2025年9月1日

PマークとISMSの違いは、個人情報保護なのか情報セキュリティ全般なのかです。
PマークとISMSは考え方や目的・準拠している規格・適用範囲等が全く異なり、Pマークは個人情報に特化して深いイメージ、一方ISMSは(個人情報も含めた)情報セキュリティ全般を守っていくイメージを持つとよいです。
同じように思えますが、PマークとISMSの違いを正しく認識し、自社の目的に合った選択をしましょう。
目次
Close
1.PマークとISMSの概要

(1) Pマーク
Pマークとは、個人情報の適切な取扱いを行う事業者として認定されたら付与されるマークです。
「プライバシーマーク」が正式名称ですが、「ピーマーク」と呼ぶことも多いです。2025年8月現在、取得企業数は17,740社です。
日本国内でのみ通用するマークです。
(2) ISMS
ISMSとは、組織が情報資産を適切に保護し、情報セキュリティを確保するための一連のプロセスや手法を指します。
情報セキュリティマネジメントシステム( Information Security Management System )の略称です。
認証する規格の名称はISO27001というISO規格です。2025年8月現在、取得企業数は8,232社です。
2.PマークとISMSの違い一覧表
PマークとISMSの違いを表にしてみました。それぞれの違いについて、詳しくみていきましょう。
規格 | ISMS(ISO27001) | Pマーク(プライバシーマーク) |
---|---|---|
対象事項 | 情報資産全般 | 個人情報のみ |
グレード | 国際規格 グローバル視点で評価に値する | 国内規格 |
認証の範囲 | 事業・事業所・部門単位での取得も可能 | 1社全体(全部署・全従業員) |
認証までの期間 | 4~6か月 | 6~9か月 |
業界・市場 | IT業・ソフトウェア業・メーカーなど B to B取引や大手企業との取引に使われる | 人材派遣業・広告業・印刷業・社労士・ 通販業 など B to C 取引で一般ユーザーを対象にしている |
審査の違い | ■簡単 ①審査時に、「広く・浅く」見られる ②リスクに応じて対策が打てる、ルールに自由度有 ③認証範囲を選べる(全社・事業部・拠点等) ④審査機関すべて価格が違う=競争原理ある ⑤審査日数が対象人数に応じて変わる ⑥コンサルタントの審査立会が可能 | ■難しい ①審査時に「狭く・深く」見られる ②個人情報保護を基準に平均的なリスク対策が必要 ③組織全体で認証 ④審査機関すべて価格が同じ=競争原理なし ⑤審査が1日で終わる ⑥審査は従業員のみが立会可能 |
審査の頻度 | 3年に1回更新 審査は毎年1回以上 | 2年に1度 |
審査機関の対応スピード | 早い | 遅い 申請から審査まで3か月かかるケースも |
取引要件として | ISO27001が取引要件= × Pマーク取得 →Pマークを持っていても、 要件として包括されない | Pマークが取引要件= 〇 ISO27001認証 → ISO27001(ISMS)なら、 Pマークを包括できるケースが多い |
(1)保護対象の違い
まず、PマークとISMSでは、保護する対象が異なります。
Pマークは企業全体の個人情報保護を目的としているのに対し、ISMSは企業が自由に設定した範囲内の情報資産(個人情報を含む)のリスク対応を目的としています。
そのため、ISMSはPマークよりも企業内における保護範囲が広く、マネジメントシステムの構築に時間を要することが多いです。また、Pマークは個人情報保護に特化しているため、その他の情報資産の保護は含まれません。
(2)規格のグレードの違い
続いて、規格のグレードについて比較してみましょう。
PマークとISMSは、それぞれ異なる規格に基づいています。
Pマークは、日本のJISQ15001規格に基づいて運用されています。これは個人情報保護法を基にした規格で、国際規格に準拠しているわけではないため、Pマークの適用範囲は日本国内に限られます。
一方、ISMSは、国際的な標準規格ISO /IEC27001に準拠しており、日本ではJISQ27001の規格に基づいて運用されています。
これにより、ISMS認証を取得した企業は、国際規格に適合した運営を行っていると認識されます。
そのため、国際的な取引がある企業は、世界基準で情報セキュリティが承認されるという理由で、ISMSを認証取得するケースが多いです。
(3)認証の範囲の違い
最後に、認証の範囲を比較してみましょう。
Pマークは企業ごとの取得しか認められていないため、必ず会社全体(全部署・全従業員)を認証範囲とし、全ての部署が規格に従う必要があります。
一方、ISMSは対象範囲を限定して認証を取得できるため、情報資産が少ない部署を除外することが可能です。そのため、「〇〇部のみでの認証取得」や「〇〇工場のみでの認証取得」など、認証範囲を設定することができます。
3.要求している内容の違い
PマークとISMSは、情報セキュリティと個人情報保護の両面に焦点を当てていますが、それぞれの要件には微妙な違いがあります。
Pマークは個人情報の保護に焦点を当てており、その規格は厳格に定められています。
プライバシーマーク認証を受ける企業は、個人情報の取り扱いに関する規格に従って運用することが求められます。
そのため、Pマークを取得する企業は、同じ規格に基づいて運用されており、管理方法において一定の統一性が見られます。柔軟性は相対的に低く、規格外の運用は認められません。
一方、ISMSは、情報資産に対するリスク管理や対応が中心です。
そのため、組織には自身のリスクやニーズに合わせて、適切な管理体制や仕組みを構築することが求められます。
また、要求内容に対するアプローチ方法は比較的柔軟であり、企業は独自の手順や文書を作成することが可能です。
要するに、Pマークは個人情報の保護に厳格な規格が適用され、標準化された運用が求められる一方、ISMSは組織のニーズに合わせて柔軟に対応できます。
4.セキュリティ対策の違い
PマークとISMSは、セキュリティ対策において異なるアプローチを持っており、ISMSの方がより柔軟な対策が可能です。
Pマークは、企業の状況に応じた個人情報保護のセキュリティ対策が求められ、ISMSと似ているように見えます。しかし、既定の手続きに従った運用が必要です。
たとえば、Pマークでは個人情報を取得する際、利用目的を明記した同意書の取得が必須です。ただし、対策方法が指定されており、取得時には特に考慮することなく、指定された対策を実施すれば良いという特性があります。
それに対して、ISMSは93の具体的な管理策から、企業の規模や情報資産、コストパフォーマンスを考慮して選択する柔軟性があります。これにより、適切なマネジメントシステムを構築することが可能です。
また、ISMSでは、個人情報の取得方法は自社の体制に合わせて調整できます。
したがって、PマークとISMSはセキュリティ対策としては異なり、ISMSはより柔軟な対策が可能となります。
5.審査の違い
審査の際の違いを大きく2項目に分けて紹介します。

(1)審査での要求の違い
Pマークの要求
・企業内のすべての個人情報の取扱いが審査の対象
保有する個人情報を保護することを要求しているので、手順や作成する文書などが規格(JISQ15001)で定められています。
枠組みから外れた場合は認証取得することができません。
ISMSの要求
・情報資産全般が審査の対象
情報資産を保護するための仕組みや体制づくりを要求しており、定められている手順はないので企業内の情報資産に対して93項目ある審査のポイントを元に自社の体制に合わせた文書やルールを作成することができます。
(2)更新タイミングの違い
Pマークの更新
・取得後は2年ごとに更新審査を受ける必要があります。
ISMSの更新
・更新までの期間に1年に1度維持審査があります。
認定の期間は3年間ですが、毎年審査を受ける必要があります。
6.取得にかかる費用の違い
Pマーク取得とISMS取得では、かかる費用に大きな違いがあります。
最大の違いは、Pマークが全社での取得が必要なのに対して、ISMSは認証の範囲を設定できることで差が生まれる、という点です。
ISMSは、必要な部署や事業に絞って取得できることで費用を抑えることができるケースもあります。
Pマークの審査費用
・審査の費用は事業者の規模で変わる、新規取得時と更新時でも違いがある
▼規模の定義
業種分類 | 資本金の額または 総従業員数 | 小規模 | 中規模 | 大規模 |
---|---|---|---|---|
製造業・その他 | 資本金の額 総従業員数 | 2〜20人 | 3億円以下または 21〜300人 | 3億円超 かつ 301人〜 |
卸売業 | 資本金の額 総従業員数 | 2〜5人 | 1億円以下 または 6〜100人 | 1億円超 かつ 101人〜 |
小売業 | 資本金の額 総従業員数 | 2〜5人 | 5千万円以下 または 6〜50人 | 5千万円超 かつ 51人〜 |
サービス業 | 資本金の額 総従業員数 | 2〜5人 | 5千万円以下 または 6〜100人 | 5千万円超 かつ 101人〜 |
▼「新規取得」料金表
事業者規模 | 小規模 | 中規模 | 大規模 |
---|---|---|---|
申請料 | 52,382円 | ||
審査料 | 209,524円 | 471,429円 | 995,238円 |
付与登録料 | 52,382円 | 104,762円 | 209,524円 |
合計 | 314,288円 | 628,573円 | 1,257,144円 |
▼「更新」料金表
事業者規模 | 小規模 | 中規模 | 大規模 |
---|---|---|---|
申請料 | 52,382円 | ||
審査料 | 125,714円 | 314,286円 | 680,952円 |
付与登録料 | 52,382円 | 104,762円 | 20,9524円 |
合計 | 230,478円 | 471,430円 | 942,858円 |
ISMSの審査費用
・審査の費用は対象人数や拠点数により、段階的に価格が上がっていく
※ISMSは、審査機関により料金の変動がある場合があります。
人数/年 | 初回(新規) | 2年目(維持) | 3年目(維持) | 4年目(更新) |
---|---|---|---|---|
1~10 | 590,000 | 270,000 | 270,000 | 435,000 |
11~15 | 750,000 | 310,000 | 310,000 | 540,500 |
16~25 | 822,000 | 370,000 | 370,000 | 585,000 |
26~45 | 1,030,000 | 440,500 | 440,500 | 700,000 |
46~65 | 1,190,000 | 540,000 | 540,000 | 780,000 |
66~85 | 1,380,500 | 590,000 | 590,000 | 910,000 |
86~99 | 1,440,000 | 630,000 | 630,000 | 1,000,000 |
100~125 | 1,613,500 | 700,000 | 700,000 | 1,140,000 |
さらに詳細な審査費用、取得にかかる費用の概算が知りたい…
そんな方は是非お気軽にお問合せください。
7.取得されている業界・市場の違い
取得企業数、取得されている業界・市場や取引要件としての違いについて説明します。
Pマークの取得業界
Pマーク取得企業数は、全国で17,740社(2025年8月時点)です。
個人情報を取り扱うBtoCのサービス企業の取得が多く、人材派遣業、印刷業、士業、 ITシステム業と取得企業が続きます。
現在当社がサポートしている顧客企業の業界別の企業数は以下のようになっています。
- 物流業
- 227社
- 人材派遣
- 238社
- 印刷業
- 235社
- IT関連業
- 860社
取引先からの取得要求で取得を目指す企業が多いです。 また、公官庁の入札案件参加条件としてプライバシーマークが必要な場合もあります。
▼Pマークの取得の流れに関して詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ISMSの取得業界
ISMSの取得企業数は、日本で8,8,232社(2025年8月時点)です。
情報セキュリティ対策が安全である証明として取得している企業が多く、BtoCのサービス企業や、IT関連業が取得しています。
当社がサポートしているIT関連業の企業数は以下のようになっています。
- ITシステム関連業
- 860社
▼ISMSの取得の流れに関して詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
まだまだ疑問点がある…という方へ、
無料の解説資料を現在プレゼント中です!ぜひご活用ください。
8.結局どちらを取得した方が良いのか?
PマークとISMSのどちらを取得した方がいいのかについては、 その会社によって違います。
- 取引先からの要求や入札案件の入札条件として、どちらが求められているか
- 自社に必要なのは、個人情報保護なのか、情報セキュリティ全般の体制構築なのか
Pマークは、個人情報の取扱いにより特化した運用ルールを順守する必要があります。
そのため個人情報を多く扱うBtoCのサービス企業はプライバシーマークの取得を目指す企業が多いです。
ISMSは、情報セキュリティ対策が取られているかの認証マークになるためシステム開発や運用を行うITシステム業の取得が多いです。
ただし、情報セキュリティ対策の中には個人情報の取扱いも含まれるので個人情報の取扱いが多いからPマークの取得にした方がいいとは一概には言えません。
規格の違いを理解した上で、顧客要求に従ってPマークかISMSのどちらを取得するか決めるのが良いでしょう。
まとめ
PマークとISMSは似たような情報セキュリティに関する認証に見えますが、違う点も多くあります。
単純に「個人情報が多いからPマーク」、「個人情報は少ないからISMS」、「どうせやるなら個人情報も含むISMS」と、簡単に決めるのではなく、なぜ情報セキュリティに関する認証が必要なのか、取得の動機を確認した上で将来の展望からどちらの規格の取得・運用が有効であるかを判断しましょう。
Pマークコンサルタントに相談することにより、どちらの取得が良いかアドバイスも可能です。
ISO/Pマークの認証・運用更新を180時間も削減!
認証率100%の認証パートナーが無料問い合わせを受付中!

認証パートナーは8,000社を超える企業様の認証を支援し、認証率100%を継続してきました。
経験豊富なコンサルタントの知見を活かし、お客様のISO/Pマーク認証・運用更新にかかる作業時間を約90%削減し、日常業務(本業)にしっかり専念することができるようサポートします。
▼認証パートナーが削減できること(一例)- マニュアルの作成・見直し:30時間→0.5時間
- 内部監査の計画・実施:20時間→2時間
- 審査資料の準備:20時間→0.5時間
認証取得したいけれど、何をすれば良いか分からない方も、まずはお気軽にご相談ください。
← 記事の内容をまとめた動画はこちら!!
\ フォローしてね /
ISO・Pマーク(プライバシーマーク)に関することなら
何でもお気軽にご相談ください
今聞きたいこと、今すぐ回答!
最短即日・全国対応いたします!お問合せはこちらから
全国どこでもオンラインで対応!
気軽にご相談ください!相談予約はこちらから
お電話受付:平日9:30〜17:00
一目でわかる
認証パートナーのサービスご説明資料
8,000社以上の支援実績に裏付けされた、
当社サービスの概要を紹介しております。
資料の内容
- ・一目でわかる『費用』
- ・一目でわかる『取得スケジュール』
- ・一目でわかる『サポート内容』
Pマーク(プライバシーマーク)認証パートナー
サービスのご案内
認証パートナーの専門コンサルタントが御社の一員となって事務局業務を行います。
お客様の作業は審査機関との窓口役だけ。それ以外はすべてお任せください。
-
Pマーク
個人情報保護マネジメントシステム
高い保護レベルの個人情報保護マネジメントシステムを確立し、運用していることを示します。
認証パートナーなら、個人情報漏えい防止の観点も踏まえたサポートを実現します。Pマークの認証ページへ -
ISO9001
品質マネジメントシステム
品質マネジメントシステムは一貫した製品・サービスを提供し、顧客満足を向上させるための規格です。
認証パートナーなら、負担が増える形だけのISOではなく、より現場の実態に沿ったISOを実現します。ISO9001の認証ページへ -
ISMS・ISO27001
情報セキュリティマネジメントシステム
情報セキュリティマネジメントシステムは企業・組織の情報を守る規格です(ISMSとISO27001は同義)。
認証パートナーなら、情報セキュリティリスクへの対応計画、緊急時の対応計画踏まえPDCAサイクル回せるような仕組み作りを実現します。ISMS/ISO27001の認証ページへ -
ISO14001
環境マネジメントシステム
環境マネジメントシステムは環境を保護し、変化する環境状態に対応するための組織の枠組みを示します。
認証パートナーなら、課題になりがちな環境法令の対応についても一緒にサポート致します。ISO14001の認証ページへ -
ISO27017など各種対応規格
ISO27017やISO22000など各種規格もお得に 新規取得や運用・更新ができます。ご気軽にお見積りください。
ISO27017など各種対応規格ページへ -
複数規格の同時取得
ISOやプライバシーマークを同時に認証取得すると費用や工数を抑えることができます。安心してご相談ください
複数規格の同時取得ページへ