2023年8月29日

ISO9001とは、顧客満足の向上を目的とした要求事項が書かれた品質マネジメントシステムの規格です。
ISO9001の要求事項を理解し、実際の業務に合わせてルールを作成することで良い仕組みをつくることができます。
1.ISO9001とは
ISO9001とは、国際標準化機構(ISO)が定めた品質管理・品質保証・顧客満足の向上のための国際規格です。
ISOはISO1からISO50000シリーズまで約2万の規格があり、工業製品・農業・医療・食品安全・労働安全など、あらゆる分野を網羅しています。(ただし、組織が認証取得できるのはマネジメントシステムに関する規格のみです)
ISO9001では、企業が顧客満足度を高め、法令遵守を確保し、継続的な改善を行うためのマネジメントシステムを構築・運用するための基準が規定されています。
企業がISOの認証を取得するということは、ISOが定める要求事項に則った運営ができていると認められることです。
認証を取得することで、企業の品質管理体制の信頼性が外部に示され、ビジネスチャンスの拡大や企業イメージの向上につながります。
2.品質マネジメントシステムとは
品質マネジメントシステムとは、製品やサービスの品質を一定の水準以上に保つための組織の運営方法をPDCAサイクルを回して継続的に改善していくという仕組みです。
これは、顧客の要求を満たし、法規制を遵守し、組織の効率の向上につながります。
具体的には、企業が品質に関する目標を設定し、品質方針を設定し、それを達成するためのプロセスを計画、実施、管理、改善していきます。
品質マネジメントシステムは、組織が顧客満足度を高め、製品やサービスの品質を向上させ、ビジネスパフォーマンスを改善するための重要なツールとなります。
3.ISO9001の目的は「顧客満足度の向上」

ISO9001は、製品の品質向上と思われがちですが、本来は、顧客満足の向上を目的にした規格です。
顧客満足度の向上とは、製品やサービスが顧客の要求を満たし、さらにその期待を超えることを意味します。
顧客満足度を向上させるためには、まず製品やサービスの品質を確保することが重要です。
これには、製品の機能性や耐久性、サービスの提供スピードや丁寧さなどが含まれます。
また、顧客サポートも重要な要素で、問い合わせやクレームに対する対応の速さや適切さが求められます。
さらに、顧客のニーズや期待を的確に把握し、それに応える製品やサービスを提供することも重要です。
これには、市場調査や顧客からのフィードバックの収集と分析が必要となります。
また、顧客満足度の向上は一度達成すれば終わりではなく、常に顧客の変化するニーズに対応し続けることが求められます。
そのため、顧客満足度を定期的に測定し、改善のための施策を継続的に実施することが重要となります。
ISO9001に基づく品質マネジメントシステムを構築・運用することで、企業が顧客満足度を向上させる具体的な手段になります。
4.ISO9001要求事項の大枠を知る
ISO9001の要求事項は10項目からなる以下の要求事項が規定されています。
1~10の項目に則りルールを作成し、運用を行うことで品質マネジメントシステムを活用していくことが出来ます。
1 適用範囲
2 引用規格
3 用語及び定義
4 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
5 リーダーシップ
5.1 リーダーシップ及びコミットメント
5.2 方針
5.3 組織の役割、責任及び権限
6 計画
6.1 リスク及び機会への取組み
6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
6.3 変更の計画
7 支援
7.1 資源
7.2 力量
7.3 認識
7.4 コミュニケーション
7.5 文書化された情報
8 運用
8.1 運用の計画及び管理
8.2 製品及びサービスに関する要求事項
8.3 製品及びサービスの設計・開発
8.4 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理
8.5 製造及びサービス提供
8.6 製造及びサービスのリリース
8.7 不適合なアウトプットの管理
9 パフォーマンス評価
9.1 監視、測定、分析及び評価
9.2 内部監査
9.3 マネジメントレビュー
10 改善
10.1 一般
10.2 不適合及び是正処置
10.3 継続的改善
参考:JISQ9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項
5.ISO9001要求事項とPDCAサイクル
ISO9001要求事項とPDCAサイクルがどのように結びついているのか、紹介します。
品質マネジメントシステム(通称QMS)においてPDCAサイクルは次のように回転させます。
P:品質目標の設定
「Plan(計画)」では、品質目標の設定をします。
品質目標はマネジメントシステムの要求事項に適合するように内容を決めなければなりません。
例えば、「売り上げの10%増加」といった測定可能な品質目標を設定することが必要です。
D:設計・製造
「Do(実行)」では計画に基づいて、活動を行います。
設定した品質目標を達成するための活動を行います。例えば、「効率を上げるために設備の買い替えを行う。必要な人材を採用する。」といった活動です。
C:分析・マネジメント評価
「Check(評価)」では、「Plan(計画)」で設定した目標に対して、「Do(実行)」で活動出来ているのか?有効な活動となっているのか?を評価します。
ISO9001の活動では内部監査として、この 「Check(評価)」の活動を行います。
A:改善の実行
「Action(改善)」では評価や分析を踏まえ、顕在化した課題に対して改善を行っていきます。
評価や分析結果によっては、品質目標そのものの見直しが必要になるケースもあります。
ISO9001の活動では、マネジメントレビューがこの「Action(改善)」の活動となります。
6.企業がISO9001認証を取得する目的は
ISO9001を認証取得する目的としては以下があげられます。
- 取引先や顧客からの取引要件としてISO取得を提示されている場合、それを満たすことができる
- 他社から信頼を得やすくなる
- 組織のシステムが確立しやすくなる
- 責任と権限が明確になる
- 競合と差をつけることができる
多くの場合、大手企業などと取引をする際にISO9001の認証が条件となっているので、
その条件を達成するために取得されています。
7.どんな業種が認証取得しているのか
ISO9001は、どういう業種で認証取得されているのかをまとめました。
◆ISO9001
1位:10,110件:建設
2位: 7,870件:基礎金属、加工金属製品
3位: 4,697件:電気的及び光学的装置
建設業が多いです。
建設業の総合評価、経営事項審査に加点されるため取得する企業が多くなっています。
2位の基礎金属、加工金属製品は、品質を担保するために、お客様からの要求があって取得するケースが多いです。
8.なぜISO9001が「意味がない」と言われるのか
ISO9001は意味がないと取得しても返上してしまう会社もあります。
そのような会社に多いのが、ISO9001のルールが会社の実態と合っておらず「ISO9001のための活動」が多くなってしまっているパターンです。
ISO9001のため、より厳しいルールや細かいルールを設定したものの、運用することが現実的ではなく、審査を通過するためだけのISO9001になってしまうのです。
そのため、実際の活動とISO9001のルールが結びつかなくなり、意味がないと思われてしまいます。
解決策としては、ISO9001要求事項について理解したうえで、実際の業務に合わせてルールを作成することです。
9.ISO9001取得の流れについて
ISO9001取得の流れは以下の通りです。
従業員人数や状況にもよりますが、キックオフから取得完了まで、早くて6か月、長くて1年ほどかかります。
詳しくはこちらの記事:ISO9001を取得する方法と流れにて紹介しておりますので、
ISO9001取得の流れ、メリット・デメリット、何をやらなければならないのか、どのくらいの期間がかかるのかなど、
取得の方法と流れを詳しく知りたい方はこちらのリンクをご確認ください
10.ISO9001とISO14001の違い
ISO9001とISO14001では「アプローチの仕方」や「側面」が違います。
しかし、アプローチの仕方や側面が違うだけで本質的には同じ「組織を継続的に改善していくという仕組み」です。
ISO9001では品質、ISO14001では環境というそれぞれの側面からアプローチを行いますが、PDCAサイクルを回して会社を改善していく点では変わらないのです。
ISO9001では、品質を向上させるために、リスク及び機会の見直しや目標の設定を行い、内部監査、マネジメントレビューを行います。
ISO14001では、環境に良い影響を与える活動を伸ばし、悪い影響を与える活動を改善するため、リスク及び機会の見直しや目標の設定を行い、内部監査、マネジメントレビューを行います。
まとめ
ISO9001とは、PDCAサイクルを回して組織を継続的に改善していくという仕組みで、顧客満足の向上を目的にしています。
実際の活動とISO9001のルールが結びつかなくなり、意味がないと思われてしまいますが、
ISO9001要求事項について理解したうえで、実際の業務に合わせてルールを作成することで、組織を継続的に改善していく仕組みが出来ます。
- SNSでシェア
- Tweet
ISO・Pマーク(プライバシーマーク)に関することなら
何でもお気軽にご相談ください
お電話受付:平日9:30〜18:30
-
今聞きたいこと、今すぐ回答!
最短即日・全国対応いたします!お問合せは
こちらから -
全国どこでもzoomで対応!
気軽にご相談ください!相談予約は
こちらから
新規取得・運用別に
役立つ資料をお届けします
新規認証や運用・更新にあたって当社が何を請け負うか、
わかりやすい資料でご検討の参考にしてください。

ISO9001認証パートナー
サービスのご案内
認証パートナーの専門コンサルタントが御社の一員となって事務局業務を行います。
お客様の作業は審査機関との窓口役だけ。それ以外はすべてお任せください。
-
Pマーク
個人情報保護マネジメントシステム
高い保護レベルの個人情報保護マネジメントシステムを確立し、運用していることを示します。
認証パートナーなら、個人情報漏えい防止の観点も踏まえたサポートを実現します。Pマークの認証ページへ -
ISO9001
品質マネジメントシステム
品質マネジメントシステムは一貫した製品・サービスを提供し、顧客満足を向上させるための規格です。
認証パートナーなら、負担が増える形だけのISOではなく、より現場の実態に沿ったISOを実現します。ISO9001の認証ページへ -
ISO14001
環境マネジメントシステム
環境マネジメントシステムは環境を保護し、変化する環境状態に対応するための組織の枠組みを示します。
認証パートナーなら、課題になりがちな環境法令の対応についても一緒にサポート致します。ISO14001の認証ページへ -
ISMS・ISO27001
情報セキュリティマネジメントシステム
情報セキュリティマネジメントシステムは企業・組織の情報を守る規格です(ISMSとISO27001は同義)。
認証パートナーなら、情報セキュリティリスクへの対応計画、緊急時の対応計画踏まえPDCAサイクル回せるような仕組み作りを実現します。ISMS/ISO27001の認証ページへ