2024年4月12日
ISO9001の4.2「利害関係者のニーズ及び期待の理解」では、組織が関係する利害関係者(顧客、従業員、株主、地域社会など)のニーズや期待を理解し、それに応えるための取り組みを行うことが求められています。つまり、組織は自らの活動がどのようにして利害関係者に影響を与えるかを理解し、それに基づいて行動計画を策定することが重要とされています。
1.利害関係者のニーズ及び期待の理解について該当する要求事項
まず始めにJISQ9001:2015(ジスキュー9001:2015)に記載されている要求事項を確認してみましょう。利害関係者のニーズ及び期待の理解は規格要求では4.2項に該当します。
4.2項 利害関係者のニーズ及び期待の理解には以下のような記載がされています。
次の事項は、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する組織の能力に影響又は潜在的影響を与えるため、組織は、これらを明確にしなければならない。
a)品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者
b)品質マネジメントシステムに密接に関連するそれらの利害関係者の要求事項組織は、これらの利害関係者及びその関連する要求事項に関する情報を監視し、レビューしなければならない。
引用元:「ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項」
2.利害関係者とは
利害関係者とは、ある決定事項若しくは活動に影響を与え得るか、その影響を受け得るか、又はその影響を受けると認識している個人又は組織を示します。
たとえば、顧客、所有者、組織内の人々、提供者、銀行家、規制当局、組合、パートナー、社会(競争相手又は対立する圧力団体を含むこともある)などが該当します。
建設業の会社で想定してみると以下が該当します。
- 発注者
- 元請会社
- 社員
- 外注業者
- 国交省
- 地方自治体の建設管理局
- 労働基準監督署
- 労働基準協会
- 建設組合
- 現場の近隣住民
3.利害関係者のニーズ及び期待とは
「ニーズ」とは今すでに求められていることです。
それぞれの利害関係者がどんなニーズを持っているのかを把握する必要があります。
例えば、顧客はどんなニーズを持っているでしょうか?
多くの場合、低価格・高品質・短納期が顧客のニーズになるでしょう。
「期待」とは要求はされていないが案にやってくれるだろうと思われていることです。
これも苦情や企業責任の背景がつまっているのでできる限り対応していきたいところです。
このニーズを把握することでより漏れがない活動ができるということです。
4.利害関係者のニーズ及び期待の具体例
- 顧客:低価格、高品質、短納期
- 従業員:安定した賃金、安定した雇用、福利厚生の充実、有給休暇の消化
- 供給者/協力会社:安定した取引、利益率の高い材料の使用
- 近隣住民:騒音、振動、汚染の予防
5.文書化要求の必要性について
4.2 利害関係者のニーズおよび期待の理解では、文書化についての要求事項はありません。
つまりこの要求事項のために資料を作る必要はありません。
ただし、気を付けなければならないポイントとして、4.2ではレビューすることが求められており、レビューをした結果については、文書化の要求があります。
例えば、顧客満足度調査などを行い、何かしらのフィードバックを行った場合、フィードバックの内容などについては、マネジメントレビュー議事録などに文書化する必要があります。
6.ニーズ及び期待の監視及びレビュー
ISO9001の要求事項4.2では、組織が明確にした利害関係者とニーズ及び期待について、監視し、レビューすることが求められています。
そのため組織としては、利害関係者のニーズ及び期待が満たされているかを適宜監視し評価する必要があります。
そして、ニーズが満たせていないような事例が発見された場合、規格要求9.3.2項では、マネジメントレビューのインプット項目として利害関係者からのフィードバック情報を上げることが求められています。
これらの活動により、組織の品質マネジメントシステム活動が円滑に進行し、組織活動が円滑に回ることが期待されます。
7.まとめ
ISO9001では、利害関係者のニーズ及び期待を明確にし、監視し、レビューすることが求められています。
また、レビュー結果は文書化する必要があります。
これにより、組織の品質マネジメントシステム活動が円滑に進行し、組織活動が円滑に回ることが期待されます。
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