2024年6月14日
ISO9001を取得する方法と流れ
ISO9001を取得するためには、まず社内で品質マネジメントシステムを確立し、全てのプロセスや手順を詳細に文書化する必要があります。
その後、定められた基準に適合しているかを確認するための審査を受け、審査に通過するとISO9001を取得できます。
2023年6月19日
ISO9001をやめた企業はたくさんありますが、やめた理由は3つのパターンに分けられます。
「更新費用が高くて払えない」「書類作成に手間がかかる」「社内ルールが増えすぎて業務が回らない」
です。
逆に、ISO9001をやめないで済むための対処法もあります。
ISO9001は、品質マネジメントシステムに関する国際規格であり、品質方針や品質目標を策定し、プロセスを設計・実施・管理するための仕組みを定めています。
ISO9001認証を取得するメリットとしては、取引先や顧客からの要求を満たすことができ、対外的な信頼を得やすいことなどが挙げられます。
ISO9001認証の概要についてはこちらの記事にて詳しく解説しております。
ISO認証を返上するメリット・デメリットをあらためて考えてみましょう。
【メリット】
・費用削減
認証維持のためには毎年の審査の受審が必要で、企業の規模によって異なりますが、
安くない費用を支払って認証維持をしています。
審査を受けないとなると、単純にこの費用が浮くことになり、費用削減が見込めます。
・経営リソースの集中
認証維持のための時間や労力を他の重要な業務に集中できます。
書類作成はもちろんのこと、数日間かかることもある審査がなくなるだけで、
本業に集中できるリソースが生まれ、それを本業に充てることできます。
続いてデメリットです。
【デメリット】
・信頼性の低下
外部機関によって審査されるということは、顧客やその他の取引先から信頼性の向上という評価を受けます。入札案件等でISOを取引条件にしているケースがあるのもこういったことが考えられます。
そういったメリットが無くなるため、顧客からの信頼性の低下が考えられます。
・競争力の低下
同等の規模やスキルを持っている2社を比べるとき、何をもって比べますか。
ISOを持っている、持っていないで比べられることも少なくありません。
そういった意味ではISO返上することでライバルとの競争力の低下を招きかねません。
・再取得時の負担増加
今ISOが必要なくなったからと言って返上と簡単に判断するのは再取得の負担を考えてからにしましょう。
維持も取得ももちろん同様の負担がかかりますが、
一度不要と判断したISOをもう一度取得するとなったとき、あらためて社員の意識や方針から整えていくのは相当の労力を要します。
そのうえでマネジメントシステムを構築するのは取得するときより工数がかかってしまうことがよくあります。
・第三者機関によるチェック機能がなくなる
ISOの審査は毎年1回以上の審査が必ずあります。
それにはそれなりのコストと負担を要しますが、「毎年1回以上外部の目が入る」ことになります。
外部の目が入るとなると、それだけでルール順守の意識が生まれ、マネジメントシステムを運用しなくては、と社員が主体的に動きます。
これがなくなるとなると、「どうせチェックされない」「やっても意味がない」といったマインドが生まれ、会社のルールを守ろうとする意識が薄れていきます。
ISOの維持や更新のための審査は、毎年行われ、そのたびに審査費用がかかります。
年間約50万円から100万円の費用が通常かかると言われています。
この費用は業務内容や従業員数、拠点数などの会社規模によって変わりますが、
会社にとっては決して安くない費用がかかるため、ISOをやめる理由として良く声を頂きます。
ISO9001を維持するためには、書類作成が必要であり、それにかかるコストや時間がやめる理由になることもあります。
当社のお客様でも「審査の1週間前ぐらいから、業務が終わったら3人で残業して書類作成に取り掛かる」という声を頂くこともあります。
ISO9001を維持するためには規格要求に沿った社内ルールの構築が不可欠です。
また毎年の内部監査や審査での指摘に対応するために、社内ルールの見直し・改善を図ります。
しかしそのルール順守が優先され、業務を圧迫させ、改善のためのルールが逆に自分たちを縛るかたちになってしまいます。
ISO9001の維持のために自分たちで敷いたルールに縛られるような状態にならないために、ISOの審査は企業の経営方針を支援するような審査であるべきですが、
そうなっていない審査も事実としてあります。
実際に返上した企業の事例をあげます。
・ISOの審査の効果を得られなかった抜型装置製作のN社
2019年にISO9001を新規取得し、2022年まで審査を受審しましたが、そのタイミングで
更新することなく返上を選択しています。
返上の原因として、
審査で指摘された内容を社内ルール化し、どんどんルールを増やしてしまったことにあります。
抜型装置は1社1社の受注製造が基本で、細かなルールの策定はかえって非効率化を生じさせます。
生産性が落ち、ISOのためだけのルール順守が目的となってしまいました。
そのため、結果的にISOは不要と判断し、返上となりました。
ISO9001を維持しておくことにはメリットがあります。返上せずに済む方法を考えてみてはいかがでしょうか。
審査費用の算出方法は審査機関ごとによって違います。
そのため、審査機関を変えれば審査費用が安くなる可能性があります。
しかし、費用は安くなれど、慣れた審査機関の方が審査が安心だという話も聞きます。
もちろん審査の方針が変わってしまうことに不安を覚える方もいると思いますが、
きちんと審査機関の方針を聞くことも出来るので、審査が厳しくならずに、費用を下げられるというケースもあります。
また、同様に、現在契約されているコンサルタントの費用見直しもしてみましょう。
ISO9001のマネジメントシステム自体を見直してみましょう。
よく、「自社の規模に見合っていない運用」をしているケースがあります。
・もともと担当者が大手出身で、大手の水準で社内ルールを構築した
・コンサルタントから大手向けのISO運用を推奨されていて、ISOのためだけの書類作成が多い
社内ルールも書類作成も「本当に必要か?」「何のために作成しているのか?」という観点で
いる・いらないを考えてみてください。
自社運用に拘るだけでなく、コンサルタントを活用することを検討してください。
コンサルタントによるサポートは、ISO規格の改訂を含め、柔軟に対応し、業務負荷を軽減することができます。上に記載した通り、ルールや書類作成の是非についてもアドバイスを受けられ、お困りのポイントを解消することも出来ます。
もちろん費用はかかりますが、かなりの効果やメリットを感じられるはずです。
それでもISOを更新しない・返上すると判断された場合の手続きについても紹介します。
実は簡単で審査機関に申し出るだけです。
その後の細かい手続きは審査機関ごとに違うので、審査機関の指示に従うようにしてください。
特に名刺やHPにISO取得のロゴマークを使用している場合は、いつまで使えるのか、いつまでに削除しないといけないのか、という点は重要なポイントです。
取得をおすすめしない会社は以下のような会社です。
・業務内容がシンプルでISO9001の規格に準拠する必要がない場合
・認証取得のためのコストや時間がかかりすぎて、経済的なリターンが見込めない場合
・顧客からの要望がなく、認証を取得していない企業でも信頼を得ている場合
ただし、ISO9001の規格は、組織の品質マネジメントシステムを改善するための有効なツールであるため、企業ごとに状況を考慮し、必要性を判断することが重要です。
ISO9001認証取得には多くのメリット・デメリットがあります。
顧客からの信頼や企業のブランド力向上といったメリットもあれば、
費用の問題や工数の負担などデメリットもあります。
認証維持についても同様です。
総合的な観点で継続するのかを判断してください。
お困りの際は、認証パートナーまでお問合せください。
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