2025年4月22日

目次
- 1.ISO14001の有効期限は3年。
- 2.なぜISO14001の有効期限は3年なのか
- (1)継続的改善の促進
- (2)組織や環境の変化への対応
- (3)信頼性の維持
- (4)国際的な標準化
- 3.1回目の維持審査の流れ
- ① 内部監査・マネジメントレビュー
- ② 不適合措置の確認
- ③ 苦情処理の確認
- ④ ISOの登録マーク、シンボルデータの確認
- 4.2回目の維持審査の流れと1回目との違い
- (1)2回目の維持審査の流れ
- (2)1回目との違い
- (3)1回目と2回目の審査における注意点
- 5.更新審査の流れ
- ① オープニングミーティング
- ② トップインタビュー
- ③ 管理責任者に対するヒアリング
- ④ 現場視察
- ⑤ 部署ごとのヒアリング
- ⑥ 更新審査の総括
- ⑦ クロージングミーティング
- 6.ISO14001の有効期限切れになった場合
- (1)有効期限切れになった場合の影響
- (2)有効期限切れになった場合の再認証の手続き
- 7.まとめ
「ISO14001の有効期限っていつまで?更新の流れがよくわからない」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001は、環境への配慮を示す認証です。
しかし、有効期限や更新手続きについて正しく理解していないと、期限切れによるトラブルや認証の失効といったリスクが生じる可能性があります。
この記事では、ISO14001の有効期限の確認方法から、更新手続きの流れ、注意すべきポイントまでをわかりやすく解説します。
最後までお読みいただくことで、ISO14001の更新に必要な知識を身につけ、スムーズに更新手続きを進めるための準備が整います。環境への取り組みを継続し、企業の信頼性をさらに高めるための一歩を踏み出しましょう。
1.ISO14001の有効期限は3年。

ISO14001の有効期限は3年間です。
有効期限は「ISO認証書(登録書)」に記載されています。
有効期限は、3年間ですが、審査は毎年受ける必要があります。
取得後、翌年と2年後に実施されるのが維持審査で、3年目に行われる大きな審査が更新審査です。
その後は、更新審査の翌年から再び維持審査を受けるというサイクルが繰り返されます。
(なお、審査の名称は「維持審査」や「定期審査」など、審査機関によって異なる場合があります。)
次に、審査内容の違いについてですが、維持審査では主に前回の審査以降の運用状況が確認されます。
一方、更新審査では3年間分の運用状況が審査されるため、維持審査よりも審査員の人数や審査日数が増えることが一般的です。
そのため、「更新審査はこんなにも時間や手間がかかるのか」と感じるかもしれませんが、これは審査規定に基づいて必要な工数となっています。
区分 | 維持審査 | 更新審査 |
目的 | 認証取得後、システムが継続して適切に運用されているかを確認する | 認証の有効期限が切れる前に、3年間の運用状況を総合的に評価し、認証の更新を決定する |
頻度 | 通常、年に1回(更新審査を受ける年を除く) | 3年に1回 |
審査費用 | 前回の審査以降の運用状況の確認、記録の確認、一部の要素の審査 | 全ての要素を対象とした詳細な審査 |
期間 | 半日~1日程度 | 数日 |
2.なぜISO14001の有効期限は3年なのか
(1)継続的改善の促進
ISO14001は環境マネジメントシステムの継続的な改善を重視しています。
3年ごとに認証の更新審査を行うことで、企業が環境パフォーマンスを定期的に見直し、改善を続ける仕組みを確保しています。
(2)組織や環境の変化への対応
企業の活動や外部環境(法規制、技術、社会的期待など)は時間とともに変化します。
3年という期間は、これらの変化に対応し、システムが適切に運用されているかを確認するための適切なサイクルとされています。
(3)信頼性の維持
認証の有効期限を設けることで、企業がISO14001の要求事項を継続的に満たしていることを第三者が定期的に確認します。これにより、認証の信頼性が維持されます。
(4)国際的な標準化
ISO認証の多くは3年の有効期限を持つことが一般的です。
これは、国際的な標準化の一環として、審査や更新のサイクルを統一するためです。
3.1回目の維持審査の流れ
ISO14001認証取得から1年後、1回目の維持審査が行われます。
維持審査では主に以下のような流れで、審査が実施されていきます。

ISO14001認証取得から1年後に実施される1回目の維持審査では、認証取得後の運用状況が適切であるかを確認するため、以下の流れで審査が進められます。
① 内部監査・マネジメントレビュー
維持審査では、内部監査とマネジメントレビューが適切に実施されているかが確認されます。内部監査では、環境マネジメントシステム(EMS)が規格要求事項を満たしているか、また運用が効果的であるかを評価します。
一方、マネジメントレビューでは、経営層がEMSのパフォーマンスを評価し、必要な改善策を検討しているかが審査の対象となります。
② 不適合措置の確認
過去の内部監査や外部審査で指摘された不適合事項に対して、適切な是正措置が取られているかが確認されます。
不適合の原因分析や再発防止策が十分に実施されていることが求められます。
③ 苦情処理の確認
顧客や関係者から寄せられた苦情や問い合わせに対して、適切な対応が行われているかが審査されます。
苦情の記録や対応状況、改善策の実施状況が確認されるため、これらの情報を整理しておくことが重要です。
④ ISOの登録マーク、シンボルデータの確認
ISO14001の登録マークやシンボルデータが、規定に従って正しく使用されているかが確認されます。
不適切な使用がある場合、是正が求められるため、事前に使用状況を点検しておくことが推奨されます。
これらの項目を事前に準備し、適切に対応することで、維持審査をスムーズに進めることができます。
4.2回目の維持審査の流れと1回目との違い

(1)2回目の維持審査の流れ
1回目の維持審査のさらに1年後、要するに認証取得から2年目に2回維持審査が実施されます。
1回目の維持審査とそれほど内容は変更はありません。
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ISO4001取得/更新コンサルティング
(2)1回目との違い
【1回目】
- システムの定着状況
ISO14001の仕組みが企業内にしっかりと根付いているか、従業員が環境マネジメントシステムを理解し、実践しているかなどが重点的にチェックされます。
- 文書化
環境方針、手順書、記録などが適切に作成され、運用されているかを確認します。
- トップマネジメントのコミットメント
トップマネジメントが環境問題に関心を持ち、環境マネジメントシステムの推進を積極的に支援しているかを確認します。
【2回目】
- 継続的な改善
1年目の審査で指摘された改善点に対する対応状況や、新たな改善活動が実施されているかを確認します。
- 効果測定
環境パフォーマンスの改善効果が数値データなどで示されているかを確認します。
- 従業員の意識向上
環境に関する従業員の意識向上活動が実施されているかを確認します。
(3)1回目と2回目の審査における注意点
【1回目】
- 文書化の徹底
- 従業員への教育
- トップマネジメントのコミットメント
【2回目】
- 改善計画の実行
- 効果測定
- データに基づいた意思決定
5.更新審査の流れ
更新審査は、有効期限の2カ月前ほどに事前に協議して決められた日程にて開催され、1日かけて行われます。
更新審査に合格することによって、また次の3年間ISO14001認証を更新して保持することができます。
更新審査の内容は取得したISO14001認証の規格によって異なるため、どのような流れで行われるかはその時の状況によります。
以下に、更新審査の一例として流れをまとめました。 ①~⑦までの工程で更新審査は終了となり、審査員が判定委員会に登録更新推薦を行い、合格した場タイミングで登録証の更新が行われます。

① オープニングミーティング
出席者の簡単な自己紹介から始まります。
審査員の人から名刺を求められることもあるため、事前に用意しておきましょう。
② トップインタビュー
代表者が3年間の運用状況について、インタビューを受けます。
具体的には、現在の売り上げ状況、ISO14001認証のプログラムを運用している業務、ISO14001認証取得に関する取り組み後に起きた変化などについて聞かれるケースがあります。
③ 管理責任者に対するヒアリング
審査員が作業手順書の改訂・更新、教育訓練の実施報告書、品質管理月報などの文書を確認し、気になる事案に関して、管理責任者に指摘します。 社内のISO事務局が同席することも可能です。
④ 現場視察
審査員が更新審査のために実際に作業をしている作業員の姿を見ながら、グループを担当する事務局メンバーへ色々と質問があります。 3年目の更新審査においては、要求事項のすべての項目がチェックされます。
⑤ 部署ごとのヒアリング
部署ごとの実態をヒアリングします。
⑥ 更新審査の総括
更新審査に参加した人が集まり、審査員から簡単な講評が行われます。
観察事項や不適合を指摘された場合は、更新のために改善策を社内で検討していく必要があります。
⑦ クロージングミーティング
ISOの審査機関は問題の有無によらず、常に現状維持以上の改善を求めていきます。
そのため更新時に、次回さらに良いマネジメントシステムをどのようにすれば運用できるか審査員からアドバイスを受け、一緒に次期の更新目標を策定していきます。
6.ISO14001の有効期限切れになった場合
(1)有効期限切れになった場合の影響
ISO14001の認証には有効期限があり、通常は3年間とされています。
有効期限が切れてしまうと、企業にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、法的義務の不履行、顧客からの信頼低下、従業員のモチベーション低下、競争力の低下といった問題が生じることが考えられます。
① 法的義務の不履行
ISO14001の認証取得は法的に義務付けられているわけではありませんが、多くの企業が顧客からの信頼獲得や事業継続計画の一環として取得しています。
有効期限が切れることで、これらの目的を達成することが難しくなる可能性があります。
② 顧客からの信頼低下
ISO14001の認証は、企業が環境に配慮した活動を行っていることを示す重要な証明です。
有効期限が切れると、顧客からの信頼を失い、取引先との関係が悪化するリスクがあります。
③ 従業員のモチベーション低下
環境マネジメントシステムの構築や運用に携わってきた従業員にとって、認証の有効期限切れは、これまでの努力が無駄になったと感じさせ、モチベーションの低下を招く可能性があります。
④ 競争力の低下
環境への取り組みが企業の競争力に直結する現代において、ISO14001の認証がないことは、競合他社との差別化を図る上で不利になる可能性があります。認証の有効期限切れは、企業の競争力を損なう要因となり得ます。
以上のように、ISO14001の認証有効期限を切らさないことは、企業の信頼性や競争力を維持するために非常に重要です。
(2)有効期限切れになった場合の再認証の手続き
有効期限が切れてしまった場合でも、再認証を受けることは可能です。
再認証の手続きは、新規認証の手続きとほぼ同じ流れで進められます。
①審査機関への連絡
まず、これまで利用していた審査機関に連絡し、再認証を希望する旨を伝えます。
②書類の準備
新規認証と同様に、必要な書類を準備します。
これには、環境マネジメントシステムに関する文書や記録が含まれます。
③審査の実施
審査機関が企業を訪問し、環境マネジメントシステムの運用状況を確認する審査を実施します。
④是正処置
審査の結果、不適合が指摘された場合は、是正処置を行い、改善内容を審査機関に報告します。
⑤認証の発行
是正処置が完了し、審査に合格した場合、改めて認証が発行されます。
再認証の手続きには時間がかかる場合があるため、早めの対応を心がけることが重要です。
7.まとめ
本記事では「ISO14001の有効期限と更新の流れ」について解説しました。要点を以下にまとめます。
ISO14001の有効期限について、以下を解説しました。
- 有効期限は3年間で、取得後1年目と2年目に維持審査、3年目に更新審査が行われる
- 更新審査では3年間分の運用状況が審査され、維持審査よりも審査員の人数や日数が増えることが一般的
有効期限が3年である理由について、以下を解説しました。
- 技術革新や社会の変化に対応し、環境マネジメントシステムを最新の状態に保つため
- 組織の成長や変化に合わせて、環境への影響を評価し、適切な対策を講じるため
- PDCAサイクルを回し、継続的な改善を実現するため
維持審査と更新審査の流れについて、以下を解説しました。
- 維持審査では、内部監査やマネジメントレビュー、不適合措置、苦情処理の確認が行われる
- 更新審査では、3年間分の運用状況を審査し、次の3年間の認証更新が行われる
有効期限切れの影響と再認証の手続きについて、以下を解説しました。
- 有効期限切れは、顧客からの信頼低下や競争力の低下など、企業にさまざまな影響を及ぼす
- 再認証は新規認証とほぼ同じ手続きで進められるため、早めの対応が重要
本記事を参考に、ISO14001の有効期限や更新の流れを正しく理解し、スムーズな認証取得および運用を進めていただければ幸いです。
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