2025年5月21日

目次
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- 1. ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは
- 1-1. ISMSとは情報セキュリティを管理する仕組みのこと
- 1-2. ISMSとISO27001は密接に関連している
- 1-3. ISMSの目的は情報セキュリティを強化すること
- 1-4. ISMSを取得することで情報漏洩リスクを最小化することができる
- 2. 近年多くの企業がISMS認証(ISO27001)を取得している
- 3. 企業がISMS認証(ISO27001)を取得するメリット
- 3-1. メリット1:取引先からの要求に答えることができる
- 3-2. メリット2:セキュリティリスク軽減と社内体制の強化につながる
- 3-3. メリット3:企業の信頼性を向上できる
- 4. ISMS認証(ISO27001)を取得するデメリット・注意点
- 4-1. デメリット:ISMS構築やISO27001認証取得の費用・労力が発生する
- 4-2. ISMS認証(ISO27001)取得後も維持するための費用・労力が必要になる
- 5. ISMS認証(ISO27001)を取得するか迷ったら検討するポイント
- 5-1. 取引先からISMS認証を求められているか
- 5-2. 競合となる企業がISMS認証を取得しているか
- 5-3. 情報セキュリティリスクの影響が大きいかどうか
- 6. ISMS認証(ISO27001)取得・維持にかかる費用
- 6-1. ISMS認証(ISO27001)審査費用
- 6-2. コンサルティング費用
- 7. ISMS認証取得には労力・コストを抑えられるコンサルの活用がおすすめ
- 8. ISMS認証(ISO27001)取得の流れ
- 8-1. ステップ1:ISMS認証取得の計画を策定する
- 8-2. ステップ2:認証機関(審査機関)を選定する
- 8-3. ステップ3:情報セキュリティマネジメントシステムを構築する
- 8-4. ステップ4:情報セキュリティマネジメントシステムを運用する
- 8-5. ステップ5:内部監査とマネジメントレビューを行う
- 8-6. ステップ6:ISO27001の審査を受ける
- 8-7. ステップ7:ISMS認証(ISO27001)を取得する
- 9. 手間をかけずにISMS認証(ISO27001)を取得するならコンサル利用がおすすめ
- 10. まとめ
「ISMSとは何?ISO27001とどう違うのかよく分からない!」
「ISMSって、結局何をどうしたら良いのだろう?」
ISMSという言葉を聞いて、「なんとなく分かりそうだけど、あんまり良く分からない」という方は多いのではないでしょうか。
結論から話してしまうと、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは、大切な情報・データを流出させたり改ざんされたりすることなく、適切に管理するために組織が構築する枠組みのことをいいます。
近年では、サイバー攻撃や共有設定ミス、元社員の持ち出しなどが原因で、大事な情報・データが外部に漏れたりサービスが使えなくなったりする事故が相次いでいます。こうした事故を防ぐためには、情報セキュリティ体制を強化して、できるだけ事故が起こらない組織体制を整える必要があるのです。
そして、ISMSの理想形として目指すべきなのが「ISO27001」という国際規格であり、ISO27001認証を取得すると、対外的に「この企業のISMSは国際規格に適合している」と認めてもらえるというわけです。
この記事では、「ISMSとは何か?」という基礎的な知識から、ISMS認証(ISO27001)を取得するメリット・デメリット、取得するか迷った時に検討すべきポイントを解説し、認証取得を迷っている企業の参考になる情報をまとめて解説していきます。
さらに後半では、認証取得にかかる費用、取得までの流れなども体系的に解説しています。
ISMSの意味だけでなく、必要性や「自社がどうすべきか」など全体像を把握したい方は、ぜひ最後までお読みいただき参考になさってみてください。
1. ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは
まずは、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)という言葉の意味を理解していきましょう。
「ISO27001と何が違うのか」や「なぜISMSを構築するのか」などもしっかり理解しましょう。
1-1. ISMSとは情報セキュリティを管理する仕組みのこと
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは、組織が「情報セキュリティを適切に管理するための仕組み」です。
これを2つの言葉に分けて考えてみましょう。
「情報セキュリティ」とは、個人や組織が保有する重要な情報(例えば、個人情報や機密データなど)を、不正なアクセスや改ざん、紛失、漏洩などから保護し、適切に管理することを指します。
これを専門的な言葉で言い換えると、「機密性」「完全性」「可用性」の3つの要素に分けることができます。
- 機密性(Confidentiality)
- 情報を秘密にすることです。
例えば、友達との秘密の話を他の人に言わないようにするのと同じように、会社の重要な情報を外部の人に漏らさないようにします。 - 完全性(Integrity)
- 情報を壊さないことです。例えば、大切な書類を破ったり、ノートに間違った内容を書き込んだりしないようにするのと同じで、会社の情報が正確で改ざんされていない状態を保ちます。
- 可用性(Availability)
- 情報を使える状態に保つことです。例えば、必要な時に教科書や文房具がすぐに使えるように準備しておくのと同じで、会社の情報システムがいつでも使えるように管理します。
この3つの要素をバランスよく守ることが、情報セキュリティの基本です。
一方で、「マネジメントシステム」とは、目標を達成するために、計画を立てて、実行して、チェックして、改善していく仕組みのことです。
例えば、学校のテストで良い点を取るために、
- 計画:どの教科をいつ勉強するか計画を立てる。
- 実行:計画通りに勉強する。
- チェック:テストの結果を見て、どこができていなかったかを確認する。
- 改善:次のテストに向けて、勉強方法を工夫する。
という流れで進めるのと同じです。
つまり、「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」とは、
情報セキュリティの目標(例えば、「お客様の情報を絶対に漏らさない」)を達成するために、どのようなルールを作り、どのように実行し、きちんと守られているかを確認し、もっと良くするためにはどうすればいいかを考え、改善していく仕組みを作ることです。
また、このISMSを構築する際に、必ずしもISO27001という国際的なルールに基づいて認証を受ける必要はありません。
もし認証を受けない場合でも、会社の大切な情報を守るために、しっかりとISMSを構築することはとても重要です。
その場合、以下の内容に沿ってISMSを構築するとよいでしょう。
- 自社の状況や目標
- 自分たちの会社にはどのような大切な情報があり、それをどのように守りたいのかという目標を明確にします。
- 法律や規則
- 個人情報保護法など、情報を守るために国や社会が決めたルールを守る必要があります。
- 業界の慣習やガイドライン
- 同じような仕事をしている他の会社が、どのように情報を守っているかを参考にします。また、業界団体などが公開しているガイドラインも役立ちます。
- 過去の失敗や教訓
- 過去に情報が漏れてしまった事故などがあれば、その原因を分析し、二度と起こらないように対策を立てます。
つまり、ISO27001の認証を受けなくても、自分たちの会社にとって何が大切で、どのようなリスクがあるのかをしっかりと理解し、法律や社会のルールを守りながら、最適な情報セキュリティの仕組みを自分たち自身で作り上げていくことが大切だと言えます。
1-2. ISMSとISO27001は密接に関連している
ISMSとISO27001は密接に関連していますが、「仕組み」と「国際規格」という点で区別する必要があります。
ISMSは情報セキュリティを管理するための仕組みそのものであり、ISO27001はその仕組みが国際的な基準に適合していることを証明する認証規格です。つまり、ISMSは「実践」であり、ISO27001はその「評価」と考えることができます。
例えば、企業がISMSを構築しても、それがISO27001の基準を満たしていなければ認証を取得することはできません。
一方で、ISO27001の認証を取得することで、顧客や取引先に対して情報セキュリティの信頼性を示すことができます。
このように、ISMSとISO27001は相互に補完的な関係にあり、組織の情報セキュリティを強化するために重要な役割を果たします。
1-3. ISMSの目的は情報セキュリティを強化すること
ISMSの目的は、組織の情報セキュリティを強化し、情報資産を保護することです。
情報セキュリティを強化するためには、「機密性」「完全性」「可用性」の3つの要素を確保することが重要です。
「機密性」は情報が許可された人だけにアクセスされることを意味し、「完全性」は情報が正確で改ざんされていないことを保証します。「可用性」は必要なときに情報が利用可能であることを指します。
例えば、顧客データを扱う企業では、顧客情報が外部に漏れないようにする(機密性)、データが正確であることを維持する(完全性)、そして必要なときに迅速にアクセスできるようにする(可用性)ことが求められます。
このように、ISMSは「機密性」「完全性」「可用性」を確保することで、組織の情報セキュリティを包括的に強化します。
1-4. ISMSを取得することで情報漏洩リスクを最小化することができる
ISMSを取得することで、情報漏洩リスクを最小化することができます。
ISMSを導入し、ISO27001の認証を取得することで、組織は情報セキュリティに関するリスクを体系的に管理し、潜在的な脅威に対する対策を講じることができます。これにより、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを大幅に低減することができます。
例えば、ISMSを取得した企業では、定期的なリスクアセスメントや従業員教育を通じて、情報セキュリティに関する意識を高め、実際のセキュリティ事故を未然に防ぐことができます。
結果として、ISMSを取得することは、組織の信頼性を向上させるだけでなく、情報漏洩リスクを最小化するための有効な手段となります。
この章では、ISMSとISMS認証を切り離して説明しました。
ISMSについて理解できましたでしょうか。
次の章からは、「ISMS=ISMS(ISO27001)認証」として解説していきます。
2. 近年多くの企業がISMS認証(ISO27001)を取得している
近年では、ISMS認証(ISO27001)を取得する企業の数が、右肩上がりに増えています。
ISMS(ISO27001)認証機関を認定する立場にある「一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)」によると、ISMS-ACが認定したISMS認証(ISO27001)の登録数は以下のように年々増加しています。
情報漏えいや不正アクセスといったインシデントが増える中、情報セキュリティの重要性が高まっていることが分かります。
また、しっかりと情報セキュリティに対して取り組んでいることが示せる制度として、大手企業やIPO(上場)準備企業の間でも取得が広がっていると考えられます。
ISMSとPマーク(プライバシーマーク)の違い ISMS認証の取得を検討している方の中には、「Pマーク(プライバシーマーク)とISMSどちらが良いのだろう?」とお思いの方も多いかもしれません。 ISMSとPマーク(プライバシーマーク)は一見似ているように感じるかもしれませんが、根底にある目的が大きく違います。 ■ISMSの目的:情報セキュリティリスクを軽減する対策を行うこと(必ずしも個人情報の保護を目指しているものではない) ■Pマーク(プライバシーマーク)の目的:個々の人々(情報主体)のプライバシー権を守ること 根底となる目的が異なるという大きな違いのほか、両者の対象範囲や認証までの機関、取得の多い業界、審査内容の違いなど、さまざまな違いがあります。 更に詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。 個人情報保護ではなく、自社の情報セキュリティ対策を目的とする場合には、ISMS認証を選択するようにしてください。 |
3. 企業がISMS認証(ISO27001)を取得するメリット
ISMS認証(ISO27001)の概要や取得企業が増加している現状が分かったところで、「なぜ多くの企業がISMS認証取得に動いているのか」を理解するために、企業がISMS認証(ISO27001)を取得するメリットについて解説していきます。
企業がISMS認証(ISO27001)を取得するメリット
- メリット1:取引先からの要求に答えることができる
- メリット2:セキュリティリスク軽減と社内体制の強化につながる
- メリット3:企業の信頼性を向上できる
3-1. メリット1:取引先からの要求に答えることができる
ISMS認証(ISO27001)を取得することにより、取引先やパートナーからの情報セキュリティに関する要求や期待に応えることが可能になります。
近年、多くの企業がビジネスの信頼性を向上させるために、取引先に対して一定の情報セキュリティ基準を満たすことを求めるケースが増えています。ISMS認証を取得することで、第三者機関による客観的な評価を通じて、自社の情報セキュリティ管理が国際的な標準に準拠していることを証明できます。
特に、大企業が中小企業と取引をする場合や、官公庁の事業に入札する場合など、「ISO27001を取得していること」が情報セキュリティ管理体制に問題がないことの証になるケースが多くあります。
入札条件に指定されている例(総務省) 「技術等の要求要件」の中に、「情報セキュリティ管理体制が整っていることを証明する書類を提出すること」が求められています。 ISO/IEC27001、JIS_Q27001 認証又は ISMS 認証のいずれかの認証書類の提出でも可とする。なお、ISO/IEC27001、JIS_Q27001 認証又は ISMS 認証のいずれかを取得していることが望ましい。 |
逆に言えば、ISO27001を取得していない場合には、「適切な情報セキュリティ管理体制が整っていること」を説明するのが難しいと言わざるを得ません。
取引開始時に、他の「ISO27001を取得している企業」と比較されてしまうと、取得していない企業は見劣りする結果になってしまう可能性があります。
3-2. メリット2:セキュリティリスク軽減と社内体制の強化につながる
ISMS認証(ISO27001)を取得する大きなメリットとして、自社が抱えるセキュリティリスクを大幅に低減でき、社内体制を強化できるという点も挙げられます。
ISMS認証のプロセスにおいて、情報資産を体系的に洗い出し、潜在的なリスクを特定し、それに対する適切な管理策を講じることが求められるからです。つまり、認証を得ようとする過程で、情報セキュリティリスクを軽減できる仕組みを構築できるというわけです。
また、認証を継続するためには、継続的なリスク評価と改善サイクル(PDCAサイクル)を回していく必要があるため、組織全体で常に情報セキュリティ意識を高め、最新の脅威に対応する能力を維持します。
前述した通り、昨今では情報漏えいやサイバー攻撃、不正アクセスなどのさまざまな脅威にさらされている現状があるため、それらのリスクを未然に防ぎつつ組織の信頼性や安全性を強化できるISMSを認証は、取得するメリットが大きいと考えて良いでしょう。
3-3. メリット3:企業の信頼性を向上できる
ISMS認証(ISO27001)を取得していることで、「国際的な標準に基づいて、しっかりと顧客や取引先の個人情報を守ろうとしている」という信頼を得ることができます。
最近では連日のように、個人情報の漏えいや不正アクセスなどのニュースが世間を騒がせています。サービスを利用する上で、「自分の個人情報を適切に管理してくれる企業なのか」が厳しくチェックされる時代が来ています。
ISMS認証(ISO27001)を取得して継続して更新し続けていることで、情報セキュリティに関する管理体制が適切に整備されていることや、情報セキュリティに対する企業の真摯な取り組みを対外的にアピールすることが可能です。
企業の信頼性が上がれば、市場での競争力が向上し、新たなビジネスチャンスの獲得にもつながるでしょう。ISMS認証取得は企業の信頼を高め、継続的な成長を支える重要な要素となります。
4. ISMS認証(ISO27001)を取得するデメリット・注意点
前章ではISMS認証(ISO27001)を取得するメリットを解説しましたが、ここからは反対に、企業がISMS認証(ISO27001)を取得する上でのデメリットや注意点を確認していきましょう。
ISMS認証(ISO27001)を取得するデメリット・注意点 デメリット1:ISMS構築やISO27001認証取得の費用・労力が発生する デメリット2:ISMS認証(ISO27001)取得後も維持するための費用・労力が必要になる |
4-1. デメリット:ISMS構築やISO27001認証取得の費用・労力が発生する
ISO27001認証取得は決して「簡単」といえるものではなく、認証審査をクリアするためには、マネジメントシステム構築や審査の準備に相応の費用や労力が発生します。
具体的に、ISO27001認証取得にあたっては、以下のような費用や労力がかかります。
【ISO27001認証取得時にかかる費用・労力】
自力で認証取得する場合 | ・審査費用(規模によって50万円〜120万円程度) ・自力で基準を満たすための準備には相当の労力がかかる |
認証取得コンサルタントに依頼する場合 | ・審査費用(規模によって50万円〜120万円程度) + ・コンサルタント費用(30万円〜150万円程度が一般的) |
自力で認証を取得する場合でも50万円〜120万円程度かかり、認証取得サポートを依頼する場合は、コンサル費用もプラスされて合計で80万円〜270万円程度が発生することを認識しておきましょう。
自力で認証取得を目指す場合には、費用は抑えられますが、ISOの主旨や要求事項の理解、膨大な文書・記録の作成、審査や手続きの準備など、かなりの労力がかかります。コンサル費用は抑えられても、人件費がかかることになるので注意してください。
4-2. ISMS認証(ISO27001)取得後も維持するための費用・労力が必要になる
ISMS認証(ISO27001)は新規取得すれば終わりではなく、その後も継続的な運用と更新をしていく必要があります。
具体的には、取得後も3年に1度の「更新審査」や、1年ごとの「維持審査」が必須で、そのための審査費用も手続き、労力がかかります。
ISMS認証(ISO27001)を維持し続けるためには、業務プロセスをISO27001の規格に沿って運用し続ける必要があり、新たな社員への教育や内部体制の改善・見直しといった活動も欠かせません。
新規取得の費用・労力だけでなく、ISMSを維持し続けるための費用・労力が長期的にかかる、ということはしっかりと事前に理解しておきましょう。
5. ISMS認証(ISO27001)を取得するか迷ったら検討するポイント
ISMS認証(ISO27001)を取得するメリットとデメリットを両面から解説したところで、ここからはISMS認証を取得するかどうか決めるポイントを解説します。
基本的には、ISMS認証を取得するメリットがデメリットを上回る場合には、取得を進めていくことをおすすめします。具体的には、以下の3点がポイントとなります。
ISMS認証(ISO27001)を取得するか迷ったら検討するポイント (1)取引先からISMS認証を求められているか (2)競合となる企業がISMS認証を取得しているか (3)情報セキュリティリスクの影響が大きいかどうか |
それぞれ詳しく解説していきます。
5-1. 取引先からISMS認証を求められているか
既存の取引先やこれから新規取引を開拓したい潜在的な取引先から、ISMS認証(ISO27001)の取得が求められている場合には、取得を前向きに進めていくことがおすすめです。
例えば、「新規の取引先からISMS認証(ISO27001)を取得してください」と言われたり、官公庁の入札の参加条件にISMS認証(ISO27001)取得が記載されていたりする場合が代表的なケースに該当します。
5-2. 競合となる企業がISMS認証を取得しているか
競合他社が既にISMS認証(ISO27001)を取得している場合には、企業としての信頼性や競争力を保つために取得を検討すべきです。
特に、業界内でISMS認証(ISO27001)がデファクトスタンダード(業界として当たり前の基準)となっている場合には、認証を取得しないことで競合他社よりも取引上で不利となる可能性があります。
自社と似ている企業や業界的に、ISMS認証(IS27001)がどのような意味を持っているかを一度調べてみると良いでしょう。
5-3. 情報セキュリティリスクの影響が大きいかどうか
企業が取り扱う情報の重要性が高いなど、情報セキュリティリスクの影響が甚大となるケースでは、ISMS認証(IS27001)を通じてセキュリティを強化するメリットが大きいといえます。
例えば、顧客情報や取引データ、技術情報など重要な情報を取り扱う企業では、情報漏洩やデータの改ざん、不正アクセスなどが発生するとビジネスに深刻な影響を及ぼす可能性が高いでしょう。
インシデント(事故)を起こしてニュースで大々的に報じられてしまえば、顧客離れや取引先からの信頼低下につながりかねません。
このようなケースでは、ISMS認証(IS27001)の取得を通じて、情報セキュリティマネジメントシステムを適切に構築・運用することで、リスクに備えることをおすすめします。
6. ISMS認証(ISO27001)取得・維持にかかる費用
ここからは、ISMS認証(ISO27001)取得・維持にかかる費用を詳しく解説していきます。認証取得を進めていくと決めた後に気になるのが、実際に掛かる費用面ではないでしょうか。
ISMS認証(ISO27001)の取得・維持にかかる費用は、「(1)審査費用」+「(2)コンサルティング費用」の合計となります。
【ISMS認証(ISO27001)取得・維持にかかる費用】
(1)審査費用(※) | 初回審査(1年目):53.5万円〜124万円程度が目安 維持審査(2年目・3年目):21万円〜48万円程度が目安 更新審査(4年目):40万円〜8万円程度が目安 |
(2)コンサルティング費用 | 「アドバイスのみ」コンサル:30万円前後/年 「アドバイス+運用サポート」コンサル:40万円/年〜150万円/年 |
※審査費用は審査機関によって異なります。文中に記載している金額は目安であり実際と大きく異なる場合もあります。また、一次審査+二次審査+ISO登録料の合計で、審査員の交通費・宿泊費は含まれていません。
さらに詳しく解説していきます。
6-1. ISMS認証(ISO27001)審査費用
ISMS認証(ISO27001)審査費用は、初回審査・更新審査・維持審査それぞれで金額が変わってきます。あくまで目安ですが、以下がそれぞれの平均です。
6-2. コンサルティング費用
自力でISMS認証(ISO27001)を取得する場合には上記の審査費用のみですが、難しい認証取得のサポートを受ける場合にはコンサルティング費用がかかります。
自社の情報セキュリティ体制を見直し、ISMS認証基準に適合させるのは容易ではないため、多くの企業がコンサルティングを利用します。
依頼先によって費用も内容も異なりますが、以下がコンサルティング費用の目安となります。
【ISMS認証取得のコンサルティングを受ける場合の費用目安】
(1)「アドバイスのみ」コンサル | 年間30万円前後が一般的 リーズナブルな価格設定ですが、アドバイスを受けながら担当者がイチから作るため、無駄なルールが増えやすく、認証後の運用が大変になりやすいという課題があります。 |
(2)「アドバイス + 運用サポート」コンサル | 年間40万円〜年間150万円程度が一般的 プロがお客様の現状をヒアリングしながら、文書・ルールを作成するため、必要最低限で実務に沿ったISMSの運用が可能です。 |
ISO取得のノウハウが社内に全くないケースなど、新規取得時の負担を減らしたい場合には、費用がかかっても「アドバイス + 運用サポート」が受けられるコンサルティングがおすすめです。
一方で、初回審査後のサポートであれば、費用を抑えた「アドバイスのみ」も検討しましょう。ただし、社内の負担をどの程度軽減できるのか、内容を十分に比較・確認することをおすすめします。
コンサルティング費用と内容は、依頼先によってまちまちなので、複数社から見積りをとって比較するようにしましょう。
なお、認証パートナーでは、料金はお手頃価格でありながらも、認証率100%を誇る高品質なコンサルティングをご提供します。8,000社以上の支援実績を持ち、継続率も94%と高い認証パートナーのISMS認証取得サービスをぜひご検討ください。
7. ISMS認証取得には労力・コストを抑えられるコンサルの活用がおすすめ
ここまでの内容を踏まえた上で、ISMS認証(ISO27001)を取得するかどうかの意思決定ができてきたのではないでしょうか。
結局のところは、お金も労力もかかることですので、特定の企業や官公庁などとの取引を継続するために、ISMS認証(ISO27001)取得を余儀なくされるケースがほとんどと考えられます。
ここで問題になるのが、「自力での取得を目指す」のか、「コンサルティング費用を支払って、認証取得コンサルティングを受ける」のかという点です。
自力でISMS認証(ISO27001)取得を目指す場合、コンサルティング費用がかからないメリットがありますが、その分、社内の従業員にかなり大きな負担がかかります。
ISOの知識がない社員がイチから知識を勉強してマネジメントシステムを構築し、要求事項を満たす内容を考えていくのは非常に大変な作業となります。コンサルティング費用がかからないといっても、その分従業員の人件費が必要になりますし、時間もかかりますし、負担が増えた従業員のストレスも発生してしまうでしょう。
さまざまな負担を考慮すると、ISOの知識が豊富なコンサルティング会社に、認証取得を依頼してしまうことをおすすめします。
ただし、コンサルティング会社によって金額にも内容にも違いがあるため、できるだけ費用と労力を抑えた形でISMS認証(ISO27001)が可能な会社を選ぶことが重要です。
もしもどのコンサルティング会社を選ぶか迷ったら、「審査合格率100%」「コンサルティング費用:月額4万円」「3年以上継続率94%」の特徴を持つ認証パートナーにぜひご相談ください。
8. ISMS認証(ISO27001)取得の流れ
ここからは、ISMS認証(ISO27001)を取得する場合の流れを7ステップで紹介していきます。
認証取得を目指す企業はぜひ「今後の流れがどのようになるか」をイメージしながら読み進めてみてください。
計画策定から認証取得までにかかる期間は「およそ半年〜1年」です。それぞれの詳細を、以下で見ていきましょう。
8-1. ステップ1:ISMS認証取得の計画を策定する
ISMS認証取得の第一歩は、取得の目的と範囲を明確にし、具体的な計画を立てることです。プロジェクトチームを結成し、スケジュールや予算を綿密に策定することがポイントとなります。
その他、ISMS認証をいつまでに取得するか目標を立てたり、予算(審査費用やコンサルティング費用、設備投資など)を見積もったり、責任者やメンバーを選定したりという内容が含まれます。
綿密な計画策定を立てることでISMS認証取得までの道筋が明確になり、組織全体で取り組む体制を整えることができます。ISMS認証取得の成否を左右する部分なので、しっかりと策定していきましょう。
8-2. ステップ2:認証機関(審査機関)を選定する
2つめのステップは、ISMS認証の審査を行う認証機関(審査機関)を選定するステップです。ここでいう認証機関(審査機関)とは、ISO27001に基づくISMS認証審査を実施し、認証書を発行する第三者機関のことを指します。
認証機関は国内に60社ほど存在しているため、自社のビジネス特性や経営資源を考慮して、最適な認証機関を見極める必要があります。
認証機関(審査機関)を選定する3つのポイント 1. 審査費用が適切か:複数の認証機関に相見積もりを取って、審査費用が適切な水準にあるかを確認します。安すぎる場合は対応に不安が残り、高すぎる場合は過剰なコストとなる恐れがあります。 2. 自社の要望に合わせた対応が可能か:自社のISMS運用方針に合った審査を行ってくれる認証機関を選ぶことが重要です。ルール重視の審査を希望するのか、現場重視の審査を希望するのかなど、自社の要望をヒアリングしてくれる認証機関が望ましいでしょう。 3. 対応のスピード:見積もり依頼への回答、審査日程の調整、認証書の発行など、認証取得のプロセスではすみやかな対応が求められます。問い合わせへの反応の速さも、認証機関選定の重要な判断材料となります。 |
コスト面だけでなく、総合的な視点から認証機関を比較・検討することが大切です。詳しくはこちらの記事もあわせてご覧ください。
8-3. ステップ3:情報セキュリティマネジメントシステムを構築する
ステップ3ではいよいよ、選定した認証機関の基準に則って、自社の情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を構築していきます。ISO27001の要求事項を満たす体系的な仕組みづくりがポイントとなります。
ISO27001の要求事項を自社の実態に合わせて具現化し、現場に浸透させることが大切です。経営層のリーダーシップの下、全社一丸となってISMSを構築する必要があります。
自力でのISMS構築が難しい場合には、専門のコンサルティング会社のサポートを依頼することも検討しましょう。
8-4. ステップ4:情報セキュリティマネジメントシステムを運用する
情報セキュリティマネジメントシステムを構築した後は、実際に運用していくフェーズに入ります。
構築したISMSが、実際の業務の中で確実に機能しているかをチェックしながら、ISMSの運用を進めていきます。日々の活動のなかで、PDCAサイクルを回し、継続的な改善を図ることが重要です。
情報資産の管理・アクセス制御・ネットワークセキュリティ・インシデント対応など、立案したセキュリティ対策を実行に移した上で、モニタリングを行い、必要に応じて修正を加えていきましょう。
ISMSを継続的に運用し、その有効性を高めていくことが、真の意味でのISMS取得といえます。形骸化させることなく、組織のセキュリティレベルの向上につなげていくことが大切です。
8-5. ステップ5:内部監査とマネジメントレビューを行う
情報セキュリティマネジメントシステムの構築・運用ステップが終わったら、内部監査とマネジメントレビューを行います。
これは、ISMSが適切に運用されているかを検証するために重要なステップとなります。また、監査結果を踏まえ、経営層がISMSの見直しを行うマネジメントレビューも不可欠です。
内部監査についてはこちらの記事もぜひ参考になさってください。
形式的な監査に陥ることなく、真摯に改善に取り組む組織文化を醸成していきましょう。
8-6. ステップ6:ISO27001の審査を受ける
ステップ5までのプロセスを経て、ISMSの構築・運用ができたら、いよいよ審査です。
外部の認証機関による審査を受けて、客観的に評価してもらいます。審査は2段階で行われ、書類審査と現地審査が実施されます。
審査で「不適合」や「推奨事故」が指摘された場合には、是正処置を実施します。根本原因を究明し、再発防止策を講じることが大切です。是正結果報告書を作成し、審査員の確認を受けます。
審査を受ける際には、審査員の客観的な視点から得られる気づきを真摯に受け止め、改善につなげる姿勢を持って取り組みましょう。
8-7. ステップ7:ISMS認証(ISO27001)を取得する
外部審査に合格し、認証基準に適合していると認められれば、いよいよISMS認証を取得できます。ただし、これがゴールではなく、新たなスタート地点にようやく立った状態です。
ISMS認証取得後も、年1回のサーベイランス審査(認証維持のための定期的な確認審査)や、3年に1度の更新審査を受ける必要があります。
ISMS認証取得は、セキュリティ対策の第一歩であり、終着点ではありません。認証基準に適合し続けることはもちろん、新たなセキュリティリスクに対応し、ISMSを進化させ続けることが求められます。
9. 手間をかけずにISMS認証(ISO27001)を取得するならコンサル利用がおすすめ
自力でISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)をゼロから構築してISO27001認証を取得するためには、1年程度の準備期間や対応する人材の確保ができれば可能です。
しかしながら、「早く取得したい」「ISO取得にリソースを避けない」という場合には、コンサルティング会社のサポートを受けるのがおすすめです。特に、自社内に詳しい人材がいない場合には、専門家のサポートを借りるほうがトータルコストも抑えられる結果になりえます。
自社取得はコンサル費用がかからないため安くできると勘違いされがちですが、実際には、社内で対応する社員の人件費がかさんでしまうことも多いのです。
認証取得コンサルティングを活用すれば、専門的な知識や経験を持つ専門家のアドバイスを受けることができ、取得までの期間も短縮することが可能です。
ただし、コンサルティング会社は「どこでも良い」訳ではなく、依頼先をしっかりと厳選することをおすすめします。なぜならば、コンサル選びによっては、認証取得の効率や結果に大きな差が出ることがあるからです。
受けられるサポート内容やコンサル価格も違うため、必ず複数のサービスを比較して、「社内の工数負担をゼロに近づけるようなサービス」を選び、コストも抑えられる業者を選びましょう。
もしもどのコンサルティング会社を選ぶか迷ったら、「審査合格率100%」「コンサルティング費用:月額4万円」「3年以上継続率94%」の特徴を持つ認証パートナーにぜひご相談ください。
10. まとめ
本記事では「ISMSとは何か」について網羅的に解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは
- ISMSとは情報セキュリティを管理する仕組みのこと
- ISMSの目的は「情報セキュリティの3要素」を確保すること
- ISMSについての国際的な規格が「ISO27001」と呼ばれている
企業がISMS認証(ISO27001)を取得するメリット
- メリット1:取引先からの要求に答えることができる
- メリット2:セキュリティリスク軽減と社内体制の強化につながる
- メリット3:企業の信頼性を向上できる
ISMS認証(ISO27001)を取得するデメリット・注意点
- デメリット1:ISMS構築やISO27001認証取得の費用・労力が発生する
- デメリット2:ISMS認証(ISO27001)取得後も維持するための費用・労力が必要になる
ISMS認証(ISO27001)を取得するか迷ったら検討するポイント
- 取引先からISMS認証を求められているか
- 競合となる企業がISMS認証を取得しているか
- 情報セキュリティリスクの影響が大きいかどうか
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▼認証パートナーが削減できること(一例)- マニュアルの作成・見直し:30時間→0.5時間
- 内部監査の計画・実施:20時間→2時間
- 審査資料の準備:20時間→0.5時間
認証取得したいけれど、何をすれば良いか分からない方も、まずはお気軽にご相談ください。
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ISMS(ISO27001)認証パートナー
サービスのご案内
認証パートナーの専門コンサルタントが御社の一員となって事務局業務を行います。
お客様の作業は審査機関との窓口役だけ。それ以外はすべてお任せください。
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Pマーク
個人情報保護マネジメントシステム
高い保護レベルの個人情報保護マネジメントシステムを確立し、運用していることを示します。
認証パートナーなら、個人情報漏えい防止の観点も踏まえたサポートを実現します。Pマークの認証ページへ -
ISO9001
品質マネジメントシステム
品質マネジメントシステムは一貫した製品・サービスを提供し、顧客満足を向上させるための規格です。
認証パートナーなら、負担が増える形だけのISOではなく、より現場の実態に沿ったISOを実現します。ISO9001の認証ページへ -
ISMS・ISO27001
情報セキュリティマネジメントシステム
情報セキュリティマネジメントシステムは企業・組織の情報を守る規格です(ISMSとISO27001は同義)。
認証パートナーなら、情報セキュリティリスクへの対応計画、緊急時の対応計画踏まえPDCAサイクル回せるような仕組み作りを実現します。ISMS/ISO27001の認証ページへ -
ISO14001
環境マネジメントシステム
環境マネジメントシステムは環境を保護し、変化する環境状態に対応するための組織の枠組みを示します。
認証パートナーなら、課題になりがちな環境法令の対応についても一緒にサポート致します。ISO14001の認証ページへ -
ISO27017など各種対応規格
ISO27017やISO22000など各種規格もお得に 新規取得や運用・更新ができます。ご気軽にお見積りください。
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複数規格の同時取得
ISOやプライバシーマークを同時に認証取得すると費用や工数を抑えることができます。安心してご相談ください
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