化機構(ISO)が定めた管理システムの規格ですが、その目的が異なります。
ISO9001は「品質管理」に重点を置いています。
つまり、製品やサービスが顧客の要求を満たす品質を持つことを確保するための管理システムを構築・運用するための規格です。
一方、ISO14001は「環境管理」に焦点を当てています。
企業活動が環境に与える影響を最小限に抑えるための環境マネジメントシステムを構築・運用するための規格です。
つまり、ISO9001は「品質」、ISO14001は「環境」に対する企業の取り組みを評価するための規格といえます。
3.ISO9001認証取得の目的・メリット
ISO9001認証を取得する多くの企業の目的やメリットは、主に以下の3つです。
①品質管理の体制を整備し、製品やサービスの品質を向上させること。
これにより、顧客満足度を高め、リピート購入や新規顧客の獲得を促進します。
②社内の業務プロセスを標準化し、効率化を図ること。
これにより、無駄な作業を削減し、コストダウンを実現します。
③国際的な品質管理規格であるISO9001を取得することで、企業の信頼性やブランドイメージを向上させること。
これにより、新規市場への進出やビジネスチャンスの拡大を図ります。
また、ISO9001の認証を取得することで、企業の品質管理体制が国際的な基準に適合していることが証明されるため、顧客からの信頼を得やすくなることもメリットとしてあげられます。
4.ISO9001認証取得のデメリット
ISO9001認証取得のデメリットとしては、以下のような点があげられます。
①費用
認証取得には審査費用や維持費用がかかります。
また、規格に準拠するための体制作りにもコストがかかる場合があります。
②時間
規格に準拠するための体制作りや、審査のための準備には時間がかかります。
また、定期的な審査や維持活動も必要です。
③フォーマリティ化
ISO9001は手続きや記録の整備を重視しますが、これが形骸化し、本来の目的である品質向上から離れてしまう可能性があります。
以上のようなデメリットがあるため、ISO9001認証を取得する際には、これらの点を考慮に入れた上で、企業の状況や目的に合った適切な取り組みを行うことが重要です。
5.ISO9001のロゴマーク使い方
ISO9001のロゴマークは、認証を取得した企業や組織が自社の製品やサービスがISO9001の品質管理基準を満たしていることを示すために使用します。
しかし、使用にはいくつかのルールがあります。
例えば以下の通りです。
ロゴマークは、
- 認証を取得した製品やサービスに関連する広告やパンフレット、ウェブサイトなどに使用できます。
- 認証を取得した範囲内でのみ使用できます。例えば、特定の製品ラインだけが認証を取得している場合、その製品ラインに関連する広告などにのみロゴマークを使用できます。
- ISO9001の認証を取得していない製品やサービスを示すためには使用できません。
- 認証機関が指定した形式で使用しなければなりません。色やサイズ、形状などを勝手に変えることはできません。
これらのルールを守ることで、ISO9001のロゴマークは、企業や組織の品質管理の信頼性を示す重要なツールとなります。
6.ISO9001認証までの流れ
まず、ISO9001の基準に沿った品質マネジメントシステムを自社で構築します。
次に、そのシステムがISO9001の基準を満たしているかを確認するための内部監査を行います。
内部監査で問題がなければ、認証機関に申請を行います。
認証機関から監査員が派遣され、自社の品質マネジメントシステムがISO9001の基準を満たしているかの審査が行われます。
審査で問題がなければ、ISO9001の認証を取得できます。
ISO9001認証までの詳しい流れはこちらの記事に記載しております。
ISO9001を取得する方法と流れ
7.ISO9001取得後にありがちな形骸化について
⑴ISO9001の形骸化
企業がISO9001の認証を取得した後でも、その基準に従った品質管理体制を維持・改善することを怠り、形だけの認証になってしまう状態を指します。
つまり、認証は取得したけど、その後の品質管理がしっかりと行われていない、という状態です。
これは企業の信頼性を損なうだけでなく、最終的には認証の取り消しにつながる可能性もあります。
⑵形骸化に対する取り組み
経営層の理解とコミットメント
経営層がISO9001の重要性を理解し、全社的な取り組みとして位置づけることが重要です。
経営層が主導してISO9001の取り組みを推進することで、形骸化を防ぐことができます。
継続的な教育とトレーニング
ISO9001の理念と要求事項を全社員が理解し、日々の業務に活かすためには、継続的な教育とトレーニングが必要です。
内部監査の実施
自社の品質マネジメントシステムがISO9001の要求事項を満たしているかを確認するために、定期的な内部監査を実施します。内部監査を通じて問題点を発見し、改善することで形骸化を防ぎます。
継続的な改善
ISO9001は継続的な改善を求める規格です。
問題点を改善し、その結果を評価し、さらなる改善を行うPDCAサイクルを回すことで、形骸化を防ぎます。
顧客満足度の追求
ISO9001の最終的な目的は顧客満足度の向上です。
顧客の声を取り入れ、顧客満足度を追求することで、形骸化を防ぎます。
⑶ISO9001とPDCAサイクル
ISO9001は、品質マネジメントシステムの国際規格であり、
その中心にはPDCAサイクル(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Act:改善)があります。
これは、組織が品質目標を設定し、それを達成するための計画を立て、その計画を実行し、結果を評価し、必要な改善を行うというサイクルを繰り返すことを推奨しています。
これにより、組織は継続的に品質を改善し、顧客満足度を高めることができます。
まとめ
ISO9001認証取得は企業にとって多くのメリットをもたらします。
ただし、認証取得のためのコストや時間、維持管理に伴う負担も考慮する必要があります。
また、形骸化を防ぐためには、組織全体での理解と取り組みが必要です。
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