2026年4月8日

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ISO9001の取得や運用を検討する際、「だれを担当者に任命すればいいのか」「特別な資格を持った人材が必要なのか」と悩む企業は少なくありません。
結論からいうと、ISO9001の担当者に法的な資格要件はありません。
これまでは「管理責任者」の任命が必須でしたが、ISO9001:2015ではその必要がなくなりました。
しかし、人選を誤るとISO事務局の運営がスムーズに進まないことがほとんどです。
ISO9001の担当者は、組織全体を見渡し、周囲を巻き込んで改善を進められる「部長・課長クラス」の人材が理想的であるといえます。
本記事では、ISO9001の運用担当者に適した人材の特徴や、求められる具体的なスキル、そしてISOを活用した人材育成のポイントについて詳しく解説します。
1.ISO9001運用担当者に向いている人材とは?

結論からお伝えすると、ISO9001の規格上、「この資格を持っていなければ担当できない」という法的な決まりはありません。
かつてのISO9001:2008年版では「管理責任者」の任命が必須でしたが、現在の2015年版ではその要求事項はなくなりました。しかし、だからといって「だれでも良い」わけではありません。
実務を円滑に進めるためには、組織全体を把握し、周囲を巻き込む力を持つ「部長・課長クラス」が最も適任です。
なぜ新入社員や若手社員では難しいのか、また具体的にどのようなスキルが求められるのか、詳しく解説します。
⑴資格要件はないが「組織への影響力」が必要
ISO事務局の仕事は、デスクワークだけではありません。
各部署の責任者に対してルールの遵守を求めたり、業務改善の指示を出したりする場面が発生します。
もし、業務内容を深く理解していない新入社員や、社内での発言権が弱い社員が担当した場合、現場のベテラン社員から「現場を知らないのに口を出さないでほしい」と反発を招く恐れがあります。
ISO9001を効果的に運用するためには、以下の要素を持つ人材が必要です。
- 業務フローの理解
- 一定の意思決定権
- トップマネジメントとのパイプ
- ①業務フローの理解
- 自社の仕事がどのように流れ、どこにリスクがあるかを把握していること。
- ②一定の意思決定権
- 現場からの要望に対し、その場で判断を下せる、あるいは上層部へ直接意見を通すことができる人。
- ③トップマネジメントとのパイプ
- 上記と重複する部分もありますが、社長や役員に対して、運用の状況や課題を直接報告し、足りないリソースについて要請できること。
⑵ISO9001事務局担当に向いている人材:3つの能力
ISO9001は通常業務と並行して行うことが多いため、以下のスキルが重要です。
- マルチタスク能力
- コミュニケーション能力
- 計画を期日通りに実行する能力
①マルチタスク能力
ISO担当者は、自身の本業(営業や製造など)を持ちながら、事務局業務を兼務するケースが大半です。
「通常業務が忙しいからISOは後回し」にしてしまうと、年に一度の審査前に膨大な記録整理に追われることになります。
日々の業務の中にISOの活動(記録の確認や手順の更新)を組み込み、「本業とISOを切り離さずに処理できる人」が理想的です。
②コミュニケーション能力
これは最も重要なスキルと言えます。ISO事務局は、製造、営業、総務など、利害関係の異なる部署の間に入り、ルールを統一しなければなりません。
一方的に「規格で決まっているからやってください」と押し付けるのではなく、現場の忙しさや事情を汲み取りながら、「どうすれば無理なくルールを守れるか」を一緒に考えることが求められます。
③計画を期日通りに実行する能力
年間計画に基づき、きっちりとタスクをこなせる人が担当者になるべきです。
ISO運用には「内部監査」「マネジメントレビュー」「審査(新規・更新)」など必要要素が多くあります。
そのため、ゴールから逆算し「いつまでに各部署のデータが必要か」「マネジメントレビューの日程調整」「いつ教育を実施するか」といった年間スケジュールを立て、遅れが出ないように進捗管理をする能力が不可欠です。
2.ISO9001担当者の具体的な仕事内容
ISO9001の運用とは、一言で言えば「PDCAサイクルを回し続けること」です。
担当者は、ただ書類を整理するだけでなく、組織全体が計画通りに動いているかを監視する必要があります。
具体的には以下の5つの業務が想定されます。
- ISO9001運用における計画立案
- 計画の実行
- 実行したものについての評価
- トップマネジメントからの指示の落とし込み
- 審査の対応
⑴ISO9001運用における計画立案
ISO9001だけでなく、ISO14001やISO45001でもその要求として、 運用の定期見直しや運用を行うための資源の確保、1年で実施すべき目標を定めようというものがあります。
毎年同じ目標や人材、金額、物質や時期に行うことも考えられますが、 改善のための手段として各項目の見直しや割当、年間で内部監査などを行うタイミングを事前に計画しておく必要があるというものです。
⑵計画の実行
⑴で立てた計画が、決めたルール通りに行われているかを確認し、必要に応じてサポートします。
新入社員や異動者に対し、ISOの基礎教育や業務手順の教育を実施(または現場責任者に依頼)します。
手順書の変更があった場合、最新版に更新します。
⑶実行したものについての評価
計画通りに実行した内容の妥当性や、規格要求事項から逸脱していないかなどチェックを行う必要があります。これが内部監査等ですが、これらが評価となります。
顧客からの監査があるような場合もここに含まれますが、あくまで組織内での実施項目と考えると、
管理者として実行し、内部監査を受けることや実施することが該当します。
⑷トップマネジメントからの指示の落とし込み
トップマネジメントからの指示の落とし込みは、PDCAサイクル最後のアクションにあたります。
適用範囲内で定められた代表者(必ずしも代表取締役であるということはありません)に1年に1度以上、運用の報告をして次年度に向けた指示を受ける必要があります。
指示に対して運用へどのように反映するかの計画を行いましょう。
内容によっては、人事編成や予算調整を行う必要があるかも知れません。
⑸審査の対応
ISO9001は、審査機関による審査を受けて取得できますので、当然その審査での対応や審査前後の審査員とのやり取りを行う必要があります。
審査は従業員人数や部門数、業種によって異なりますので、2日で審査が完了することもあれば、1週間審査を有する場合もあります。
その期間の対応を行うことについても、ISO9001を実施する人材として必要な仕事と言えます。
3.ISO9001担当者が持っていると便利なスキル・資格
ISO9001を行う人材には、特にスキルや資格は不要と紹介しましたが、持っていれば役に立つというスキルはあります。
以下に列挙するものはあくまで例ですが、保有しているものや取得予定のあるものがあれば目星をつけておくと良いです。
⑴内部監査員資格
これは特に試験を受けて所持するというよりも、各コンサルタント会社や審査機関が独自に開催している内部監査員養成講座を受講し、修了後得られるものとなっています。
認証パートナーでもサービスとして提供しているので、スキルを高めたい方はぜひお申込ください。
⑵審査員資格
認定機関が発行する資格になります。これまでと異なり、ISO知識も要求されるレベルが格段に上がります。
⑶MOS資格
エクセルやワードなどのマイクロソフトオフィス製品の利用スキルを証明できる資格で、パソコンのスキルを客観的に証明できます。
⑷中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の経営課題についてアドバイスを行う専門家を指します。
助言をするに当たり一定の能力があると判断するため、経済産業省管轄の国家資格となっています。
必ずしも保持している必要はありませんが、あれば書類作成や運用、審査時に役立ちます。
4.ISOを活用した人材育成
ISOの担当者に向いている人材選びだけではなく、「ISOを使ってどうやって人を育てるか」という課題感をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論ISO9001の要求事項は、単なる品質管理のルールではなく、「人材育成のフレームワーク」として活用できます。 ここでは、具体的な活用法を3つの規格要求事項と絡めて解説します。
⑴属人化を防ぐ(7.1.6 組織の知識)
中小企業の現場でよくある課題が、「ベテランのAさんしかこの機械を動かせない」「Bさんが休むと書類の場所がわからない」という「属人化」です。
ISO9001の「7.1.6 組織の知識」では、業務に必要な知識を組織として維持・管理することを求めています。
具体策として、ベテラン社員の頭の中にある「コツ」や「カン」を、手順書や動画マニュアルとして文書化します。これにより、高い知識ノウハウが社内に共有され、新人社員の教育にも役立ちます。
⑵計画的な教育(7.2 力量)
「新人がなかなか育たない」という悩みの原因の多くは、社内教育体制が整っていないことが原因です。 「7.2 力量」の条項では、業務に必要なスキル(力量)を明確にし、そのスキルを身につけさせるための教育訓練を求めています。
具体策として、「スキル表」を作成します。
「誰が・何の業務を・どのレベルまでできるか」を可視化することで、「Aさんはまだこの作業ができないから、来月はこの教育をしよう」といった計画的な育成が可能になります。
ステップを踏んだ教育を行うことで新人教育の即戦力化と力量差を小さくすることが可能です。
⑶意識の統一とモチベーション向上(7.3 認識)
社員に「やらされ仕事」としてISOを押し付けても、品質は良くなりません。
「7.3 認識」では、社員一人ひとりが「自分たちの仕事が品質にどう影響するか」を理解することを求めています。
具体策として、教育の場で、「なぜこの作業手順が必要なのか」「ルールを守らないとお客さまにどんな迷惑がかかるか」を伝えます。
自分の作業の意味を理解し、ISOが求める目的と紐づけることで、組織全体の一体感が生まれ、社員の品質意識やモチベーション向上といった効果が期待できます。
5.ISO担当者の負担とコストについて
「部長・課長クラス」をISO運用担当者にアサインすることが理想的ですが、企業にとっては見えないコストが発生していることを理解する必要があります。
例えば、年収900万円の部長が、毎週2時間をISO業務(マニュアル修正や会議など)に費やすと仮定します。
- 時間コスト
- 月間約8時間 × 時給換算(約5,000円)=月額 約4万円
- 年間コスト
- 年間 約48万円
また、本来その部長が本業(営業戦略や新規開発など)に使えたはずの時間が奪われる「機会損失」は、この金額以上になる可能性があります。
また、兼務による業務過多は、ISO活動の形骸化を招きやすく、結果として「コストをかけているのに品質が良くならない」というケースも少なくありません。
6.ISOコンサルタントの活用
社内のリソースが不足している、あるいは「部長・課長クラスには本業に専念してほしい」と考える場合は、ISO運用の事務局業務を外部の専門家(コンサルタント)に委託するのも有効です。
外部のコンサルティングサービスを活用することで、以下のようなメリットが得られます。
- 業務時間の削減
- 運用のスリム化
- ①業務時間の削減
- マニュアル作成や法改正チェック、内部監査の準備など、面倒な作業をプロに任せることで、社内担当者の工数を約90%削減できるケースもあります。
- ②運用のスリム化
- 「昔からあるから」という理由だけで続けている無駄なルールや記録を、プロの視点で廃止・統合し、現場が楽になる運用へと改善できます。
「認証パートナー」のコンサルティングサービスは、お客様の作業工数90%削減を実現することが可能です。
ISO取得についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
7.まとめ
ISO9001の運用担当者に法的な資格要件はありませんが、円滑な運用のために「誰でも良い」わけではありません。 組織全体を把握し、現場と経営層をつなぐことができる「部長〜課長クラス」が適任です。
担当者に求められるのは、特定の資格よりも以下の実務能力です。
- マルチタスク能力: 通常業務とISO活動を並行して進める力
- コミュニケーション能力: 現場の事情を汲み取りつつルールを統一する力
- 計画実行能力: 年間スケジュールを管理し、期日通りに進める力
また、ISO9001は単なるルール管理ではなく、属人化の解消や計画的な教育など、「人材育成」のツールとしても活用可能です。
ただし、社内リソースだけで運用しようとすると、兼務による負担や見えないコスト(機会損失)が大きくなる場合もあります。 「社内で育成する」のか、「外部コンサルタント等のプロに任せて効率化する」のか。
自社のリソースとコストバランスを見極め、最適な運用体制を検討してみてください。
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