2024年10月17日
ISO9001の「品質管理責任者」って何をすればいいの?
ISO9001の品質管理責任者は、品質を維持・向上させ、顧客満足を達成するために業務を整備し改善する役割を担います。
ISO9001:2015の改訂以降、品質管理責任者という明確な役職は規格上、必須ではなくなりました。しかし、組織の規模や複雑さによっては、品質マネジメントシステムの円滑な運用のため、依然として品質管理責任者のような役割を担う人物が必要となる場合があります。
2025年4月11日
2024年2月23日、ISO9001を含む多くのマネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」が追加される追補改正が行われました。
この改正により、すでにISO9001認証を取得している企業はマネジメントシステムの見直しが求められます。具体的には、気候変動リスクの特定と評価を行い、その対策を立案し、システムに組み込む必要があります。
目次
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2024年2月、多くのマネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」に関する記述が追加されました。
これは気候変動が世界的な課題であり、企業がその影響を考慮し、対策を講じる必要があるという認識の高まりを反映しています。
ISO9001では「4.1 組織及びその状況の理解」と「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」の箇条に、以下の文言が追加されました。
4.1項「組織は,気候変動が関連する課題かどうかを決定しなければならない」
4.2項「注記:関連する利害関係者は,気候変動に関する要求事項をもつ可能性がある」
引用:「ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項」
これらの追加により、組織は自社の事業活動が気候変動に与える影響、または気候変動が自社の事業に与える影響を考慮し、その対策を講じることが求められるようになりました。
近年、異常気象や海面上昇、生物多様性の損失など、気候変動による影響が顕著になってきています。
企業は、これらの影響によって以下のようなリスクに直面しています。
物理的なリスク:洪水、干ばつ、暴風雨などによる施設の損害、サプライチェーンの断絶
移行リスク:規制の強化、消費者意識の変化、技術革新などによるビジネスモデルの変化
法的リスク:気候変動に関する法規制への不遵守による罰則
ISO9001は、製品やサービスの品質マネジメントシステムに関する国際規格です。
この規格に沿って経営することで、顧客満足度の向上、業務効率の改善、リスク管理の強化などを図ることができます。
ISO9001について、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
気候変動対策には、大きく分けて以下の2つのポイントがあります。
「緩和」とは、温室効果ガスの排出量を削減する、または吸収量を増加させる取り組みを指します。
具体的には以下のような対策が挙げられます。
ISO9001のリスク管理プロセスにおいては、温室効果ガス排出量を「スコープ1(直接排出)」「スコープ2(購入エネルギー由来の間接排出)」「スコープ3(サプライチェーン全体の間接排出)」の3つの視点で捉え、削減目標を設定することが重要となってきます。
「適応」とは、気候変動の影響に対して自然生態系や社会・経済システムを調整し、悪影響を軽減する、または好影響を活用する取り組みを指します。
【例】
ISO9001の「4.1 組織及びその状況の理解」や「6.1 リスク及び機会への取り組み」のプロセスを活用することで、適応策を効果的に計画・実行することができます。
ISO9001は、製品やサービスの品質を安定的に提供するための国際規格ですが、実は気候変動対策にも役立ちます。
ISO9001はリスク管理の仕組みを備えているため、気候変動リスクを特定し、対策を講じるための有効なツールとなりえます。
また、組織全体の意識改革を促し、持続可能な経営を実現するための基盤となります。
気候変動対応には、以下のようなサイクルを作ることをおすすめします。
一つづつ詳細を見ていきましょう。
業種別や共通の適応策例は、環境省の「A-PLAT」サイトで確認可能です。
気候変動がもたらす自然災害は、企業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。ISO9001を運用する企業にとって、これらのリスクに対処し、事業の継続性を確保することは重要な課題と言えます。
ここでは、ISO9001の規格要求事項に基づき、気候変動に関連する自然災害への具体的な対策事例を紹介します。これらの事例を参考に、組織のリスク管理や事業継続計画の強化にお役立てください。
事例:自然災害(例: 台風、洪水、地震)による業務停止リスクを特定し、事前に対策を講じる。
対策:洪水リスクが高い地域では、重要な設備やデータセンターを高層階に移設する。
対策:地震リスクに備え、耐震性の高い建物を使用し、緊急時の避難計画を策定。
事例:自然災害発生時における事業継続のための計画を策定。
対策:台風や地震による停電に備え、非常用発電機を設置する。
対策:サプライチェーンの中断リスクを軽減するため、複数の供給元を確保する。
事例:気候変動や自然災害が組織に与える影響を分析する。
対策:気候変動による豪雨の頻発を考慮し、排水設備の強化や防水対策を実施する。
対策:地域の自然災害リスクを評価し、事業所の立地選定に反映する。
事例:自然災害時の緊急対応手順を整備する。
対策:地震発生時の従業員の安全確保手順をマニュアル化する。
対策:洪水時の重要書類やデータの保護手順を策定する。
事例:自然災害に備えた従業員教育を実施する。
対策:防災訓練を定期的に実施し、従業員が緊急時に適切に対応できるようにする。
対策:気候変動リスクに関する意識向上のための研修を実施する。
事例:サプライチェーンの中断リスクを軽減する。
対策:自然災害リスクが高い地域に拠点を持つ供給者の代替供給者を確保する。
対策:供給者と連携して、災害時の緊急対応計画を策定する。
事例:自然災害リスクに関連する指標をモニタリングする。
対策:気象データを定期的に収集し、災害リスクを予測する。
対策:設備の老朽化や耐久性を定期的に点検し、災害時の被害を最小限に抑える。
事例:自然災害発生後の教訓を活かし、対策を改善する。
対策:過去の災害時の対応を振り返り、BCPや緊急対応手順を見直す。
対策:災害後の復旧プロセスを効率化するための改善活動を実施する。
ここまで、ISO9001を活用することで気候変動リスクを軽減できる可能性についてお伝えしてきました。
では、今回のISO9001における気候変動への配慮の追加により、具体的にどのような対応が求められるのでしょうか?
気候変動への配慮が追加になりましたが、今のところ大きくマニュアルを変更する必要はありません。
ISO9001:2015は2026年9月に改定を予定しています。
2026年に規格改定の情報が出てからマニュアルの変更を進めれば問題ありません。
詳しいスケジュールなどはこちらをご確認下さい。
気候変動への配慮追加や、今後の規格改定に伴い、今のうちからルールの見直しを行いましょう。
特に、ISOを10年以上運用している企業では、長年の運用や審査を通じて改善を重ねてきた結果、現在の業務にそぐわないルールや、形骸化した規定が残っているケースが少なくありません。
「以前からのルールだから守らなければならない」と思い込んでいる場合も多く、改めて見直しを行うことが重要です。
現行の規定をスリム化しておくことで、改定時には必要な要件をスムーズに追加・修正できるようになります。これにより、改定対応の負担を軽減し、効率的な移行が可能となります。
自社で上記の作業に手が回らない場合は、ISOコンサルタントに依頼することでムリなく・ムダなく移行作業を行うことができます。
認証パートナーでは、統合マニュアルの作成やスリム化の各業種ごとの事例が豊富にありますので、「自社の場合だと、どうすれば良いだろう?」といった悩みを解決することができます。
ISO9001は、品質管理の枠を超えて、気候変動対策にも有効なツールとして活用されています。
ISO9001を導入することで、企業は気候変動リスクを低減し、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
この情報を参考に、貴社もISO9001の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
より詳しい情報や、貴社の状況に合わせた具体的なアドバイスが必要な場合は、お気軽にご相談ください。
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