2019年6月1日

ISO9001:2015 (QMS) 「8.6 製品及びサービスのリリース」について、要求事項の内容と要点をご紹介していきます。
ISOでいうトレーサビリティとは何かについても合わせてご説明していきます。
ISO9001:2015 (QMS) 「8.6 製品及びサービスのリリース」要求事項
ISO9001:2015 (QMS) 「8.6 製品及びサービスのリリース」の要求事項は次の通りです。
“組織は、製品及びサービスの要求事項が満たされていることを検証するために、適切な段階において、計画した方法を実施しなければならない。
合否判定基準への適合の証拠を保持しなければならない。
適合の検証に関して計画した方法が問題なく完了するまでは、顧客への製品及びサービスのリリースは行ってはならない。
ただし、当該の権限をもつ者が承認したとき、及び該当する場合に顧客が承認したときは、この限りではない。
文書化した情報は、顧客への引渡しのために製品及びサービスのリリースを正式に許可した人に対するトレーサビリティを提供しなければならない。”
トレーサビリティとは
ISOでいう「トレーサビリティ」とは「考慮の対象となっているものの履歴、適用又は所在を追跡できること」と説明されています。
ISO9001:2000年版では、7.5.3項識別及びトレーサビリティには、「トレーサビリティが要求事項となっている場合には、組織は、製品について固有の識別を管理し、記録すること。」とあります。
つまり、ある製品がどこで誰によって作られ、工程はどのようにして進み、出荷後の製品はどのようにして配送され、現在どこにあるかというようなことがわかるようにしておきなさいということです。
形のある製品には、一般人にはわからないように固有の記号が打ってあり、クレームになった場合に、究明できるようになっている。これがトレーサビリティで、前項で述べた「記録」が非常に重要な役割を担うのです。
記録がなければクレームが起こっても、その原因が把握できず、その後の処置が適切に行えなくなります。
また、是正処置もとれなくなり、同じミスが繰り返されるかもしれません。
これらの予想される様々な事項を各工程の随所でチェックし、記録として残しておくことで、最終的には製品のレベルアップにもつながるのです。
では、サービス業の場合はどうでしょうか。サービス業では提供したサービス自体に識別番号をつけることは難しい。だから、記録としては、社内で様々なフォーマット等に記録として必要な事項を残しておくことになります。その中にはお客様と直接会話した内容、時間、場所なども記されていることもあります。
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8.6 製品及びサービスのリリース
リリースとは
8.6では、顧客に製品及びサービスを確実に提供する場合、提供までのプロセスの安定化、品質の確認を要求しています。
また、「引き渡し」とは「顧客に製品及びサービスを提供する」ことを意味し、「リリース」とは「製品及びサービスを顧客や後工程に引き渡すための活動の完了を確認すること」を意味しています。
ISO9001:2008「8.2.4 製品の監視及び測定」「7.4.3 購買製品の検証」がひとかたまりになりました。
製品・サービスの検査や出荷許可の手順の確立、記録の保持を求めています。
2008年版「~リリースを正式に許可した人を、記録しておかなければならない」から「~許可した人に対するトレーサビリティを提供しなければならない」に変更されました。だれが許可したかわかるようになっていればよいです。
リリース、という言葉がまたもや拒絶反応やクエスチョンマークを呼びそうな規格。
ここで言うリリースとは、平たく言うと「次工程への引き渡し」を意味しています。
・ 受入検査=合格したから、在庫置き場や作業現場に持って行って良い
・ 工程内検査=合格したから、次の工程に持って行って良い
・ 最終・出荷検査=合格したから、客先へ出荷して良い
以上のように、検査という仕事を【リリースのための関門】として適切な内容で設計し、実施しなさいという要求事項です。
よくあるご質問
ISO9001に関連してとても多くいただくご質問として、
a) 材料・部品の受入検査は、必ず自社で抜き取り検査をしなくてはならないのか?
b)受入検査では、必ず自社で寸法を測って記録しなくてはならないのか?
以上のようなものがあります。答えはいずれもNOです。
a)については、材料・部品メーカーが行った検査の記録を受け取り、それを信頼しても良いですし、b)にも関連して言えばカタログ品でまず品質にバラツキが無いような製品であれば、納品書に書かれた品番・個数に誤りが無いことを確認するだけでも良いです。
いずれの場合も受け取った記録に、確認した者が捺印・サインする等して記録を残す必要はありますが、
抜き取り検査や寸法検査が必ず必要だというわけではありませんので、注意が必要です。
もちろん逆に言えば、品質のバラツキが大きい製品である場合や、厳しい基準への適合が求められる場合、または特殊な計測を行わないと品質が保証できないような製品については、より厳しい検査を自社で行う必要がある場合もあります。
その製品に求められる品質などによって、その必要性は異なります。そこを客観的に見極めてルール作りを行うことが、身の丈にあったシステム作りとしては大切なところです。
厳しい管理基準を設けた一部の製品の管理方法を、管理基準のゆるい製品にまで適用して、現場が立ち行かなくなったケース等もありますので、十分注意が必要です。
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