2019年6月17日
ISO9001:2015年規格改訂7.2項「力量」規格解釈とは何かをご説明します。
ISO90012015年規格改訂7.2項「力量」の部分の規格解釈という形でわかりやすくご案内していきます。
2015年版の要求事項
まずは2015年版の要求事項に書かれている部分を見てみましょう。
“組織は次の事項を行わなければならない。
a)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
b)適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を揃えていることを確実にする。
c)該当する場合には、必ず、必要な力量を身につけるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。
d)力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する。”
次に、2008年度版を見てみましょう。
“組織は,次の事項を実施しなければならない。
a) 製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員に必要な力量を明確にする。
b) 該当する場合には(必要な力量が不足している場合には),その必要な力量に到達することができるように教育・訓練を行うか,又は他の処置をとる。
c) 教育・訓練又は他の処置の有効性を評価する。
d) 組織の要員が,自らの活動のもつ意味及び重要性を認識し,品質目標の達成に向けて自らがどのように貢献できるかを認識することを確実にする。
e) 教育,訓練,技能及び経験について該当する記録を維持する”
項目が以前のものと比べると減っていますね。
以前は「6.2.2 力量,教育・訓練及び認識」で、今回はこれが細分化されて「7.2力量」と「7.3認識」とに分かれています。
今回はその力量のほうに焦点を当てて書かせていただきます。
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力量の規格内容3つのポイント
それでは、2015年度版の力量の規格内容を確認したところで、この難しい言葉を少し言い変えてみましょう。
規格内容のポイントを3つにまとめてみました。
1)仕事に必要な力量を決定し、力量があると確認したうえで仕事をさせること
2)力量が足りなければ力量を身につけさせること
3)力量、教育を行ったという証拠を文書化(文章、図、絵など)した情報として残すこと
まとめるとこんな感じです。
ではどんなことが求められているのかをこれから解説していきますね。
力量の規格内容を簡単にまとめ
人が仕事をするうえでは必ず結果を求められます。
特に品質に関して良い結果を出すと顧客の満足を得ることができます。
仕事で良い結果を出すためには、その仕事に求められる知識や技能などの力量を定めて仕事をする人に、その力量を身につけさせなければなりません。
力量を身につけさせる手段には、教育・訓練があります。
2008年度版には教育・訓練という文言がありますが、今回の2015年度版に書いていません。書いていませんが、内容としては含まれております。
また、教育訓練の他に力量を身につけている人を配置転換させることも一つの手段です。
組織内にいなければ、新たに採用するとか外部に委託することになります。
これらの力量を身につけさせる手段が本当に効果的であったか?すなわち所定の力量がもてたのか、あるいは力量を本当にもっているのかを確認する必要があります。
そして、力量の証拠として文書化した情報が求められています。
文書化した情報とは、文章での報告書、図や表、写真も文書化された情報となります。
教育テキストとテストだけでも大丈夫です。あらためて報告書を作成する必要もありません。
業界での例え
製造業の例では、設計に携わる人は設計に関する知識・技能がなければいけません。
製品に関する知識は当然のこととして、コンピュータ支援設計(CAD)、故障モード影響解析(FMEA)、品質機能展開(QFD)などが例としてあげられます。
サービス業の例としては、旅行会社のツアーガイドは訪問する観光地に関する知識は絶対必要ですね。
海外を観光する場合は語学力も必要となってきます。
資格なんかも良いですね。フォークリフト、一級建築士、測量士など仕事に必要不可欠な資格を会社として必須・推奨として取らせるというのもあります。必要な知識や技能のハードルを越えることができれば力量があるということになります。
最後に
今回は力量というものを何かテキストを配ってそれを確かめるテストをしなければならないと思っている方もいますので、力量の解説をさせていただきました。
今回は「ISO9001:2015年規格改訂7.2項「力量」規格解釈」というテーマで書かせていただきました。
また読んでいただけることを楽しみにしております。ありがとうございました。
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