2025年10月27日

目次
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- 1.ISOは本当に時代遅れなのか?
- (1) ISOの本来の目的と社会的役割
- (2) ISO取得のメリット・デメリット
- 2.「ISOは時代遅れ」と言われる3つの理由
- (1) 高い費用対効果が見合わない
- (2) 煩雑な書類作成と管理が重い負担に
- (3) 変化に柔軟に対応できない硬直したルール
- 3.なぜISOを「古い仕組み」と感じてしまうのか
- (1) 制度面での制約
- (2) 企業側の運用方法の問題
- 4.ISO取得・更新をやめた企業の本音
- (1) 本当に得られたメリットは?
- (2) デメリットがメリットを上回った瞬間
- 5.ISOを「時代遅れ」にしないための活用術
- (1) 本来の目的を活かす
- (2) 文書・記録をスリム化する
- (3) 実務に合わせて柔軟に運用する
- (4) デジタル化・クラウドを取り入れる
- 6.最新のISO運用トレンドと成功事例
- (1) 他社の取り組みから学ぶ
- (2) サポート事例紹介
- 7.まとめ
「ISOを取得したけれど、形骸化していて意味がない…」
「ISOは、もう時代遅れの仕組みなのでは?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
ISO認証は、企業の品質管理や環境管理を国際的な基準に合わせるための重要なツールです。しかし、運用方法を間違えると、単なる事務作業が増えるだけの「お荷物」になりかねません。
この記事では、「ISOは時代遅れ」と言われる理由を深掘りし、ISOを真に役立つ仕組みに変えるための具体的な見直しポイントを解説します。
最後までお読みいただくと、貴社のISOが抱える課題が明確になり、本来の目的を果たすための第一歩を踏み出せるようになります。ISOを時代遅れにせず、組織の成長と信頼性を高める武器にしていきましょう。
1.ISOは本当に時代遅れなのか?

(1) ISOの本来の目的と社会的役割
ISO(国際標準化機構)の規格は、製品やサービスの品質・安全性・信頼性を国際的に保証し、組織の成長や社会的責任を果たすために設けられた国際共通の基準です。特にISO9001(品質マネジメントシステム)やISO14001(環境マネジメントシステム)は、顧客満足や環境への配慮を通じて、社会的信用を構築する仕組みを提供します。
ISO認証の本来の目的は、単に書類を揃えて審査に合格することではなく、以下のような組織の成長と信頼構築に役立つ仕組みを整えることにあります。
- 品質の安定化
- 業務プロセスを標準化し、誰が担当しても一定の品質を保つ。
- 顧客からの信頼獲得
- 国際的に認められた基準を満たすことで、取引先や顧客からの信頼を高める。
- 組織の継続的改善
- PDCAサイクルを回し、課題を発見し、改善を続ける文化を醸成する。
ISOは「外部に見せるための認証」ではなく、組織の競争力を高め、社会的信用を獲得するための国際共通言語です。現代のグローバル化した社会においてもその重要性は変わりません。
(2) ISO取得のメリット・デメリット
【メリット】
- 業務の効率化と品質向上:
- 責任の所在が明確になり、無駄な作業が削減されます。
- 組織内の意識統一
- 共通の目標に向かって従業員が協力する土壌ができます。
- 取引の拡大
- 特に海外企業との取引において、ISO認証が必須条件となるケースが多くあります。
【デメリット】
- 高コスト
- 審査費用、コンサルティング費用、維持費など、多額の費用がかかります。
- 事務負担の増加
- 文書作成や記録、定期的なレビューなど、本業以外の作業が増えます。
- 形骸化のリスク
- 目的を見失い、形式的な運用に陥る可能性があります。
ここで重要なのは、デメリットの多くが「仕組みそのものの問題」ではなく、「運用方法」に起因している点です。
2.「ISOは時代遅れ」と言われる3つの理由
(1) 高い費用対効果が見合わない
ISOの認証や維持には、認証費用や審査費用、コンサルティング費用に加え、社内での人件費や時間といったコストがかかります。これらの費用が年間数百万円にのぼることもあり、「ISOを維持しても売上に直結していない」と感じる企業も少なくありません。
さらに、費用に見合う効果(業務効率化や新規顧客の獲得など)が得られない場合、ISOが「コストばかりかかる時代遅れの仕組み」と認識されてしまうことがあります。
(2) 煩雑な書類作成と管理が重い負担に
ISO認証を維持するためには、膨大な文書の作成や管理が必要です。紙ベースやExcelでの管理を続けている場合、書類が増え続け「探すのに時間がかかる」「更新忘れで不適合を指摘される」といった問題が発生しやすくなります。これが「形骸化」の大きな要因となります。
具体的には、以下のような作業が負担となります。
- マニュアルや手順書の作成・更新
- 会議議事録や記録の保管
- 内部監査やマネジメントレビューの報告書作成
これらの作業は特に人手不足の中小企業にとって大きな負担となり、従業員のモチベーション低下や業務効率の悪化を招く可能性があります。
(3) 変化に柔軟に対応できない硬直したルール
ISOの運用において、「マニュアル通りにやること」が目的化し、実務の変化に合わせてルールやプロセスが更新されないケースが見られます。その結果、現場では「時代に合っていない」との不満が生じることがあります。
また、ISOの厳格なルールは、一度定めたプロセスを変更するのが難しいという側面があり、DX(デジタルトランスフォーメーション)やテレワークなど、業務環境が急速に変化する現代において、古いルールに縛られることでイノベーションを妨げるリスクがあります。
3.なぜISOを「古い仕組み」と感じてしまうのか
(1) 制度面での制約
ISOの審査では一定のルールや記録が求められ、最低限の文書化が避けられません。さらに、ISOの規格は「原則こうあるべき」という抽象的な要求事項で構成されており、組織の規模や業種に関わらず適用されるため、自社の実態に合わせて解釈し具体化する作業が必要です。
この解釈を誤ると、不必要なルールや文書が増え、結果として「硬直的で古い仕組み」と感じられる原因となります。
(2) 企業側の運用方法の問題
ISOが「重荷」になるか「武器」になるかは、運用方法次第です。しかし、規格の要求をすべて網羅しようとして書類を増やしすぎたり、現場に合わない形式を押し付けることで、「古臭い」「形骸化している」と感じられるケースが少なくありません。
具体的には以下のような問題が挙げられます。
- コンサルタント任せの運用
- 外部の専門家に丸投げし、自社の業務に適した運用ができていない。
- マニュアルのためのマニュアル作成
- 実際に使われない分厚いマニュアルを形式的に作成している。
- トップダウンでの押し付け
- 現場の声を反映せず、経営層だけで運用ルールを決めてしまい、従業員が当事者意識を持てない。
これらの問題を解消するには、現場の実態に即した運用を心がけ、従業員が主体的に関わる仕組みを構築することが大切です。
4.ISO取得・更新をやめた企業の本音
ISOを運用する多くの企業が、なぜ「費用対効果が見合わない」と感じるのでしょうか。
ここでは、実際にISOの運用をやめた企業が経験した本音を紹介します。
(1) 本当に得られたメリットは?
ISO取得により、多くの企業が「業務の標準化」「品質向上」「顧客からの信頼獲得」といったメリットを期待します。初期段階では、業務プロセスの整理や部署間の連携強化、新規取引の獲得など、具体的な成果を実感するケースも少なくありません。特に中小企業においては、ISO認証が信頼の証として機能し、大手企業との商談や新規取引のきっかけとなることもあります。
しかし、これらのメリットは、ISO運用を適切に行えた場合に限られます。運用が形骸化したり、社内改善が一巡してしまうと、効果が実感できなくなり、「取得後は活用されていない」と感じる企業も少なくありません。ISOの本来の価値を引き出すためには、継続的な運用と改善が不可欠です。
(2) デメリットがメリットを上回った瞬間
ISOの運用において、企業が「デメリットがメリットを上回った」と感じる瞬間には、いくつかの共通した要因があります。
①形骸化した運用が常態化した時
- マニュアルや記録作成に追われ、本来の業務に支障が出る。
- 内部監査が単なる形式的なチェック作業となり、改善点が見つからなくなる。
- 現場の担当者が作業の意義を理解できず、「やらされてる感」が蔓延する。
② ビジネス環境の変化に対応できなくなった時
- リモートワークや新しいシステム導入を進めたいが、ISOのルールが足かせになる。
- 変化のスピードが速い業界では、古いルールに縛られ、競争力を失うリスクが高まる。
③コストの負担が利益を圧迫し始めた時
- 維持費用(審査費用や人件費)が増加する一方で、成果が横ばいになる。
- ISO認証の維持にかかるコストが、本業への投資を妨げるようになる。
これらの状況に陥ると、ISOが本来の目的である「組織の改善ツール」ではなく、単なる「負担」として認識されてしまいます。
結果として、企業は「ISOは時代遅れだ」と判断し、認証の更新をやめる決断を下すことが多いのです。しかし、これらの問題の多くは、ISOそのものではなく、運用方法や活用の仕方に起因しているケースが大半です。
5.ISOを「時代遅れ」にしないための活用術
(1) 本来の目的を活かす
ISOの運用において重要なのは、「審査に通るため」ではなく、「顧客満足」「業務効率化」「リスク低減」といった本来の目的に立ち返ることです。ISOは、審査員やコンサルタントのためではなく、自社の業務改善や顧客への価値提供のために存在します。
そのため、常に「誰のためのISOか?」を問い直し、不要な作業や形骸化したルールを見直すことが必要です。組織の課題解決や目標達成に直結する活動にリソースを集中させることで、ISOを有効なツールとして活用し続けることができます。
(2) 文書・記録をスリム化する
ISOの運用負担を軽減するためには、文書や記録を必要最低限に絞り込み、効率的に管理することが大切です。ISOの要求事項では「文書化された情報」の維持が求められますが、その形式や量は自由です。
以下のポイントを押さえて、文書・記録をスリム化しましょう。
- 分厚いマニュアルの廃止
- 誰でも理解できる簡潔な手順書にまとめ、現場で活用しやすい形にする。
- 記録の最小化
- 必要最低限の項目に絞り、重複や冗長な記録を整理。チェックリスト形式を活用して簡潔に管理。
- 電子記録の活用
- 紙の記録から脱却し、PCやクラウドで入力・管理できる仕組みを導入することで、検索性や更新性を向上させる。
これにより、文書管理の負担を大幅に軽減し、ISO運用を効率化することが可能になります。
(3) 実務に合わせて柔軟に運用する
ISOの要求事項は具体的な方法を定めていないため、業種や規模に応じて柔軟に運用することが可能です。ISOを単なる形式的なルールとして捉えるのではなく、実務に即した形でカスタマイズしてみましょう。
例えば、現場からのフィードバックを積極的に取り入れ、「使いにくい」と感じる部分があれば即座に運用方法を見直します。また、外部の専門家に頼りすぎず、社内でISOの運用担当者を育成することで、自社に合った仕組みを構築し、無理なく継続できる体制を整えることも大切です。
(4) デジタル化・クラウドを取り入れる
ISO運用の効率化には、最新のテクノロジーを活用することが効果的です。
以下の方法で負担を軽減し、運用をスムーズに進めましょう。
- クラウド型文書管理システム
- 文書をクラウド上で共有・管理することで、検索性や更新性が向上し、紙の記録から脱却できます。
- ワークフローシステムの導入
- 稟議や承認プロセスを自動化し、作業時間を短縮。手作業によるミスも防止できます。
- Web会議ツールの活用
- 内部監査やマネジメントレビューをオンラインで実施することで、移動コストや時間を削減できます。
- 教育記録や監査記録のデジタル化
- 従業員の教育履歴や監査結果をオンラインで一元管理し、必要な情報を迅速に確認できる仕組みを構築します。
これらのデジタルツールを活用することで、ISO運用の効率化と負担軽減を実現できます。
6.最新のISO運用トレンドと成功事例
(1) 他社の取り組みから学ぶ
他社の成功事例を参考にすることで、自社のISO運用改善のヒントを得ることができます。
以下で、他社事例を紹介します。
製造業A社
ISO9001を活用し、クレーム分析を仕組み化。不良率を30%削減。
IT企業B社
クラウド管理システムを導入し、文書検索時間を80%短縮。
建設業C社
ISO14001の取り組みを環境配慮型入札でアピールし、新規案件を獲得。
製造業D社
現場の声を反映し、チェックリスト形式に運用を刷新。書類作成時間を80%削減し、従業員の意識向上に成功。
これらの事例から、ISOを単なる「認証のための仕組み」としてではなく、業務改善や競争力向上のツールとして活用することが重要であるとわかります。
(2) サポート事例紹介
当社では、ISO運用の見直しを通じて「経営に役立つ仕組み」として再活用する支援を行っています。
例えば、あるIT企業様には、ISO文書のスリム化と文書管理システムの導入を提案しました。
これにより、以下の成果を実現しました。
- 文書管理の効率化
- 紙の記録を廃止し、必要な情報を簡単に検索・共有可能に。
- コスト削減
- 年間200万円以上の維持費を削減。
- 業務効率向上
- 従業員が本来の業務に集中できる環境を整備。
このような取り組みを通じて、ISOが再び組織の成長を支えるツールとして機能する事例が増えています。
7.まとめ
本記事では、「ISOは時代遅れなのか?」というテーマで、その真意とISOを有効活用するための方法を解説しました。要点をまとめておきましょう。
ISOが「時代遅れ」と言われる理由
- 認証や維持に高いコストがかかる
- 文書作成や管理が煩雑で、業務負担が増える
- 変化に柔軟に対応できない硬直したルールが足かせとなる
これらの問題の多くは、ISOそのものではなく、その運用方法に起因していることを解説しました。
ISOを「時代遅れ」にしないための活用術
- 本来の目的に立ち返る:「審査のため」ではなく「組織の成長のため」にISOを活用する。
- 文書・記録をスリム化する:必要最低限に絞り、紙から電子化へ移行する。
- 実務に合わせて柔軟に運用する:現場の声を反映し、自社に合ったルールにカスタマイズする。
- デジタル化・クラウドを取り入れる:文書管理システムなどを活用し、運用負担を軽減する。
ISOは「時代遅れ」ではなく、「あなたの会社を成長させるためのツール」です。
本記事でご紹介した成功事例や活用術を参考に、自社のISO運用を見直し、本来の価値を引き出す取り組みを始めていただければ幸いです。
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