2025年10月6日

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「品質基準って何をどう決めればいいの?」
「現場で使える基準のつくり方がわからない」
結論から言うと、品質基準とは「よい製品やサービスをつくるために、全員で守るルール」のことです。
このルールがはっきりしていれば、製造やチェックの作業がぶれずに進み、品質トラブルも減ります。逆に、ルールが曖昧だと、良い製品でも信頼を失うことがあります。
この記事では、品質基準の基本的な考え方から、実際に現場で使える評価項目や設定方法、改善のコツまでを、順を追って解説していきます。
最後まで読むことで、なぜその基準が必要なのか、どうやって決めればよいか、さらにどこから見直すべきかがわかり、品質向上にすぐ役立てることができるようになるでしょう。
1.品質基準とは「品質を一定に保つための共通ルール」のこと

品質基準とは、製品やサービスが満たすべき品質の条件を示したルールのことです。
この基準があることで、誰が見ても同じ基準で品質を判断できるようになります。
例えば、工場でつくられる部品には「寸法が何ミリまでずれてもよいか」「見た目にキズがあってよいか」など、細かく決められた基準があります。
また、品質基準は、社内で決めるだけでなく、法律や業界のルール、国際的な規格(ISOなど)を参考にして作られることもあります。
つまり、品質基準とは「良いものをつくるための共通ルール」であり、企業が継続して信頼を得るために欠かせない要素といえるでしょう。
2.品質基準における評価項目
品質基準において、製品やサービスの品質を正しく判断するための基準は、大きく分けて5つあります。
- 寸法や形状の許容差
- 外観の仕上がりや美観の基準
- 機能や性能の達成基準
- 耐久性や寿命に関する基準
- 安全性やリスク管理の基準
これらの項目を知らずに品質管理を行うと、何を基準に品質を評価すべきか曖昧になり、クレームやトラブルの原因となりかねません。
それぞれの項目について、丁寧に見ていきましょう。
(1)寸法や形状の許容差
寸法や形状の許容差とは、設計図で示されたサイズや形から、どれくらいズレても問題ないかを定めた基準のことです。
例えば、部品の幅が10ミリと指定されている場合、±0.1ミリまでの誤差を許すといった具合です。
このような基準を明確にしておくことで、製造段階で少しの誤差があっても機能や安全性に影響しないことが確認できます。
逆に、許容差が決まっていなければ、同じ製品であったとしても品質にバラつきが出てしまい、組み立てや使用時に不具合を起こす可能性があります。
(2)外観の仕上がりや美観の基準
外観の仕上がりや美観の基準とは、製品の見た目に関する評価基準を指します。
例えば、キズの有無、色の均一さ、塗装のムラ、汚れの有無などが対象です。
製品の機能に直接影響しない場合でも、見た目が悪ければ顧客の満足度は下がり、クレームにつながることもあります。
特に日用品や贈り物、高級品などは、見た目の印象が購買意欲に大きく関わるため、一定の基準を設けることが重要です。
(3)機能や性能の達成基準
機能や性能の達成基準では、製品やサービスが期待どおりに動作するか、決められた性能を発揮できるかを判断します。
例えば、スマートフォンであれば、画面の反応速度や電池の持ち時間などが該当します。
これらの基準をあらかじめ設定し、それを満たすように製品を設計・製造することではじめて、顧客が「思い通りに使える」と感じられるようになるのです。
もし性能が期待を下回れば、機能していても満足度は低くなってしまいます。
機能や性能の達成基準は、使いやすさや信頼性を確保するうえで欠かせないのです。
(4)耐久性や寿命に関する基準
耐久性や寿命に関する基準とは、製品がどのくらいの期間や使用条件に耐えられるかを示すものです。
例えば、家電製品なら「◯年間使える設計」「◯回の開閉に耐える構造」などをいいます。
このような基準があることで、製品が壊れにくく、長く使用できることが保証されています。
顧客にとっても、「買ってすぐ壊れるのではないか」という不安が軽減され、安心して使用することができるでしょう。
(5)安全性やリスク管理の基準
安全性やリスク管理の基準とは、製品やサービスを使用した際に、けがや事故などの危険が起きないように定めたものです。
例えば、感電を防ぐ構造、誤操作を防ぐ設計、火災を防ぐ素材の選定などが含まれます。
このような基準を設けることで、製品の利用者だけでなく、周囲の人々の安全も守ることができます。
また、企業にとっても、万が一のトラブルを未然に防ぐことは信頼を守るうえで欠かせません。
安全性とリスク管理の基準は、品質の中でも特に重要なのです。
3.品質基準を設定するための方法4選
品質基準を設定するには、以下の4つの方法があります。
- 顧客要求や市場ニーズの把握
- 関連法規や国際規格の確認
- 測定可能な評価項目と基準値の決定
- 社内外の関係者による基準案の検証
ここでは、実際の現場でも活用できる品質基準の設定方法をご紹介していきます。
(1)顧客要求や市場ニーズの把握
品質基準を決める際には、まず顧客が求めていることや市場の動きにしっかりと目を向けることが重要です。
なぜなら、どれほど社内で高品質と思われる製品でも、顧客が満足しなければ意味がないからです。
例えば、使いやすさや見た目の美しさなど、数値で測れない価値も、顧客からの声を通して把握できます。
また、競合他社の製品や業界の動向を調べることで、今どのような性能や機能が求められているかを知ることができるでしょう。
顧客視点を基準にすることは、製品の価値を高めるために欠かせないのです。
(2)関連法規や国際規格の確認
品質基準を設定する際には、必ず守らなければならない法律や規格が存在します。
法律・規格の一例は以下のようなものがあります。
| 区分 | 名称 | 内容の概要 |
| 国内法 | 製品安全4法(例) | 家電や玩具など、消費者製品の安全基準を定めた日本の法律 |
| 電気用品安全法(PSE) | 電気製品に関する安全性を確保するための技術基準や表示義務などを規定 | |
| 国際規格 | ISO9001 | 品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格で、製品やサービスの品質向上に関するルールを定める |
| ISO13485 | 医療機器の品質管理に特化した国際規格 | |
| 業界・製品別規格 | JIS(日本産業規格) | 製品やサービスの品質・安全・性能に関する日本の国家規格 |
| CEマーキング | EU市場で販売する製品が安全・環境基準を満たしていることを示す表示 |
これらを無視して基準を決めてしまうと、たとえ製品が高品質であっても、販売できなかったり、罰則の対象になる恐れがあります。
また、輸出入を行う場合は、各国で異なる基準を満たす必要があり、事前の確認が欠かせません。
したがって、法律や国際規格をしっかりと確認し、それに基づいた品質基準を設定することが重要なのです。
(3)測定可能な評価項目と基準値の決定
品質基準を明確にするには、数値や条件で測れる評価項目と、それを合格とする基準値を決める必要があります。
測定可能な評価項目と基準値の例は以下のとおりです。
| 評価項目 | 基準値の例 | 内容の説明 |
| 寸法の誤差 | ±0.2ミリ以内 | 製品の長さや幅などが、設計値からどの程度ズレても許されるかを示す数値です。 |
| 破損率 | 1%以下 | 一定数の製品中に、壊れていたり使えないものが占める割合の上限です。 |
| 動作時間 | 1秒以内に起動 | 操作してから反応するまでの時間を制限し、使いやすさや性能を保証します。 |
| 耐荷重 | 50kg以上に耐える | 一定の重さを支える能力があるかどうかを判定します。 |
| 耐久テスト回数 | 1万回の開閉に耐える | 繰り返し動作にどれだけ耐えられるかを数値で確認します。 |
測定可能であれば、担当者ごとに判断が変わることなく、誰が見ても同じ結果が得られるようになります。
また、記録を残すことで品質の追跡や改善も容易になる点も特徴です。
(4)社内外の関係者による基準案の検証
品質基準は、一部門だけで決めるのではなく、製造、品質管理、営業、さらには顧客や取引先など、関係する多くの人の意見をもとに見直すことが重要です。
例えば、設計担当が作成した基準が現場では実行できない場合、品質が維持できないどころか、作業に混乱を招くこともあります。
一方、現場の知見を取り入れれば、実現可能で、かつ実用性の高い基準が作られます。
つまり、社内外の関係者による検証を行うことで、実態に即した基準をつくることができるのです。
4.品質基準を改善するため4つの方法
品質基準を改善するには、大きく分けて4つの考え方に分類できます。
- クレームや不具合の原因分析
- 顧客満足度調査による改善点の抽出
- 法改正や規格改訂への対応
- 現場からの改善提案の反映
基準を一度決めたまま放置していると、市場の変化や顧客の期待に追いつけず、品質トラブルや機会損失を招く原因となります。
ここからは、品質を継続的に高めるために欠かせない改善方法について、解説していきます。
(1)クレームや不具合の原因分析
品質基準を改善するには、まず顧客からのクレームや市場で発生した不具合の原因を正しく把握することです。
表面的な対応だけで終わらせず、どこに根本的な問題があるのかを見極めることが、再発を防ぐための対策につながります。
例えば、製品の部品に不具合がある場合、その部品だけでなく製造工程や検査体制にも問題がないかを確認します。
このように原因を深く掘り下げて分析することで、本質的な改善につながり、結果として品質の安定と顧客からの信頼の回復を実現できるのです。
(2)顧客満足度調査による改善点の抽出
品質基準を見直す際には、実際に製品やサービスを利用した顧客の声を集めることが有効です。
アンケートやインタビューなどを通して、使用感や期待との違いを知ることで、基準の改善点が明確になります。
数値では見えにくい使いやすさや見た目の印象といった部分も、顧客の評価から多くの気づきを得られるはずです。
特に、満足度が低かった点については、品質基準に反映することで、再発防止と満足度向上の両方に効果的です。
(3)法改正や規格改訂への対応
品質基準を継続的に改善するためには、法改正や国際規格の改訂にも柔軟に対応する必要があります。
法律や規格は、時代の変化や社会的要請に合わせて内容が更新されるため、定期的な確認が欠かせません。
例えば、安全性に関する基準や環境負荷を減らすための規制などが変更された際、それに適合しない基準のままでは製品を販売できなくなることもあります。
特に輸出を行っている企業では、国ごとの規制にも気を払う必要があります。
(4)現場からの改善提案の反映
品質基準の改善には、実際に製造やサービスを行っている現場の声を取り入れることが効果的です。
現場では、日々の作業の中で基準の不備や運用上の課題に気づくことが多く、そこには実践的なヒントが詰まっています。
例えば、この検査項目は実際には測定しづらい、作業手順と基準が合っていないといった意見は、見過ごされがちですが非常に貴重なものです。
このように、関係者全体で意見を共有し、基準に反映することで、実効性の高い品質管理が可能になるのです。
5.まとめ
今回は、品質基準について、その基本的な意味から具体的な評価項目、さらに設定や改善の方法までを解説しました。
品質基準とは、製品やサービスの品質を一定に保つために全員が守るべき共通のルールであり、品質管理の土台ともいえる重要な考え方です。
評価項目として寸法や外観、性能、安全性などの具体例を紹介し、それぞれが品質の安定や信頼性向上にどうつながるかをご紹介しました。
この記事を通して、品質基準の全体像を整理し、自社の製品や業務に合った基準づくりと運用の見直しに役立てていただければ幸いです。
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