2025年12月5日

目次
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- 1.ISMS(ISO27001)取得企業とは
- ⑴ISMS(ISO 27001)とは
- ⑵JIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001)とは
- 2.ISMS(ISO27001)の取得企業数は8,000社以上
- ⑴ISMS(ISO27001)取得企業の推移
- 3.ISMS(ISO27001)取得企業の検索方法は
- ⑴ネット検索する
- ⑵会社ホームページにて確認する
- ⑶名刺・会社パンフレットなどで確認する
- 4.ISMS(ISO27001)を取得する目的とは
- 5.ISMS(ISO27001)取得するメリット
- ⑴対外的なメリット
- ⑵社内的なメリット
- 6.ISMS(ISO27001)取得するデメリット
- 7.ISMSを取得している企業の特徴とは
- ⑴業種別
- ⑵従業員数別
- 8.取得企業が行っている3つのこと
- ⑴社内外における情報セキュリティ対策の実施
- ⑵従業員への情報セキュリティ教育の実施
- ⑶トップマネジメントによるマネジメントシステムの推進
- 9.意味のあるISMSにするためには
- まとめ
ISMS(ISO27001)とは、組織が「情報セキュリティを適切に管理するための仕組み」です。ISMSを取得することで、企業の情報資産を適切に管理する体制を整備でき、社会的信頼の獲得において重要な役割を果たします。
実際に、官公庁の入札や大手企業との取引において、ISMS認証が必須条件となるケースが増加傾向にあります。
この記事では、ISMS(ISO27001)を取得している企業の特徴から、認証のメリット・デメリット、そして具体的な取得目的や費用について、専門家が徹底的に解説します。
1.ISMS(ISO27001)取得企業とは
ISMS取得企業とは、ISMSの規格要求事項(JIS Q 27001:2023)に基づいて、情報セキュリティマネジメントシステムを確立し、審査機関の審査を経て認証を受けた企業のことです。
⑴ISMS(ISO 27001)とは
ISMSとは情報セキュリティマネジメントシステムのことで、組織が「情報セキュリティを適切に管理するための仕組み」です。
個人や組織が保有する重要な情報を適切に管理し、情報セキュリティの目標を立て、実行、チェック、改善していく仕組みを指します。
また、ISO27001はISMSを構築するための国際規格で、ISMSを効果的に行う方法を定めています。組織がどのような情報を保護すべきか、どのようなリスクが存在するかを特定し、そのリスクを低減するための具体的な対策の枠組みです。
ISMSの詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
⑵JIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001)とは
JIS Q 27001は、組織がISMSを確立するための要求事項をまとめた日本工業規格(JIS)のひとつです。
JIS Q 27001は、ISO/IEC 27001(英語)を翻訳したものです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2.ISMS(ISO27001)の取得企業数は8,000社以上

一般社団法人情報マネジメントシステム認定センターによると、ISMS(ISO27001)の取得企業数は2025年12月1日現在で、8,333社です。
また、ISMS認証取得組織が多い都道府県は以下のとおりです。(25年11月21日時点)
東京都:4,949社
神奈川県:472社
大阪府:550社
愛知県:277社
福岡県:175社
経済活動の中心地である関東地方(特に東京都)に極めて集中していることがわかります。
続いて、近畿地方や中部地方といった主要都市圏にも多くの認証取得組織が存在します。
引用:認証取得組織数推移、都道府県・地方別認証取得組織数
⑴ISMS(ISO27001)取得企業の推移
ISMS認証取得組織数は増加傾向にあります。
▼認証取得件数の推移
2002年度:制度運用開始時、約140件でした。
2005年:556社
2015年:3,530社
2019年11月:6,000社を突破
2024年12月:8,000社を突破
2025年12月1日:8,333社
特に、2022年9月以降の2年3か月で約1,000件増加しており、情報セキュリティ対策の重要性が高まるにつれて、多くの企業がISMS認証を取得していることがわかります。この傾向は今後も続くと予測されます。
3.ISMS(ISO27001)取得企業の検索方法は
⑴ネット検索する
ISMSを日本の認証機関で取得した企業については、情報マネジメントシステムセンターの「ISMS認証取得組織検索」で確認することができます。
情報マネジメントシステムセンター:ISMS認証取得組織検索
⑵会社ホームページにて確認する
ISMSは、日本の認証機関以外の審査機関でも取得可能なため、ISMSを取得していても「ISMS認証取得組織検索」に掲載されていないことがあります。そのため、企業のホームページを確認して「ISMS(ISO27001)認証」を取得しているかどうかを確認するのも一つの方法です。
ISMSを取得した企業は、認証後に各認証機関や審査機関のロゴマークを使用することが許可されます。
多くの企業は、社内外へのアピールとして、会社のホームページに認証情報を掲載しています。
ホームページにISMS認証取得を掲載している場合、以下の3つのページに記載されていることが多いです。
- トップページ
審査機関のロゴマークが掲載されていることがあります。
- 会社概要ページ
「認証資格」などの項目があれば、そこに記載されていることがあります。
- セキュリティポリシーページ
企業のセキュリティ方針の一部として記載されていることがあります。
⑶名刺・会社パンフレットなどで確認する
ISMSを取得していても、会社のホームページに記載する義務はありません。
そのためホームページに情報がない場合は、名刺や会社パンフレットに記載がないか確認してみると良いでしょう。
なお、各認証機関や審査機関によって、ロゴマークの使用に関するルールや手順が定められているため、使用には注意が必要です。これらのルールや手順に誤りがあると、不適合とされる場合があります。
4.ISMS(ISO27001)を取得する目的とは
ISMSを取得する目的として、以下の理由がよく挙げられます。
- 会社の情報セキュリティ対策を強化するため
- 従業員の情報セキュリティに関する意識を高め、教育を行うため
- 官公庁関連の入札条件を満たすため
顧客からの要求に応えるため
また、一般社団法人情報マネジメントシステム認定センターが実施したアンケート調査では、ISMS導入の目的や動機について、11の項目に対して「該当する」、「やや該当する」、「あまり該当しない」、「該当しない」の4段階で回答を求めました。
ISMS導入の目的として、アンケート調査で「該当する」と回答が多かった項目は以下の通りです。
- 顧客からの信頼を確保するため:84.7%
- 組織の情報セキュリティ対策の強化のため:81.2%
- 組織の情報セキュリティ管理体制の強化のため:80.3%
逆に、「該当する」との回答が最も少なかったのは、「同業他社との差別化、営業上の優位性の確保のため」 (51.9%)でした。
引用:ISMS適合性評価制度に関する調査報告書 P13『図11 導入の目的又は動機』
(一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター)
ISMS適合性評価制度に関するアンケート調査報告書 2024 年 7月
多くの企業がISMSを導入する主な動機が、外部(顧客)からの信頼獲得と、内部(組織)の情報セキュリティ強化にあることを示しています。一方で、他社との差別化を目的とする企業は比較的少ないようです。
5.ISMS(ISO27001)取得するメリット
ISMSを取得するメリットについて、対外的なメリットと社内的なメリットの2つの観点から紹介します。
⑴対外的なメリット
ISMSを取得することで、企業は外部に対して自社の情報セキュリティ体制が国際基準に適合しているということをアピールすることができます。
そのため以下のようなメリットがあります。
- 顧客や取引先からの信頼を得やすくなる
- 情報セキュリティに関する説明責任を果たすことができ
- る
- 入札(取引)条件のクリアにつながる
- 他社との差別化が可能になる
⑵社内的なメリット
ISMSを導入することにより、社内の情報セキュリティの管理体制を整えることができます。
また、ルールが明確化されることで業務効率の向上にもつながります。情報管理の手順とルールの明確になる
- セキュリティ意識の向上とリスクの軽減につながる
- 業務の効率化につながる
- IPO準備の工数削減ができる
6.ISMS(ISO27001)取得するデメリット
もちろん、ISMSを取得するにはデメリットも存在します。
今回は主なデメリットを3つご紹介します。
- 作業が増える
ISMSを取得・維持するうえで、様々な書類の発生や内部監査などを行う必要があります。
組織全体の業務に関わるため、従業員の負担が増えます。
- 守るべきルール・手順が増える
情報セキュリティポリシー、各種規程、手順書などを整備する必要があり、一部業務プロセスを変更しなければならない可能性もあります。
- 費用が発生する
審査費用、維持審査費用、場合によってはコンサルティング費用がかかります。
ISMSを取得するメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく説明しております
7.ISMSを取得している企業の特徴とは
ISMSを取得している企業には、いくつかの共通した特徴があります。
まず、BtoBを主とする企業は、BtoC企業よりもISMS認証を取得する傾向があります。
これは、多くのBtoB企業が委託や外注を通じて顧客企業の機密情報や消費者の個人情報を扱うことが多いためです。信頼できる委託先や外注先を選ぶ際に、ISMS認証を取得して情報を適切に取り扱えることを示すことが、競争上の優位性となります。
次に、IT業界や情報通信業界の企業は、システム開発において個人情報や機密情報を多く取り扱います。
さらに、インターネットやクラウドを活用するため、不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まります。
そのため、これらの企業はISMSを取得することが多いです。
また、大企業では、多くの人が関与する組織で効率的かつ効果的に情報セキュリティ体制を整えるために、ISMSのような仕組みが必要です。企業規模が大きいほど、顧客や取引先といったステークホルダーも増えるため、これらの要請に応じてISMS認証を取得することもあります。
このように、ISMSを取得している企業には、「顧客の機密情報や個人情報を扱う企業」や「情報を正しく扱う必要がある企業」といった共通の特徴が見られます。
⑴業種別
ISMS認証を取得している企業を業種別でみると、情報技術業に属する企業が58.2%と半分以上の割合を占めています。
- 情報技術(58.2%)
- その他サービス業(16.8%)
- 建設業〈エンジニアリングを含む〉(4.2%)
- 卸売り・小売業(3.8%)
引用:ISMS適合性評価制度に関する調査報告書 P3『図1‐1法人の業種』
(一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター)
ISMS適合性評価制度に関するアンケート調査報告書 2024 年 7月
⑵従業員数別
ISMS認証を取得している企業を従業員数で分類すると、「100人超、300人以下」の企業が23.0%で最も多く、次いで「20人超、50人以下」が21.9%、「50人超、100人以下」が18.7%となっています。
引用:ISMS適合性評価制度に関する調査報告書 P3『図1‐1法人の業種』
(一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター)
ISMS適合性評価制度に関するアンケート調査報告書 2024 年 7月
8.取得企業が行っている3つのこと
以下の3点は、必ず実施しなければならない項目です。
- 社内外における情報セキュリティ対策の実施
- 従業員への情報セキュリティ教育の実施
- トップマネジメントによるマネジメントシステムの推進
⑴社内外における情報セキュリティ対策の実施
社内での情報資産(個人情報を含む)の取り扱いや、社外との情報共有時のセキュリティ対策、各システムにおけるアクセス権の管理や監視などの対策を策定する必要があります。また、マニュアル(手順書)を作成し、従業員がいつでも閲覧できるようにしておかなければなりません。
⑵従業員への情報セキュリティ教育の実施
従業員や派遣社員、アルバイト、パート、個人事業主に対して、自社の情報セキュリティ対策についての教育を年に1回以上実施しなければなりません。また、情報セキュリティ事故に関する教育や注意喚起、周知も行う必要があります。
⑶トップマネジメントによるマネジメントシステムの推進
トップマネジメントは、情報セキュリティに関する方針や目標(目的)を策定し、従業員に周知しなければなりません。
これらは重要なポイントに絞ったものですが、他にも実施しなければならないことがあります。
ISMS(ISO27001)の取得や運用でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
9.意味のあるISMSにするためには
ISMS(ISO27001)の取得は、意味がないと聞くことはありませんでしょうか?
実際は、そんなことはありません。しかし、ISMSを効果的に活用できている組織は多くありません。
意味のあるISMSにするために重要なのは、「ISMSのためだけのルールを構築段階で作らないこと」です。
多くの組織が、ISMSのためだけのルールを作ってしまっているのが現状です。自社の既存のルールをそのままISMSのルールにすることで、意味のある運用に変えていくことができます。
ISMSを取得する意味については、こちらの記事で詳しく説明しております。
まとめ
この記事では、ISMS(ISO27001)認証取得企業の特徴や、取得の目的、そしてメリット・デメリットについて解説しました。
ISMS取得企業とは、情報セキュリティに関するマネジメントシステムを確立し、審査機関による審査を受けて認証を得た企業のことです。
ISMS認証企業は年々右肩上がりで増加しており、情報セキュリティ対策の意識が高まっている傾向にあります。
ISMSを取得するメリットは以下の通りです。
■対外的なメリット
- 顧客や取引先からの信頼を得やすくなる
- 情報セキュリティに関する説明責任を果たすことができる
- 入札(取引)条件のクリアにつながる
- 他社との差別化が可能になる
■社内的なメリット
- 情報管理の手順とルールの明確になる
- セキュリティ意識の向上とリスクの軽減につながる
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