2025年12月10日

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大切な「預かりもの」をしっかりと管理できていますか?
「お客様から預かった大切なもの」を、どのように管理していますか?
「特に意識したことはないけど、いつも通り扱っているよ」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実はその「いつも通り」の中に、思わぬ落とし穴が潜んでいる可能性があるのです。
ISO9001という品質の国際規格では、お客様からお預かりしたものを「顧客の所有物」と呼び、その管理方法について厳しく、かつ明確なルールを定めています。
このルールを知らずにいると、お客様との信頼関係を損ねたり、思わぬトラブルに巻き込まれたりするリスクがあります。
ここでは、ISO9001が求める「顧客の所有物」の管理について、わかりやすく解説していきます。
この記事を読み終えていただければ、皆さんの会社がお客様の大切な「預かりもの」を、自信を持って適切に管理できるようになるでしょう。
1.ISO9001が求める「顧客の所有物」の基本を理解する

(1)「顧客の所有物」は責任重大なもの
ISO9001における「顧客の所有物」とは、単なる「モノ」だけでなく、お客様から提供され、企業が責任を持って扱うすべてのものを指します。
企業がお客様に高品質な製品やサービスを提供し続けるためには、お客様から預かったものを適切に管理することが不可欠だからです。
例えば、お客様から支給された特別な材料や、製品設計のための機密情報などがこれに当たります。これらを自社のものと区別せずに扱ったり、紛失したりすると、お客様に多大な迷惑をかけてしまいます。
だからこそ、ISO9001では「顧客の所有物」の適切な管理を企業に求めているのです。
(2)具体的な「顧客の所有物」とは
顧客の所有物とは、下記のようなものをいいます。
①製品製造のための支給品
お客様から提供される原料、材料、部品などがこれに該当します。
②測定・検査機器
お客様が所有し、企業が製品の品質検査や試験などに使用する測定機器や試験装置も「顧客の所有物」に含まれます。
③建物・設備・機械・金型
お客様が所有し、企業がその敷地内で事業活動を行う場合や、特定の製品を製造するために貸与された金型なども該当します。
④知的財産(情報、知識)
お客様の仕様書、設計図、企業秘密を含む社内情報、特許、商標、さらには特定の技術やノウハウといった「目に見えない情報」も「顧客の所有物」として扱われます。
⑤顧客の代理によるサービス
お客様の依頼に基づき、企業が第三者(例えば運送業者など)に対して製品の納入や点検サービスなどを実施する場合、企業はお客様の立場で行動しているため、そのプロセスや成果物は「顧客の所有物」とみなされるケースがあります。
お客様に迷惑をかけないためには、「顧客の所有物」を単なる「モノ」として扱わないようにすることが重要となります。
2.なぜ「顧客の所有物」の管理が企業の成功に不可欠なのか
(1)顧客の所有物管理は企業の発展に直結する重要な要素
顧客の所有物を適切に管理することは、お客様との信頼関係を築き、高品質な製品やサービスを提供し続ける上で非常に重要です。
管理が不十分だと、製品の品質問題、お客様からの信用失墜、さらには法的なトラブルに発展するリスクがあるためです。
もしお客様から預かった材料を紛失してしまえば、製品の納期が遅れ、お客様の生産計画に大きな影響を与えかねません。
また、機密情報を漏洩させてしまえば、お客様との契約解除や損害賠償といった事態に発展することもあり得ます。
だからこそ、顧客の所有物管理は、企業の存続と発展に直結する重要な要素なのです。
(2)顧客の所有物管理が企業の成功に不可欠な理由
では、顧客の所有物管理が企業の成功に不可欠な理由とはどのようなものでしょうか。
4つ紹介します。
①品質問題の防止
お客様から提供された材料や情報に不備があったり、それらを適切に管理しなかったりすると、最終的な製品やサービスの品質に直接影響を与えてしまいます。
②お客様との信頼関係の構築
お客様は、自社の大切な資産を企業に預けているわけです。その資産を適切に管理できる企業は、お客様からの信頼を得ることができます。
③リスクの低減
顧客の所有物を適切に識別し、保護することで、紛失、損傷、誤使用といった様々なリスクを低減することができます。
④法的・契約上の義務の履行
顧客との契約において、提供された物の管理に関する具体的な条項が設けられている場合が多くあります。
このように、顧客の所有物管理をきちんと行うことで、企業の成功にも繋がってくるのです。
3.ISO9001が求める「顧客の所有物」の具体的な管理方法
(1)「顧客の所有物」で重要な4つのステップ
ISO9001では、お客様からお預かりしたものを「識別」「検証」「保護・防護」「不適合の場合の報告」という4つのステップで管理することを求めています。
これらのステップを踏むことで、お客様の所有物を紛失や損傷から守り、常に使用可能な状態に保つことができるからです。
お客様から支給された材料を受け入れたら、まず「これはお客様のもの」とわかるようにラベルを貼って識別し(識別)、傷がないか、数に間違いがないかを確認し(検証)、専用の棚に保管して衝撃から守り(保護・防護)、もし問題があればすぐにお客様に連絡する(不適合の場合の報告)といった流れが重要です。
この4つのステップを確実に実行することが、ISO9001の顧客の所有物管理の基本となります。
(2)顧客の所有物の具体的な管理方法
ここでは、顧客の所有物の具体的な管理方法をご紹介いたします。
①識別:誰のものか明確にする
まず第一に、お客様から提供されたものが「顧客の所有物」であることを明確に識別することが重要です。
- 専用の保管場所を設ける
- 識別ラベルの貼付
- 管理台帳への登録
②検証:使えるかどうか確認する
お客様から提供されたものは、受け入れ時に使用可能かどうか確認しましょう。
- 受入検査の実施
- 情報内容の確認
- 問題発生時の対応
③保護・防護:なくしたり、壊したりしないように守る
お客様の所有物を、使用中や保管中に紛失したり、損傷させたりしないように、適切な方法で保護・防護することが不可欠です。
- 保管環境の整備
- 物理的な保護
- 情報セキュリティ対策
- 取り扱い方法の明確化と教育
④不適合の場合の報告:問題があれば速やかに伝える
万が一、お客様の所有物が紛失したり、損傷したり、または使用に適さないと判明した場合は、速やかにお客様に報告し、その状況を記録することが義務付けられています。
- 迅速な報告
- 状況の記録
- 再発防止策の検
この4点に気を付けることで、「顧客の所有物」をきちんと管理することができるようになります。
まとめ
ISO9001が求める「顧客の所有物」の管理は、単に「モノ」を大切に扱うということだけではありません。
お客様からの信頼という、目に見えない大切な資産を守り育てるための、非常に重要な活動です。
お客様から提供される一つひとつのものが、そのお客様にとってどれほど価値のあるものかを常に意識し、細心の注意を払って取り扱うこと。
そして、もし問題が発生した際には、正直に、そして迅速に報告し、解決に向けて協力する姿勢を示すこと。これこそが、ISO9001の精神であり、企業として成長し続けるための鍵となります。
この記事で解説した「識別」「検証」「保護・防護」「不適合の場合の報告」の4つのステップを確実に実行することで、お客様との信頼関係をさらに強固なものとし、高品質な製品やサービスを提供し続けてください。
それが、企業の持続的な発展に繋がるはずです。小さな預かり物も「信頼を預かっている」と捉え、ルールに基づいた対応を徹底することが、顧客満足と継続取引への第一歩です。ぜひ明日から、社内の管理方法を見直してみましょう。
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