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情シスを支援する5つの方法|外部サービス・ツール・人材活用を比較

2026年8月5日

情シスを支援する5つの方法|外部サービス・ツール・人材活用を比較

「情シス業務の負担が限界に近いが、外注すべきか、ツールを入れるべきか、人を採るべきか決めかねている」──本記事は、そのような情報収集段階の担当者・管理職に向けて、情シスを支援する5つの選択肢を中立的な立場で比較し、課題別に最適な解決手段を見つける方法を解説します。特定の手段を押し売りするのではなく、それぞれの向き不向きと限界まで含めてお伝えします。

1.情シス支援が必要とされる背景

⑴情シスが抱える3大課題

多くの企業の情シスは、次の3つの課題を同時に抱えています。

①業務過多・ノンコア業務による圧迫

「パスワードを忘れた」「プリンタがつながらない」といった問い合わせ対応、PCの初期設定、アカウントの発行・削除。こうしたノンコア業務が就業時間の大半を占め、システム改善やDX推進といった本来注力すべき業務に手が回らない状態です。従業員100名規模の企業で月100件以上の問い合わせが発生することも珍しくなく、1件15分としても月25時間がヘルプデスク対応だけに消えていきます。

②IT人材の不足と採用難

IT人材の需給ギャップは年々拡大しており、特に中堅・中小企業では「募集しても応募が来ない」「採用できても待遇面で大手に引き抜かれる」という声が多く聞かれます。経験者の年収水準も上昇を続けており、1名採用するだけでも年間数百万円規模の投資となります。

③セキュリティリスク・急速なIT変化への追従

情報処理推進機構(IPA)が公表する「情報セキュリティ10大脅威」では、ランサムウェア攻撃による被害が11年連続で上位に挙げられているほか、生成AIの利用をめぐるサイバーリスクが新たに脅威として選出されるなど、対応すべき領域は年々広がっています。警察庁の統計でも、ランサムウェア被害は大企業より中小企業の件数の方が多く、感染経路はVPN機器やリモートデスクトップの脆弱性が大部分を占めることが分かっています。つまり、企業の規模にかかわらず「日々の運用(バージョンアップや設定確認、アカウントの棚卸しなど)」の質がそのままセキュリティリスクの大きさに直結する時代になっているのです。クラウド化・ゼロトラスト・生成AI活用と、求められる知識も数年単位で様変わりしており、日常業務に追われる中で最新動向をキャッチアップし続けるのは、専任者がいても容易ではありません。

⑵「ひとり情シス」「ゼロ情シス」の実態

情シス担当が1人しかいない「ひとり情シス」、専任者がおらず総務や経理が兼任する「ゼロ情シス」の企業では、上記の課題がさらに深刻化します。

  • 属人化のリスク:システム構成、パスワード、ベンダーとの経緯がすべて1人の頭の中にあり、ドキュメントが存在しない
  • 離職リスク:その1人が退職・休職すると、IT運用が事実上停止する。後任への引き継ぎも不可能になる
  • 経営への影響:障害時の復旧遅延、セキュリティ事故の見逃し、IT投資判断の停滞など、経営リスクに直結する

重要なのは、これは担当者個人の問題ではなく体制の問題だということです。

だからこそ、個人の努力ではなく「外部リソースや仕組みでどう支援するか」という視点が必要になります。

2.情シスを支援する5つの選択肢

情シスを支援する手段は外注だけではありません。代表的な5つの選択肢を、向き不向きと限界まで含めて解説します。

⑴情シス支援サービス(アウトソーシング・代行)

情シス業務の一部または全部を外部の専門企業へ委託する方法です。

  • 向いているケース:ノンコア業務(問い合わせ対応・運用作業)の負担を恒常的に減らしたい企業。属人化を解消したい企業
  • 費用感の目安:月額5万円程度の部分委託から、包括委託で月額30万〜100万円程度まで
  • 注意点・限界:丸投げすると社内にノウハウが残らない。委託範囲の設計と、ドキュメント共有の仕組みが成否を分ける

なお、近年はセキュリティ認証の運用支援を長年手がけてきた事業者が、技術的な運用代行までを一体で提供するケースも増えています。体制づくり(ルール・ポリシー)と技術的な対策の両輪を同じ相手に任せられるため、すでに認証を取得している企業にとっては特に親和性の高い選択肢といえるでしょう。

⑵ITツールの導入(iPaaS、ヘルプデスク管理ツール、FAQツール等)

人を増やさず、業務そのものを自動化・効率化する方法です。iPaaS(複数のクラウドサービスを連携させて定型作業を自動化する仕組み)でアカウント発行を自動化する、FAQツールで問い合わせを自己解決に誘導する、といった活用が代表例です。

  • 向いているケース:問い合わせやアカウント管理など、定型的で件数の多い業務がボトルネックの企業
  • 費用感の目安:月額数千円〜10万円程度(ツールの種類・ユーザー数による)
  • 注意点・限界:導入・設定・定着に社内の工数が必要。「ツールを入れたが使われない」が最頻の失敗。判断を伴う業務は自動化できない

⑶IT人材の採用・派遣(即戦力確保)

正社員採用または派遣契約で、社内に「人」を確保する方法です。

  • 向いているケース:自社の指揮命令下で柔軟に動ける人材が必要な企業。中長期的に情シス部門を内製で育てたい企業
  • 費用感の目安:正社員は年収400万〜800万円+採用・教育コスト。派遣は月額40万〜80万円程度
  • 注意点・限界:採用難易度が高く、時間もかかる。1人採用しても結局「ひとり情シス」の属人化リスクは残る

⑷ITコンサルティング(戦略・体制構築)

IT戦略の立案、システム刷新の計画、情シス体制の設計など、上流の意思決定を専門家に支援してもらう方法です。

  • 向いているケース:「何から手を付けるべきか」自体が定まっていない企業。大規模なシステム刷新やDX計画を控えた企業
  • 費用感の目安:月額30万〜100万円以上、またはプロジェクト単位で数百万円規模
  • 注意点・限界:提言は得られるが、日々の運用実務は原則やってくれない。実行リソースは別途必要

⑸公的支援・補助金の活用(IT導入補助金など)

国や自治体の制度を使い、ツール導入やIT投資のコストを軽減する方法です。代表的なIT導入補助金は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わり、通常枠で補助率1/2・上限450万円程度、上位枠ではさらに高い補助率が設定されています(年度により内容が変わるため、必ず公式サイトの最新公募要領を確認してください)。

  • 向いているケース:ツール導入やシステム投資を予定しているが、予算がネックになっている中小企業
  • 費用感の目安:申請自体は原則無料(申請支援を外部に依頼する場合は手数料が発生)
  • 注意点・限界:対象はツール・システム費用が中心で、月額の運用委託費は対象外のことが多い。公募期間・審査があり、すぐには使えない

5つの選択肢 比較表

選択肢解決できる課題費用感即効性注意点
①支援サービス(外注)業務負荷・属人化月5万〜100万円◎ 数週間丸投げはNG
②ITツール導入定型業務の削減月数千円〜10万円○ 1〜3カ月定着に社内工数
③採用・派遣人手不足年400万円〜△ 数カ月〜属人化は残る
④ITコンサル戦略・体制の不在月30万円〜△ 中長期実務はやらない
⑤補助金投資予算の不足原則無料△ 公募次第運用費は対象外が多い

3.【課題別】あなたの会社に合う支援方法の見つけ方

自社の「いちばん困っていること」から逆引きで考えると、選択肢を絞り込めます。

⑴「問い合わせ対応に追われる」→ ヘルプデスク支援 or FAQツール

まず問い合わせ内容を1カ月分記録し、内訳を分析しましょう。「同じ質問の繰り返し」が多いならFAQツールやチャットボットで自己解決率を上げるのが費用対効果に優れます。「個別対応が必要な問い合わせ」が多いならヘルプデスク支援サービスへの委託が有効です。両者の併用(FAQで件数を減らし、残りを外部委託)が最も効果的なケースも多くあります。

⑵「担当者が1人で退職が怖い」→ 支援サービスで属人化解消

もう1人採用しても、2人分の属人化になるだけのことがあります。支援サービスを「バックアップ体制」として使い、システム構成・手順・パスワード管理をドキュメント化してもらうことで、特定個人に依存しない体制を作れます。担当者本人の負担軽減にもなり、離職防止の効果も期待できます。

⑶「セキュリティ対応に不安」→ 専門支援サービス+セキュリティ診断

自社の現在地がわからないまま対策を打つのは非効率です。まずセキュリティ診断(脆弱性診断やリスクアセスメント)で現状を可視化し、優先度の高い対策から専門支援サービスに実装・運用を任せる、という順序が効果的です。

⑷「IT戦略を立てたいが実務で手一杯」→ 定型業務を支援に出し企画に集中

戦略が描けないのは能力の問題ではなく、時間の問題であることがほとんどです。問い合わせ対応や運用監視といった定型業務を外部に出し、社内の担当者を企画業務にシフトさせる。この「役割の再設計」こそが、支援サービスの最も戦略的な使い方です。

⑸「予算がない」→ 補助金活用+スモールスタート

ツール導入なら補助金の対象になる可能性があります。また支援サービスも、月数万円の時間制・チケット制プランから始めれば初期投資はほぼ不要です。「小さく始めて効果を測り、成果を根拠に予算を広げる」アプローチが、稟議も通しやすくおすすめです。

課題別おすすめ支援マトリクス表

課題第一候補併用したい選択肢
問い合わせ対応の負荷ヘルプデスク支援FAQツール・チャットボット
属人化・退職リスク支援サービス(ドキュメント化)手順管理ツール
セキュリティ不安セキュリティ診断+専門支援ITコンサル(体制設計)
戦略立案の時間がない定型業務の外部委託ITコンサル(壁打ち役)
予算不足補助金+小規模プラン無料トライアルのツール

4.情シス支援サービスでできること

5つの選択肢の中でも適用範囲が広い「情シス支援サービス」について、活用の幅を掘り下げます。

⑴支援範囲の例

ヘルプデスク(社内問い合わせ対応)、PCキッティング・資産管理、アカウント管理(入退社対応)、サーバー・ネットワークの運用監視、セキュリティ対策、IT企画・DX推進支援など、情シス業務のほぼ全域をカバーできます。最近では、こうした基本業務に加えて、脆弱性診断や標的型メール訓練、取引先から求められるセキュリティ評価への対応、生成AIの利用ルール整備・体制構築、上場準備を見据えたIT統制まで、「守りから攻めまで」を一気通貫でカバーする支援サービスも登場しており、依頼先を分散させずに幅広い課題へ対応できる選択肢が広がっています。

⑵「全部任せる」だけじゃない|一部支援・伴走型という使い方

支援サービスは「フルアウトソーシング」のイメージが強いですが、実際には負荷の高い業務だけを部分的に頼む使い方が主流です。さらに近年増えているのが「伴走型支援」です。外部の専門家が社内担当者と並走し、作業を代行するのではなく、一緒に手を動かしながら進め方を教えてくれるスタイルで、「任せて楽になる」と「社内が育つ」を両立できます。

⑶支援サービス活用で内製力を高める方法

支援サービスは使い方次第で、社内のIT力を高める投資にもなります。ポイントは3つです。

  1. ドキュメント化を成果物として依頼する:作業代行だけでなく、手順書・構成図の整備を契約範囲に含める
  2. 定例会を学びの場にする:報告を聞くだけでなく、対応の背景や判断理由を質問し、社内担当者の知識に変える
  3. 段階的に内製へ戻す計画を持つ:「最初の1年は委託、2年目から一部を社内で巻き取る」など、出口を設計しておく

「丸投げして依存する」のではなく「借りた力を社内に移転する」発想が、支援サービス活用の上級形です。加えて、対応窓口が特定の1名に固定されず、責任者・メイン担当・サブ担当・品質管理担当などが役割分担してチームで対応する体制を敷いている支援サービスを選ぶと、対応品質が個人のスキルに依存しにくく、途中で担当者が変わっても引き継ぎがスムーズという副次的なメリットもあります。

5.情シス支援サービスの費用相場

料金体系は主に3パターンです。

料金体系概要相場レンジ
月額固定型決まった範囲を毎月定額で月額5万〜100万円程度
従量課金・チケット制対応件数・時間に応じて課金月額数万円〜(小規模向き)
スポット型単発の作業ごとに都度払い1回数千円〜数十万円

委託範囲の広さと対応時間帯によって金額は大きく変わるため、相場はあくまで入口の目安と考えてください。近年は月4万〜5万円程度の少ない稼働時間からスタートできる完全オーダーメイド型のプランを用意し、事業の成長に合わせて稼働時間を柔軟に引き上げられる支援サービスも増えています。まずは小さく契約し、必要性を見ながら範囲を広げていくという契約の仕方も検討する価値があります。

※情シスアウトソーシングの詳細な費用相場や料金シミュレーションについては、こちらの記事【内部リンク:情シスアウトソーシングの費用相場記事】で詳しく解説しています。

6.支援サービスを選ぶときのチェックポイント

  1. 一部業務からの支援に対応しているか:小さく始められるかは、リスクを抑えるうえで重要です
  2. ノウハウを社内に残す仕組みがあるか:ドキュメント納品や定例報告の有無を確認しましょう
  3. セキュリティ体制(ISMS認証等):機密情報を扱う以上、ISMS認証やPマークの取得状況は必須の確認事項です。認証の取得・運用支援そのものを長年手がけてきた事業者であれば、体制整備の知見と技術的な対策の両方を一体で相談できる点も強みになります
  4. 自社規模での実績:自社と近い規模・業種での支援経験があるかを確認しましょう

※失敗しない詳しい選定基準や比較のポイントは、こちらの記事【情シスアウトソーシング選定基準記事】も参考にしてください。

7.よくある質問(FAQ)

Q1:ツール導入と外部支援、どちらを先に検討すべき?

A:課題の性質で決まります。定型的で件数の多い業務(FAQで解決できる問い合わせ等)が中心ならツールが先、判断や個別対応が必要な業務が中心なら外部支援が先です。迷う場合は、まず1カ月分の業務内容を記録して内訳を可視化することをおすすめします。

Q2:情シスがゼロの会社でも支援を受けられる?

A:受けられます。専任者がいない企業向けに、IT業務全般を包括的に支援するサービスがあります。ただし、委託先との窓口となる担当者(兼任で可)を1名決めておくと、導入も運用も格段にスムーズになります。

Q3:支援サービスとコンサルの違いは?

A:コンサルは「何をすべきか」の戦略・提言が中心で、実務は原則行いません。支援サービスは日々の運用実務まで担う点が違いです。近年は、IT戦略の提案(コンサルティング)と、AI・RPAを活用した業務自動化の実装までを一体で提供する総合型の支援サービスも増えており、「提言だけで終わらない」伴走支援を求める企業に選ばれています。

Q4:補助金は支援サービスにも使える?

A:ITツールやシステムの導入費用は補助対象になることが多い一方、月額の運用委託費(アウトソーシング費用)は対象外となるケースが一般的です。ツール導入とセットで支援を受ける場合など、構成によっては一部対象になる可能性もあるため、公募要領と支援事業者への確認をおすすめします。

8.まとめ

  • 情シスの課題は「業務過多」「人材不足」「セキュリティ・変化への追従」の3つに集約され、ひとり情シス・ゼロ情シスでは属人化が経営リスクになる
  • 支援の選択肢は、①支援サービス(外注)、②ITツール、③採用・派遣、④ITコンサル、⑤補助金の5つ。それぞれ解決できる課題と限界が異なる
  • 「いちばん困っている課題」から逆引きで選ぶと絞り込みやすい。併用も有効
  • 支援サービスは丸投げではなく、ドキュメント化・伴走型・内製化計画とセットで使うと効果が最大化する

次のアクションとしては、まず自社のIT業務と課題の棚卸しから始めてください。

「何にどれだけ時間がかかっているか」「最も困っていることは何か」が見えれば、5つの選択肢のどれが適切か、自然と判断できるようになります。そのうえで、候補となるサービスやツールの資料請求・無料相談を活用し、比較検討へ進みましょう。

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