2026年3月5日

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「緊急事態って、火災や地震のこと?」
「ISO14001の要求事項にある緊急事態の準備や対応にいまいちピンと来ていない」
このような方、多くいらっしゃいませんか?
実は、緊急事態に備えなければならないのは、結局自社のためになるからなのです。
なぜなら、もともと緊急事態に対して準備や対応をとっていれば、実際に緊急事態が起きた時にスムーズに行動に起こせますよね。
ここでは、緊急事態とは何か、そして実際に緊急事態が起きてもすぐに対応できるように、ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」を基に、準備・対応の過程の紹介を解説していきます。
この記事を読み終えれば、自社で緊急事態が起きても、早急に対応できるようになるでしょう。
1.緊急事態とは計画していない又は予期しない事象を指す

「緊急事態」はISO14001:2015 A.6.1.1一般にて、以下のように定義されます。
「顕在した又は潜在的な結果を防止又は緩和するために特定の力量、資源又はプロセスの緊急の適用を必要とする、計画していない又は予期しない事象」
引用:ISO14001:2015,A6.1.1 一般(閲覧日2025.09.26)
簡単にまとめると、「環境や生命などの危険が差し迫っている、重大な事態のこと」を緊急事態といいます。
想定される緊急事態に対して、そもそもそれが発生しないように予防したり、緊急事態が発生してしまったときに、それによる有害な影響を最小限に食い止めたりするための流れをあらかじめ計画しなければなりません。
その要求事項の記載があるのが、8.2「緊急事態への準備及び対応」になります。
2.ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」で定義される事項について
まずはじめに、ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」についてを見てみましょう。
組織は次の事項を行わなければならない。
a) 緊急事態からの有害な環境影響を防止又は緩和するための処置を計画することによって、対応を準備する。
b) 顕在した緊急事態に対応する。
c) 緊急事態及びその潜在的な環境影響の大きさに応じて、緊急事態による結果を防止するための処置をとる。
d) 実行可能な場合には、計画した対応処置を定期的にテストする。
e) 定期的に、また特に緊急事態の発生又はテストの後には、プロセス及び計画した対応処置をレビューし、改訂する。
f) 必要に応じて、緊急事態への準備及び対応についての関連する情報及び教育訓練を、組織の管理下で働く人々を含む関連する利害関係者に提供する。
組織は、プロセスが計画通りに実施されるという確信をもつために必要な程度の、文書化した情報を維持しなければならない。
引用:ISO14001:2015 8.2 緊急事態への準備及び対応(閲覧日2025.09.26)
では、要求事項を基に、企業が考えるべき内容を確認していきましょう。
(1)ISO14001における緊急事態は大きく分けて2つある
ISO14001における緊急事態は、以下のように決められています。
- 有害な環境影響をもたらす可能性があるもの
- 組織に対するその他の影響をもたらす可能性があるもの
環境に影響をもたらすようなもの、また、可能性があるものということは、人体にも影響がでる可能性があります。
例えば、火災、地震、爆発の他にも、可燃性液体や圧縮ガスの漏洩、流出による大気、水質、土壌汚染なども緊急事態に該当します。
このことからも分かるように、環境に影響をもたらす可能性があるものや、組織に対してその他の影響をもたらす可能性があるものが緊急事態の対象となるのです。
(2) 緊急事態発生時にすばやく行動するには事前のシミュレーションが必要
緊急事態が起きたときに、早急な対応をするためには、事前のシミュレーションが必要になってきます。
例えば、火災が発生したときに、事前に避難経路を確認しておかなければ、いざ避難するとなった時に、どのように逃げるのが一番安全かわかりませんよね。
このように、事前に準備し、実際の避難をするシミュレーションをしておけば、緊急事態発生時に慌てる必要がなくなります。
(3) ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」に沿ってシミュレーションをする
では、実際に緊急事態の準備や対応を考え、シミュレーションを考えてみましょう。
ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」の内容を基に必要事項を考えていきます。
①緊急事態の特定・洗い出し
まずは起こりうる緊急事態の洗い出しを行いましょう。
洗い出す際に大事なのは、組織内だけではなく、組織外でも起こりうる緊急事態のリスクに対して考えておかなければならないということです。
前述でも述べたように、以下の内容が当てはまることが多くあります。
- 火災
- 地震
- 爆発
- 可燃性液体やガスの漏洩、大気汚染
- 水質汚染
- 土壌汚染
- 道路や鉄道などの交通事故 など
しかし、この内容以外にも各企業ごとで当てはまる緊急事態は違うため、洗い出しの際には自社で起こり得ること、また、自社以外の近隣でも起こり得ることの緊急事態予測をしなければなりません。
②緊急事態への準備
ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」でいうa)の項目にあたります。
実際の緊急事態が起きたらどうするのか、誰がどこへ連絡するのか、どのように避難して、どこで集合して点呼をとるのか、このように詳細を決め、計画を立てておきましょう。
また、実際の避難だけではなく、緊急事態が発生しないようにするための、環境の管理も必要です。
例えば、火の元の近くに薬品や可燃性のものを置かない、非常口の前や近くにモノを置かない、消火器やスプリンクラーの点検などの実施などが挙げられます。
ここで事前準備がきちんとできていないと、実際の緊急事態発生時に慌ててしまい、とるべき行動がとれなくなる可能性があります。
したがって、計画を綿密に立てておく必要があるのです。
③緊急事態への対応
②で立てた計画に沿って行動します。
それが、ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」の要求事項でいうb)にあたります。
例えば、火災時に消防に連絡がきちんととれるか、決められた計画通りに避難経路を使用するか、などが当てはまります。
大事なのは、計画に沿って対応することです。
なぜなら、最終的に見直すときに計画が間違っていないか確認する必要があるからです。
④緊急事態の緩和・防止
実際に緊急事態が起きたときに行うのが緩和で、緊急事態が起こり得るであろう要因に対して防止を行います。
ここでは、ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」の要求事項でいうc)の解説をしていきます。
「緊急事態及びその潜在的な環境影響の大きさに応じて」という条件付きで、緩和の措置をとります。
例えば、火災の場合であれば消火活動、道路で起きた事故であれば通行案内を行いますよね。
このように、その場の緊急事態を少しでも和らげる行動をしなければなりません。
⑤緊急事態のテスト
ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」のd)の解説をしていきます。
テストとは、避難訓練のようなものを想像しがちですが、ここでいうテストの役割は組織が決定した対応への過程が計画通りに実施することが出来るかどうか、というところにあります。
したがって、無理に避難訓練をする必要はありません。
ただ、避難訓練をした方がより、計画通り緊急事態時に正確な行動をとることができるので、実施可能であれば対応しましょう。
また、このあと解説する⑦の教育訓練とは異なりますので、混同しないよう注意しましょう。
⑥緩和後の見直し
ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」の要求事項、e)の解説をしていきます。
ここでいう見直しとは、起きてしまった事故や、シミュレーションの結果などをみて、準備や対処方法に誤りはなかったか、また、より良い計画はないかを考えることです。
この評価は、定期的に行うか、テストが終わった後に行うとより効果的になるでしょう。
また、検討した結果、改定の必要はないとみなされることもあります。
⑦緊急事態発生時の情報・教育訓練の提供
ISO14001 8.2「緊急事態への準備及び対応」の要求事項、f)の解説になります。
緊急事態が発生した際には、計画やテスト、そして実際に行った結果などの情報を社内の人、場合によっては出入りの業者や近隣住民などに伝える必要があります。
なぜなら、起こった緊急事態に対し、近隣に迷惑がかかったのにも関わらず、なぜ起こったのか、どんな対応をしたのかが分からなければ、不安感や不信感をその企業に持ってしまうからです。
そうならないために、情報の伝達が必要となるのです。
さらに、情報の伝達と共に重要となるのが教育訓練です。
例えば緊急事態の内容が火災だった場合、初期消火が必要になってきます。
その際に、消火器の使用方法が不明であれば、火災発生時に対応することができません。
そうならないために、事前に準備する教育訓練が必須となってくるのです。
前述の⑤でも解説しましたが、テストと訓練は異なります。
- テスト:処置の評価につながるもの
- 訓練:ただ純粋に訓練をするもの
このように覚えておきましょう。
(4) 緊急事態発生後の内容を文書化する
最後に、緊急事態時に起きた内容、実施した処置や対応などを文書化し、情報の維持をするとよりよいです。
緊急事態が起きた時に参考にするべき情報を文書にしておくと、見返しがしやすくなるためです。
イメージとしては緊急時の連絡網や、避難経路、機器の緊急停止手順などがあげられます。
3.箇条8.2は「BCP」(事業継続計画)にもつながる
「なぜ緊急事態の準備をしないといけないのか?」というと、何かが起きてしまった場合、会社の損害を最小限にとどめながら、仕事を継続したり、早く復旧したりしたいですよね。
緊急事態は突然発生してしまうため、きちんとした手段をとっていないと、最悪の場合、廃業に追い込まれてしまいかねません。
そうならないように備えておくべきなのです。言ってしまえば結局は、自社のためなのです。
そしてこの箇条8.2は、いわゆる「BCP」(事業継続計画)にもつながっていく話です。
BCPとは、大災害や大事故、疫病の流行、犯罪被害、社会的混乱など、通常の業務の続行が困難になる事態が発生した際に、事業の継続や復旧を速やかに行うために考えられる計画を意味します。
BCPの中では、定期的なテストも訓練も対応しなければならないため、今回解説した箇条8.2はBCPを考えている企業様にとっても、有効的なお話だったのではないかと思われます。
BCPに取り組まれていらっしゃらない企業様も最近は環境異常によるものと思われる天災が多いので、BCPの考え方を取り入れて、社内の緊急事態の対応体制や連絡網、備蓄等を考えてみてはいかがでしょうか?
4.まとめ
ISO14001の8.2項では、緊急事態への準備及び対応のために必要な過程を確立することが要求されています。
その際に必要な準備や対応として、緊急時の連絡網や緊急事態発生時の対応体制などを計画、立案することが求められます。
また、その対応を定期的にテストすることや、関連する情報、教育訓練を社内の人も含め、関係のある人たちに緊急事態時の内容を提供しなければなりません。
本稿では、緊急事態の定義、そして、緊急事態が起こった時に起こすべき行動をISO14001の要求事項に沿って解説いたしました。
ぜひ本稿を読んで、自社のための緊急事態時の対策を練ってみてはいかがでしょうか。
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