2019年6月10日
ISO9001:2015 (QMS) 2015年度版の「8.7不適合なプロセスのアウトプットの管理」について解説します。
まずは要求事項を確認してみましょう。
要求事項
8.7 不適合なアウトプットの管理
8.7.1
組織は,要求事項に適合しないアウトプットが誤って使用されること又は引き渡されることを防ぐために,それらを識別し,管理することを確実にしなければならない。
組織は,不適合の性質,並びにそれが製品及びサービスの適合に与える影響に基づいて,適切な処置をとらなければならない。これは,製品の引渡し後,サービスの提供中又は提供後に検出された,不適合な製品及びサービスにも適用されなければならない。
組織は,次の一つ以上の方法で,不適合なアウトプットを処理しなければならない。
a) 修正
b) 製品及びサービスの分離,散逸防止,返却又は提供停止
c) 顧客への通知
d) 特別採用による受入の正式な許可の取得
-現状のままでの使用
-製品及びサービスのリリース、継続又は再提供
-特別採用に基づく合否判定
不適合なアウトプットに修正を施したときには,要求事項への適合を検証しなければならない。
8.7.2
組織は,次の事項を満たす文書化した情報を保持しなければならない。
a) 不適合が記載されている。
b) とった処置が記載されている。
c) 取得した特別採用が記載されている。
d) 不適合に関する処置について決定する権限をもつ者を特定している。
9001では、2008年版の7章(製品実現)の要求事項の大部分がこの章に含まれます。要求事項そのものはそれほど大きくは変わりません。
8.7は不適合なアウトプットの処理法として以下が示されている。
修正、製品及びサービスの分離,散逸防止,返却又は提供停止、顧客への通知、特別採用による受入の正式な許可の取得。また、8.7.1b)修正、製品及びサービスの分離,散逸防止,返却又は提供停止、
c)顧客への通知
何を言われているか。と言いますと!
8.7.1は不適合に対して対応してください!
当たり前ですね。皆さん、当然の如くやっていると思われます。
製造会社さんの例
製造会社さんを例にして見ましょう!
A社からB商品を4月10日までに80個の依頼あったとしましょう。
図面を確認して、個数を確認して、納期を確認して。製作して、出荷…しようと思ったら、不具合がある商品がいくつかあることが判明!
すでに納期の4月10日…こんな状況だったら何をしますか?
ねらいのとおりに行かなかったことを不適合といい、要求事項を満たしていないことを言います。
この不適合が検出された場合、まず不適合であることをきちんと明示し、識別しなければなりません。そして次のプロセスやお客様に誤って引渡しをしないように管理する必要があります!
上記の場合、不具合のある製品をお客様に引渡しをしてはいけません!最終の検査で見つかった不具合品はお客様に渡らないように管理する必要があります。不具合品であることをわかりやすく表示するなど、置き場を決めておくと良いでしょう。
また、何らかの処置が必要でもともとのお客様が要求したとおりに直す修正という方法があります。修正とは不適合を取り除くことです。た、謝って使用されないように分別したりどこかにまぎれてしまわないように防止策を施したり委託事業者などに返却したり、提供することをやめたりすることで対応できます。
誤って不具合品をお客様に引渡しをしてしまった場合や不具合品が出荷前に検出されたことによってお客様に迷惑がかかる場合などには迅速にお客様に通知しなければなりません。
例えば、今回の場合、お客様との約束の納期に不具合品が見つかったため、決った数を納期中に納品できないことをお客様に連絡します。
不具合品分を新しく製造しますが、お客様に現状を報告したところお客様はすぐ納品してもらった製品で作業に取り掛かりたい!今ある数だけ納品してくれ!とのことだったので、現状製造できた分を納品することで了承してもらいました。これを特別採用といいます。
要求事項では不適合(今回は不具合品が発見されたこと)やとった処置、特別採用の内容、不適合に対する処置を決定した権限をもとものに関して文書化した情報が求められています。一般的には「不適合報告書」「特別採用報告書」など企業ごとに様式名は様々ですが、こういった様式名が多いかと思います。
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