ISO9001「プロセスの監視」を組織の力に変える運用のコツ
2025年6月11日

ISO 9001:2015の要求事項の中でも、8.2.3「プロセスの監視及び測定」は、一見地味で形式的に見えるかもしれません。しかし、この条項こそが、組織の「当たり前の品質」を支える大切な基盤です。では、「プロセスの監視・測定」とは何を意味し、どのような行動が「計画どおりの結果を達成する能力の実証」となるのでしょうか。
1.プロセスの定義について
ISOにおける「プロセス」とは、「入力を受け取り、それを変換して出力を生み出す一連の活動」を指します。
これはISO 9000(品質マネジメントの基本及び用語)においても公式に定義されており、ISO 9001の全体を支える基本概念である「プロセスアプローチ」の土台をなすものです。
この定義は、一見すると抽象的に感じるかもしれません。しかし実は私たちの仕事のすべてがプロセスの連続でできています。たとえば、営業活動をプロセスで捉えると、顧客からの問い合わせ(入力)を受け取り、打ち合わせ・提案書の作成・見積もり提示などの工程(変換)を経て、受注(出力)に至るという流れになります。製造現場であれば、材料(入力)を機械加工や組立(変換)して、完成品(出力)を生み出すことが、まさに典型的なプロセスです。
2.要求事項の要点:プロセスが計画どおり進んでいることを示す
8.2.3は、品質マネジメントシステム(QMS)を構成する各プロセスについて、以下のことを求めています。
- 適切な監視・測定方法の決定
- プロセスが計画どおりの結果を出していることの確認
- 必要に応じた修正や是正処置の実施
つまり、「プロセスが正常に機能している」ことを裏付ける必要があるということです。これは顧客要求事項を満たす前提となるものであり、現場レベルの信頼性を確保するための重要な仕組みです。
3.製造業の視点:計画どおりの結果とは?
たとえば製造業では、「計画どおりの結果」とは以下を意味します。
- 計画された時期に
- 計画された要員が
- 計画された手順と機器を用いて
- ・計画された品質・数量の製品を製造すること
これが実現できているかを確認する行為が、「監視および測定」です。生産管理システムによる進捗確認、班長による目視、帳票記録なども該当します。
4.朝礼や現場の調整も「監視・測定」の一環
朝礼での進捗確認や、作業者が自ら問題に気づいて対応する行為も、監視・測定に含まれます。たとえば、前日の遅れを踏まえて早出対応するような判断は、プロセスの状態把握と自発的な修正処置といえます。これはISOの「是正処置」としての良い例です。
現場担当者が自律的にプロセスを調整する姿勢は、QMSの理想形といえます。単なる管理でなく、現場の自律性を活かした文化こそが、品質向上に直結します。
5.測定の程度は「適切さ」がカギ
ISOでは、すべてのプロセスに同一の監視・測定を求めてはいません。重要度に応じて「適切な方法・頻度」を定めることが大切です。たとえば、溶接や検査など重要工程には細かな監視が必要ですが、間接業務や単純作業では週次チェックでも十分な場合もあります。
目的は「異常の早期発見と改善」です。形式的な記録ばかりを重視すると、現場の負担増となり、改善活動の妨げになることもあるため注意が必要です。
6.組織を強くする「前向きな是正文化」
監視・測定の効果を引き出すには、それを活かしたPDCAサイクルの運用が不可欠です。特に、「計画どおりにいかなかったときの対応」が、組織の成熟度を表します。
- 問題を隠さず報告する文化
- 担当者を責めず、プロセスの原因を考える姿勢
- チームで再発防止策を検討し、改善へつなげる
このような前向きな是正文化があれば、監視・測定は単なる点検ではなく、成長の土台となります。
7. まとめ:品質を守ることは、人と仕組みを育てること
ISO9001の8.2.3「プロセスの監視および測定」は、単なる点検チェックリストや記録作業にとどまるものではありません。それは、現場のひとつひとつの業務に「意識」と「意味」を与える考え方であり、組織全体の成熟度を高める土台となります。
日々の業務の中で、「今、このプロセスはうまくいっているか?」「ズレが生じたとき、どう対応するか?」という問いを立て続けることが、品質を守る第一歩です。計画どおりにいかないことは当然あります。だからこそ、その「ズレ」に気づき、隠さず、責めず、建設的に向き合える仕組みと風土が大切です。
監視と測定がうまく機能している組織には、いくつかの共通点があります。それは、問題を早期に察知し、自律的に対応できる現場があること。これにより、不良品の発生を未然に防ぐだけでなく、ムダな手戻りを減らし、納期遵守やコスト削減といった経営上のメリットにもつながります。そして何より、品質が安定すれば、顧客からの信頼も高まり、リピートや紹介といった好循環を生み出します。
QMS(品質マネジメントシステム)は、「認証を取るための仕組み」ではありません。本来は、組織を継続的に強くするための“文化”そのものです。書類を整えることや、審査のときだけ気をつけるような運用は、すでに時代遅れです。重要なのは、「私たちは何のためにこのプロセスをやっているのか?」という視点を、全員が持てるようになることです。
まずは、自社の「プロセスの監視・測定」のあり方を見直してみましょう。それは、業務のやり方を見直すだけでなく、人を育て、チームを育て、組織そのものを進化させる大きな一歩になるはずです。
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