2026年4月8日

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ISO27701は、組織が扱う個人情報を適切に管理するための国際規格「PIMS(プライバシー情報マネジメントシステム)」です。
2025年10月の大幅な改訂により、従来のISO27001取得を前提とした仕組みから、ISO27701単独での認証取得が可能になるなど、より柔軟で導入しやすい規格へと進化しました。
近年、世界的にGDPR(EU一般データ保護規則)などの法整備が進む中、日本国内限定の「Pマーク」だけでは、グローバルな取引やクラウドサービスの信頼性を証明しきれない場面が増えています。
ISO27701を取得することは、法規制の遵守にとどまらず、国内外の取引先に対して「世界基準のプライバシー保護体制」を客観的に示す証となります。
例えば、海外展開を予定しているITベンダーや、最新のセキュリティ基準を求める大手企業と取引を行う場合、ISO27701の保有が契約を後押しするケースも少なくありません。
本記事では、ISO27701の基礎知識からPマークとの違い、取得までにかかる費用や具体的な8つのステップを網羅的に解説します。
1.ISO27701とはPIMS認証(プライバシー情報マネジメントシステム)に関する国際認証
⑴ISO27701の概要
ISO27701は、組織が扱う個人情報(PII:個人識別可能情報)を安全に保護・管理する仕組みである「プライバシー情報マネジメントシステム(PIMS)」の要件を定めた国際規格です。
2019年に初めて発行された当初は、情報セキュリティの基本規格である「ISO27001(ISMS)」を取得していることを前提とした「アドオン(拡張)規格」という位置づけでした。
ISO27001の土台の上に、プライバシー保護のルールを追加で乗せる形でのみ認証が認められていたのです。
⑵知っておきたい2025年の規格改訂
プライバシー保護に対する社会的な要求が世界中で高まったことを受け、2025年10月に規格の大幅なアップデート(ISO/IEC 27701:2025)が実施されました。
この改訂における最大の変更点は、ベースとなるISO27001を取得していなくても、ISO27701単独での認証取得が可能になったことです。これによって導入のハードルが下がり、企業は自社のビジネスモデルやセキュリティ課題に合わせて、より柔軟にプライバシー保護体制を構築できるようになっています
ISO/IEC 27701の新旧規格名は以下のとおりです。
- 旧規格名
- プライバシー情報マネジメントのための ISO/IEC 27001 および ISO/IEC 27002 への拡張
- 新規格名
- 情報セキュリティ、サイバーセキュリティ、プライバシー保護 — プライバシー情報管理システム — 要求事項および指針
⑶ISO27701が生まれた背景
ITやクラウドサービスなどの普及に伴い企業は個人情報を大量に保持・処理するようになりました。
EUのGDPR(一般データ保護規則)など、世界各国で個人情報を守るための法整備が行われています。
法令に違反すると、罰金や社会的信頼を損なう危険性があります。
ISO27701が生まれた背景には、こうした国ごとに異なるプライバシーの規制に対し、包括的に対応できる枠組みを提供するためにISO27701が策定されました。
2.ISO27701とPマークの違い
日本の個人情報保護に関する認証といえば「Pマーク(プライバシーマーク)」が広く知られています。
ではISO27701との違いはどのようなものがあるのでしょうか。
わかりやすく表で比較します。
| ISO27701(PIMS) | Pマーク(プライバシーマーク) | |
|---|---|---|
| 規格のベース | 国際規格(ISO/IEC) | 国内のみ適応される規格(JIS Q 15001に準拠) |
| 適用できる範囲 | 特定の部署や事業所のみなど、限定して取得可能 | 法人全体での取得が必須 |
| 構築の柔軟性 | 自社の業務実態に合わせた自由度の高いルール設定が可能 | 規格で定められた手順や必須項目が多く、厳格 |
| 通用する地域 | グローバル(世界標準) | 日本国内限定 |
国内向けのBtoC事業をメインとしているなら、一般消費者に認知度の高いPマークが適しています。一方、海外企業との取引がある場合や、自社の業務フローに合わせた無駄のないセキュリティ体制を構築したい場合は、ISO27701の取得をおすすめします。
3.ISO27701とその他の情報セキュリティ規格との位置づけ
ISO27000シリーズと呼ばれる情報セキュリティ関連の規格は、目的や保護対象に合わせて細かく分かれています。それぞれの役割と関係性を整理しましょう。
- ISO27001(ISMS)
- シリーズの核となる規格。情報資産全般の「機密性・完全性・可用性」を保護する基本的なマネジメントシステム。
- ISO27017
- 対象範囲を「クラウドサービス」に限定した拡張規格。
- ISO27018
- 対象範囲を「クラウドサービス上の個人情報保護」に特化した拡張規格。
- ISO27701(PIMS)
- 対象範囲を「組織が取り扱うすべての個人情報・プライバシー」に特化した規格(※現在は単独取得にも対応)。
ISO27701は、単にデータを暗号化したりアクセス制限をかけたりする「セキュリティ対策」にとどまらず、情報の取得から廃棄に至るまでの「プライバシーの適切な取り扱い」にまで深く踏み込んでいるのが大きな特徴です。
4.ISO27701取得のメリット

ISO27701の認証を取得することで、企業には主に以下の3つのメリットがあります。
⑴各国のプライバシー関連法規への対応力が上がる
GDPRをはじめとする世界的な法令要件を満たした管理システムを構築できるため、コンプライアンス違反による重い罰則リスクを未然に防ぐことができます。
⑵取引先・顧客からの信頼向上と競合との優位性の確立
世界基準のプライバシー保護体制を運用していることの客観的な証明となります。
特にグローバル企業や大手企業とのビジネスにおいて、非常に強力なアピールポイントとして活用できます。
⑶従業員のセキュリティ意識の向上と社内統制の強化
管理ルールや運用マニュアルが体系化される過程で、社内全体の個人情報保護に対する意識が底上げされ、人為的ミスや内部不正による情報漏洩リスクを抑えることが可能です。
5.ISO27701取得がおすすめの企業
以下のような状況や特徴を持つ企業には、ISO27701の導入を強く推奨します。
海外市場への進出をすでに行っている、または今後計画している企業
EU圏内に拠点がある、あるいはEU圏のユーザーデータを扱っている企業(GDPRの対象となるため)
クラウドサービスやデータセンターを提供しているITベンダー
すでにISO27001の認証を持っており、さらに個人情報の管理レベルを一段階引き上げたい企業
6.ISO27701取得までの流れ8ステップ
ISO27701取得までの流れは概ね以下の8つのステップで進みます。
⑴取得に向けた準備(適用範囲の決定や必要に応じてコンサルサポートを依頼)を行う
取得に向けた準備として、社内への周知や担当者を選定します。
また適用範囲を決定し認証範囲を明確にします。
自社のみでの取得が厳しい場合は、必要に応じて信頼できるISOコンサルタントを活用するのも一つの手です。
⑵個人情報(PII)の特定とリスク評価
認証の対象となる事業や部署において、どのような個人情報を取り扱っているかを正確に特定します。
その後それぞれの個人情報に対して伴うリスクを分析・評価します。
⑶ルールと文書の作成
規格の要求事項を満たしつつ、適切に運用するためのルール(手順書、記録やマニュアル)を文書化します。
作成者、承認者、改訂日などを明確にし常に最新版が使用できる状態を保つのが重要です。
また、ルールの形骸化を防ぐために誰が見ても内容がわかるよう難しい言葉は使用しないようにすることがポイントです。
⑷運用
作成したルールやマニュアルに沿って、実際にPIMS(プライバシー情報マネジメントシステム)を日々の業務に落とし込みます。
単にルールを設けるだけでなく、従業員への教育・周知を徹底し、「個人情報の適切な取り扱いが実践されているか」「必要な記録が正しく残されているか」を組織に定着させることが重要です。
⑸内部監査の実施
PIMSの運用状況がルールやマニュアルに従って運用できているかを、社内で定期的にチェックします。
この際、客観性を保つために「自分の所属部署以外の人間が監査を行う」など独立した視点を持つことが求められます。
もし問題点(不適合)が見つかれば、原因を究明して改善(是正処置)につなげます。
⑹マネジメントレビューの実施
内部監査の結果や日々の運用状況を経営層(トップマネジメント)に報告し、PIMS全体が有効に機能しているか、自社のビジネス環境に合っているかを評価します。
経営目線から「改善に必要な人員や予算は足りているか」「ルールの見直しが必要か」を判断し、次なる改善へとつなげます。
⑺審査を受ける
外部の審査機関による審査を受けます。
審査は大きく2段階に分かれています。
- 一次審査
- ルールを定めたマニュアル等の文書類をチェックする
- 二次審査
- 現場へのインタビュー等を通じて実際の運用状況を確認する
もし審査員から不適合(規格の要求を満たしていない点)の指摘を受けた場合は、期限内に原因分析と是正対応を行います。
⑻認証取得
審査機関から是正対応を含めて問題ないと承認されれば、晴れてISO27701の認証取得となり、登録証が発行されます。
なお、一度取得して終わりではなく、認証の有効期間は3年間です。
取得後も年に1回の「維持審査(定期審査)」と、3年ごとの「更新審査」をクリアし続けることで、対外的な信頼を維持・向上させていきます。
7.ISO27701の審査について
ISO27701の認証を受けるには、認定された外部の審査機関によるチェックをクリアしなければなりません。通常の審査プロセスは、マニュアルやルールの構築状況を確認する「第一段階審査」と、
実際の現場でルール通りに運用されているかを見る「第二段階審査」の2ステップで進められます。
また、2025年の大幅な規格改訂により、認証取得のアプローチは以下の3パターンから自社に最適なものを選べるようになりました。
アドオン認証:すでに取得しているISO27001の定期審査等に併せて、追加規格として審査を受ける。
同時取得:これからISO27001とISO27701の2つを同時進行で新規取得する。
単独取得:ISO27001は取得せず、ISO27701のマネジメントシステムを一から構築して単独で新規取得する。
8.ISO27701を取得にかかる費用
取得に必要なコストは、大きくわけて以下の2つです
- 審査機関に支払う審査費用
- 専門のコンサルティング会社に支払う支援費用(任意)
これらの費用は「会社の規模(従業員数)」や「審査の対象とする事業所の数」、
「すでにISO27001を取得しているか」によって金額が大きく変わります。
すでにISO27001を運用している企業がアドオンとして取得する場合は、マネジメントシステムの土台ができているため、一から構築するよりもコストと作業工数を抑えやすい傾向があります。
9.まとめ
ISO27701は2025年の規格改訂によって単独取得が可能になり、より多くの企業にとって現実的な選択肢に変わりました。
自社の事業規模や今後の展開エリアを踏まえ、国内で浸透しているPマークを選ぶか、あるいは国際基準であるISO27701を取得するかを見極めることが大切です。
まずは社内でどのような個人情報を扱っているのか、現状の把握から始めてみてください。
本記事の比較や手順が、自社に合った認証制度を選ぶための判断材料になれば幸いです。
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