2025年9月25日

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ISO9001規格は、企業の品質マネジメントシステム(QMS)の基本となる規格です。その中でも「不適合製品の管理」は品質保証の根幹を成す重要な要素であり、組織が提供する製品やサービスの品質維持に直接関わります。
不適合製品とは、製品仕様や顧客要求事項に合致しない製品を指します。不適合製品が市場や次工程へ流出すると、顧客満足度の低下、企業の信用失墜、さらには安全面での重大なリスクを招く恐れがあります。従って、組織は不適合製品を迅速かつ確実に識別し、適切に管理することが求められています。
本コラムでは、ISO9001の要求事項に基づいた不適合製品管理の概要と実務上のポイント、そして内部監査の役割や現場での課題と対策について解説します。
1.ISO9001規格における不適合製品管理の要求事項

ISO9001:2015における不適合製品の管理は、「8.7 不適合なアウトプットの管理」および「10.2 不適合及び是正処置」に詳細な規定があります。ここでは、その主なポイントを整理します。
(1) 不適合製品の識別と管理の確実性
不適合製品は、明確に識別されなければなりません。これにより、適合品と混在したり、誤って出荷・使用されるリスクを大幅に低減できます。
識別方法としては、不適合品であることが一目で分かるタグ付けやラベル表示、専用の保管場所の設置などが挙げられます。確実な識別ができなければ、不適合品が市場に流出するリスクを防ぐことは不可能です。
(2) 文書化された処理手順の確立
不適合製品に対する対応の責任と権限を明確にし、処理の手順を文書化することが必要です。これにより、対応のばらつきや漏れを防ぎ、誰が何をすべきかが明確になります。文書化された手順は、全ての従業員に周知され、徹底されなければなりません。
(3) 不適合製品の処理方法
不適合製品の処理には以下の方法があります。
- 不適合を取り除くための修正措置を施すこと。例えば、部品の交換や再加工など。
- 特別採用により、適切な権限者及び場合によっては顧客の同意を得たうえで、不適合製品をそのまま使用・出荷すること。
- 本来の使用目的に不適合な状態にして、誤使用を防止する措置(例えば、マーキングや物理的破壊、廃棄)。
- 引渡し後や使用後に不適合が判明した場合は、その影響を評価し、必要な対応を迅速に行う。
また、修正後は修正の有効性を再検証するために、検査や試験を実施しなければなりません。さらに、不適合の内容や処理結果は必ず記録に残し、トレーサビリティを確保することも求められます。
2.実務における不適合製品管理のポイント
ISO9001の要求事項を実際の現場で効果的に運用するためには、以下のポイントを押さえる必要があります。
(1) 識別の徹底
不適合製品には、「不適合」「検査中」「修正中」などの明確なラベルやタグを付けて、誰が見ても判別可能な状態にします。保管場所は適合品とは物理的に分離し、不適合品が混入しないように管理することが重要です。識別の不徹底は不適合品の誤流出を招く最大の要因となるため、細心の注意が必要です。
(2) 処理の明確化と責任の割り当て
不適合品が発生した際、誰がどのように対応するかを明確にしておくことは現場管理の基本です。製造担当者だけでなく、品質管理部門や管理職、場合によっては顧客窓口担当者も連携し、適切な対応を行います。また、不適合の原因分析と是正処置を通じて、同様の問題が再発しない仕組み作りが不可欠です。
(3) 特別採用の運用
不適合品の中には、顧客の了承を得て特別採用されるケースがあります。この場合は、特別採用の条件や承認手順を明文化し、再検査基準や承認者の権限を明確にします。特別採用に関する記録は必ず保存し、トラブル発生時の証拠として活用できるようにします。
(4) 廃棄と処分
不適合品の中には修正不能なものや修正コストが過大なものがあり、その場合は廃棄処分が選択されます。廃棄処理においては、環境への配慮や法規制を遵守し、適正な方法で実施します。廃棄の履歴も記録に残し、管理責任を明確にしておきます。
(5) 記録の管理
不適合品の発生から処理、是正措置、再発防止に至るまでの全プロセスは、必ず文書化して保存します。これにより、内部監査や外部監査時に適切な証拠資料を提出でき、かつ品質改善のためのデータとしても活用できます。
3.ISO9001の不適合管理における内部監査の役割
内部監査は、品質マネジメントシステムの有効性を評価し、不適合製品管理が現場で正しく実施されているかを検証する重要な手段です。効果的な内部監査を行うためには、以下の観点を重点的に確認します。
- 不適合品の識別および隔離が確実に行われているか。
- 不適合品の処理に関する手順が文書化され、運用されているか。
- 不適合の原因分析と是正処置が適切に行われ、その効果が確認されているか。
- 特別採用の運用が規定通り行われ、記録が保持されているか。
- 廃棄処理が適切に実施され、記録が残されているか。
- 従業員に対する不適合管理の教育・訓練が実施され、理解が深まっているか。
ISO9001では、内部監査を通じてシステムの改善点を早期に発見し、継続的な品質向上に繋げていくことが求められます。
4.不適合管理の現場でよくある課題と対策
不適合製品管理の実務では、しばしば以下のような課題が見られます。それぞれの課題に対して効果的な対策を講じることが重要です。
(1) 識別ラベルや管理方法の統一不足
課題: 不適合品に貼るラベルやタグの種類や表示方法が統一されておらず、従業員間で認識のズレが生じやすい。
対策: ラベルのデザインや色、表記ルールを標準化し、全員に周知・教育を徹底する。管理棚や保管場所も物理的に区分し、誤混入を防ぐ。
(2) 特別採用の承認ルールが曖昧
課題: 特別採用の判断基準や承認者が曖昧で、運用にばらつきが生じる。
対策: 承認権限を明確にし、承認フローや再検査の基準を文書化。顧客との合意書や承認記録も必ず取得・保存し、トラブル防止を図る。
(3) 是正措置の効果確認不足
課題: 是正措置を行った後に、その効果を十分に確認しないため、同じ不適合が繰り返される。
対策: 是正処置後の効果測定計画を立て、フォローアップ監査やデータ分析を実施。改善結果を記録し、継続的に監視する体制を構築する。
5.まとめ
ISO9001における不適合製品の管理は、単に不良品を分離する作業に留まらず、組織の品質保証体制の信頼性を支える重要な柱です。明確に文書化された手順に基づき、不適合品の識別・管理・処理・記録の各プロセスを適切に運用し、再発防止に努めることが顧客満足度の向上と企業競争力の維持に直結します。
不適合管理の徹底により、品質トラブルの発生を減少させ、PDCAサイクルを効果的に回すことで、より高い品質水準の維持と継続的な改善が実現可能です。組織全体で不適合製品管理の重要性を理解し、積極的に取り組むことが品質マネジメントシステムの成功の鍵となります。
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