2025年10月17日

目次
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- 1.マネジメントシステムとは
- 2.代表的なマネジメントシステムの規格の種類
- (1)品質マネジメントシステム(ISO9001)
- (2)環境マネジメントシステム(ISO14001)
- (3)情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)
- (4)労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)
- (5)食品安全マネジメントシステム(ISO22000)
- (6)エネルギーマネジメントシステム(ISO50001)
- 3.マネジメントシステムの構成する6つの要素
- (1)方針
- (2)目標
- (3)役割と責任
- (4)プロセス
- (5)手順
- (6)改善活動
- 4.マネジメントシステムを導入した際の5つの効果
- (1)品質の一貫性を確保できる
- (2)法令遵守を徹底できる
- (3)業務を効率化できる
- (4)顧客満足度を高められる
- (5)国際的な信用を獲得できる
- 5.マネジメントシステムを導入する際の5つの注意点
- (1)導入や維持にコストがかかる
- (2)運用開始までに時間と労力を要する
- (3)社員の負担や抵抗感が生じやすい
- (4)手続きや文書管理が形骸化する恐れがある
- (5)業務の柔軟性が低下する可能性がある
- 6.まとめ
「マネジメントシステムとは何だろう」
「導入すると、どんな効果があるのだろうか」
結論からお伝えすると、マネジメントシステムは組織の運営を効率的にし、品質や安全、環境対応などを継続的に改善していける仕組みのことです。
導入することで顧客からの信頼を高め、国際的な信用や新しいビジネスチャンスの獲得にもつながります。
なぜなら、ISOをはじめとする国際規格に基づいて体系化されており、方針・目標・役割・手順といった要素を組み合わせて運用することで、組織全体の力を引き出せるからです。
この記事では、代表的な規格の種類や構成要素、導入による効果から注意点までをわかりやすくまとめています。
最後まで読むことで、自分の組織にマネジメントシステムは必要かどうか、導入すればどのような成果が期待できるのかを理解でき、導入を検討するうえでの判断材料を得られるはずです。
1.マネジメントシステムとは

マネジメントシステムとは、「組織が目標を達成し続けるための仕組みを整えた枠組み」のことです。
品質や環境、情報の安全など、取り組む分野に合わせて設計され、全体の活動を同じ方向へ導く役割を持っています。
基本的な流れは以下のとおりです。
- 方針を決める:組織の方向性を明確にする
- 目標を設定する:方針を実現するための具体的な数値や期限を決める
- 役割分担と業務の流れを定める:誰が何をするかをはっきりさせる
- ルールや手順を文書化する:決めた方法を形にして残す
- 記録をとる:実際の活動が計画通りかどうかを確認する
- 改善を行う:問題があれば原因を分析し、より良い仕組みに直す
この一連の流れを続けることで、顧客や取引先からの信頼を高め、組織の成長にもつながります。
2.代表的なマネジメントシステムの規格の種類
代表的なマネジメントシステムの規格の種類は、大きく分けて6つあります。
- 品質マネジメントシステム(ISO9001)
- 環境マネジメントシステム(ISO14001)
- 情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)
- 労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)
- 食品安全マネジメントシステム(ISO22000)
- エネルギーマネジメントシステム(ISO50001)
ここでは、それぞれの規格について違いや特徴をていねいに解説していきます。
(1)品質マネジメントシステム(ISO9001)
品質マネジメントシステム(ISO9001)は、組織が製品やサービスの品質を一定に保ち、顧客の満足を高めるための国際規格です。
業種や規模を問わず導入でき、もっとも広く普及しているマネジメントシステムの一つです。
具体的には、組織の方針や目標を定めた上で、その実現に向けて業務の流れや役割を明確にし、標準化された方法で運営していきます。
記録を残して活動を振り返り、不具合や課題が見つかれば改善を行う仕組みも求められます。
この一連の流れを繰り返すことで、製品やサービスのばらつきを減らし、顧客からの信頼を得られるようになるのです。
(2)環境マネジメントシステム(ISO14001)
環境マネジメントシステム(ISO14001)は、組織が環境への負担を減らし、持続可能な活動を行うための国際規格です。
廃棄物の削減や省エネルギーの取り組みなどを、体系的に進めることが可能です。
具体的には、環境方針を定めて目標を決め、日常業務の中で実行する流れを整えます。
さらに、法令を守る仕組みをつくり、活動の結果を測定し改善することが求められます。
(3)情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)
情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)は、組織の情報を守り、安全に利用するための国際規格です。
顧客データや社内情報の流出を防ぎ、安心して業務を行うための枠組みを提供しています。
具体的には、情報の取り扱いに関するリスクを特定し、技術的な対策と組織的なルールを組み合わせて管理します。
また、教育や監査を通して、社員一人ひとりが情報を正しく扱えるようにすることも重視されています。
(4)労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)
労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)は、働く人の安全と健康を守るための国際規格です。
職場での事故や怪我を防ぎ、安心して働ける環境を整えることが目的です。
具体的には、危険が潜む作業や場所を把握し、リスクを減らす仕組みを導入します。
加えて、従業員の意見を反映させたり、教育を行ったりすることで、安全意識を高めていきます。
こうした取り組みにより、事故や病気の発生を防ぎ、生産性の向上にもつながるのです。
(5)食品安全マネジメントシステム(ISO22000)
食品安全マネジメントシステム(ISO22000)は、食品の安全を確保するための国際規格です。
原材料の調達から製造、流通、消費までの流れを通して、食品が安全であることを保証する仕組みを整えていきます。
具体的には、HACCPの考え方を取り入れ、危険要因を特定し、管理方法を実施します。
また、サプライチェーン全体で情報を共有することで、リスクを早期に発見する体制を築きます。
その結果、食中毒や異物混入といった重大な事故を防ぎ、消費者の信頼を高めることができるのです。
(6)エネルギーマネジメントシステム(ISO50001)
エネルギーマネジメントシステム(ISO50001)は、組織がエネルギーを効率的に利用し、無駄を減らすための国際規格です。
省エネやコスト削減を実現しながら、環境負荷を軽減することが目的です。
具体的には、エネルギーの使用状況を測定・分析し、削減の目標を設定します。
そのうえで、改善策を実行し、結果を確認して次の行動に活かします。
この取り組みを繰り返すことで、エネルギーコストを抑えるだけでなく、温室効果ガスの排出削減にもつながります。
3.マネジメントシステムの構成する6つの要素
マネジメントシステムを構成する基本的な要素は、大きく分けて以下の6つです。
- 方針
- 目標
- 役割と責任
- プロセス
- 手順
- 改善活動
ここでは、基本となる要素を一つひとつ取り上げ、役割や意味を解説していきます。
(1)方針
方針とは、組織がどの方向に進むべきかを示す基本的な考え方です。
マネジメントシステムにおいて最初に定めるもので、経営者の意思を形にしたものともいえます。
方針があることで、社員は自分の行動が組織の目標とどう結びつくかを理解できます。
たとえば「品質を第一にする」「環境に配慮する」といった考えを明確に掲げることで、全体の行動が揃いやすくなります。
(2)目標
目標とは、方針を具体的に実現するための数値や期限を設定したものです。
抽象的な考えはそのまま行動に移せないため、達成度を測れる形に置き換える必要があります。
具体的には、「不良率を一年で5%下げる」や「エネルギー使用量を三年間で10%減らす」といった数値目標です。
こうした目標を定めることで、進捗を確認でき、改善の必要があるかどうか判断できるようになります。
(3)役割と責任
役割と責任とは、組織の中で誰がどの業務を担当し、どのような責任を持つかを明確にすることです。
これらが不明確だと、仕事が重複したり、誰も対応しない作業が発生したりします。
たとえば、品質チェックを誰が行うのかを定めなければ、問題が見逃される可能性があります。
逆に、責任の所在が明らかであれば、業務は円滑に進み、改善も迅速になるでしょう。
(4)プロセス
プロセスとは、業務の流れを一連のつながりとして整理したものです。
どの作業が先に行われ、その後に何が続くのかを見える形にすることで、効率よく運営できます。
「注文を受ける → 製造する → 検査する → 出荷する」といった流れを明確にすることです。
プロセスを明確にすることで、どの部分で無駄や不具合が生じているのかを把握しやすくなります。
(5)手順
手順とは、プロセスをさらに具体的に「どのように実行するか」を示したものです。
同じ作業でも人によってやり方が違えば、結果にばらつきが生じてしまいます。
そのため、正しい方法を決めて文書化し、誰が行っても同じ結果になるようにすることが目的です。
たとえば「製品の検査は三つの項目を順に確認する」と定めれば、品質が安定します。
(6)改善活動
改善活動とは、現状を見直し、より良い仕組みに直していく取り組みです。
マネジメントシステムは一度つくれば終わりではなく、常に変化する環境に合わせて進化させる必要があります。
内部監査や日常業務の中で見つかった課題を整理し、原因を分析して改善策を実行します。
これにより、同じ問題の再発を防ぎ、組織の力を高めることができるのです。
4.マネジメントシステムを導入した際の5つの効果
マネジメントシステムを導入した際には、以下の5つの効果があります。
- 品質の一貫性を確保できる
- 法令遵守を徹底できる
- 業務を効率化できる
- 顧客満足度を高められる
- 国際的な信用を獲得できる
これらのメリットを理解しないまま取り組むと、導入の意義が見えにくく、組織内での理解や協力が得られにくくなるかもしれません。
ここからは、マネジメントシステム導入の効果について順番に紹介していきます。
(1)品質の一貫性を確保できる
マネジメントシステムを導入することで、製品やサービスの品質を一定に保つことが可能です。
組織全体で共通のルールを持ち、誰が対応しても同じ結果を出せる仕組みをつくるからです。
たとえば、製造の流れや検査の基準を統一することで、ばらつきを減らし、安定した成果を生み出せます。品質に差が出にくくなるため、顧客からの信頼も積み上がるでしょう。
(2)法令遵守を徹底できる
マネジメントシステムを取り入れることで、法律や業界規則を守る体制を整えられます。
規格の中には法令を組み込み、定期的に確認する仕組みがあるため、違反のリスクを早い段階で防ぐことが可能です。
こうすることで、行政からの指導や取引先との信頼低下といった重大な問題を避けられます。
守るべきことを明確にしておけば、社員一人ひとりも迷わずに行動できるようになります。
(3)業務を効率化できる
マネジメントシステムを導入すると、業務の流れを整理し、無駄を減らすことが可能です。
手順や責任分担を明確にすることで、重複や抜け漏れが少なくなります。
さらに、記録や文書管理を標準化すれば、必要な情報をすぐに取り出せるようになるため、作業のスピードも上がります。
効率化された業務は社員の負担を減らし、限られた時間をより有効に使えるようになるでしょう。
(4)顧客満足度を高められる
マネジメントシステムを運用すれば、顧客に安定した品質の製品やサービスを届けることができるようになります。
さらに、苦情や不満が発生したときには、その原因を調べて改善する仕組みが組み込まれているため、次回以降の提供に活かせるのも特徴です。
この取り組みを繰り返すことで、顧客は安心して利用できるため、リピートや紹介といった新しい機会にもつながります。
(5)国際的な信用を獲得できる
ISO規格に代表されるマネジメントシステムは、世界的に通用する仕組みです。
認証を取得することで、海外企業や国際市場においても信頼性を示すことができます。これは新しい取引先の獲得や入札への参加条件を満たすうえで大きな強みとなります。
つまり、国際的な信用の獲得は、組織の成長と競争力を支える大きな後押しとなるでしょう。
5.マネジメントシステムを導入する際の5つの注意点
マネジメントシステムを導入する際には、以下の5つに注意を払っておく必要があります。
- 導入や維持にコストがかかる
- 運用開始までに時間と労力を要する
- 社員の負担や抵抗感が生じやすい
- 手続きや文書管理が形骸化する恐れがある
- 業務の柔軟性が低下する可能性がある
これらを把握しないまま進めると、費用や時間の負担が増えたり、社員からの反発を招いたりする恐れがあります。
それぞれの内容について、見ていきましょう。
(1)導入や維持にコストがかかる
マネジメントシステムを導入すると、初期費用や維持費が発生します。
たとえば、外部の専門家への依頼、教育や訓練の実施、認証を受けるための審査費用などが必要です。
さらに、導入後も定期的な見直しや改善活動にも予算を割かなければなりません。
代表的なマネジメントシステム、ISO9001,ISO14001,ISO27001の費用感は以下のリンクから確認できます。
これらの負担はとくに中小企業にとって、重く感じられることがあります。
(2)運用開始までに時間と労力を要する
マネジメントシステムを導入する際には、方針や目標の策定、文書や手順の整備、教育の実施など多くの工程があります。
これらの活動は通常業務と並行して進められるため、担当者や部門にとって大きな負担になることも否定できません。
また、認証を受ける場合には外部審査に対応する準備も必要です。導入には数か月から一年以上かかる場合もあります。
(3)社員の負担や抵抗感が生じやすい
新しい仕組みを導入すると、既存の社員に追加の業務や記録作業が発生します。
これまでの仕事の流れが変わることで、慣れるまでの間、現場では混乱や不満が出やすくなります。
また「書類作成ばかり増えて実務が進まない」と感じる社員も少なくありません。
そのため、システムの目的や必要性を丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。
(4)手続きや文書管理が形骸化する恐れがある
マネジメントシステムを正しく運用しなければ、書類や手続きが形式だけになりがちです。
たとえば、実態に合わないルールや記録を続けてしまうと、現場の改善には結びつかず、単なる事務作業となってしまいます。
一旦、形骸化してしまうと社員のやる気を損ない、システムへの信頼も低下してしまうでしょう。
これを防ぐには、現場の実情に即した文書や手順を整えることが必要です。
つまり、システムを形だけにせず、実効性を維持する努力が欠かせないのです。
(5)業務の柔軟性が低下する可能性がある
マネジメントシステムは標準化を重視するため、自由な判断や柔軟な対応がしにくくなる場合があります。
とくに変化の早い業界では、ルールに縛られて迅速な意思決定ができなくなる恐れがあります。
また、現場の裁量が減れば、顧客対応や新しい挑戦に遅れが生じることもあります。そのため、規格を守りつつ柔軟に対応できる工夫が必要です。
つまり、システムは安定性を高めますが、同時に柔軟性を損なう面があることを理解しておきましょう。
6.まとめ
今回は、マネジメントシステムについて、その代表的な6つの規格から構成要素、導入によって得られる効果、さらに注意すべき点までを解説しました。
マネジメントシステムとは、組織の運営を効率化し、品質や安全、環境対応などを継続的に改善するための仕組みです。
ISO9001やISO14001をはじめとした国際規格に基づいて体系化されており、方針や目標、役割や手順といった要素を組み合わせて運用されます。
導入することで顧客からの信頼を高め、国際的な信用や新たなビジネス機会の獲得につながりますが、費用や労力、社員の負担などの課題も存在します。
この記事を通して、マネジメントシステムの全体像を理解し、導入の効果を最大限に活かせるよう準備を進めていただければ幸いです。
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