中小企業が成功を収めるためのSDGs経営のステップガイド
2023年10月3日
SDGs経営は中小企業にとっても当たり前のものとなってきつつあります。SDGs経営についてお悩みの経営者さまは多く、「どのようにSDGsを導入、運用したらいいか分からない」とたくさんご相談をいただきます。スムーズで効果的なSDGs経営で成功を収めるには、PDCAサイクルを回し、継続的に活動していくことが大切です。
1.SDGsとは何か
SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連総会で採択された2030年までの国際目標です。
これは、経済的な成長、社会的な包摂性、環境の持続可能性を三つの柱として、地球上の「誰一人取り残さない」世界を目指すための17の目標と169のターゲットから成り立っています。
SDGsの背景には、2000年から2015年までの国際目標であったMDGs(ミレニアム開発目標)があります。MDGsは、貧困削減や教育の普及、ジェンダー平等の推進など8つの目標を掲げていましたが、その達成状況は地域や目標により大きく異なり、多くの課題が残されました。
その結果、より包括的で普遍的な目標が求められ、全ての国が参画する形でSDGsが採択されました。SDGsは、先進国だけでなく途上国も含めた全ての国が取り組むべき目標とされ、環境問題や経済的な問題だけでなく、平和やジャスティスといった社会全体に関わる広範な課題を含んでいます。
2.なぜ中小企業にとってSDGs経営が重要なのか
SDGs経営とは、企業がSDGs(持続可能な開発目標)に貢献する活動を行うことを指します。
SDGs(持続可能な開発目標)は、地球規模の課題を解決するための国際的な目標であり、その取り組みは大企業だけでなく中小企業にとっても重要です。
中小企業がSDGs経営を行うことで、社会的な課題解決に貢献しながらビジネスチャンスを創出することが可能となります。また、SDGs経営を行うことで企業のブランドイメージ向上や、顧客や取引先からの信頼獲得にもつながります。さらに、SDGsに取り組むことは、企業の持続的な成長や新たなビジネスモデルの創出にも寄与します。
3.中小企業がSDGs経営を取り入れるメリット
SDGs経営には、次のようなメリットがあります。
①企業価値の向上、イメージ向上、競合他社との差別化
②新規ビジネスチャンスの開拓
③採用力強化
④従業員のモチベーションアップ
⑤入札時の加点や融資対象となるケースもある
4.SDGs経営の具体的な取り組み例
(1)環境に配慮した製品・サービスの提供
例えば、リサイクル可能な素材を使用した製品の開発や、エネルギー効率の良い製品の提供などがあります。
(2)地域貢献活動
地域の清掃活動や、地域の子どもたちへの教育支援など、地域社会への貢献活動を行うこともあります。
(3)従業員の福利厚生の充実
従業員の健康や幸福を重視し、福利厚生の充実を図ることも重要な取り組みです。例えば、健康診断の実施や、育児支援制度の導入などがあります。
5.PDCAサイクルでSDGs経営を導入する
以下のPDCAサイクルに沿ってSDGs経営を進めるとスムーズでしょう。
①まずはSDGsを導入する意思決定をする
↓
②PLAN 自社の活動を棚卸しし、SDGsと紐づけて説明できるか考えましょう
↓
③DO SDGs活動計画を作って実施する・従業員への浸透をはかる
↓
④CHECK 取り組み結果の評価とレポートを作成する
↓
⑤ACTION 改善案を出す・次の取り組みを計画する
6.中小企業が直面する可能性のある課題とその解決法
中小企業がSDGs経営を進める上で直面する可能性のある課題とその解決法を紹介します。
課題①:リソースの不足
中小企業は、大企業と比べて人的、金銭的なリソースが限られているため、SDGsに取り組むための新たな投資や人材の確保が難しい場合があります。
解決法
他の企業や地域との協力を通じて、リソースを共有し、相互に利益を得ることができます。また、地域のNPOや大学と連携し、専門知識や人材を活用することも有効です。
課題②:認知度・理解度の低さ
中小企業の中には、SDGsの具体的な内容やその重要性を十分に理解していない従業員もいるでしょう。
解決法
授業員向けにSDGsに関する教育や啓発活動を行うことで、理解度を高めましょう。また、外部の専門家を招いてセミナーを開催するなどの取り組みも有効です。
課題③:戦略の策定・実行
SDGsを経営に取り入れるためには、具体的な戦略の策定とその実行が必要ですが、これが難しいと感じる中小企業も多いです。
解決法
SDGsに関する専門家やコンサルタントの活用を通じて、具体的な戦略の策定や実行を支援することができます。
7.ESG投資とは?
ESG投資とは、企業の経済的なパフォーマンスだけでなく、環境・社会・ガバナンスの観点からも評価し、投資先を選定する手法のことを指します。
これらの要素を重視することで、企業の長期的な成長やリスク管理、社会的な責任を果たすことが期待されます。
・環境(Environment):企業が環境に配慮した活動を行っているか、環境負荷の低減に努めているかなどを評価します。具体的には、CO2排出量の削減、リサイクルの推進、自然破壊の防止などが評価対象となります。
・社会(Social):企業が社会貢献活動を行っているか、従業員や地域社会との関係をどのように築いているかなどを評価します。具体的には、人権の尊重、労働環境の改善、地域貢献活動などが評価対象となります。
・ガバナンス(Governance):企業の経営体制やリスク管理体制が適切に機能しているかを評価します。具体的には、コーポレートガバナンスの強化、リスク管理体制の整備、情報開示の透明性などが評価対象となります。
ESG投資は、企業が社会的な責任を果たしながらも経済的な成長を達成することを目指しており、SDGsの達成にも寄与するとされています。
8.CSR(企業の社会的責任)とは?
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が社会的責任を果たすことを指します。
これには、経済的な責任だけでなく、環境や社会に対する責任も含まれます。
具体的には、環境保護活動、地域社会への貢献、従業員の福利厚生の向上、企業倫理の遵守などがあります。CSRは企業の持続可能な成長と社会の持続可能な発展を両立させるための重要な取り組みとされています。
CSR(企業の社会的責任)とSDGs(持続可能な開発目標)は、企業が社会的な課題解決に取り組むためのフレームワークであり、両者は密接に関連しています。
CSRは、企業が自らのビジネス活動を通じて社会的・環境的な課題に対応し、社会と共に成長していくことを目指す考え方です。一方、SDGsは国際社会が共に取り組むべき17の目標と169のターゲットを設定し、それぞれの国や企業が自らの役割を果たすことで、地球規模の課題解決を目指しています。
CSR活動を通じて企業が社会貢献を行うことは、SDGsの達成にも寄与します。逆に、SDGsの目標を企業のビジネス戦略やCSR活動に取り入れることで、より具体的で効果的な社会貢献活動を展開することが可能となります。したがって、CSRとSDGsは相互に補完し合う関係にあります。
9.ISO14001とSDGsの関係
ISO14001とSDGsは、どちらも環境問題に対する取り組みを推進するためのものですが、その目的と対象範囲に違いがあります。
ISO14001は、組織が環境マネジメントシステムを設置し、環境負荷の低減や法規制の遵守、環境パフォーマンスの改善を図るための国際規格です。組織の環境に対する影響を管理し、環境保護に貢献することを目指しています。
したがって、SDGsは社会全体の持続可能性を目指す広範な目標を設定しているのに対し、ISO14001は組織の環境マネジメントに焦点を当てています。
こちらのコラムも是非ご覧ください。
【必見】SDGsにISO14001を活用する
まとめ
SDGs経営は、中小企業にとっても必要不可欠なものとなりつつあります。多くの経営者がSDGs経営について悩んでおり、「SDGsをどのように導入し、運用すれば良いのか分からない」という相談が増えています。
SDGs経営をスムーズかつ効果的に進め、成功を収めるためには、PDCAサイクルを適用し、持続的に活動を続けることが重要です。
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