取引先が弱点に? サプライチェーン全体を強化する方法!「止めない」「守る」を分かりやすく解説
2025年11月5日

「サプライチェーン強化」が経営課題として叫ばれて久しいですが、具体的にどのように強化すれば良いか、お悩みではありませんか?
近年、サイバー攻撃による事業停止リスクが深刻化し、自社一社の努力だけではサプライチェーン全体を守りきれない現実があります。
実は、現代のサプライチェーン強化には「止めない(レジリエンス)」と「守る(セキュリティ)」という、二つの重要な側面があります。
この記事では、なぜ今サプライチェーン強化が急務なのか、そして「止めない」「守る」を実現する具体的な方法、さらに経済産業省の最新動向(新評価制度)までを分かりやすく解説します。
本記事を最後までお読みいただくことで、自社が取り組むべき優先課題が明確になり、サプライチェーン全体のリスクに備えるための一歩を踏み出せるようになるでしょう。
1.サプライチェーンの強化とは「止めない」ことと「守る」こと

サプライチェーンとは、製品の原材料の調達から、製造、在庫管理、物流、販売を経て、最終消費者に届くまでの一連の流れを指します。このモノ・コト(サービス)の流れは、複数の企業が密接に連携することで成り立っています。
サプライチェーンの強化とは、この重要な流れを「止めない」ことと、流れを阻害する要因から「守る」ことという、二つの側面を意味します。
(1)止めないこととは?
「止めないこと」とは、自然災害、疫病、紛争による政治的混乱、あるいは急激な需要変動など、あらゆるリスクに適応・克服し、事業を継続する能力を高めることです。
この能力はサプライチェーン・レジリエンス(強靭性)と呼ばれ、市場の変動に対応し、競争優位性を獲得するための事業戦略の一つと位置付けられています。
供給源の多様化や、万が一のリスクに備えたバックアッププランの用意などが、レジリエンス強化の具体的な取り組みに含まれます。
(2)守ることとは?
「守ること」とは、特にサイバーセキュリティの脅威からサプライチェーン全体を保護することです。
サプライチェーンは、自社のみならず、取引先や関連企業までネットワークで繋がっているという特性から、セキュリティ対策が手薄な企業がサイバー攻撃の足がかりとされ、最終的に大企業へと被害が連鎖する「サプライチェーン攻撃」が深刻な脅威となっています。
セキュリティを強化することは、情報漏洩やシステム停止といったリスクを未然に防ぎ、ひいてはビジネスの継続と成長の土台を守るための不可欠な投資と言えます。
2.なぜサプライチェーンの強化が求められるのか
サプライチェーンの強化が求められる最大の理由は、サイバーセキュリティリスクの増大が、自社のみならず取引先全体の事業継続に深刻な影響を及ぼすようになったためです。
現代のサプライチェーンはデジタル化されており、一度の攻撃で基幹業務が停止する恐れがあります。そのため、サイバー攻撃を受けると事業そのものが停止し、売上の損失や顧客の信頼失墜といった深刻な打撃を受けることになります。復旧には1ヶ月以上を要し、復旧費用が1,000万円超となるケースも半数近くに達しています。
また、自社が攻撃された場合、その影響は取引先にも連鎖します。経済産業省の調査によると、中小企業がサイバー攻撃の被害に遭った場合、その約7割が取引先にも影響を及ぼしていることが判明しています。
参考元:METI/経済産業省
例えば、2025年10月には大手物流企業であるアスクル株式会社がサイバー攻撃を受けました。
ランサムウェアに感染し、受注・出荷・配送といった基幹業務を停止させたことで、事業継続に深刻な影響が及んでいます。
さらに、アスクルのITインフラに依存していた無印良品などの取引先にも被害が波及し、結果としてサプライチェーン全体の機能不全を引き起こす事態となりました。
このように、サプライチェーン上の一社の不備が、全体の事業継続を脅かすという現実が明確になった今、セキュリティ対策は待ったなしの経営課題となっています。
3.サプライチェーンを強化する方法
サプライチェーンを強化するには、「止めない」ためのレジリエンス強化と、「守り抜く」ためのセキュリティ強化をバランス良く推進することが重要です。
具体的に何をすれば良いかをご紹介します。
どちらかだけ強化するのではなく、自社の現状にあった進め方をしていきましょう。
(1) 止めないための方法(レジリエンス強化)
レジリエンスを高める主な方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 供給源の多様化
- 一つの供給源に依存する「単一障害点」を回避するため、複数の地域や企業から調達する体制を構築し、特定の供給源が途絶えても補填が可能な状態を作ります。
- BCP(事業継続計画)の策定と訓練
- 自然災害やシステム障害など、リスクが顕在化した場合に、中核となる事業を目標復旧時間内に再開するための計画を策定し、定期的に訓練を行います。重要な取引先に対しては、リスク発生時のバックアッププランを準備しておくことも望ましいです。
- 技術の活用(例:ブロックチェーン)
- 商品の原材料から最終消費者までの全過程を確実に追跡・可視化する技術(例:ブロックチェーン)を導入し、透明性と信頼性を高めます。
(2) 守るための方法(セキュリティ強化)
セキュリティを強化し、サプライチェーン攻撃から身を守るためには、組織的かつ体系的な管理体制の構築が不可欠です。
- 情報システム部門の業務強化
- セキュリティ対策の実効性を高めるには、現場を担う情報システム部門の強化が不可欠です。
- 専門知識の確保
- 高度化・巧妙化するサイバー攻撃に対応するためには、セキュリティやITインフラに関する専門知識が必要不可欠です。リソースや知識が不足している企業においては、外部の専門家による情シス業務代行や支援がリスク管理の鍵となります。
- 属人化の解消
- 特定の担当者のみが知識を持つ属人化は、事業停止リスクに直結します。適切なドキュメント化とナレッジ共有に加え、外部コンサルタントの支援を通じて組織的な体制構築を図る必要があります。
- 技術的対策の実施
- セキュリティ体制のフレームワークの構築と同時に技術的な対策も重要なポイントです。
- 脆弱性診断
- システムに対する技術的な防御も重要です。特に、ネットワークやシステムに潜むセキュリティホールを特定・修正するための「脆弱性診断(セキュリティ診断)」を定期的に実施し、自社の弱点と、サプライヤーを経由した攻撃の踏み台になるリスクを事前に排除することが求められます。
- ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の活用
- 国際規格であるISO/IEC 27001に基づいたISMSを導入し、組織的な情報セキュリティ管理体制を確立します。ISMSは、情報セキュリティのリスクを特定・分析し、適切な対策を講じるリスクベースの考え方を提供します。
4.新たな対策!セキュリティ対策評価制度が検討中
サプライチェーン全体のリスクを可視化し、対策を促すため、経済産業省より「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度構築に向けた中間取りまとめ」が公表されました。
この新たな制度は、2026年度の運用開始を目指し検討が進められています。
(1)セキュリティ対策評価制度ができる背景
この制度が検討される背景には、サプライチェーン攻撃の増加があります。連鎖的な被害を食い止めるためには、サプライチェーン全体でのセキュリティ水準の底上げと、リスク対策の状況を可視化することが不可欠です。
特に、セキュリティ対策にリソースが限られている中小企業にとっては、自社のリスクを踏まえた対策を行うことのハードルが高く、制度活用による効果が大きいとされています。
(2)「中間取りまとめ」の概要
サプライチェーン企業が目指すべきセキュリティ対策の段階を「★3」から「★5」までの3つの段階に区分することを想定しています。
メーカーだけではなく、大企業から中小企業まで業種問わず対応が求められます。
発注企業は、取引契約などにおいて、受注側(サプライチェーン企業)に適切な段階(★)を提示し、その対策を促すとともに、実施状況を確認することを想定しています。
- ★3(Basic)
- まずは企業が最低限やるべきセキュリティ対策ができているか。(自己評価)
- ★4(Standard)
- 標準的に目指すべきセキュリティ対策レベルに達しているか。(第三者評価で、幅広い範囲をチェック)
- ★5
- サプライチェーン企業が到達点として目指すべき対策であり、国際規格(ISMS適合性評価制度、自動車産業サイバーセキュリティガイドライン)におけるリスクベースの考え方に基づき、「常に改善し続ける仕組み」を作ることが求められる。
5.まとめ
サプライチェーン強化は、自社だけではなくサプライチェーン全体で対策が必要となります。
強化に取り組むことは、もはや単なるリスク対策ではなく、事業継続と競争優位性を確保するための経営戦略です。
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