2024年10月25日
建設業におけるISO9001認証・運用を成功させる秘訣は、ルールや仕組みをシンプルに整えることです。
これが上手くいかなければ現場の負担が大きくなってしまいます。
建設業では、入札や経審加点がきっかけでISO9001取得に至ることが多くありますが、取得後、運用を続けていく中で様々な課題に直面されているとの声をお客様からも頻繁に伺います。
1.建設業の会社が認証しているISO規格の種類
(1) ISO9001
品質マネジメントシステム(QMS)に関する国際規格です。
建設業では、顧客の要求を満たし、品質の高い建築物やインフラを提供するための仕組みを整えることが求められます。
具体的には、プロジェクトの計画、設計、施工、検査、引き渡しまでの全工程において品質管理を徹底し、顧客満足度を向上させることを目指します。
ISO9001の認証を取得することで、信頼性の高い企業としての評価を得ることができます。
(2) ISO14001
環境マネジメントシステム(EMS)に関する国際規格です。
建設業では、環境への影響を最小限に抑えるための取り組みが求められます。
具体的には、廃棄物の削減、エネルギーの効率的な使用、環境に配慮した資材の選定などが含まれます。
ISO14001の認証を取得することで、環境保護に積極的に取り組む企業としての信頼性を高め、持続可能な社会の実現に期待できます。
(3) ISO45001
労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)に関する国際規格です。
建設業では、労働災害のリスクが高いため、従業員の安全と健康を守るための仕組みを整えることが重要です。
具体的には、現場でのリスクアセスメントの実施、安全教育の徹底、事故発生時の対応策の策定などがあります。
ISO45001の認証を取得することで、安全で健康的な労働環境を提供し、従業員の安心感と企業の信頼性の向上が期待できます。
(4) ISO50001
エネルギーマネジメントシステム(EnMS)に関する国際規格です。
建設業では、エネルギーの効率的な使用とコスト削減が求められます。
具体的には、消費エネルギーのモニタリング、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入などの取り組みがあります。
ISO50001の認証を取得することで、エネルギーコストの削減と環境負荷の低減を実現し、持続可能なエネルギー管理を実現し、組織の競争力を高めることが期待できます。
2.建設業においてISO認証は入札に関係することが多い
建設業においてISO認証は、入札に関係することが非常に多いです。
特に公共工事や大規模なJV(ジョイントベンチャー)では、ISO認証を取得していることが入札条件の一つとして求められる場合があります。
例えば、ISO9001を取得している企業は、品質管理の体制が整っていると評価され、信頼性が高まります。
また、ISO14001を取得している企業は、環境への配慮が行き届いていると見なされ、環境保護の観点からも評価されます。
多くの企業が入札に参加する中で、一定基準を設ける上でISOは第三者認証の規格として大きく寄与し、入札において有利な立場になったり、高い評価を得ることが期待できます。
3.建設業の会社がISO9001を認証するメリット・デメリット
(1)メリット
①品質管理の向上
品質管理の仕組みが整備され、施工品質の安定と向上が期待できます。これにより顧客満足度が高まります。
②プロセスの効率化
業務プロセスの標準化と改善が進み、無駄が削減されることで、業務の効率化が図れます。さらに、結果としてコスト削減にもつながります。
③入札や契約の優位性
公共工事や大規模プロジェクトの入札条件としてISO9001認証が求められることが多く、認証取得により入札や引き合い時に優位性が得られます。
④外部からの信頼性向上
国際規格に基づいて、第三者機関から評価を受けたことになり、顧客や取引先からの信頼性が向上します。
⑤従業員の資格取得を促進できることも
ISO9001の導入は、従業員の資格取得を促進するツールとなることがあります。力量表への資格の記載や、教育プログラムへの組み込みを通じて、従業員の意識向上を図ることができます。「施工管理技士〇名」などと具体的な目標を設定することで、組織全体のスキルアップ推進につながります。
(2)デメリット
①審査費用がかかる
ISO9001の新規取得及び認証維持には、審査費用がかかります。目に見えた中小企業にとっては負担となることがあります。
②人手・時間がかかる
新規取得及び認証維持のためには、社内の業務プロセスの見直しや文書化が必要であり、毎年の運用資料の作成には多くの人手と時間がかかります。
4.建設業におけるISO9001取得・運用を成功させるポイント
ポイントは、ルールや仕組みをシンプルに整えることです。
ISO取得は、マニュアルや記録が増えて大変だと思われがちですが、実は逆です。複雑な業務をシンプルにし、ルールを明確にすることで、業務効率化につながります
例えば、従業員の異動や退職時、外国人採用時でも、ルールブックさえあればスムーズに業務を引き継ぐことができます。万が一何かの事故が起こったときにも決まったフローに沿って対応できます。
周りの企業から「ISOは大変だ」と苦労している話を聞くかもしれませんが、本来はISOを導入することで、業務がスムーズになるケースがほとんどです。
また、複数の拠点を持つ企業では、点検のやり方や進め方、記録のフォーマットが拠点ごとに異なっているケースがありますが、ISO導入を機に点検方法を統一することで、業務の効率化につながります。そして、ISO事務局との連絡体制が確立され、コミュニケーションが円滑になることで、情報共有がスムーズに行われるようになります。
また、建設業ならではの業務である測定機器の校正は、要求事項として定めることで、PDCAサイクルを回して校正のタイミングを確実に管理することができます。
5.建設業におけるISO9001取得の事例
事例①:目標の考え方
建設業におけるISO9001取得の一環として、目標の設定が重要です。
例えば、ある建設会社では、施工品質向上のために具体的な目標を設定しました。
具体的には、年間の施工ミスを10%削減することや、顧客満足度を90%以上に維持することを目指しました。
これにより、全社員が共通の目標に向かって努力し、品質管理の意識が高まりました。
結果として、施工品質に対する意識が向上し、ミスが減り、顧客からの信頼度も厚くなるという結果になりました。
事例②:ITの活用
ISO9001取得に向けて、ITの活用が効果的です。
ある建設会社では、現場管理ツールを導入し、進捗状況や品質管理のデータをリアルタイムで共有できるようにしました。
これにより、現場とオフィス間のコミュニケーションだけでなく施主様とも情報連携がスムーズになり、問題が早期に発見・解決されるようになりました。
また、データの一元管理により、過去の施工事例を活かすことができ、施工品質の向上に寄与しながらITの活用を推進しました。
事例③:内部監査の考え方
ISO9001取得において、内部監査の実施は欠かせません。
ある建設会社では、定期的に内部監査を行い、品質管理のプロセスを見直すことを徹底しました
具体的には、各プロジェクトの進捗状況や品質基準の遵守状況をチェックし、改善点を洗い出しました。
さらに、監査結果を全社員にフィードバックし、全体の品質意識を高める取り組みを行いました。
このように、内部監査を通じて品質管理体制を強化することにも期待できます。
6.建設業におけるISO9001取得のよくあるご質問
ISO9001認証取得はハードルが高いイメージが強く、よく質問される内容は
ISOのこと何もやってないけどうちでも取得できるの?」
といったご不安の声です
ここまで説明してきましたように、実態でやっていることを活かしながら仕組みを構築すれば問題なく進められます。
他にも、以下のような様々なお問い合わせが日々寄せられています。
- 「急にISOの担当者に任命されたんだけど、何から始めればいいの」
- 「社内でISOを分かる人が誰もいない場合、どうすればいいの」
- 「入札に有利になるけど、ISOの取得って難しい」
- 「通常業務をしながらでもISO9001を取得できるの」
- 「維持管理が大変って聞いたけど続けていけるのか」
- 「現場資料こんなに作ってるけどまだ作るものあるの」
[まとめ
最後に、建設業におけるISO9001認証取得のコツをおさらいします。
官公庁や民間からの工事受注に必要な書類を有効活用し、多忙な現場に負担をかけないルール作りをしましょう。
成果を出すために必要なルールを整理整頓し、効率的に運用することが重要です。
これにより、品質管理の向上と業務の効率化を実現できます。
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