2025年12月25日

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「ISO9001においての力量は知識だけ身につければいい?」
「社員のスキルアップを大事にしたいが、どのように管理すれば良いかわからない」
そんなお悩みをお持ちな方は必見です。
ISO9001の肝となる「力量」という考え方を理解し実践することで、企業の製品やサービスの品質は劇的に向上し、社員一人ひとりの成長にも繋げることができます。
ここでは、ISO9001における「力量」とは何か、なぜそれが重要なのか、そしてどのようにして「力量」を管理・向上させていくのかを、具体的なステップを交えて解説していきます。
この記事を読み終えていただければ、力量についての正しい知識を身につけることができ、それにより、企業の製品やサービスなどの品質向上に繋げることができるでしょう。
1.ISO9001 力量は、業務に必要な知識・技能・資格・経験などの能力のこと

ISO9001における「力量」とは、仕事で良い結果を出すために必要な能力の全てを指します。
ISO9000シリーズでは、品質マネジメントシステムの用語で、『意図した結果を達成するために、知識及び技能を適用する能力』と定められています。
そして、この力量を組織全体で高めていくことが、継続的な品質向上の鍵となるのです。
(1)最高の品質を生み出すために「力量」は必要不可欠
どんなに素晴らしいシステムや機械があっても、それを使う「人」の能力が不足していれば、最高の品質は生み出せません。
ISO9001は、品質を支える上で、従業員一人ひとりの能力(力量)がいかに重要であるかを強調しており、組織がその力量を計画的に管理・向上させることが求められています。
つまり、ISO9001の「力量」とは、単に技術的なスキルだけではなく、品質に影響を与える業務を遂行する上で必要となる、知識、技能、経験、さらには問題解決能力やコミュニケーション能力といった、幅広い「能力」を指しているのです。
(2)力量はさまざまな要素から成り立っている
働くにあたって、求められる「力量」は職種によって異なります。
例えば、ITのプログラマーであれば、プログラミング言語の知識は必須ですが、その他にもソフトウェアの設計能力、チームで働く必要があれば、コミュニケーション能力も必須になります。
また、それだけではなく、ユーザーの要望を正確に理解したうえで、ソフトウェアに反映させる能力など、一言で力量と言っても様々な要素から成り立っているのです。
2.ISO9001:2015年版「力量」の要求事項について
ISO9001:2015の「力量」では、組織が「品質を高めるために、社員の能力をどう管理するか」について、4つの具体的な行動を求めています。
(1)2015年版の要求事項
まずは、ISO規格「7.2 力量」の要求事項を確認しましょう。
組織は、次の事項を行わなければならない。
a)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
b)適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
c)該当する場合には、必ず、必要な力量を身に付けるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。
d)力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する。
「ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項」引用
※注記
適用される処置には、例えば、現在雇用している人々に対する、教育訓練の提供、指導の実施、配置転換の実施などがあり、また、力量を備えた人々の雇用、そうした人々との契約締結などもあり得る。
これらの要求事項は、組織が品質を継続的に改善するために、社員の力量を計画的に高めていくための「具体的な行動指針」なのです。
(2)4つの要求事項を満たすための簡単な5つのステップ
ISO9001「力量」の4つの要求事項を満たし、実質的な品質向上に繋がる「力量」管理を行うためには、以下の5つのステップを踏むとより分かりやすくなります。
- ①業務に必要な力量を洗い出す
- ②社員の現在の力量を評価する
- ③力量のギャップを埋めるための教育訓練計画を立てる
- ④教育訓練を実施し、力量が身についたか評価する(有効性の評価)
- ⑤力量に関する証拠を文書として記録する
これらのステップは、力量の「明確化」から「確保」、そして「評価」と「記録」までの一連の流れを取り入れているため、計画・実行・評価・改善(PDCAサイクル)として回すことで、人材の教育や育成、製品やサービスの品質改善につなげることができます。
①業務に必要な力量を洗い出す
a)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
「ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項」引用
まず、会社で行われている全ての仕事や役割について、「この仕事をするにはどんな知識やスキルが必要か?」をリストアップし、必要事項を洗い出します。
a)の事項では、品質目標を達成するための順序を効率よく実施する必要があること、また、製品やサービスの要求事項を満たすために必要な、従業員の職務能力を明確にしなければならないことが明記されています。
品質目標の達成のためには、個々の業務に必要な職務能力を洗い出す必要があるのです。
②社員の現在の力量を評価する
b)適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
「ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項」引用
洗い出した力量項目に対して、社員一人ひとりが現在どのレベルの能力を持っているかを評価します。
b)の要求を言い換えると、a)で明確にした職務能力に適した要員をきちんと確保する必要がある、ということです。
評価は、自己評価、上司による評価、実技テスト、資格の有無など、複数の方法を組み合わせると公平性が高まります。
③力量のギャップを埋めるための教育訓練計画を立てる
現在の力量と、業務に必要な力量との間にギャップがある場合、そのギャップを埋めるための具体的な計画を立てます。
計画には、「誰が」「いつ」「何を」「どのように」学ぶのかを具体的に盛り込みます。
④教育訓練を実施し、力量が身についたか評価する(有効性の評価)
c)該当する場合には、必ず、必要な力量を身に付けるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。
「ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項」引用
c)の事項を具体的に説明すると、すべての従業員に、各自の役割や責任を果たすために必要な技能・訓練・教育及び経験を身につけるための機会が与えられ、管理職はその効果を確認する必要があるということです。
なお、成果がきちんと出ない場合は、従業員の成長に併せて適切な計画の見直し・教育・訓練を実施しなければなりません。
⑤力量に関する証拠を文書として記録する
d)力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する。
「ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項」引用
d)の事項では、力量を評価した際の結果(記録)を保管するよう要求したものになります。
力量評価記録と関連する記録として以下のものがあります。
- 社員ごとのスキルマップ(力量一覧表)
- 教育訓練計画書、実施報告書、参加者名簿
- テスト結果、評価シート
- 取得した資格の証明書
これらの5つのステップを確実に行うことで、会社は社員の能力を最大限に引き出し、結果として高品質な製品やサービスを提供し続けることができるようになります。
3.「力量」を管理するスキルマップの重要性について
「力量」管理を効果的に進めるには、スキルマップ(力量評価表)は欠かせない要素となります。
この評価表を活用することで、社員の成長を見える化し、組織全体の能力を底上げできます。
(1)スキルマップの作成方法
スキルマップを実際に作成するにあたり、必要な項目や内容を決めていく必要があります。
従業員数やスキル項目にもよりますがスキルマップの作成は簡単ではありませんので、どのような場面で活かしたいのか目的を明確にすることが重要です。
基本的な項目や内容の抽出は、以下の3つをベースに考えると設定しやすくなります。
- ①項目に盛り込むスキルの洗い出し
- ②スキルの分類や階層を決める
- ③スキルの評価方法や基準を決める
①項目に盛り込むスキルの洗い出し
業務の流れや工程に沿って、項目に盛り込むスキルの洗い出しを行います。
可能であれば、Excelやスプレットシートで管理すると共有、編集がしやすくなります。
また、スキルの洗い出しは管理者だけでなく、従業員にも協力してもらうと抜け漏れなく作成することができます。
②スキルの分類や階層を決める
スキルの洗い出し完了後、スキルの分類と階層を決めます。
スキルは製品ごとや工程ごとに分け、階層は3〜4つがオススメです。
決定する際の注意点として、スキルの階層が多すぎると管理が大変になってしまい、少ないと適正な評価ができないので、決めていくときには注意が必要です。
③スキルの評価者、評価方法を決める
スキルの評価方法で多く用いられるのは数字か記号です。
数値で評価をするとスキルの一覧が確認しやすくなります。
また、項目ごとに点数を集計し、図表などを作成するとスキルの見える化が簡単にできます。
(2)スキルマップはISO9001の定期審査でアピールできる
スキルマップの作成は、個人の実力や実績、特性などを「見える化」する手段として非常に有効です。しかし、組織に所属する全員を評価しようとすると、多くの手間と時間を要します。さらに、各部門や部署の評価を行う際には、上司や本人による評価や意思確認も必要となります。
とはいえ、力量管理をスキルマップで適切に運用していることは、ISO9001などの定期審査において有効なアピール材料となります。
したがって、手間や時間をかけてでもスキルマップを運用することは、組織にとって大きなメリットにつながるのです。
4.まとめ
本コラムでは、ISO9001における「力量」の重要性とその具体的な管理方法について解説しました。改めてポイントをまとめると、以下のようになります。
「力量」とは、仕事で良い結果を出すために必要な知識、技能、経験、そしてそれを発揮できる能力全般のことを指します。
しかし、働くにあたって必要な「力量」の要素は変わってくるため、企業側は従業員一人ひとりの「力量」をきちんと管理し、把握する必要があります。
「力量」を管理することは難しいのですが、そこでポイントとなってくるのが「①力量の明確化」「②現在の力量評価」「③育成計画」「④教育訓練と有効性評価」「⑤記録保持」の5つのステップになります。
この5つのステップを踏まえたうえで、作成が必要といわれるのがスキルマップです。
スキルマップを作成し、企業で働く従業員一人ひとりの「力量」を見える化することで、課題や改善内容もわかりやすくなり、品質向上にも繋がってくるのです。
「力量」の管理は、一見地味な活動に見えるかもしれませんが、社員一人ひとりの成長が組織全体の力となり、最終的には顧客からの信頼と満足、そして会社の持続的な発展に繋がる、非常に重要な活動です。
ぜひ本コラムで得た知識を活かし、会社の品質マネジメントシステムに役立ててください。
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