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ISO14001:2015の順守義務とは?

スタッフ写真
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2019年6月7日

ISO14001の2015年版が発行され、規格の構成も内容も大なり小なり変更が加えられています。見る人によって、大きく変更が入っている様に見える人も、あまり変わらないかなと見える人もいるのではないでしょうか。

実際、どちらが正しくどちらが間違っているというわけでもなく、規格で使われる言葉が変わっているだけで内容が変わっていないものや、従来のものから考え方ややり方が多少なり変更されている部分もあると思います。

同じタイミングでISO9001:2015も発行されました。そちらと比較してもあまり意味ありませんが、ISO14001:2015については、どちらかというとそんなに考え方自体は変わっていない部分が多いともいえると思います。

その中で今回取り上げるのは、2015年版の要求事項6.1.3「順守義務」です。

順守義務って?

順守義務と聞くと、旧来のISO14001ではあまり聞かない言葉ということもあり、少し抵抗を感じてしまうかもしれません。ですが、旧規格と比べ、実際はそんなに変わっている部分ではないんです。

ここで何もありません!として締めてしまってもいいんですが、せっかくなので少し2004年版と2015年版の該当要求事項を比較してみたいと思います。2004年版と2015年版では、規格の本文はこのようになっています。

【ISO14001:2015】6.1.3 順守義務

組織は、次の事項を行わなければならない。

a)組織の環境側面に関する順守義務を決定し、参照する。
b)これらの順守義務を組織にどのように適用するかを決定する。
c)環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、継続的に改善するときに、これらの順守義務を考慮に入れる。

組織は、順守義務に関する文書化した情報を維持しなければならない。

次に、2004年版です。2004年版では以下となっていました。

【ISO14001:2004】4.3.2 法的及びその他の要求事項

組織は、次の事項にかかわる手順を確立し、実施し、維持すること。

a)組織の環境側面に関係して適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を特定し、参照する。
b)これらの要求事項を組織の環境側面にどのように適用するかを決定する。

組織は、その環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持するうえで、これらの適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を確実に考慮に入れること。

比較してみていかがでしょう。見え方は人によってやはり変わると思いますが、そんなに変わっていないと思いませんか?

2004年版と2015年版の比較

比較用に並べたので、違っている部分を確認してみます。

まず書かれている場所が4.3.2から6.1.3にかわっています。

これは特にこの要求事項の意味や内容がかわったからということではなく、ただ規格の構成がかわった、統一されたからです。複数のマネジメントシステムをもつ組織が取り組みやすいような配慮が今回の改正からなされていますが(HLS:ハイレベルストラクチャー)、その流れにのっているというだけです。

次に、a)~b)まであった項目が、a)~c)になっています。

この部分だけ取り上げると、増えている様に聞こえますが、その前後の文脈を見ると、全体からすると内容的には変わりません。

その他、細かな言葉の違いがあるにしても、規格が求めている要素は変わっていないといっても言い過ぎではありません。

他の規格条文の中にもありますが、順守事項という言葉を使わないといけないということでもなく、規格にも許容用語という位置づけで、「法的要求事項及びその他の要求事項」と記載されています。言葉の細かい部分の違いはあっても、基本的には旧規格と同じように考えてもよさそうです。

まとめ

最後になりますが、この要求事項でいっていることを簡単にまとめておきます。

・環境側面に関連する守らなくてはいけない法律、慣例、契約内容などがどのようなものがあるかを確認し、いつでもそれらを見れるようにしておく。
・その内容について組織としてどのように取り組むのか決める。
・環境マネジメントシステム(この規格を用いた取り組み全体)を運用する際に無視せずに取り入れる

マネジメントシステムの適用範囲に関係する要求事項をピックアップしたところで、具体的に自分たちの組織には関係のないものや、現実的に対応できないものもあると思います。そのような部分について、組織としてどのように取り組むのかという判断も含みます。

将来的には関連するもの、業界的に関連するもの、組織規模として、立地場所として関連するもの。様々な要素がありますが、現時点として順守する義務が発生しない(規制要件にはいっていないなど)ということもあると思います。

注意点として、文書化した情報として維持しなくてはいけませんので、いくら口頭で言えても、何かしら見えるように残しておかないといけないという点です。とはいえ、いつでも見れるように(参照できるように)しておく必要がありますので、そのあたりは運用上で自然にクリアできる部分かもしれません。

今回の規格改定に伴い、組織として新たな対応を必要とする部分、従来の方法で対応できる部分、少し複雑に絡んできます。必要な部分の対応に力を入れ、不必要なところで頭を悩ませないように、時間を取られないように取り組んでいきましょう。

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