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ISO9001:2015年度版の4.4項 「品質マネジメントシステム及びそのプロセス」について

スタッフ写真
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2019年6月10日

ISO9001:2015年度版の4.4項「品質マネジメントシステム及びそのプロセス」について、規格改訂によってISO9001:2008年度版の「品質マネジメントシステム及びそのプロセス」に関わる項目からどのような変更が加えられたのか、またその移行対応についてご説明いたします。

4.4項「品質マネジメントシステム及びそのプロセス」

4.4.1
組織は、この規格の要求事項に従って、必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む、品質マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、かつ、継続的に改善しなければならない。
組織は、品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらプロセスの組織全体にわたる適用を決定しなければならない。また、次の事項を実施しなければならない。

a) これらプロセスに必要なインプット、及び、これらのプロセスから期待されるアウトプットを明確にする。
b) これらプロセスの順序及び相互作用を明確にする。
c) これらプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び方法(監視、測定及び関連するパフォーマンス指標を含む)を決定し、適用する。
d) これらプロセスに必要な資源を明確にし、及び、それが利用できることを確実にする。
e) これらプロセスに関する責任及び権限を割当てる。
f) 6.1の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。
g) これらプロセスを評価し、これらのプロセスの意図した結果の達成を確実にするために必要な変更を実施する。
h) これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。

品質マネジメントシステムの構築・運用を求めています。4.1と4.2が校了されていることで、各企業で捉え方が変わって良いことを意味しています。
リスク及び機会への取り組みが追記されています。これにより自社の置かれている状況で各々ができる範囲でできることを進めることが求められることになりました。

旧規格との違い

旧規格では「手順を確立する」ことが求められていました。
しかし、手順はプロセスの運営管理の方法論でしかありません。「プロセスが作られている事」=「手順がある事」ではないのです。

品質マニュアルに全体像として「品質側面を特定するプロセス」「品質影響の評価をするプロセス」のように具体的に手順化されていても良いですし、責任者だけが決まっていて運営されてるだけでプロセスが確立されているとも言えます。

つまり、求めている成果(アウトプット)に対して活動をコントロールできていれば良いのです。
どのような方法で成果を求めていくかを具体的に回答できる状態をつくっておくことが必要です。例えば、

・クレーム件数など種々の指標とする品質業績の目標が年度方針・目標又は慣例として決っており、その達成を図る関連業務が、その手順を目標達成計画書に決め又は既存の手順書を用いて日常的に行われている。
・管理者の日常管理業務は、部門内の業務が決められた通りに行われ、決められた結果を出すようにPDCAサイクルで管理することであり、トップマネジメントは例えば月次品質会議で、管理者の日常管理結果の業務実績を評価し問題対応を指示して品質業績の達成を管理する。期末には情勢の変化に対応して品質業績目標を変更する。
・管理者とトップマネジメントが業務目標と業績目標のそれぞれにPDCAサイクルを回すのは大抵の組織の普通の姿である。

改訂版の変更点(2008年版規定からの変化)

2008年版の4.1項(品質マネジメントシステム 一般要求事項)が共通テキストSL導入のために、本項に移動して記述されています。中身は2008年版と全く同じ又は類似した規定条文もあるように単なる条文表現の変更です。

ただし、2008年版の末尾のアウトソースについて特別な説明の規定が無くなり、文書化と記録保存の必要性の説明に代わっている点だけご留意ください。

改訂版への移行対応

① 品質経営体制の指針として規格を実践する組織
品質マニュアル(4.1)の記述を移動するだけで、何も変える必要はありません。

② 認証取得の条件として規格を認識し、負荷と効用に不満を持つ組織
原理の説明の規定であるから、品質保証体系図を作成するなど規定に対応して何かをするというのではなく、これを良く理解して規格の規定を解釈するようにすれば良いでしょう。

2008年版から変わっていないとする解釈

① 品質マネジメントシステムとして具備すべき事項がa)~h)であるのに対して、具体的な進め方が箇条5以降に記述されている
② プロセスアプローチ採用のために不可欠な特定の要求事項を含んでいる。アウトソースに関する要求事項は、8.1で示されている
① f)として6.1に規定のリスクへの対応が要求されている
② プロセスアプローチに関する要求事項が追加された
③ パフォーマンス指標の設定が求められている

まとめ

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