2025年6月12日

1.はじめに:ISO9001とは何か
ISO9001は、国際標準化機構(ISO)が発行する「品質マネジメントシステム」に関する国際規格です。
企業が提供する製品やサービスの品質を一定水準以上に保ち、顧客満足を継続的に向上させていくための仕組みを体系的に示しています。
多くの企業が「ISO取得=外部認証」というイメージを持ちがちですが、実際の本質は自社の経営や業務改善にどのように活かせるかにあります。
2.品質マネジメントシステムの重要性
品質マネジメントシステム(QMS)は、単に製品の品質を管理するだけでなく、組織全体の業務プロセスを改善し、効率を高めるための枠組みです。ISO9001を導入することで、企業は以下のメリットを享受できます。
- (1) 顧客満足度の向上
- 一貫した品質管理により、顧客の期待に応える製品・サービスを提供できます。
- (2) 業務効率の改善
- プロセスを標準化し、無駄を削減することで、業務効率が向上します。
- (3) リスク管理の強化
- リスクを事前に特定し、対策を講じることで、事業継続性を高めます。
- (4) 国際的な信頼性の向上
- ISO9001認証は国際的に認知されており、企業の信頼性を高めます。
3.2015年改訂版の重要なポイント
2015年のISO9001改訂では、特に「6.1 リスク及び機会への取組み」が注目されました。これは品質マネジメントシステム全体の土台ともなる「計画(Plan)」に位置付けられており、あらゆる業種・規模の企業にとって非常に実践的な内容となっています。この改訂により、リスクと機会の概念がより明確になり、企業が戦略的に品質管理に取り組む必要性が強調されました。
(1) 「リスク=悪いこと」とは限らない?
まず押さえておきたいのは、「リスク」の捉え方が変わってきているという点です。
① 従来のリスク概念
従来、企業活動において「リスク=回避すべき危険」や「損失の可能性」とされていました。これは、リスクをネガティブなものとして捉え、いかに回避するかに重点を置く考え方です。
② ISO9001におけるリスク概念
しかしISO9001では、「リスク」とは単に悪いことではなく、「不確かさの影響」と定義されています。つまり、状況が予測どおりにいかない可能性全般を指し、そこにはマイナスの結果(損失)だけでなく、プラスの結果(成長や利益)=機会も含まれるのです。
③ リスクと機会の表裏一体性
この考え方を理解することで、「リスクをどう避けるか」だけでなく「その中にどんなチャンスがあるか」という前向きな視点で事業を捉えることができるようになります。リスクと機会は表裏一体であり、リスクを適切に管理することで、機会を最大限に活かすことができるのです。
(2) リスクと機会は表裏一体
たとえば、以下のような状況を考えてみましょう。
① 競合他社の新規参入
新たな競合が業界に参入することで、顧客を奪われたり、価格競争に巻き込まれたりといったリスクが高まります。しかし、見方を変えれば、これを機に自社のサービスの独自性を再構築したり、新たな販売チャネルを開拓するチャンスにもなり得ます。
② 得意先からの取引拡大の打診
「来年から取引量を2倍にしたい」という申し出があったとします。一見すると売上増加の好機ですが、現場の人員体制や納期対応力によっては逆に品質低下や納期遅延といったリスクを生む可能性もあります。
③ リスクと機会の対応策検討の重要性
このように、一つの事象に対して、リスクと機会は常にセットで存在することがわかります。そして、それにどう対応するかを事前に検討しておくことこそが、「計画」の目的です。事前の計画により、リスクを最小限に抑えつつ、機会を最大限に活かすための戦略を立てることができます。
(3) 目標に向かう作戦を立てる
ISO9001における「計画」とは、単に何かをやると決めるだけではありません。
具体的な行動計画(アクションプラン)の必要性
以下の流れに沿って、具体的な行動計画(アクションプラン)を明確にすることが求められます。
4.計画の基本ステップ
(1) 品質目標の設定
– 例:クレーム発生件数を前年比20%削減する
(2) リスクと機会の洗い出し
– 例:新人社員の急増により業務ミスが増加傾向にある(リスク)
– 例:教育体制の見直しによって早期戦力化が期待できる(機会)
(3) 対応策の立案と実行計画化(5W1H)
– 例:OJT体制の強化/マニュアルの見直し/責任者の明確化
(4) 評価と見直し(PDCAの継続)
– 例:月次で業務ミスの件数をチェックし、必要に応じて改善策を追加
PDCAサイクルの起点
これらの流れは、いわゆる「PDCAサイクル」の起点にあたります。
特にP=Plan(計画)をしっかりと設計することで、その後のD(実行)、C(評価)、A(改善)がスムーズに進むようになります。
計画段階でリスクと機会を明確にし、具体的な対策を立てることで、実行段階での混乱を避け、効率的に目標達成を目指すことができます。
5.なぜ今、計画が求められているのか?
ISO9001:2015年版の改訂で「リスクに基づく考え方」が導入された背景には、次のような現実があります。
- 環境変化のスピードが加速している(市場ニーズ・技術革新・人手不足)
- 品質トラブルが企業の信用を大きく揺るがす時代になった
- 経営と現場が連動した品質管理が求められている
(1)先手型のマネジメントの必要性
従来は「不具合が起きたら是正する」という後追い型の対策が主流でしたが、これからは起きる前に備える先手型のマネジメントが求められます。変化の激しい現代において、後手対応では遅く、事前の計画と対策が不可欠です。
(2)計画の重要性
そのためにも、「計画」は単なるISO用の書類づくりではなく、日々の業務や経営の意思決定と密接に関わるものとして考える必要があります。計画は、組織の将来を左右する重要な要素であり、経営層だけでなく、現場の従業員も積極的に関与する必要があります。
6.まとめ
ISO9001の「計画」は、単なるルールや形式に従うものではなく、企業の未来を切り拓く戦略づくりそのものです。
(1) 組織の未来を切り拓く戦略
現場での課題、顧客からの期待、外部環境の変化──こうした日々の情報をもとに、リスクと機会を的確に捉え、「自社はどこに向かうのか」「今なにをやるべきか」を明文化していく。これはまさに、経営者が日々直面している意思決定と同じ視点です。
(2) ISOの視点を使った経営計画
ISOだから計画する、ではなく「ISOの視点を使って、よりよい経営計画を立てる」そんなふうに捉え直すことで、ISOは負担ではなく、会社を前に進めるための実践ツールになるはずです。
ISO9001の枠組みを活用し、組織全体の品質管理能力を高めることで、持続的な成長と顧客満足度の向上を実現できます。
ご不明点や具体的な導入支援が必要な場合は、どうぞお気軽にご相談ください。ISO導入・運用の豊富な実績をもとに、貴社の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。
ISO9001の導入は、組織全体の品質管理体制を強化し、持続的な成長を支えるための重要な一歩となります。
ぜひ、この機会にご検討ください。
ISO/Pマークの認証・運用更新を180時間も削減!
認証率100%の認証パートナーが無料問い合わせを受付中!

認証パートナーは8,000社を超える企業様の認証を支援し、認証率100%を継続してきました。
経験豊富なコンサルタントの知見を活かし、お客様のISO/Pマーク認証・運用更新にかかる作業時間を約90%削減し、日常業務(本業)にしっかり専念することができるようサポートします。
▼認証パートナーが削減できること(一例)- マニュアルの作成・見直し:30時間→0.5時間
- 内部監査の計画・実施:20時間→2時間
- 審査資料の準備:20時間→0.5時間
認証取得したいけれど、何をすれば良いか分からない方も、まずはお気軽にご相談ください。
ISO・Pマーク(プライバシーマーク)に関することなら
何でもお気軽にご相談ください
今聞きたいこと、今すぐ回答!
最短即日・全国対応いたします!お問合せはこちらから
全国どこでもオンラインで対応!
気軽にご相談ください!相談予約はこちらから
お電話受付:平日9:30〜17:00
一目でわかる
認証パートナーのサービスご説明資料
8,000社以上の支援実績に裏付けされた、
当社サービスの概要を紹介しております。
資料の内容
- ・一目でわかる『費用』
- ・一目でわかる『取得スケジュール』
- ・一目でわかる『サポート内容』
ISO9001認証パートナー
サービスのご案内
認証パートナーの専門コンサルタントが御社の一員となって事務局業務を行います。
お客様の作業は審査機関との窓口役だけ。それ以外はすべてお任せください。
-
Pマーク
個人情報保護マネジメントシステム
高い保護レベルの個人情報保護マネジメントシステムを確立し、運用していることを示します。
認証パートナーなら、個人情報漏えい防止の観点も踏まえたサポートを実現します。Pマークの認証ページへ -
ISO9001
品質マネジメントシステム
品質マネジメントシステムは一貫した製品・サービスを提供し、顧客満足を向上させるための規格です。
認証パートナーなら、負担が増える形だけのISOではなく、より現場の実態に沿ったISOを実現します。ISO9001の認証ページへ -
ISMS・ISO27001
情報セキュリティマネジメントシステム
情報セキュリティマネジメントシステムは企業・組織の情報を守る規格です(ISMSとISO27001は同義)。
認証パートナーなら、情報セキュリティリスクへの対応計画、緊急時の対応計画踏まえPDCAサイクル回せるような仕組み作りを実現します。ISMS/ISO27001の認証ページへ -
ISO14001
環境マネジメントシステム
環境マネジメントシステムは環境を保護し、変化する環境状態に対応するための組織の枠組みを示します。
認証パートナーなら、課題になりがちな環境法令の対応についても一緒にサポート致します。ISO14001の認証ページへ -
ISO27017など各種対応規格
ISO27017やISO22000など各種規格もお得に 新規取得や運用・更新ができます。ご気軽にお見積りください。
ISO27017など各種対応規格ページへ -
複数規格の同時取得
ISOやプライバシーマークを同時に認証取得すると費用や工数を抑えることができます。安心してご相談ください
複数規格の同時取得ページへ
- © 2022 Three A Consulting Co., Ltd.