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ISO42001認証(AIMS)取得への6ステップ|ISMSとの連携ポイントも解説

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2026年4月3日

ISO42001認証(AIMS)取得への6ステップ|ISMSとの連携ポイントも解説

ISO42001を取得することは、企業がAI技術を安全に活用し、顧客や社会からの確かな信頼を築くための有効な手段となります。

その背景には、AIにはハルシネーション(もっともらしい嘘を出力する現象)や判断プロセスのブラックボックス化といった特有のリスクが潜んでおり、これらを適切に管理する客観的な枠組みが社会的に求められている事情があります。

実際の導入にあたっても、すでにISMS(ISO27001)を運用している組織であれば、既存の仕組みにAI固有の評価項目を組み込むことで、現場の負担やコストを抑えながらスムーズに審査基準をクリアすることが可能です。

この記事では、ISO42001取得に向けて満たすべき主要な要求事項から、審査に合格するまでの具体的な6つのステップまでをわかりやすく解説していますので、自社のAIガバナンス構築にぜひお役立てください。

1.ISO42001取得に向けて満たすべき主要な要求事項

AIマネジメントシステム(AIMS)の国際標準であるISO/IEC42001は、AI技術を「安全かつ倫理的」に組織へ定着させるための枠組みです。
取得を目指す場合、以下のような要求事項をクリアする必要があります

⑴AI特有のリスクアセスメントと対策の実施

AI技術には、従来のITインフラには存在しなかった固有のリスク(学習データに潜む情報の偏り、判断プロセスの不透明性、意図しない出力など)が伴います。

規格では、こうした技術的な懸念だけでなく、人権や社会に及ぼす影響までを考慮した「AIシステム影響度評価」を含めたリスクアセスメントの実践が求められます。

自社のAI利用シーンに応じてリスクの大きさを測り、適切な管理策を設計することが不可欠です。

⑵透明性と説明責任を確保するプロセスの構築

AIが「なぜその判断をしたのか」という説明可能性(Explainability)や、開発・運用のプロセスを記録に残す透明性が重視されます。

AIの意思決定がブラックボックス化してしまうと、万が一インシデントが発生した際に原因究明ができない可能性があります。
開発段階からの履歴やデータの出所を追跡できるように記録を残し、万が一インシデントが発生した際にも、ステークホルダーに対して論理的に原因を説明できる体制を整備することが求められます。

⑶既存のマネジメントシステム(ISO27001など)との統合

ISO42001は、ISMS(ISO27001)などの既存規格と構造が共通しています。

すでにISMSなどを運用している組織であれば、既存の情報セキュリティ管理や内部監査のプロセスをベースに、AI特有の管理項目をアドオンする形でシステムを構築できます。

これにより、ゼロから仕組みを作る手間を省き、運用コストと社内工数を大幅にスリム化することが可能です。

2.ISO42001認証取得までの具体的な6つのステップ

一般的な企業規模において、認証取得までに要する期間はおおよそ6ヶ月から1年が目安となります。
プロジェクトは概ね以下の手順で進行します。

⑴取得準備とプロジェクトチームの立ち上げ(目安:1〜2ヶ月)

最初のステップは、経営トップによる「AI方針」の明文化と、全社的な推進体制の構築です。

AIの開発・運用部門だけでなく、情報システム、法務、リスク管理といった部門を横断したプロジェクトチームを結成し、適用範囲(スコープ)を決定します。

具体的に行うことは以下の3点です。

  1. 適用範囲(スコープ)の決定
  2. 部門横断チームの結成
  3. AI方針の策定

①適用範囲(スコープ)の決定

自社開発のAIサービスのみを対象にするのか、全社で利用している生成AI(ChatGPTなど)の業務利用も含めるのかを明確にします。

②部門横断チームの結成

情シスだけでなく、法務(著作権・規制対応)、事業部門(利用実態の把握)、リスク管理部門からメンバーを選定します。

③AI方針の策定

経営トップの意思として、「倫理的・合法的にAIをどう活用するか」という基本方針(AI方針)を定めます。

■ISMSとの連携ポイント
新たに「AI委員会」を作るのではなく、既存の「情報セキュリティ委員会」の中に「AI分科会」を設置するなど、会議体や推進体制を統合するとスムーズです。

⑵AIMS(AIマネジメントシステム)の構築と文書化(目安:3〜6ヶ月)

規格の要求事項と、規格内に示された具体的な対策リスト(附属書A)をベースに、自社に最適なルールや手順書を作成します。

ここでAIリスクアセスメントを実施し、「どの対策を自社に適用するか(または除外するか)」をまとめた適用宣言書を作成するプロセスが、実務上の大きな山場となります。

具体的に行うことは以下の3点です。

  1. AIリスクアセスメントの実施
  2. AIシステム影響度評価の実施
  3. 適用宣言書とルールの作成

①AIリスクアセスメントの実施

AI特有のリスク(ハルシネーション、バイアス、情報漏えいなど)を洗い出し、影響度と発生確率を評価します。

②AIシステム影響度評価の実施

AIが「個人(プライバシーや人権)」や「社会」に与える潜在的な影響を評価します。これはISO42001特有の重要なプロセスです。

③適用宣言書とルールの作成

洗い出したリスクに対し、附属書Aの管理策から何を適用するかを決定し、社内規程や運用マニュアルに落とし込みます。

■ISMSとの連携ポイント
ISMSの情報資産リスクアセスメントシートの横に、AI特有の評価軸(透明性、公平性、説明責任など)の列を追加するイメージで進めると、既存の台帳を活かしたまま一元管理が可能です 。

⑶内部監査(目安:2〜4ヶ月)

構築したルールが現場で守られているか、自社で客観的にチェックを行います。
不備があれば、本審査前に改善(修正)を行います。

具体的に行うことは以下の3点です。

  1. 社内教育と運用開始
  2. 内部監査の実施
  3. 是正処置

①社内教育と運用開始

従業員に対して、AI利用に関する新しいルールやガイドラインの教育を実施し、記録を残します。

②内部監査の実施

内部監査員が、各部署でAIの利用・開発プロセスがルール通りに運用されているかをチェックします。

③是正処置

監査で発見された不適合(ルールの形骸化や記録漏れ)に対して、原因を分析し、審査までに修正を行います。

■ISMSとの連携ポイント
ISMSの内部監査とISO42001の内部監査を同時期に実施(または統合)することで、現場部門が監査を受ける負担(拘束時間)を大幅に削減できます。

⑷マネジメントレビュー(目安:1ヶ月)

内部監査の結果や日々の運用状況を経営層に報告します。

トップマネジメントは報告内容をもとに、現在のAIマネジメントシステムが適切に機能しているかを評価し、必要に応じてリソースの追加やルールの見直しなどの改善指示を出します。

  1. 具体的に行うことは以下の2点です。
  2. インプットの準備
  3. トップからの指示(アウトプット)

①インプットの準備

内部監査の結果、AIに関連するインシデントの有無、外部環境の変化(新たなAI法規制の動向など)をレポートにまとめます。

②トップからの指示(アウトプット)

報告を受けた経営層が、システムの有効性を評価し、「ルールの見直し」「追加リソースの投入」などの改善指示を出します。

⑸一次審査(文書審査)(目安:1ヶ月)

審査機関による最初のチェックです。
主に「ルール(文書)が規格の要求事項を満たしているか」が確認されます。

  1. 具体的に行うことは以下の2点です。
  2. 文書の提出とレビュー
  3. 指摘事項への対応

①文書の提出とレビュー

策定したAIマニュアル、適用宣言書、リスクアセスメントの結果などを審査員が確認します。

②指摘事項への対応

「規格の要求事項に対して規定が不足している」などの懸念点が指摘された場合、第2段階審査までに文書を修正し、対応を完了させます。

⑹二次審査(現地審査)(目安:1〜2ヶ月)

審査員が実際に現場を訪れ(またはオンラインで)、ルール通りに運用されているかを確認します。
これに合格すれば、晴れて認証取得となります。

  1. 具体的に行うことは以下の2点です。
  2. 現場インタビューと運用記録確認
  3. 不適合の是正

①現場インタビューと運用記録確認

審査員が、情シス部門や開発現場の担当者に直接インタビューを行い、AIモデルの検証記録や、データ品質の管理状況、インシデント対応のログなどを確認します。

②不適合の是正

もし不適合が発見された場合は、所定の期限内に原因分析と是正処置計画を提出します。
認証の登録: 審査結果が審査機関の判定委員会で承認されると、晴れてISO/IEC 42001の認証書が発行されます。

■費用感の目安(中小規模の場合)

審査費用
年間約30万円〜150万円程度 。
コンサルティング費用
約50万円〜150万円程度(※外部支援を利用する場合)

その他、社内担当者の工数(人件費)がかかります。
費用について詳しくはこちらの記事で解説しています。

3.認証取得がゴールではなく継続的改善が必要

ISO42001の認証を取得することは、あくまで「スタートライン」に立ったに過ぎません。

AI技術は進化のスピードが極めて速く、また、学習データの変化に伴って実運用中にモデルの精度や挙動が変化する(モデルドリフト)という特有の性質を持っています。
そのため、一度決めたルールを放置するのではなく、以下の視点で継続的な改善を図ることが必須です。

①定期的な見直し

新たなAIツールの導入や、各国の法規制(EUのAI規則など)のアップデートに合わせて、社内のリスク評価や運用ポリシーを適宜更新していく必要があります。

②PDCAサイクルの構築

計画(Plan)、運用(Do)、評価(Check)、改善(Act)のサイクルを組織内に深く定着させることで、予期せぬリスクに直面した際にも柔軟かつ迅速に対応できる、強靭なガバナンス体制を維持することが可能になります。

4.まとめ

ISO42001の取得は、AI技術を安全かつ効果的に活用し、組織の信頼性を高めるために役立ちます。

ISMSなど既存のマネジメントシステムと連携させることで、構築の手間や運用コストを大きく抑えられます。

まずは経営トップを含めた部門横断のプロジェクトチームを立ち上げ、自社のAI利用実態とリスクを正しく評価することから始めてみてください。

また、認証の取得はゴールではありません。

日々のモデル精度変化や法規制のアップデートに合わせてルールを定期的に見直し、組織にPDCAサイクルを定着させていく姿勢が不可欠です。

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