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何から始める?企業の個人情報の管理方法を3ステップで解説

2025年7月15日

何から始める?企業の個人情報の管理方法を3ステップで解説

あなたの会社の個人情報管理、本当に万全だと言えますか?

「うちは大丈夫」と思っていても、情報漏洩はいつ起こるか分かりません。

たった一度の漏洩が、企業の信頼を根底から揺るがし、罰金や売上減少、顧客離れなど、事業の継続すら危うくする深刻な事態を招く可能性があります。

そこで本記事では、企業の担当者様向けに、個人情報を安全に管理するための具体的な3つのステップを、専門的な知識がない方でも分かりやすく解説します。

この方法は、個人情報保護法が定める「安全管理措置」のガイドラインに基づいたものであり、多くの企業で実践されている確かな手法です。

この記事を最後までお読みいただくことで、あなたは自社が今何をすべきかを明確に理解し、情報漏洩リスクから会社を守るための、確実な一歩を踏み出せるようになるでしょう。

1.個人情報の管理とは

個人情報の管理とは、個人情報の漏洩が生じないためのルールを運用することです。

このルールとは、個人情報保護法で定められている内容を遵守したものであり、それぞれの企業で取り扱っている個人情報の状態に合わせて、ルールを策定・実施することが管理です。

例えば、以下のようなルールを策定・実施することです。

  • 紙で管理している個人情報は、鍵のかかるキャビネットに保管する
  • パソコンで保管している個人情報は、ファイルにパスワードを設定する

個人情報保護法は、個人情報を取り扱う全ての企業や組織が守らなければならない法律です。法律に則ったルールを運用し、安全な個人情報の管理を行いましょう。

2.なぜ企業で個人情報の管理が重要なのか

従業員がそれぞれ個人情報に配慮するのではなく、企業で管理体制を整備することは、今後ますます重要になります。

個人情報保護法は2025年中に法改正に向けての見直しが大きく進展すると予測されており、「企業がデータを活用する際のリスク」に対応する体制整備が求められる可能性が出てきました。
参考元:個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しについて |個人情報保護委員会

個人情報保護法は時代に合わせて常に進化しており、それに合わせて企業も管理体制の進化が求められます。

それでは、企業が個人情報の管理を怠った際のデメリットをみていきましょう。

(1)情報漏洩による企業への影響

情報漏洩は、企業の信頼度を下げ、様々な部分に大きな影響を与えます。

信頼度の低下
顧客や世間からの信頼を失い、企業の評判とブランド価値が著しく低下
顧客離れと売上減少
質既存顧客が不安を感じて離れ、新規顧客獲得も困難になり、直接的な売上減少に繋がる
多大な対応コスト
原因究明、被害者への説明、再発防止策の導入、法的な対応など、膨大な時間と費用が発生します
損害賠償請求
漏洩した個人情報によって被害を受けた個人や団体から、多額の賠償金を請求される可能性があります
風評被害と採用への影響
企業イメージの悪化が広がり、優秀な人材の採用が難しくなるなど、事業の継続性にも影響が出ます

情報漏洩による影響の例として、健康食品販売会社「京都薬品ヘルスケア」では、自社サイトへの不正アクセスで顧客情報が外部に流出した可能性があると公表しました。
引用元:産経ニュース

その後の対応として、サイトは一時閉鎖へ。担当者は「120パーセント万全であると確認できなければサイトは再開できない。離れてしまったお客さまが戻ってきてくれることはもう二度とないだろう」と語っています。

このように、情報漏洩が起こったことにより、顧客離れの上に販売経路が絶たれるといった、複数の被害が同時に降りかかるのです。

(2)個人情報保護法違反による企業への罰則

従業員などが会社の業務に関して違反行為を行った場合、行為者だけでなく、その会社や個人事業主などに対しても罰金刑が科される「両罰規定」が適用される可能性があります。

従業員等が命令違反または不正利用・盗用を行った場合
法人には1億円以下の罰金刑が科される可能性
従業員等が報告徴収・立入検査への不応・虚偽報告を行った場合
法人には50万円以下の罰金刑が科される可能性
参考元:個人情報取扱事業者等が個人情報保護法に違反した場合、どのような措置が採られるのですか。 |個人情報保護委員会

「両罰規定」の適用が注目された事例として、某大手学習塾があげられます。

元講師が教え子の女児の個人情報(氏名、住所、生年月日など)を社内システムから不正に取得し、SNSに送信しました。

警察は、講師を「不正提供罪」で書類送検しただけでなく、個人情報保護法の「両罰規定」を適用し、法人としての学習塾自体も書類送検しました。

最終的に学習塾は不起訴処分となりましたが、この事例は、従業員の違反行為であっても企業が刑事罰のリスクに直面する可能性を示唆しています。
参考元:個人情報保護法の新潮流~あなたの会社に「家宅捜索」が入る日~ – 明倫国際法律事務所

このように、個人情報保護法違反は単なる罰則だけでなく、企業の存続をも脅かす事態に発展する可能性があるのです。

3.個人情報を安全に管理する方法3ステップ

企業が個人情報を安全に管理するには、個人情報保護法のガイドラインのなかで「安全管理措置」として定められています。

(1)ステップ1:安全管理措置の自己点検を行う

まずは、個人情報保護法のガイドラインの安全管理措置に則って個人情報の管理ができているか、会社の状況を確認しましょう。

安全管理措置はざっくり大きく分けると「体制に関わる管理」と「物理的な管理」の2つに分けて、対策を考えることができます。

  • 体制に関わる管理: ルール、システム、人の教育といった、組織全体の「仕組み」に関する対策
  • 物理的な管理: 書類やパソコン、サーバールームなど、情報が記録された「モノ」や「場所」を物理的に保護する対策

以下に、具体例を記載します。自社ではどこまで実施できているか、何が不足しているかを把握するための参考にしてください。

体制に関わる管理物理的な管理

・個人情報保護方針を定め、社内規程やマニュアルを整備する

・情報管理責任者を明確にし、役割分担を社内に周知する

・個人情報の取扱状況を定期的に点検・監査する仕組みを設ける

・社員が違反した場合の対応ルール(懲戒など)を明文化しておく

・委託先との契約に、個人情報保護義務を含める

・社員に対し、定期的に個人情報保護に関する教育・研修を実施する

・秘密保持契約を締結させる

・業務ごとにアクセス権限の範囲を説明・徹底する

・個人情報を扱う業務を行う際の注意点をマニュアル化する

・個人情報を保管するキャビネットを施錠し、鍵の管理者を限定する

・オフィスへの入退室管理(ICカード・受付記録)を実施する

・書類やUSBなどの媒体の持ち出しルールを明確化し、記録を残す

・不要になった紙媒体の個人情報をシュレッダー等で確実に破棄する

・ID・パスワードによるシステム認証を導入し、定期的に変更する

・アクセスログを記録・監視し、不正利用を検知する体制を整える

・外部からの不正アクセスを防ぐためのファイアウォールやウイルス対策ソフトを導入する

・個人情報が保存された端末の暗号化、またはVPNの利用を徹底する

・クラウド利用時には、データセンターのセキュリティ水準を確認する

参考元:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編) |個人情報保護委員会

また、個人情報保護委員会が提供している、自己点検チェックリストを活用することも有効的です。

ただし、これらの項目は、事業の規模や取り扱う個人データの状況に応じて変化するため、すべてを網羅的に対応しなければならないわけではありません。

自社に最適な「安全管理措置」を知りたい方は、Pマーク取得コンサルティングの認証パートナーへご相談ください。

(2)ステップ2:改善の優先順位を決める

自己点検で「できていること」と「できていないこと(課題)」が明確になったら、次は、見つかった課題に優先順位をつけましょう。

どのリスクから対処すべきかを、リスクの大きさ順で見極めることが重要になります。

以下の2つの掛け算で考えるのが基本です。

  • 影響度: 情報漏洩が起きた際の、信用の失墜、損害賠償額、事業停止といった被害の大きさ
  • 発生可能性: 情報漏洩を引き起こす原因(例:サイバー攻撃、人為的ミス)が、実際に起こる可能性の高さ

例えば、「顧客のクレジットカード情報が入ったサーバーのウイルス対策が不十分」という課題は、「影響度」「発生可能性」ともに極めて高いため、最優先で取り組むべきリスクと判断できます。

このように課題を整理し、「最優先で対応すべきこと」「中長期的に対応すべきこと」に分類していきましょう。

(3) ステップ3:改善計画を立て、継続的に実行する

優先順位が決まったら、いよいよ改善アクションを実行に移します。

ここで重要なのは、対策をやりっぱなしにせず、継続的な「体制」として社内に定着させることです。

そのために、具体的な「改善計画」を立てて実行し、その効果を検証するサイクル(PDCAサイクル)を回していきます。

Plan(計画)
優先順位の高い課題に対して、「いつまでに」「誰が」「何を」実施するのか、具体的なアクションプランを作成します。(例:「〇月〇日までに、〇〇部が全社のPCに最新のウイルス対策ソフトを導入する」)
Do(実行)
計画に沿って、対策を実行します。
Check(評価)
実行した対策がきちんと機能しているか、新たな問題は発生していないか、定期的に効果を検証します。(例:アクセスログをチェックする、従業員にヒアリングする)
Act(改善)
評価結果をもとに、計画やルールそのものを見直します。例えば、「ルールが複雑すぎて守られていない」のであれば、より現実的な運用ルールへと改善します。

このサイクルを粘り強く回し続けることで、個人情報を安全に管理でき、漏えいによる様々なリスクを回避することができます。

4.まとめ

個人情報の管理とは、個人情報の漏洩が生じないためのルールを運用することです。

それぞれの企業で取り扱っている個人情報の状態に合わせて、ルールを策定・実施することが重要です。

個人情報保護法は時代に合わせて常に進化しており、それに合わせて企業も管理体制の進化が求められます。

企業が個人情報の管理を怠った際のデメリットは以下のとおりです。

  • 信頼度の低下
  • 顧客離れと売上減少
  • 多大な対応コスト
  • 損害賠償請求
  • 風評被害と採用への影響
  • 違反行為者でなくても科せられる「両罰規定」

個人情報を安全に管理するには、安全管理措置のルールに沿って継続的に見直し・実践する必要があります。

以下のステップで安全に管理しましょう。

  1. ステップ1:安全管理措置の自己点検を行う
  2. ステップ2:改善の優先順位を決める
  3. ステップ3:改善計画を立て、継続的に実行する

自社のリスクを把握し、状況に応じた対策を講じることで、個人情報漏洩などの重大なトラブルを未然に防ぐことができます。

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