2025年12月19日

目次
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- 1.ISMS(ISO27001)とISO9001の基礎知識
- (1)ISMS(ISO27001)とは:「情報の安全」を守る規格
- (2)ISO9001とは:「品質」を高める規格
- (3)【比較表】対象・目的・要求事項の違い
- 2.なぜISMSとISO9001は統合しやすいのか?
- (1) 共通構造「HLS(Annex SL)」とは?
- (2)手順・文書体系・審査方式が近い理由
- 3.【結論】ISMSとISO9001は統合(一本化)できるのか?
- (1)審査の統合(同時審査)
- (2)文書・プロセスの統合
- (3)担当部署の役割統合
- 4.統合する3つのメリット
- (1)文書・マニュアルの共通化で効率化
- (2)審査対応の工数・費用を削減
- (3)経営課題(品質×セキュリティ)を一体で管理できる
- 5.統合前に知っておきたいデメリット・注意点
- (1)規格特有要件の混在や複雑化のリスク
- (2)文書ルールの統一が難しいケース
- (3)審査員・コンサルタントの選定時に注意が必要
- 6.【パターン別】自社は統合すべき?おすすめの取得方法
- (1)これから両方取得する場合(同時取得)
- (2)既に片方の規格を取得している場合(追加取得→統合)
- (3)統合に向いている企業・向いていない企業の特徴
- 7.統合を成功させるためのステップ
- (1)文書体系をゼロベースで整理する
- (2)役割・責任(責任者/報告ライン)を統一
- (3)共通プロセス(内部監査・教育・リスク)の設計方法
- (4)運用が"回る”統合のコツ
- 8.よくある失敗と回避策
- (1)部門間の連携が取れず統合が形骸化する
- (2)文書ルール統一の失敗
- (3)品質セキュリティが別管理のまま運用されるケース
- 9.まとめ
「ISMS(ISO27001)とISO9001ってどう違うの?統合できるって聞くけど、実際どうなの?」
そんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
情報セキュリティや品質管理の重要性が高まるなか、両方の規格を導入・運用する企業が増えています。しかし、規格の目的や対象が異なるため、統合の進め方を誤ると「形だけの統合」になってしまうリスクもあります。
この記事では、ISMSとISO9001の基本的な違いから、統合しやすい理由、統合によるメリットとデメリット、さらに自社に合った取得パターンや成功のステップ、よくある失敗とその回避策まで体系的に解説します。
最後までお読みいただくことで、ISMSとISO9001を効率的に統合するための全体像が理解でき、自社に最適なマネジメントシステムの構築に役立てることができます。品質とセキュリティを両立させ、ビジネスの信頼性を高める第一歩を踏み出してください。
1.ISMS(ISO27001)とISO9001の基礎知識

(1)ISMS(ISO27001)とは:「情報の安全」を守る規格
ISMS(ISO27001)は、情報セキュリティマネジメントシステム(Information Security Management System)の略称です。企業が扱う情報資産(顧客情報、技術情報、従業員情報、機密文書、クラウドデータなど)を、「機密性」「完全性」「可用性」の3つの観点から守るための国際規格です。
- 情報資産の棚卸し(守る対象の特定)
- リスクアセスメント(脅威・脆弱性の洗い出し)
- リスク対応方針(管理策の選定)
- 管理策の運用(アクセス制御、バックアップ、教育など)
- 監査・見直し(継続的改善)
目的は、情報漏洩を防ぎ、安心して事業を継続できる仕組みを構築することです。
(2)ISO9001とは:「品質」を高める規格
ISO9001(品質マネジメントシステム)は、顧客満足の追求を目的とし、企業が提供する製品やサービスの品質を継続的に改善するための国際規格です。
- 顧客満足の向上
- 不良・ミス・クレームの削減
- プロセス改善(手順の明確化・標準化)
- 業務の属人化防止
- 継続的改善(PDCAサイクル)
製造業だけでなく、IT、コンサル、物流、教育サービスなど幅広い業種で導入されています。
(3)【比較表】対象・目的・要求事項の違い
| 項目 | ISMS(ISO27001) | ISO9001 |
| 主な対象 | 情報資産(顧客データ、技術情報、PC、書類など) | 製品・サービス、業務プロセス |
| 目的 | 情報漏洩防止、事業継続、情報セキュリティ事故の防止 | 顧客満足度の向上、品質維持・改善、不良やミスの削減 |
| キーワード | 機密性・完全性・可用性(CIA) | 品質・コスト・納期(QCD) |
| 必要なプロセス | リスクアセスメント中心 | プロセス改善・品質管理中心 |
| リスクの視点 | 情報漏洩、ウイルス感染、紛失 | 不良品発生、納期遅延、クレーム |
| 主な利害関係者 | 顧客、委託先、従業員、監督官庁 | 顧客 |
| 現場での活動例 | パスワード管理、入退室管理、バックアップ | 作業手順書遵守、検品、顧客アンケート |
| 管理策 | アクセス制御、暗号化、教育など | 顧客要求の把握、手順書、評価 |
| 審査 | 情報セキュリティの運用状況 | 品質保証プロセスの運用状況 |
両者は「マネジメントシステム(管理の仕組み)」という枠組みは共通していますが、守る対象と改善の方向性が異なる点が特徴です。
2.なぜISMSとISO9001は統合しやすいのか?
(1) 共通構造「HLS(Annex SL)」とは?
ISO規格は2012年以降、HLS(High Level Structure)=共通構造という枠組みで統一されました。
これにより、ISMSもISO9001も同じ章立てで構成されており、文書の形・用語・要求の流れがほぼ同じです。
【共通する章立ての例】
| 章番号 | 内容 | 意味 |
| 第4章 | 組織の状況 | 自社の課題や環境を把握 |
| 第5章 | リーダーシップ | 経営層の責任と役割 |
| 第6章 | 計画 | 目標設定やリスク・機会への対応 |
| 第7章 | 支援 | 教育、資源、設備、文書化 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 内部監査やレビュー |
| 第10章 | 改善 | 是正処置、継続的改善 |
このように骨組みが同じため、両規格を統合しても違和感なく運用できます。
(2)手順・文書体系・審査方式が近い理由
両規格には以下のような共通点があります。
- PDCAサイクルで運用する
- 文書化した情報(旧:文書・記録)の管理ルールが必要
- 内部監査を実施する
- マネジメントレビューを実施する
- 審査方式も同じ流れ
文書レビュー → 現地審査 → 是正処置確認
これらの共通点により、ISMSとISO9001は別々に管理する必要がなく、統合マネジメントシステムとして一体的に運用しやすいのです。
3.【結論】ISMSとISO9001は統合(一本化)できるのか?
結論:統合できます。多くの企業が「統合マネジメントシステム」として運用しており、業界でも一般的になりつつあります。統合には大きく3つの側面があります。
(1)審査の統合(同時審査)
通常、ISMSとISO9001はそれぞれ別の日程で審査を受ける必要があります。しかし、審査機関に依頼すれば「統合審査」として同時に審査を受けることが可能です。両規格には共通部分が多いため、それらをまとめて確認してもらえる仕組みになっています。これにより、審査日数の削減や、担当者の負担軽減につながります。つまり、別々に準備する必要がなく、効率的に審査を進められるのです。
(2)文書・プロセスの統合
ISMSとISO9001は、要求される文書やプロセスに共通点が多いため、一本化することで運用が格段に楽になります。
例えば、品質マニュアルとセキュリティマニュアルをまとめて「統合マニュアル」として作成すれば、管理がシンプルになります。さらに、文書管理規程や内部監査規程なども共通化できるため、同じルールで両方を運用することが可能となります。
特に内部監査を一本化するメリットは大きく、従来は「品質の監査日」と「情報セキュリティの監査日」を分けていたものを、1日の監査で両方カバーできるようになります。これにより、監査の効率が飛躍的に向上します。
(3)担当部署の役割統合
組織内での運用も統合が可能です。品質管理部門と情報セキュリティ部門が別々に活動するのではなく、協働して「ISO事務局」として連携する形を取る企業が増えています。
例えば、共通の管理責任者を置くことで意思決定がスムーズになり、会議や委員会も一本化できるため、情報共有が効率的になります。また、教育も共通化することで、社員は一度の研修で品質とセキュリティの両方を学べるようになります。
これにより、組織全体での理解度が高まり、負担も軽減されます。
【統合の側面まとめ表】
| 統合の側面 | 内容 | メリット |
| 審査の統合 | ISMSとISO9001を同時に審査(統合審査) | 審査日数削減、担当者の負担軽減 |
| 文書・プロセスの統合 | 統合マニュアル、共通規程、内部監査の一本化 | 管理がシンプルになり、監査効率向上 |
| 担当部署の役割統合 | 部門協働、共通責任者、教育・会議の一本化 | 組織全体での連携強化、教育効率化 |
このように、ISMSとISO9001は「規格の骨組みが同じ」という強みを活かして、審査・文書・組織運営の3つの側面で統合が可能です。統合することで効率化だけでなく、組織全体の一体感も高まります。
4.統合する3つのメリット
ISMSとISO9001を統合することは、単なる「手間の削減」にとどまらず、企業運営全体に大きなメリットをもたらします。ここでは代表的な3つのメリットを整理します。
(1)文書・マニュアルの共通化で効率化
両規格を別々に運用すると、文書管理規程や教育訓練規程など、似たようなルールが二重に存在してしまいます。
統合すればこれらを一本化でき、改訂作業も一度で済みます。従業員にとっても「参照すべきルールブック」が一つになるため混乱が減り、担当者の負担も軽減されます。特に人員が少ない企業では、運用がスリム化される効果が大きく現れます。
(2)審査対応の工数・費用を削減
ISMSとISO9001を別々に受審すると、トップインタビューや内部監査の確認などを二度行う必要があります。
統合審査にすれば、共通部分を一度に確認できるため、審査日数が短縮される場合があります。さらに、審査準備(資料作成や日程調整)も一本化でき、是正処置対応も一度で済みます。結果として、担当者の工数削減だけでなく、審査費用の削減にもつながります。
(3)経営課題(品質×セキュリティ)を一体で管理できる
近年、品質問題とセキュリティ事故は密接に関連しています。
- IT企業では「システムバグ(品質)」が「脆弱性(セキュリティ)」に直結するケース
- 製造業では「図面の取り違え(品質)」が「古い情報の誤使用(セキュリティ・完全性の欠如)」につながるケース
このように品質とセキュリティは切り離せないため、統合すれば両者を「一つのリスク」として管理できます。経営層はリスクを俯瞰的に捉え、迅速な判断が可能になります。
【統合メリットまとめ表】
| メリット | 内容 | 効果 |
| 文書・マニュアルの共通化 | 規程やマニュアルを一本化、改訂作業も一度で済む | 運用効率化、担当者負担軽減、従業員の混乱防止 |
| 審査対応の削減 | 統合審査で共通項目を一度に確認 | 審査日数短縮、工数削減、費用削減 |
| 経営課題の一体管理 | 品質とセキュリティを「一つのリスク」として統合管理 | 経営判断の迅速化、リスクの俯瞰的把握 |
5.統合前に知っておきたいデメリット・注意点
ISMSとISO9001の統合はメリットが多い一方で、実務上の注意点も存在します。ここでは代表的な3つの落とし穴を整理します。
(1)規格特有要件の混在や複雑化のリスク
両規格は共通部分が多いものの、「第8章:運用」だけは内容が大きく異なります。
- ISMSの第8章:リスクアセスメント、物理的対策、アクセス制御など
- ISO9001の第8章:設計開発、製造、サービス提供など
これらを無理に一本化すると、文書が肥大化して「誰のための手順なのか分からない」状態になりがちです。結果として、管理が複雑化し、現場での運用が混乱するリスクがあります。
(2)文書ルールの統一が難しいケース
ISO9001は「手順の標準化」を重視し、ISMSは「リスクに応じた管理策」を重視します。
そのため、文書フォーマットやルールが異なる場合があり、統一には過去文書の書き換えなど大きな労力が必要です。特に長期間別々に運用してきた企業では、統合作業に時間とコストがかかる点に注意が必要です。
(3)審査員・コンサルタントの選定時に注意が必要
統合審査を受けるには、両方の規格に対応できる資格を持つ審査員(またはチーム)が必要です。
「ISMSだけ得意」「ISO9001だけ得意」という審査員では十分な対応ができず、統合のバランスが崩れる可能性があります。コンサルタントを選ぶ際も同様で、統合審査の実績があるかどうかを必ず確認することが重要です。
【統合前の注意点まとめ表】
| 注意点 | 内容 | リスク |
| 規格特有要件の混在 | 第8章の内容が異なるため、無理に統合すると文書が複雑化 | 文書肥大化、手順の不明確化 |
| 文書ルールの統一 | ISO9001は標準化重視、ISMSはリスク対応重視 | 過去文書の修正に大きな労力 |
| 審査員・コンサル選定 | 両規格に精通した審査員・コンサルが必要 | 統合の不均衡、審査対応の不備 |
6.【パターン別】自社は統合すべき?おすすめの取得方法
自社の状況によって、統合の進め方は異なります。ここでは代表的な3つのパターンを整理します。
(1)これから両方取得する場合(同時取得)
これからISMSとISO9001の両方を同時に取得する場合は、最も効率的でメリットが大きいパターンです。
文書体系を最初から「統合前提」で構築できるため、無駄な重複を避けられます。さらに、品質とセキュリティをまとめた統合マニュアルを作成し、共通のプロセスで運用を開始できるので、手戻りがなくスムーズに進められます。
審査コストも最小化でき、運用を一元化しやすいため、最短ルートで統合マネジメントシステムを構築することが可能です。
(2)既に片方の規格を取得している場合(追加取得→統合)
既に片方の規格を取得している企業が、もう一方を追加で取得して統合するケースは、多くの企業が該当します。
この場合、既存の文書体系や運用を踏まえて調整する必要があり、移行に時間がかかることもあります。最初から完全に統合しようとするのではなく、まずは新しい規格の追加に集中し、徐々に統合していく方が安全です。
例えば、ISO9001を持っている企業がISMSを追加する場合には、まず文書管理や内部監査といった共通部分を統合し、慣れてからマニュアルを一本化する段階的な進め方が効果的です。逆にISMSを持っている企業がISO9001を取得する場合には、「品質の手順書」を既存のISMSとどのように統合するかが大きなポイントとなります。
(3)統合に向いている企業・向いていない企業の特徴
| 区分 | 特徴 | 説明 |
| ◎ 向いている企業 | ・人員が限られており運用負担を軽くしたい ・品質とセキュリティの両方が業務に関係する ・経営層が統合のメリットを理解している ・IT業、SaaS事業者、事務系サービス業 | 品質(バグ・ミス)とセキュリティ(漏洩・消失)が密接に関わるため統合効果が大きい |
| △ 向かない企業 | ・部門間の連携が弱く情報共有が苦手 ・文書管理の文化がない ・形骸化したISOを抱えている ・巨大製造業などで適用範囲や担当部署が全く異なる場合 | 無理に統合すると調整コストが高く、統合メリットが得にくい |
このように、自社の状況に応じて「同時取得」「追加取得→統合」「統合適性の見極め」を選ぶことが重要です。
7.統合を成功させるためのステップ
ISMSとISO9001を統合する際には、単に文書を寄せ集めるのではなく、ゼロベースで仕組みを設計し直すことが成功の鍵です。以下に、実務で押さえるべき具体的なステップを整理します。
(1)文書体系をゼロベースで整理する
既存のマニュアルを「継ぎ足し」や「コピペ」で合体させるのは失敗のもとです。目的・適用範囲・文書階層を統合前提で再設計しましょう。
- レベル1(統合マニュアル):会社全体の方針を記載。第4・5・6・7・9・10章は共通化し、第8章(運用)は「8-1 品質」「8-2 セキュリティ」と分けるのがコツ。
- レベル2(規程類):文書管理規程や内部監査規程は共通化可能。一方でリスク分析規程などは、品質とセキュリティの特性に応じて分けるか、別条項を設ける形が有効。
(2)役割・責任(責任者/報告ライン)を統一
統合を円滑に進めるためには、責任者や報告ラインを明確に整理することが欠かせません。品質管理責任者と情報セキュリティ責任者を同一人物が兼任できれば理想的ですが、両者の専門性が異なる場合には、それぞれを並立させたうえで、その上位に統括責任者を置く体制を整える方法が有効です。
さらに、統合委員会を設置して月次レビューを一本化すれば、経営層への報告や意思決定がスムーズになり、組織全体の効率が高まります。加えて、事務局の窓口を一本化することで、審査日程の調整や文書改訂といった実務を一箇所に集約でき、運営の負担を軽減することが可能になります。
(3)共通プロセス(内部監査・教育・リスク)の設計方法
統合の効果が最も大きく現れるのが共通プロセスの設計です。
- 内部監査
- チェックリストを統合し、1回のインタビューで品質(顧客対応)とセキュリティ(PC管理)を同時に確認。現場の負担を軽減できます。
- 教育
- 年1回の全社教育で「品質方針」と「セキュリティ方針」をセットで周知。教育訓練を一本化することで従業員の理解度も高まります。
- リスク管理
- ISO9001ではプロセスリスク、ISO27001では情報セキュリティリスクを扱いますが、両方を「事業リスク」という大きな枠組みで統合管理するのが効果的です。
(4)運用が”回る”統合のコツ
統合を定着させるためには、現場が理解できる仕組みにすることが不可欠です。
- 用語を統一する(例:「是正処置」と「再発防止策」をどちらかに揃える)ことで混乱を防ぐ。
- 1つの会議体(委員会)で品質とセキュリティをレビューし、KPI(品質目標・ISMS目標)を両方管理する。
- 内部監査担当者を共通化し、運用レベルを高める。
【統合ステップまとめ表】
| ステップ | 内容 | ポイント |
| 文書体系の整理 | 統合マニュアルを設計、第8章のみ分割 | 継ぎ足しではなくゼロベースで再構築 |
| 役割・責任の統一 | 管理責任者の兼任/統括責任者設置、委員会一本化 | 報告ラインを明確化し効率化 |
| 共通プロセス設計 | 内部監査・教育・リスク管理を統合 | 現場負担軽減、理解度向上 |
| 運用のコツ | 用語統一、会議体一本化、KPI共通管理 | 「現場が理解できる仕組み」が定着の鍵 |
8.よくある失敗と回避策
ISMSとISO9001の統合はメリットが多い一方で、実務上ではいくつかの典型的な失敗パターンがあります。ここでは代表的な失敗例と、それを防ぐための回避策を整理します。
(1)部門間の連携が取れず統合が形骸化する
よくある失敗は、マニュアルだけ統合したものの、実際には品質保証部と情報システム部が連携せず、形だけの統合になってしまうケースです。
これを防ぐには、共通の会議体を設け、双方が議論できる場を必ず作ることが重要です。
例えば、年に数回合同の「マネジメントレビュー(経営層への報告会)」を開催し、両部門が同じテーブルで社長に報告する場を強制的に作ることで、実質的な連携を促進できます。
(2)文書ルール統一の失敗
もう一つの失敗例は、無理にすべての文書ルールを共通化しようとして、リスク評価手法などで矛盾が生じるケースです。
ISO9001は「手順の標準化」を重視し、ISO27001は「リスクに応じた管理策」を重視するため、完全統合は難しい部分があります。
回避策としては、統合前に「文書管理方針」を作り、共通化できる部分と独立させる部分を明確にすることです。特に現場作業レベルの手順書は、無理に統合せず独立させておく方が賢明です。
(3)品質セキュリティが別管理のまま運用されるケース
最後の失敗例は、審査の日程だけ同じにして中身はバラバラのまま運用されるケースです。
これでは統合の効果が出ません。
回避策としては、品質とセキュリティの両方にまたがる「共通の目標」を設定することが有効です。例えば「システム障害ゼロ」という目標は、品質面でもセキュリティ面でも重要であり、両規格にまたがるKPIとして機能します。さらに、内部監査を共通化し、同じ監査員が両方を確認する体制を作ることで、実質的な統合運用が可能になります。
【失敗と回避策まとめ表】
| 失敗例 | 内容 | 回避策 |
| 部門間の連携不足 | マニュアルだけ統合し、部門間が連携しない | 共通会議体の設置、合同マネジメントレビュー開催 |
| 文書ルール統一の失敗 | 無理な共通化で矛盾が発生 | 文書管理方針を策定し、共通化と独立部分を明確化 |
| 別管理のまま運用 | 審査日程だけ同じで中身はバラバラ | 共通目標(KPI)の設定、内部監査の共通化 |
9.まとめ
本記事では「ISMSとISO9001の違いと統合」について初心者向けに解説しました。
要点を整理しておきましょう。
基礎知識について
- ISMS(ISO27001)は「情報の安全」を守るための規格であり、機密性・完全性・可用性を維持する仕組みを求める。
- ISO9001は「品質」を高めるための規格であり、顧客満足度の向上や不良削減、プロセス改善を目的とする。
- 両者は対象や目的が異なるが、マネジメントシステムという共通の枠組みを持っている。
統合しやすい理由について
- ISO規格は共通構造「HLS(Annex SL)」に基づいており、章立てや要求事項の流れが同じ。
- PDCAサイクルや内部監査、マネジメントレビューなどの仕組みも共通しているため、統合が容易である。
統合の可否と方法について
- ISMSとISO9001は統合可能であり、審査を同時に受ける「統合審査」、文書やプロセスの一本化、担当部署の役割統合などが実務的に行われる。
統合のメリットについて
- 文書やマニュアルを共通化できるため効率化につながる。
- 審査対応の工数や費用を削減できる。
- 品質とセキュリティを一体の経営課題として管理でき、迅速な意思決定が可能になる。
統合前の注意点について
- 第8章(運用)の内容は規格ごとに異なるため、無理な統合は複雑化の原因となる。
- 文書ルールの統一には労力がかかる場合がある。
- 統合審査には両規格に精通した審査員やコンサルタントの選定が必要。
取得パターンについて
- これから両方を取得する場合は、最初から統合前提で構築するのが最も効率的。
- すでに片方を持っている場合は、追加取得後に段階的に統合するのが安全。
- 統合に向いている企業は人員が限られている、品質とセキュリティが密接に関わる業種など。逆に部門間連携が弱い企業は慎重に検討すべき。
成功のステップについて
- 文書体系をゼロベースで整理し、品質とセキュリティを分けつつ統合マニュアルを設計する。
- 役割や責任を統一し、委員会や報告ラインを一本化する。
- 内部監査・教育・リスク管理を共通化することで現場負担を軽減する。
- 用語や会議体を統一し、現場が理解できる仕組みにすることが定着の鍵。
よくある失敗と回避策について
- 部門間の連携不足による形骸化は、合同マネジメントレビューで回避する。
- 文書ルールの無理な統一は矛盾を生むため、共通化と独立部分を明確にする。
- 品質とセキュリティを別管理のままにしないために、共通目標や内部監査の一本化を行う。
本記事を参考に、ISMSとISO9001の違いと統合のポイントを理解し、自社に合った進め方を検討していただければ、効率的かつ効果的なマネジメントシステムの構築につながります。
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