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品質管理の基本がまるごとわかる!3つの要素と9つの代表的な手法まとめ

2025年8月7日

品質管理の基本がまるごとわかる!3つの要素と9つの代表的な手法まとめ

「品質管理って、どうやればいいのだろう?」

結論から言うと、品質管理は「一定のルールを決めて、安定した品質を守るための仕組み」をつくることから始まります。

なぜなら、製品やサービスの質は、作業者任せにしていては保てないからです。やり方を決めて、誰がやっても同じ結果が出るようにすることが大切です。

この記事では、品質管理の基本的な考え方や行うべき理由、よく使われる手法まで、わかりやすく解説します。

この記事を読めば、明日から現場で実践できるヒントが見つかるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

 

1.品質管理とは「決められた品質を保ち続ける仕組み」

品質管理とは、製品やサービスがあらかじめ定められた品質を保ち続けるための、計画・確認・改善をくり返す仕組みのことです。

 

お客様に安心して使ってもらえるよう、品質のばらつきを抑え、安定した状態を維持することが目的です。具体的には以下のような方法で進められます。

  • 求められる品質を明確にし、それを保つための基準や手順を定める
  • 基準どおりに作業が行われているかを確認し、記録する
  • 問題があれば原因を調べ、再発を防ぐために管理方法を見直す

つまり品質管理とは、「よい状態をずっと保ち、改善を続けること」に重点を置いた大切な取り組みを指します。

 

(1)品質管理の3つの要素

ここからは、品質管理の3つの要素について紹介します。

品質管理を効果的に進めるには、以下の3つの柱を理解することが欠かせません。これらの要素は、日本品質管理学会規格(JIS)の「品質管理用語」においても定義されています。

  • 品質保証
  • 品質検証
  • 品質改善

それぞれの役割について、整理しながら解説していきます。

 

1.工程管理

工程管理とは、製品やサービスをつくる過程で、決められた手順や条件どおりに作業が進んでいるかを管理することです。

なぜ工程管理が必要かというと、どんなによい設計や基準があっても、実際の作業にばらつきがあると、品質の安定につながらないからです。

作業方法に差があると、不良品が出たり、お客様に満足してもらえない結果になったりする恐れがあります。

つまり工程管理とは、決めたとおりに仕事が行われているかをしっかり見守る仕組みをいいます。

 

2.品質検証

品質検証とは、製品やサービスがあらかじめ決められた品質の基準をしっかり満たしているかどうかを確認することです。

お客様に安心して使ってもらうためには、完成したものが正しい品質であることを確かめる作業が必要です。

検証では、見た目や動き、重さや大きさなど、さまざまな項目について検査を行い、基準に合っているかを調べます。その結果を記録し、必要に応じて関係者と情報を共有します。

もし基準を満たしていない部分があれば、出荷を止めたり、修正したりといった対応が必要です。

品質検証とは、できあがったものが「本当にこのままで良いのか」を確認する大切な工程なのです。

品質改善とは、製品やサービスの質をよりよくするために、問題点を見つけて、原因を調べ、改善する活動のことです。

どれだけ工程管理や検証を行っても、不良やミスがゼロになるとは限りません。また、品質の基準やお客様の要望も、時代とともに変わっていきます。

そのため、現状に満足せず、常に問題を見つけて対策を考えることが、品質を守るうえでとても大切になります。

つまり、品質改善とはよりよい品質を目指して行動し続けることです。小さな気づきや工夫の積み重ねが、結果として大きな信頼や評価につながっていきます。

 

(2)品質管理と品質保証の違い

まずは、両者の違いを一覧表でご覧ください。

項目品質管理品質保証
主な目的品質を保ち続けるための管理品質を保証し、信頼を得ること
対象製品やサービスの工程や作業内容製品やサービスの品質全体の信頼性
活動の中心現場での実行(検査・記録・改善など)社内外への証明(体制・書類・審査など)
主な手法作業標準、検査、記録、改善など品質マニュアル、監査、証明書発行など
役割品質を「つくる」「保つ」品質を「証明する」「信頼につなげる」

品質管理と品質保証は、どちらも品質を守るための大切な考え方ですが、その役割や目的は異なります。

品質管理は、製品やサービスの品質を保つために、工程や作業を日々確認・改善していく取り組みです。

一方、品質保証は、その製品やサービスがきちんと基準を満たしていることを、内外に対して示す仕組みを指します。

品質管理は、現場での作業や検査を通じて、品質のばらつきをなくすことを目指します。

それに対して品質保証は、社内の体制や記録の整備を通じて、「この製品は安全で安心して使える」と証明する役割を持ちます。

つまり、管理は中の動きであり、保証は外への信頼と言い換えることもできます。

 

2.品質管理を行うべき5つの理由

品質管理を行うべき理由は、以下の5つです。

  • 顧客満足度を向上させるため
  • 不良品を減らし、ムダなコストを削減するため
  • 品質トラブルによる企業の信頼低下を防ぐため
  • 法令や業界の品質基準に対応するため
  • 作業手順の標準化で業務効率を上げるため

品質管理を疎かにすると、不良品の増加やクレーム対応に追われるなど、企業の信頼や利益を損なう恐れがあります。

ここからは、それぞれの理由について解説していきます。

 

(1)顧客満足度を向上させるため

品質管理を行う理由に、顧客満足度を高めることがあります。

お客様が安心して使える製品やサービスを提供し続けるには、一定の品質を守る仕組みが必要です。品質にばらつきのある状態では、満足どころか不満や信頼の低下につながってしまいます。

品質管理では、製品やサービスがいつでも同じ水準で提供できるように、基準を定めて、工程を管理し、問題があればすぐに対応します。

このように、品質を安定させる努力を続けることで、この会社の商品はいつも安心できるという信頼が生まれるはずです。

つまり、品質管理とは単なるミスの防止ではなく、お客様との信頼関係を築くための大切な手段なのです。

 

(2)不良品を減らし、ムダなコストを削減するため

品質管理には、不良品を減らしてムダなコストを抑える目的もあります。

せっかく作った製品に不具合があると、作り直しや廃棄に手間とお金がかかってしまいます。さらに、原因調査や再発防止にも時間が必要となり、全体の効率が下がってしまうでしょう。

品質管理では、作業手順を整え、工程ごとにチェックを行うことで、ミスや不具合を早期に発見することが可能です。

これにより、大きな手直しをする前に問題を防ぐことができるため、材料や人件費のムダを少なくすることができます。

また、同じ不良をくり返さないように改善を重ねていくことで、コストの発生そのものを減らすこともできます。

 

(3)品質トラブルによる企業の信頼低下を防ぐため

品質管理を行うことで、品質トラブルから企業の信頼を守ることもできます。

どれほど知名度がある企業でも、不良品や事故が続けば、社会からの信用は一気に失われてしまいます。一度失った信頼を取りもどすのは、簡単なことではありません。

品質トラブルは、商品そのものの問題だけでなく、安全性や法令順守といった面にも影響を及ぼします。

そのため、日ごろから基準を守って作業を進め、異常があればすぐに対応できる体制を整えておくことが重要です。

品質管理は、トラブルを未然に防ぎ、企業のイメージや取引先との関係を守る役割を果たしているのです。

 

(4)法令や業界の品質基準に対応するため

法令や業界で定められた品質基準にきちんと対応することも忘れてはいけません。

製品やサービスには、それぞれの分野ごとに守るべき法律やルールがあり、それに違反すると販売の中止や回収命令など、大きな問題につながるリスクがあります。

とくに食品や医薬品、建築、機械といった分野では、安全性に関する基準が厳しく決められています。具体的には以下のような基準が定められています。

分野主な法令・基準管轄機関目的・内容参考リンク
食品食品衛生法、食品・添加物等の規格基準厚生労働省食品の成分・製造方法・保存条件などを定め、健康被害を防止厚生労働省|食品等の規格基準
医薬品GMP省令(医薬品の製造管理及び品質管理)厚生労働省・PMDA適正な製造と品質管理を通じて、有効性と安全性の確保PMDA|GMPガイドライン
建築建築基準法、関連政令国土交通省建物の構造・防火・避難・省エネ性能などに関する法的基準を定め、安全で安心できる建築物を確保国土交通省|建築基準制度
機械・電機電気用品安全法(PSE)、JIS規格、製品安全ガイド経済産業省電気製品・機械の技術基準への適合、安全性の検証、事故防止経済産業省|電気用品安全法

 

こうした基準を正しく理解し、日々の作業や工程にきちんと取り入れることが、品質管理の大きな役割です。

もし基準に合っていない製品が市場に出てしまえば、企業の責任が問われるだけでなく、利用者にも危害をあたえる可能性があります。

つまり、品質管理とは、法律や業界のルールを守り、社会的な信頼を保つためにも必要な仕組みなのです。

 

(5)作業手順の標準化で業務効率を上げるため

品質管理を行う目的の中に、作業手順を標準化して業務の効率を高めることがあります。

手順が人によってばらばらだと、品質に差が出たり、作業の引きつぎがうまくいかなくなったりします。また、作業ごとに確認や指示が必要になるため、時間もかかるはずです。

あらかじめ決められたやり方があれば、作業にかかる時間や手間を減らすことができ、全体のスピードも向上します。

品質を保ちながら、かつ効率的に仕事を進めるためにも、手順を揃えることはとても大切な考え方です。

 

3.品質管理の基本項目5選

品質管理の基本項目には、大きく分けて5つの要点があります。

  • 品質目標の設定と品質方針の策定
  • 製品やサービスの仕様・基準の明確化
  • 検査体制の整備と不良品の管理
  • 是正処置と予防措置の実施
  • 品質向上のための教育と訓練体制の構築

この5つをしっかり理解しておくことで、現場の品質レベルを安定させ、ミスやトラブルを未然に防ぐことができるはずです。ひとつずつ見ていきましょう。

 

(1)品質目標の設定と品質方針の策定

品質管理を正しく行うためには、まず最初に品質目標と品質方針をしっかりと定めることが大切です。

どのような品質を目指すのか、どのように品質を守っていくのかを明確にすることで、組織全体が同じ方向に向かって動けるようになります。

品質目標とは、品質に関する具体的な数値や達成すべき状態のことです。

一方、品質方針は、企業としてどのような考えで品質に取り組むのかという基本的な姿勢を表します。

この2つが曖昧だと、現場ごとの判断にばらつきが出てしまい、結果として品質の安定を図ることが難しくなるでしょう。

つまり、品質目標と品質方針を明確にすることで、どんな状況でもぶれない判断ができ、全体で一体感を持って品質向上に取り組むことができるようになります。

 

(2)製品やサービスの仕様・基準の明確化

品質管理を行う上で欠かせないのが、製品やサービスの仕様や基準をはっきりと決めておくことです。

仕様とは、製品の大きさや形、性能、使い方などの決まりごとのことです。

基準とは、その仕様がどの程度正しく守られていれば問題ないか、という判断の目安になります。

これらを決めずに作業を進めてしまうと、人によって考え方が異なり、品質に差が出てしまう恐れがあります。

また、トラブルが起きたときに問題点が見えづらくなり、原因の特定にも時間がかかってしまうでしょう。

つまり、何をもって「良い品質」とするのかを明確にすることで、作業者や担当者の判断にばらつきが出にくくなるのです。

 

(3)検査体制の整備と不良品の管理

品質管理を適切に行うためには、検査体制をしっかりと整え、不良品を見逃さない仕組みをつくることが大切です。

検査には、作業の途中で行う中間検査と、完成後に行う最終検査があります。

これらを計画的に実施し、検査の内容や結果を記録することで、不良がどこで発生したのかを正しく把握することが可能です。

万が一、不良品が見つかった際は、すぐに出荷を止め、原因を調べて再発を防ぐ対策を立てる必要があります。

検査体制を整えることは、早期に不良を発見し、信頼性の高い製品やサービスをお客様に届けることにつながるのです。

 

(4)是正処置と予防措置の実施

品質管理において重要な項目のひとつが、是正処置と予防措置の実施です。

是正処置とは、すでに発生した問題に対して、原因を調べて対策を行うことです。

一方、予防措置は、まだ起きていないけれど、将来起こる可能性のある問題を見つけて、あらかじめ防ぐための取り組みをいいます。

どちらも、表面だけを直すのではなく、根本から問題をなくすことを目的としています。

こうすることで、品質の安定性が高まり、現場でのムダやトラブルを減らすことができるのです。

 

(5)品質向上のための教育と訓練体制の構築

品質を高い水準で保ち続けるためには、教育と訓練の体制を整えることが欠かせません。

いくら仕組みや道具が揃っていても、それを使う人の知識や意識が不足していれば、十分な効果は発揮されません。

教育とは、品質の考え方やルール、注意点などを知識として学ぶことです。

訓練は、それらを実際の作業の中で使えるようにするための反復的な取り組みを指します。

現場ごとに必要な内容を見極め、実際の作業と合わせて教えることで、ミスの防止や効率の向上にもつながります。

また、新しい手法や機器に対応するためにも、継続的な学びの場が必要なのです。

 

4.品質管理で使われる具体的な9つの手法

品質管理で使われる手法には、以下9つの代表的な方法があります。

  • QC七つ道具
  • 新QC七つ道具
  • PDCAサイクル
  • FMEA(故障モード影響解析)
  • 統計的品質管理(SQC)
  • 5S活動
  • 管理図
  • パレート図
  • HACCP

それぞれの手法の特徴について、ご紹介していきます。

 

(1)QC七つ道具

QC七つ道具とは、品質管理において広く使われている基本的な分析手法のことです。

現場で発生する不良やばらつきの原因を見える化し、問題の発見や改善につなげるために活用されます。

誰でも扱いやすく、シンプルな方法であることから、初めて品質管理に取り組む場合にも有効です。

七つ道具の目的や特徴は以下のとおりです。

手法名主な目的・特徴
パレート図問題の発生頻度や影響の大きさを順位づけして、重要な要因を特定する
グラフデータの変化や傾向を視覚的に把握しやすくする
チェックシート作業や不良の発生状況を簡単に記録し、数値化する
特性要因図問題の原因を「人・物・方法・環境」などに分けて整理する
ヒストグラムデータのばらつき具合や分布の形を確認し、異常の有無を見つける
散布図二つの項目の関係性(相関)を調べ、原因と結果のつながりを分析する
管理図工程の安定性を確認し、異常が起きていないかを見える化する

 

これらを使うことで、問題の起こりやすい場所や頻度、原因の傾向を客観的に捉えることができます。

数値や事実に基づいて判断できるため、感覚や思い込みに左右されにくく、正しい対策を立てられるようになるのです。

 

(2)新QC七つ道具

新QC七つ道具とは、言葉による情報や複雑な問題の構造を整理し、品質管理に活かすための考え方や手法をまとめたものです。

数値よりも言語的な要素を重視し、現場での課題や意見をわかりやすく整理する際に用いられます。新QC七つ道具の具体的な内容は以下のとおりです。

手法名主な目的・特徴
親和図法多くの意見や情報を意味ごとに分類し、全体の関係性を整理するために使う
連関図法問題の原因や要因同士の関係を線でつなぎ、因果関係を見えるかたちで整理する
系統図法目的を達成するために必要な手段や活動を、段階的・階層的にまとめていく方法
マトリックス図法複数の要素の関係を縦と横の表(マトリックス)で整理し、関係の強さや重要度を比較する
マトリックス・データ解析法数値データを用いて、複数の項目間の相関やパターンを分析し、関係性を明らかにする
アローダイヤグラム法作業の順番や関係、所要時間を図にし、最短で効率的な作業計画を立てるために活用する
PDPC法(過程決定計画図法)作業の流れの中で起こりうる問題や分岐をあらかじめ想定し、対応策と一緒に図で示す手法

上記の手法を使うことで、問題の原因と結果の関係や、作業の流れ、優先順位などを論理的に整理できます。

とくに、複数の部署や関係者が関わる場合において、共通の認識を持つ上で有効な手段です。

 

(3)PDCAサイクル

PDCAサイクルとは、品質管理を始めとしたさまざまな業務で活用される「計画・実行・確認・改善」の流れをくり返す手法です。

このサイクルを回すことで、仕事の精度を高め、継続的に品質を向上させることができます。

小さな改善を積み重ねながら、より良い状態を目指していくのがこの手法の特徴です。具体的な手順は以下のとおりです。

  • まず、Plan(計画)では、目標や方針を立て、達成するための方法を考えます。
  • 次に、Do(実行)で実際に行動し、
  • Check(確認)でその結果をふり返ります。
  • そして、Action(改善)で問題点を見直し、次の計画に反映させる。

という流れを繰り返していきます。

この仕組みにより、実行だけで終わらせずに、常に改善し続ける姿勢が定着します。

 

(4)FMEA(故障モード影響解析)

FMEAとは、「故障モード影響解析」と呼ばれる手法で、製品や工程における不具合の発生を事前に想定し、影響の大きさや発生の可能性を分析する方法です。

重大なトラブルを未然に防ぐために、あらかじめリスクの高い箇所を見つけ出し、優先的に対策を立てることを目的としています。基本的な流れは以下のようになります。

■ FMEAの基本的な流れ

①故障モードの洗い出し:製品や工程において起こりうる不具合(故障)を項目ごとに抽出する。

②影響の評価:各故障モードが発生した場合に、どのような影響を与えるかを具体的に評価する。

③発生頻度の見積もり:その不具合がどれくらいの確率で発生するかを予測する。

④検出のしやすさの判断:不具合が発生した際に、どの程度の確率で早期発見できるかを評価する。

⑤リスク優先度数(RPN)の算出:「影響の大きさ × 発生頻度 × 検出の困難さ」を数値化して、リスクの大きさを点数で表す。

⑥優先順位づけと対策の実施:RPNが高い項目から順に、あらかじめ改善策を立てて実行に移す。

このように、FMEAは、問題が起きてから対応するのではなく、起きる前に備えるための考え方です。

 

(5)統計的品質管理(SQC)

統計的品質管理(SQC:Statistical Quality Control)とは、品質のばらつきや変化を数値でとらえ、客観的に分析することで管理や改善につなげる手法です。

感覚や経験だけに頼らず、データにもとづいて品質を判断できる点が大きな特徴です。製造現場をはじめ、サービスや事務の分野でも活用されています。具体的な進め方は以下のとおりです。

■ 統計的品質管理(SQC)の進め方と特徴

①データを集める:現場での測定値や作業記録など、品質に関する数値データを収集する。

②グラフや表にまとめる:集めたデータを整理し、変化の傾向やばらつきが見えるようにする。

③代表的な手法(管理図、ヒストグラム、散布図など))を使って分析する

④「正常」か「異常」かを見極める:規定された基準内に収まっているかどうかを確認し、異常があれば早めに対応する。

⑤数値に基づいた判断ができる:感覚ではなく客観的なデータにもとづき、だれが見ても同じ判断ができる。

つまり、統計的品質管理は見えにくい品質の変化を数字でとらえ、早めに気づいて対処するための方法です。

 

(6)5S活動

5S活動とは、職場を整理整頓し、安全で効率のよい作業環境を保つための基本的な取り組みのことです。

5つの言葉「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の頭文字をとって「5S」と呼ばれています。それぞれの特徴は以下のとおりです。

■5S活動の内容

整理
使わない物は思いきって処分し、必要な物だけを残します。
整頓
物の置き場所を決めて表示することで、誰でもすぐに取り出せるようになります。
清掃
こまめな掃除を通じて、機械の不具合や危険にも早く気づけます。
清潔
常にきれいな状態を保つことで、作業ミスや事故の予防にもつながります。
しつけ
ルールを守る習慣をつけることで、現場全体の意識や品質が向上します。

5S活動を続けることで、作業ミスや事故の防止につながり、結果として品質の安定と向上に役立ちます。

 

(7)管理図

管理図とは、製品や工程における数値の変化を、時系列でグラフにまとめて見える化する手法です。

まず、工程で得られた測定値を時系列で記録し、その平均値や上限・下限といった基準線をグラフ上に引きます。

その上で、測定値がその基準の範囲内にあるかどうかを確認することで、工程が安定しているかを判断できます。

たとえば、同じ製品を作っていても、ある時だけ大きなずれが出た場合、それをすぐに発見することが可能です。

管理図を活用すれば、目に見えにくい不具合の前ぶれや作業条件の変化なども把握しやすくなります。

結果として、早めの対応が可能となり、不良の発生を未然に防ぐことにもつながります。

 

(8)パレート図

パレート図とは、「どの問題がもっとも影響しているのか」を見えるかたちで表すための図です。

主な原因を大きい順に並べた棒グラフと、それを累積した折れ線グラフで構成されています。

たとえば、不良の原因を分類し、それぞれの発生件数を多い順に並べることで、全体の中でとくに目立つ要因がすぐにわかるようになります。

「全体の8割の問題は、2割の原因から生じている」というパレートの法則をもとに作られているため、少ない改善で大きな成果を上げたいときに効果的です。

この図を使えば、感覚や経験だけに頼らず、数値に基づいた対策が見えてきます。

 

(9)HACCP

HACCPとは、食品の製造や加工において、危害の発生を予測し、重要な工程を重点的に管理することで、安全を確保する仕組みです。

たとえば、加熱や冷却の工程において基準値を守ることで、食中毒の予防につながります。

一般的な完成品の検査ではなく、工程そのものを管理する点が大きな特徴です。

そのため、問題が起こる前に予防できる仕組みとなっており、とくに食品業界では、国際的にも導入が進められています。

HACCPは、消費者の安全を守ると同時に、企業の信頼性や品質保証体制の強化にもつながる重要な手法です。

5.失敗しないための品質管理4つのコツ

品質管理において失敗しないためのコツは、大きく分けて以下の4つです。

  • 現場の実態に合った品質基準を設定する
  • 属人化を防ぐために作業手順を標準化する
  • 問題が起きたらすぐに原因を分析・共有する
  • トップが品質管理の重要性を明確に示す

どれかひとつでも欠けてしまうと、品質にばらつきが出たり、信頼を失ったりするかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

(1)現場の実態に合った品質基準を設定する

品質管理で成果を出すには、まず現場の実態に合った品質基準を定めることが重要です。

理想だけを求めて高すぎる基準を設けても、現場が対応できなければ形だけのルールになってしまいます。

逆に、基準が緩すぎると品質のばらつきが広がり、不良やクレームの原因になります。

たとえば、作業者のスキルや設備の性能、作業環境などをよく観察し、無理なく守れるラインを見極めることが必要です。

また、工程ごとの特性やリスクを踏まえたうえで、どこまで求めるか、何をチェックすべきか、という具合に定義するとよいでしょう。

こうした現実に即した基準づくりを行えば、現場での実行力が高まり、結果として品質の安定につながります。

 

(2)属人化を防ぐために作業手順を標準化する

標準化とは、誰が作業しても同じ品質になるように方法を共通化することです。

作業が属人化していると、担当者が変わる度にやり方も変わり、品質のばらつきが生まれます。

さらに、担当者が不在になったときに代わりの人が対応できず、業務が止まってしまう恐れもあります。

このような事態を防ぐには、手順書やマニュアルをつくり、現場で共有しておくことが大切です。

文章だけでなく、図や写真を使ってわかりやすく整理することで、誰でも迷わず作業ができるようになります。

作業手順の標準化は、属人化をなくし、安定した品質を保つためにも重要な取り組みといえるでしょう。

 

(3)問題が起きたらすぐに原因を分析・共有する

品質の不具合やトラブルが発生した際には、すぐに原因を調べ、関係者に共有することが大切です。

早い段階で対処することで、同じ問題が繰り返されるのを防ぐことができます。

たとえば、不良品が出た場合には、なぜ起きたのか、どこで発見されたのかなどを明らかにし、関係部署と情報を共有します。

このとき、事実とデータに基づいて冷静に分析することが重要です。

担当者の経験や勘に頼るのではなく、チェックシートや図を使って原因を見える形にすると、理解も深まりやすくなります。

また、共有する際には、個人を責めるような伝え方を避け、全体で再発防止に取り組むという意識を持つことをおすすめします。

 

(4)トップが品質管理の重要性を明確に示す

品質管理を社内にしっかりと根づかせるためには、まず経営トップがその重要性を明言し、方針をはっきり示すことが大切です。

現場だけで品質を支えるのではなく、組織全体の意識を揃えることに意義があります。

たとえば、品質方針や目標を明文化し、会議や社内掲示などを通して全社員に伝えることで、組織としての方向性が明確になります。

さらに、トップ自らが品質に関する話題を取り上げたり、改善活動に関心を示したりすることで、現場の意識にも変化が生まれるでしょう。

経営層の姿勢や発言は、品質文化の土台となります。現場の努力を支え、全員で品質を守る意識を育てるためにも、トップの関与は欠かせないのです。

 

6.まとめ

今回は、品質管理の基本をしっかりと理解したい方に向けて、品質管理の3つの要素から品質管理を行うべき理由、さらに代表的な9つの手法まで紹介しました。

品質管理を効果的に進めるには、まず基本となる考え方を理解したうえで、自社の状況に合った手法を選び、適切に活用することが重要です。

感覚や経験だけに頼るのではなく、客観的なデータや仕組みによって、品質の安定と向上を目指す必要があります。

本記事が、品質管理の全体像を把握し、自社の取り組みに役立てていただくための一助となれば幸いです。

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