2025年11月14日

目次
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- 1.ISMS(ISO27001)とは何か?
- 【ISMSの基本原則】
- 【構成要素】
- 2.ISMSを構築する目的とメリット
- 【ISMS構築の目的とメリット】
- 3.ISMS構築の全体像
- 【ISMS構築の流れとフェーズ】
- 4.ISMS構築の10ステップ
- 【ステップ1】現状把握と取得までの全体計画を立てる
- 【ステップ2】体制整備とISMS推進組織の設置
- 【ステップ3】適用範囲・法令・利害関係者の要求事項の特定
- 【ステップ4】リスクアセスメントの実施(資産特定・リスク分析・評価)
- 【ステップ5】リスク対応計画の策定と管理策の導入
- 【ステップ6】文書化と規程・手順書の整備
- 【ステップ7】従業員教育・訓練と全社への周知
- 【ステップ8】ISMSの運用開始と記録管理
- 【ステップ9】内部監査とマネジメントレビュー
- 【ステップ10】認証審査への対応
- 5.まとめ
- 【ISMSの本質と目的】
- 【ISMS構築の10ステップ】
「ISMS認証の取得、どこから手をつければいいの?」
「全体の流れが複雑でよくわからない…」 このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
情報セキュリティに対する関心が世界的に高まる中、ISMS認証取得は企業の信頼性を示す重要な手段となりつつあります。
しかし、ISMSの構築は専門知識が必要で、全体のプロセスを把握しないまま進めると、プロジェクトが停滞したり、途中で挫折したりするリスクがあります。
本記事では、ISMS構築の基本から、具体的な10のステップ、そして実務上の重要なポイントまで、体系的にわかりやすく解説します。
最後までお読みいただくことで、ISMS構築の全体像が明確になり、自社でプロジェクトをスムーズに進めるための具体的な道筋が見えてきます。セキュリティ体制を強化し、事業の継続性と信頼性を高めるための一歩を踏み出しましょう。
1.ISMS(ISO27001)とは何か?

ISMS(ISO27001)とは、組織の情報資産を保護するための包括的なマネジメントシステムです。正式名称は「情報セキュリティマネジメントシステム(Information Security Management System)」であり、ISO/IEC 27001という国際規格に基づいて構築・運用されます。
ISMSの目的は、情報資産に対するリスク(サイバー攻撃、情報漏洩、内部不正、災害など)を組織的に管理し、以下の3つの基本原則を満たすことです。
【ISMSの基本原則】
- 機密性(Confidentiality)
- 情報が許可された人だけにアクセスされるようにする
- 完全性(Integrity)
- 情報が正確であり、改ざんされていないことを保証する
- 可用性(Availability)
- 必要なときに情報へアクセスできる状態を保つ
これらの原則を実現するために、ISMSは以下の3要素を組み合わせて運用されます。
【構成要素】
- ルール(規程)
- 情報セキュリティに関する方針や手順を定める
- 人(教育)
- 従業員への教育・訓練を通じて意識と知識を向上させる
- 仕組み(運用)
- 実際の管理体制や技術的対策を継続的に運用・改善する
ISMSについては、こちらの記事で詳しく説明しております。
2.ISMSを構築する目的とメリット
ISMSの構築は、企業や組織が情報漏洩や不正アクセスなどのリスクを低減し、事業の継続性と信頼性を確保するための取り組みです。単なる認証取得を目的とするのではなく、情報資産を守るための基盤を整え、企業価値を高めることが本質的な目的です。
ISMSの導入によって、組織は情報セキュリティに対する体系的な対応が可能となり、社内外に対して信頼性の高い体制を示すことができます。
【ISMS構築の目的とメリット】
| 項目 | 内容 |
| 事業継続性の確保 | 情報漏洩や不正アクセスなどのリスクを低減し、事業を止めない体制を整える |
| 社会的信用の向上 | ISMS認証により、顧客や取引先に対して情報セキュリティへの真摯な姿勢を示す |
| ビジネスチャンスの拡大 | 入札条件や取引要件で認証が求められるケースが増加し、競争優位性を獲得できる |
| リスク管理の強化 | 顧客情報・設計図・知的財産などを守り、事故や損害を未然に防ぐ |
| 法令・規制対応 | 個人情報保護法やサイバーセキュリティ関連法規制に体系的に対応可能 |
| 社内意識の向上 | 従業員の情報セキュリティ意識が高まり、ヒューマンエラーによる事故を防止 |
| 企業価値の向上 | 信頼性と安全性の高さが顧客から選ばれる理由となり、企業のブランド力を強化 |
ISMSは、情報セキュリティを「技術」だけでなく「経営課題」として捉え、組織全体で継続的に改善していくための枠組みです。結果として、企業の信頼性・競争力・持続可能性を高める強力な手段となります。
3.ISMS構築の全体像
ISMSの構築は、一度きりの取り組みではなく、継続的な改善を前提としたPDCAサイクル(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Act=改善)に基づくプロセスです。情報セキュリティの体制を確立し、運用しながら定期的に見直し、改善を重ねていくことで、組織の信頼性と安全性を高めていきます。
ISMS構築の流れは、実務レベルでは以下のようなステップに整理され、4つのフェーズに分けて進められます。
【ISMS構築の流れとフェーズ】
①計画
- 現状の把握と体制整備
- 適用範囲の決定
- リスクの特定と評価
②実行
- リスク対応の計画
- 規程・ルールの整備
- セキュリティ教育の実施
③運用・改善
- 実際の運用開始
- 内部監査の実施
- マネジメントレビューによる改善
④認証取得
- 審査の受審
- ISMS認証の取得
このプロセスを通じて、組織は情報セキュリティの仕組みを構築するだけでなく、毎年の審査や社内改善活動を通じてシステムを成長させていくことが求められます。ISMSは「守る仕組み」ではなく、「育てる仕組み」として捉えることが大切です。
4.ISMS構築の10ステップ
ISMSの構築は、情報資産を守るための仕組みを組織的に整備し、継続的に改善していくプロセスです。ISO27001に基づくISMS認証を取得することで、企業は情報セキュリティへの取り組みを対外的に証明でき、信頼性や競争力の向上につながります。
ISMS構築は、以下の10ステップに沿って進めることで、体系的かつ実効性のあるセキュリティ体制を整えることが可能です。
【ステップ1】現状把握と取得までの全体計画を立てる
- 情報資産やセキュリティ対策の現状を洗い出す
- 取得目的と期限を明確にし、プロジェクト計画(スケジュール・予算・担当者)を立てる
【ステップ2】体制整備とISMS推進組織の設置
- 情報セキュリティ委員会などの推進組織を設置
- CISOや部門代表者を任命し、経営層の支援を得る
【ステップ3】適用範囲・法令・利害関係者の要求事項の特定
- ISMSの対象範囲(拠点・部門・業務)を定義
- 関連法令、顧客契約、利害関係者の要求事項を洗い出す
【ステップ4】リスクアセスメントの実施(資産特定・リスク分析・評価)
- 情報資産を特定し、脅威・脆弱性を分析
- リスクの影響度と発生可能性を評価し、優先順位を決定
【ステップ5】リスク対応計画の策定と管理策の導入
- リスクに対して「回避・低減・移転・保有」のいずれかで対応
- ISO27001附属書Aを参考に、必要な管理策(アクセス制御、暗号化など)を導入
【ステップ6】文書化と規程・手順書の整備
- 基本方針、マニュアル、各種規程、手順書を作成
- 現場で運用できるレベルに落とし込む
【ステップ7】従業員教育・訓練と全社への周知
- 全従業員に対して教育を実施(eラーニング、事例共有、模擬訓練など)
- 新入社員研修にもISMS教育を組み込む
【ステップ8】ISMSの運用開始と記録管理
- 日常業務で規程を遵守し、証拠となる記録(ログ、教育履歴など)を残す
【ステップ9】内部監査とマネジメントレビュー
- 年1回以上の内部監査を実施し、運用状況を評価
- 経営層によるレビューで改善方針を決定し、PDCAサイクルを回す
【ステップ10】認証審査への対応
- 第一次審査(文書)と第二次審査(現地)を受ける
- 審査員に対して、ルールの整備・運用・改善が実施されていることを示す
この10ステップは、ISMSを単なる「認証取得のための形式的な仕組み」にとどめるのではなく、実効性のある情報セキュリティ体制へと導くための実践的な道筋です。特に重要なのは、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を前提とした継続的な改善活動です。ISMSは一度構築して終わりではなく、組織文化として定着させ、日々の業務に根付かせることで、情報セキュリティの成熟度を高めていく仕組みです。
このステップを順に進めることで、ISMSの構築と認証取得が計画的かつ効率的に進み、組織全体の情報セキュリティ体制が強化され、外部からの信頼性も向上します。結果として、事業の継続性や競争力の確保につながる、持続可能なセキュリティマネジメントが実現されます。
5.まとめ
本記事では、ISMS構築の全体像と、実務の進め方について解説しました。以下に要点をまとめます。
【ISMSの本質と目的】
ISMSとは情報資産を守るための「継続的な仕組み」であり、単なる技術対策ではなく、組織全体で取り組むべきものです。
- 基本原則
- 機密性・完全性・可用性を確保することがISMSの3つの柱です。
- 構築の目的
- 情報セキュリティリスクを低減し、事業の継続性を確保するとともに、社会的信用やビジネスチャンスの拡大につなげます。
【ISMS構築の10ステップ】
ISMS構築はPDCAサイクルに基づくプロセスであり、以下10の具体的なステップで進めます。
【ステップ1~5】計画・実行
現状把握からリスクアセスメント、規程・ルールの策定まで、「守るべきもの」と「守り方」を具体化します。
【ステップ6~9】運用・改善
策定したルールを現場で運用し、内部監査やマネジメントレビューを通じて継続的に改善します。
【ステップ10】認証審査
文書と運用の両面がISO規格に準拠していることを審査機関に証明します。
ISMSは、一度構築して終わりではなく、「育てる仕組み」として捉えることが重要です。
本記事で解説した10ステップを順に進めることで、貴社の情報セキュリティ体制はより強固になり、信頼性の高い組織へと成長していくでしょう。
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