2026年8月3日

「なぜ手順書を作成するの?」
「手順書作成すると何が良いの?」
このように考えている方、きっと多いと思います。
結論から言うと、ISO9001で手順書が明確に示されていれば、業務の効率化や業務におけるミスの削減に繋げることができます。
しかし、手順書が明確になっていないと、情報伝達が上手くいかず現場での認識違いを招きかねません。
ISO9001の「手順書」は、誰もが同じやり方、同じ質、また同じ時間で作業を行うことができる非常に重要な役割を担っています。
この「手順書」の認識が従業員同士で異なっていると、思うように作業が進まなかったりミスが多発しクレームの発生につながってしまいます。
この記事では、ISO9001の「手順書」が何を意味し、なぜ作成するかを徹底解説していきます。
読み終える頃には、「手順書」を作成する重要度を理解することができ、本来の業務に集中できる体制づくりを目指すきっかけになるでしょう。
1.手順書作成が義務づけられている6つの項目とは

まず、ISOの規格上、「文書化された手順」が明確に求められており、以下の6項目については、必ず文書化された手順を作成しておく必要があります。
(1)文書管理
最新情報を確実に共有・運用するために、文書の作成やレビュー、更新、配布そして廃棄のルールを明記する必要があります。
文書には、管理番号・版数・発行日を記載し、閲覧権限を明確化しましょう。
この際、古い文書は速やかに回収・破棄する必要があります。
「スムーズな業務運用に必要」と判断した情報を文書化します。
何から何まで書類化する必要はありません。
また、文書管理を行うメリットとして、他部署との情報共有や、業務の効率化、トラブル等が起きた時でも文書による事実情報によって説明責任を果たすことができるといったリスクマネジメント効果があります。
(2)記録管理
証拠保全と説明責任を果たすため、品質記録の保存期間や管理方法を手順化する必要があります。
品質記録の保管場所と期限を記録しましょう。
電子記録と紙記録の取り扱い方の違いについても、必要な時に閲覧・使用できるように記録は必要不可欠です。
記録の真正性を確保するためにも、記録管理手順は明文化が必須です。
(3)内部監査
内部監査においては、計画、実施、報告の方法を定める手順が必要です。
これは、組織の過程が適切に運用されているかを確認する機会だからです。
自社で構築・運用しているマネジメントシステムがISO規格の要求事項を満たし、有効な仕組みかどうかを確認するために非常に重要な工程です。
信頼性のある監査の実施をするためには、標準化された手順が不可欠です。
(4)不適合製品の管理
証拠保全と説明責任を果たし、誤出荷や品質事故を防止するため、不適合が見つかった場合の対応手順が必要です。
「不適合品」と明確に識別し隔離したり、再加工・廃棄・特別採用の処置を記録したりなど正しく管理することで、顧客満足度の低下やクレームの発生といったリスクを大幅に抑えることができます。
このように、不適合製品の流出防止には、手順による統制が重要です。
(5)是正処置
同じミスの繰り返しを防止し改善につなげるため、問題が再発しないようにする仕組みの手順が必要です。
この処置は単に応急措置で終わらず、組織的に同じエラーを起こさない仕組みを作ることが目的です。
継続的改善を実現するには、明確な是正処置手順が欠かせません。
(6)予防処置(※2008年版まで)
リスクベース思考への移行により、別の形でリスク管理が要求されるようになったため、発生し得る問題を未然に防ぐための手順が必要です。
ISO9001の2015年版からは「予防措置」という箇条がなくなっていますが、その代わりに予防措置は「リスク管理」という言葉に書き換えられています。
現在は「リスクおよび機会への取り組み」に統合されていますが、手順として残す価値はあります。
2.ISO9001で「文書化された手順」が求められている理由
そもそも「手順書」とは、作業の各工程や個々の作業手順をまとめた文書のことを指します。対して、「文書化された手順」は、企業の業務や手順を文書として明らかにし、管理・運用するための一連の仕組みを指します。
つまり、手順書は全体の仕組みを示す文書化された手順の1つであるということです。
また、ISO9001は「品質の安定と継続的な改善」を目的とした国際規格です。
このISO9001における「品質の安定」とは製品やサービスの品質を安定させるための枠組みのことです。作業手順や判断基準を文書化することで、「特定の人しかやり方がわからない」状態を防ぎ、品質を安定させられます。「継続的な改善」は、PDCAサイクルを回すことで品質を向上させていくことができるという枠組みのことです。
その運用にあたり、誤解や手戻りを防ぐために文書化された手順の整備が求められます。
文書化された手順が求められる理由として、確実に手順の情報を伝達することができ、業務の作業方法や手順にミスが起こりにくくなることが挙げられます。
もし手順書が整備されていないと、手順書と現場での認識の不一致によるクレームやコストが急増したり、またISO認証が取り消される危険性があります。
ISOの審査や顧客からの評価を受ける際、自社がルール通り適切に業務を行っていることを客観的な証拠で証明できます。
ただし、すべての業務に手順書が必要なわけではありません。
2015年版では「必要に応じて」と緩和され、組織の裁量に委ねられる部分が増えました。
3.手順書はどのように作成すればよいか
今回は例として、製造業における作業手順書の作成について解説します。
(1)目的を明確にする
まずは、作業の手順書を作成する目的を明確にしましょう。
現場における課題を確認したうえで、これからどのように作業手順書に落とし込んでいくかを吟味します。
(2)作業工程を取り上げる
次に作業手順書を作成するために必要な作業工程を、漏れなくすべてピックアップします。各工程における作業内容についてもすべて洗い出しましょう。
この際、準備物や作業場所といった作業前の確認項目から製造後における片付けの手順なども書き出すことが重要です。
(3)画像や動画の素材を集める
文字ばかりの作業手順書だと分かりにくく、実際の現場においても利用しやすいと思う人はいないと思います。初めて見る人でもわかりやすいように、特に間違えやすい工程や箇所には、画像やイラスト、場合によっては動画などを活用することでより良い作業手順書を作成することができます。
(4)作業手順書の構成作成
作業手順書を構成する材料が全て揃ったら、いよいよ構成作成に移ります。
わかりやすい作業手順書を作成するうえで構成作成は重要な工程となるので、業務の流れの全体像を意識することがポイントです。
(5)完成・運用
完成したら、運用してみましょう。
従業員に周知させたり、実際に業務で使用してみることで改善点が見つかるかもしれません。改善は一度に限らず、定期的に従業員の声をもとに修正していくことにより、作業手順書が洗練されていきます。
4.手順書が不要な場合もある
手順書は必ずしも必要ではありません。
不要な場合もあるのです。
(1)文書化要求がない項番の考え方
「手順作成」と明示されていない項番では、組織の裁量に委ねられています。
先ほども述べましたが、手順書が不要の場合は作らなくても問題ありません。
(2)無駄な手順書がもたらす弊害
改訂作業に時間がかかるものであったり、文書による管理が複雑化しているものは、むしろ現場の柔軟性を損なうリスクのほうが高いため、作成は不要となります。
5.まとめ
ISO9001で「文書化された手順」の作成が義務づけられている項目は、文書管理、記録管理、内部監査、 不適合製品の管理、是正処置、予防処置の6つです。
それ以外は「必要に応じて」であり、過剰な手順書は不要です。
「文書化された手順」を作成することで、確実に手順の情報伝達をはかることができ、認識等の不一致や手順の間違いが起こりにくくなります。
業務の効率を高めるために、文書設計する際は、実務に合わせて変更していき、一枚のシートや写真やイラストを使って伝わる設計にするとなお良いでしょう。
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