ISOの審査機関の移転とは?企業が抱える疑問を3分で徹底解説
2025年12月25日

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ISO9001(QMS)、ISO14001(EMS)、ISO27001(ISMS)。これらのISO規格の認証取得、維持において、避けて通れないのが審査機関による審査です。長年同じ審査機関に依頼し続けている企業も多いのではないでしょうか。
しかし、実はISOの審査機関は、驚くほど簡単に変更することが可能です。この事実を知らずにいることは、企業にとって大きな機会損失につながる可能性があります。本コラムでは、審査機関の移転に関する様々な疑問にお答えし、そのメリットを深く掘り下げていきます。
審査機関を見直して、企業のコスト削減、審査の質の向上、マネジメントの更なる発展に繋げていきましょう。
1.ISO審査機関移転の基礎知識

(1) 審査機関移転は可能か?
ISOの審査機関は移転可能です。ISOの本部はスイスのジュネーブにありますが、世界中の企業を直接監査することはできません。そのため、各国に認証機関を認定する機関(認定機関)が存在します。
日本では公益財団法人 日本適合性認定協会:JAB、イギリスではUKASなどがその代表例です。
そして、このJABなどの認定機関から認証を受けた組織が、実際に皆様の企業へ審査に伺う審査機関となります。JABに登録されている審査機関だけでも、その数は60前後と言われています。つまり、これらの審査機関の中から、どの機関を選んでISO認証を取得しても、また、現在依頼している審査機関から別の審査機関へ変更しても問題ありません。
(2) 審査機関移転ができないケースもある
審査機関移転ができないケースも稀に存在します。
- 現在の審査機関がどこの認定機関からも認定を受けていないケース
- 現在の審査機関が審査登録業務を中止しているケース
- 現在の審査機関が認定が認定を失効・一時停止・取り消しなどの処分を受けているケース
- 現在の審査機関が、認定機関の国際相互認証に加わっていない認定機関から認定を受けているケース
引用:日本検査キューエイ株式会社:2025年7月15日閲覧
審査機関の移転を検討する際には、これらのことに注意しましょう。
(3) 審査機関の構造
構造は下記の通りです。
①ISO本部
↓
②各国認定機関(例:JAB、UKAS)
↓
③審査機関(皆様の企業へ審査に伺う機関)
この構造を理解することで、特定の審査機関に縛られる必要がないことが明確になります。
2.ISO審査機関移転のメリット
(1) 審査費用の最適化
最も分かりやすいメリットの一つが審査費用の削減です。ISOの審査費用は、企業の規模、業種、そして審査機関によって大きく異なります。審査にかかる工数や費用設定は各審査機関の裁量に委ねられているため、中には2倍から3倍もの費用差が生じるケースも存在します。
定期的な審査費用の見直しは、コスト削減に直結します。複数の審査機関から見積もりを取得し比較検討することで、適正な価格で質の高い審査を受けることが可能になります。
(2) 審査の質と適合性の向上
審査機関によって、審査の考え方や手法は大きく異なります。書類や記録類の確認を中心とする審査機関もあれば、現場での実務を重視する審査機関もあります。
例えば、御社が「日々の実務をしっかりと評価してほしい」と考えているにも関わらず、依頼している審査機関が書類審査を主体とする場合、御社のニーズと審査の方向性が合致せず、本質的ではない指摘が増えてしまう可能性があります。
審査機関を移転し、御社の要望や企業文化に合った審査を行う機関を選ぶことで、より実態に即した、ムダのない審査が実現します。これにより、指摘事項が減少し、改善活動がスムーズに進み、結果として企業の活動全体の効率化につながります。
(3) 新たな視点の導入
長年同じ審査機関に依頼していると、審査がルーティン化し、形式的なものになりがちです。審査機関を変更することで、新たな審査員の視点が導入され、これまで見過ごされてきた潜在的な課題や改善点が見つかる可能性があります。
異なる視点からの指摘は、自己満足に陥りがちなマネジメントシステムに新たな刺激を与え、更なるレベルアップの機会を提供します。
3.ISO審査機関移転のデメリット
審査機関の移転には、ほとんどデメリットと呼べるものはありません。強いて挙げるならば、認証マークの変更が必要になることです。
そのため、名刺、会社案内、ウェブサイトなど、認証マークを使用している印刷物や電子媒体の修正が必要になります。
しかし、これは一時的な作業であり、長期的な視点で見れば、移転によるメリットの方が大きいと言えるでしょう。
4.ISO審査機関のブランドや価値
「審査機関にはブランドやランクがあるのか?」という疑問を持たれる方もいるかもしれません。結論として、審査機関にブランドやランクの差はありません。
前述の通り、ISOの認証プロセスは、ISO本部、各国の認定機関、そして審査機関という階層構造になっています。どの審査機関も、認定機関の定めた基準に基づいて審査を実施するため、審査の質に本質的な違いが生じることはありません。
5.ISO審査機関移転にかかる費用
審査機関の移転そのものに対して、特別な手数料や登録料が発生することは通常ありません。一般的には、新たに移転先となる審査機関へ見積もりを依頼し、内容に納得の上で契約を締結すれば、移転手続きは完了します。
ただし、実際には以下のような費用が発生する可能性があるため、注意が必要です。
- 現行審査機関との契約解除に伴う違約金や清算費用
契約期間中の途中解約に該当する場合、解約条件によっては費用が発生することがあります。 - 新審査機関による「移転審査(引き継ぎ審査)」の実施コスト
通常の定期審査とは異なる形式で、文書の確認や現地訪問を含む移転審査を実施するケースがあり、初年度の費用がやや高くなることもあります。 - 認証マークや関連書類の差し替え対応コスト
名刺・会社案内・Webサイト等に使用している認証マークの変更に伴う修正作業も、場合によってはコストとして考慮すべきです。
これらを踏まえ、移転を検討する際は、「現行契約の内容」「新審査機関の審査条件・費用」「移転スケジュール」を事前に確認・比較することが重要です。総合的に判断することで、無駄な出費を防ぎながら、より自社に適した審査機関への移転が実現できます。
6.なぜ多くの企業が審査機関を移転しないのか?
(1) 移転できることを知らない
最も大きな理由の一つが、審査機関を移転できるという事実を知らないことです。長年同じ審査機関に依頼していると、「審査機関は変えられないもの」という認識を持ってしまうことがあります。
(2) 情報収集の不足
他の審査機関に関する情報は、自ら積極的に収集しない限り、なかなか手に入りません。そのため、現状の審査機関に不満があっても、「どこが良いのか分からない」「探すのが面倒だ」と感じ、移転を検討するに至らないケースが多いと考えられます。
(3) 現状維持バイアス
現状の審査機関、審査員に特に不満がない場合、「わざわざ変更するリスクを冒したくない」「手続きが煩雑なのではないか」といった心理が働き、現状維持を選択してしまうことがあります。
7.審査員への依存と審査機関選びの重要性
特定の審査員に依存することは、企業にとって大きなデメリットを孕んでいます。
審査員は人事異動などにより、いつまでも同じ担当者が来るとは限りません。むしろ、同じ審査員が継続して審査を行うことは、客観性の観点から見ても必ずしも正しいとは言えません。
重要なのは、特定の審査員ではなく、「方向性がしっかりしている審査機関」を選ぶことです。御社の事業内容や企業文化を理解し、同じ方向性を持って審査に取り組んでくれる審査機関を選ぶことが、本業に沿った効果的なマネジメントシステムの運用につながります。
8.審査機関を変更すると審査に通りにくくなる?
「審査機関を変えたら、審査基準が厳しくなって不合格になるのではないか?」と心配される方もいるかもしれません。しかし、審査機関が登録企業を故意に不合格にすることはありません。
どの審査機関も、ISO規格の要求事項に基づき、公平かつ客観的に御社のマネジメントシステムの適合性を評価します。審査機関が変わったとしても、指摘される課題の本質は変わらないはずです。安心して審査機関の変更を検討してください。
9.まとめ
審査機関の見直しは、企業のコスト削減、審査の質の向上、そしてマネジメントシステムの更なる発展につながる可能性を秘めています。まずは、複数の審査機関から見積もりを取り、比較検討してみることをお勧めします。
もし、どの審査機関を選べば良いか迷う場合は、ぜひ弊社にご相談ください。御社の要望を丁寧にヒアリングし、最適な審査機関をご紹介させていただきます。お気軽にお問い合わせください。
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