2026年4月3日

ISMSの目的は、機密情報の漏洩や不正などのインシデントを防ぐことです。組織がISMS認証(ISO27001)を取得する目的は、情報を適切に管理していることを証明し、取引先や顧客から信頼や安心を獲得することです。
目次
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企業が保有する情報資産に対する、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクは年々増大しています。
「取引先からセキュリティ体制の強化を求められた」
「インシデントのリスクを低減させたい」
「IPOに向けて管理体制を整えたい」といった背景から、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証取得を検討する企業が増えています。
しかし、ISMSを単なる「認証マークの取得」として捉えてしまうと、現場の負担が増えるばかりで、肝心のセキュリティ効果が得られないケースも少なくありません。
ISMSの本来の目的は、組織全体で情報資産を守るための「仕組み」を構築し、運用し続けることにあります。
この記事では、ISMS構築の根本的な目的から、認証取得によって得られる具体的なメリット(信頼性の向上やIPO準備の効率化など)、そしてPマークとの違いについて詳しく解説します。
1. ISMSの構築・運用における根本的な目的

ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)は形式的なものではなく、組織全体で情報資産を守り抜くための「仕組み」です。
その構築と運用における根本的な目的は、情報セキュリティを包括的に管理し、組織を脅威から保護することにあります。
具体的にどのような目的で機能するのか、主要な要素を5つの視点で解説します。
⑴インシデントの防止
ISMSの最大の目的は、機密情報の漏洩や不正などのインシデントを防ぐことです。
⑵サイバー攻撃への対応
世界で増加しているサイバー攻撃(例えば、ランサムウェアやその他のコンピュータウイルス等)から生じる機密情報の流出やシステムの停止を防ぐことが、ISMS(ISO/IEC27001)の目的とされています。
⑶リスクの適切な管理
組織の規模や目的に応じて情報セキュリティ対策を適切に維持・管理することにより、情報の機密性・完全性・可用性(CIA)を維持し、「リスクを適切に管理している」という信頼を利害関係者に与えることです。
⑷組織自体の保護
ISMSを構築・運用することは、取引先や顧客といった関係組織を守ることはもちろん、自社そのものを守ることにつながります。
⑸脆弱性の特定と対策
ISMSでは、情報資産を損なう可能性のある「脅威」と、システムが持つ「脆弱性」の密接な関係を認識し、脅威を特定、評価、管理することで情報資産を保護し、脆弱性の特定と対策を行うことが重要とされています。
2. ISMS認証(ISO27001)を取得する目的
ISMSを取得する目的は、多岐にわたりますが、主に以下の3点に分けられます。
- 外部への信頼性アピール
- 社内の情報セキュリティレベルの向上
- IPO(新規上場)準備における工数削減
以下に、それぞれの目的について詳しく解説します。
⑴外部への信頼性をアピールすること
多くの企業にとって、ISMS認証取得の直接的なきっかけとなるのが、取引先からの要求や入札参加条件のクリアです。
国際規格であるISO/IEC 27001に基づいた認証を取得することは、自社のセキュリティ管理体制がグローバルスタンダードに達していることの証明になります。「情報を適切に管理する仕組みがある企業」であることを客観的に示せるため、既存顧客への安心感提供はもちろん、新規開拓時の強力なアピール材料となります。
【具体的なメリット】
- 入札・取引要件のクリア
- 官公庁や自治体の入札、大手企業との取引開始において、ISMS認証取得が必須条件、あるいは評価の加点対象となるケースが増えています。
- 競合との差別化
- 認証を持たない競合他社と比較された際、セキュリティ面での優位性を示すことができ、受注率の向上に寄与します。
- Pマークとの違い
- 個人情報保護に特化した「Pマーク(プライバシーマーク)」ではカバーしきれない、技術情報や営業機密などの保護も対象となるため、より広範な取引要件に対応可能です。
⑵社内の情報セキュリティレベルを向上させる
対外的なアピールだけでなく、認証取得のプロセスを通じて組織の実質的な「守る力」を高めることも重要な目的です。
規格が求める要件を満たす過程で、組織のリスク管理能力やマネジメント体制が強化されます。特に、定期的な「リスクアセスメント」の実施は、自社が抱える潜在的なリスクを可視化する上で欠かせません。
リスクに応じた適切な対応計画を策定・運用することで、情報漏洩などのインシデント発生確率を低減させます。万が一事故が発生した場合でも、被害を最小限に抑える体制が整うため、システム停止による業務への深刻なダメージや、企業存続に関わる危機を回避することにつながります。
⑶IPO(新規上場)準備における工数削減
将来的にIPO(株式公開)を目指す成長企業にとって、ISMS認証の取得は上場準備の効率化という側面でも大きな意味を持ちます。
上場審査では、企業が健全に運営されているかを確認するための「内部統制」の整備が厳しく問われます。
その中でも、ITシステムが適切に管理されているかを示す「IT全般統制(ITGC)」は重要な審査項目の一つです。
【工数削減の要因】
- 管理策の重複
- IT全般統制で求められる「アクセス管理」「ログの取得」「変更管理」「委託先管理」などの項目は、ISMSの要求事項と多くの部分で重複しています。
- ルールの流用
- ISMS運用を通じて既にセキュリティ規定や運用フローが文書化されていれば、それを内部統制の証跡として活用できる場合があります。
3.ISMSができた経緯・背景
ISMSができた経緯や背景としては2つあります。
⑴情報社会の進展
情報社会の進展に伴い、企業が保有する情報資産が重要な経営資源となると同時に、その保護が急務となったことが、ISMS誕生の背景の一つです。
企業の情報(顧客データ、技術情報、財務情報など)が、ビジネスの競争力や存続に不可欠な要素となったため、これらの情報資産を悪意ある攻撃や、悪意のない誤りによって発生する事故・脅威から適切に守るための仕組みが必要とされました。
ISMSは、組織が持つ情報が外部に流出するのを防ぐとともに、情報を利用しやすい状態に保ちつつ保護するための仕組みとして設計されています。ISMSの構築・運用においては、組織の規模や目的に応じて情報セキュリティ対策を適切に維持・管理し、機密性・完全性・可用性(CIA)を維持することが求められます。
⑵情報漏洩の頻発
情報社会の進展と同時に、企業の情報漏洩などのセキュリティインシデントが頻繁に発生するようになり、これがISMS誕生の大きな背景となりました。
セキュリティインシデントの発生は、企業の信頼性やブランドイメージに大きな影響を及ぼします。
例えば、サイバー攻撃によって取引先や顧客の情報が流出した場合、情報の持ち主である取引先や顧客が金銭的被害を受ける可能性があります。
また、自社システムがサイバー攻撃で停止した場合、ユーザーが利用できなくなり、自社の社会的な信用性を下げてしまうことが考えられます。実際に、情報セキュリティの事故によって業務停止に追い込まれた企業も少なくありません。
さらに、インターネットの普及により情報の流通が容易になった一方で、情報漏洩のリスクも増大しました。
情報資産を損なう可能性のある「脅威」(ハッキング、ウイルス、人為的なミス、自然災害など)と、情報システムが持つ「脆弱性」(設計、実装、運用における欠陥や不備)が密接に関係することで、リスクが発生します。
こうした増大するリスクに対応するため、情報セキュリティ対策を組織全体で統一的に管理・運用する必要性が認識された結果、ISMSが生まれました。
ISMS(ISO/IEC27001)の目的は、世界で増加しているサイバー攻撃(ランサムウェアやその他のコンピュータウイルス等)から生じる機密情報の流出やシステムの停止を防ぐことにあります。
ISMSを構築・運用することは、情報の持ち主である関係組織や顧客を守るだけでなく、企業自身を情報セキュリティ事故による業務停止や信用の低下から守ることにつながります。
4.ISMS認証取得が多い業種や企業の特徴
IT業界や金融業界、製造業など業種は多岐にわたります。
特に、情報セキュリティが重要とされるIT業界や金融業界では、顧客情報や企業秘密を守るためにISMS認証の取得が求められることが多いです。
また、公共機関や教育機関などでも、個人情報の保護や情報漏洩防止のためにISMS認証を取得しているところがあります。
5.ISMSとPマークの違い
ISMSとPマークは、どちらも情報セキュリティに関する認証という部分では似ているところがあります。
しかし、実際には目的や適用範囲、認定条件に違いがあることを認識しておきましょう。
イメージとしてはISMSは組織に特化したもの、プライバシーマークは個人情報に特化したものです。
| 規格 | ISO27001(ISMS) | プライバシーマーク(Pマーク) |
|---|---|---|
| 概要 | 情報資産の機密性・完全性・可用性の保護が中心 | 個人情報のみが中心 |
| 顧客視点 | 発注情報全てを管理してもらえる | 個人情報が多い場合、安心感がある |
| グレード | 国際的な認証規格 | 日本独自の認証規格 |
| 業界市場 | BtoB取引の市場・大手企業の取引 | BtoC取引の市場 |
| 対象 | 適用範囲をある程度限定できる | 必ず組織全体(企業全体)が対象 |
| 価格 | 審査機関すべて価格が違う(競争原理あり) | 審査機関すべて価格が同じ(競争原理なし) |
| 審査時間 | 審査日数が審査対象の規模により変動 | 1日で完了 |
| 更新 | 3年間ごとに更新 | 2年間ごとに更新 |
| 取引要件 | ISO27001が取引要件⇒Pマークでは代用できないケースが多い | Pマークが取引要件⇒ISO27001で代用できるケースが多い |
6.ISMSを認証するまでの大まかな流れ
ISMS認証までの大まかな流れは以下の通りです。
キックオフから取得完了まで早くて6か月、長くて1年程度かかります。
- 取得までの計画を立てる
・取得時の目的を再確認
・社内責任者の選定
・取得期日を決める
・自社だけで取得を目指すか、コンサルを利用するかの意思決定
・予算決め
・審査機関の選定
・スケジュールを立てる - ISMSを構築する
- ISMSを運用する
- 内部監査とマネジメントレビューを行う
- 審査を受ける(一次審査)
- 審査を受ける(二次審査)
- 認証取得完了
ISMS取得までの流れについて、全体像はこちらの記事で詳しく解説しています。
7.失敗しないISMS認証
ISMSを認証するにあたっての失敗しない方法として3つポイントがあります。
目的を見失わず行動し続けることが重要です。
⑴自社分析を怠らず継続すること
自社分析とは、情報セキュリティに関わる環境を正しく見極めていくプロセスです。
自社の情報セキュリティにおける脆弱性の特定と対策が重要な要素となります。
ISMSを認証するにあたって自社分析を行うことで、リスク管理の情報を把握しておく必要があります。
また、同じレベルで取引先から問われている内容の把握も重要です。
外部からの信頼向上という点で、ISMSの内容が取引先の期待に沿うものでなければ、認証後の自社への評価が大きく変わらない可能性があるからです。
取引先の望んだ管理体制でないことが発覚した際には、厳しい批判にさらされる可能性が生じるため注意が必要です。
⑵ルールを煩雑化させないこと
情報セキュリティだけに注目してISMS認証をしてしまうと、ルールが煩雑化する可能性があります。
もちろん情報セキュリティレベルを上げて、きめ細やかなルールを決めることも重要です。
しかしルールを覚えるのに必死で作業の効率が落ちてしまうと、企業の生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。
また従業員への繰り返し教育を怠ってしまうと、従業員の情報セキュリティへの理解不足が原因で事故が発生するリスクも高くなります。ヒューマンエラーを起こさないための教育も重要です。
ISMSは従業員が受け入れやすい内容やルールにすることが大前提です。
すべてのルールを見直しするのではなく、企業のルールの中で問題点を明確にして、ポイントを絞った上で改善に向けた取組みを進めることが理想的です。
⑶効率的な社内教育を行うこと
ISMSを社内に浸透させていくには教育の精度を高めることが重要です。
1つのやり方(例えば集合教育など)にこだわって効率を下げてしまっている企業も少なくありません。
もちろん集合教育も1つの教育方法として効果的ではありますが、実際、コロナの影響を受けてやり方や頻度を見直している企業も多いです。
大勢に向かって同じ内容を伝えることも大切ですが、企業によって適切な実施の仕方・頻度は違います。
自社に合わせて、eラーニングやテキスト・Googleフォームなど、柔軟なやり方で対応していきましょう。
また教育は実施して終わりではなく、効果測定まで行うと良いです。
定期的に、従業員の理解度を測るテストを行う方法が一般的ですが、その他、従業員にあえて不審なメールを送って開封率を見る方法など、創意工夫を凝らしている企業もあります。
測定結果が芳しくなかった場合、教育テストやテキストなどを修正・改善していきましょう。
8.まとめ
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の取得は、取得そのものを目的とするものではありません。
最大の目的は、組織全体で情報セキュリティに関するリスクを適切に管理し、企業を守り、信頼性を確保する仕組みを構築することにあります。
ISMSを取得することで、インシデントの予防やリスク管理の強化につながり、結果として組織そのものを保護することが可能になります。
さらに、対外的な信頼の向上、入札要件の充足、IPO準備時の工数削減など、多方面でのメリットも期待できます。
いま一度、自社の情報セキュリティについて考え、社内体制やルールを見直してみてください。
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