入札加点・融資優遇も！ユースエール認定の戦略的メリット4選と不認定リスクを避ける5つの基準

1.ユースエール認定とは

ユースエール認定とは、若者の採用・育成に積極的で雇用管理の状況などが優良な中小企業を、厚生労働大臣が認定する制度です。

ユースエール認定は、「若者雇用促進法」に基づき、若者にとって働きやすく、健全な職場環境を提供している企業を公的に評価するものです。

認定主体

厚生労働大臣

認定対象

原則として、常時雇用する労働者が300人以下の中小企業

認定を受けることで、企業は認定マーク（愛称：エールベア）を名刺やウェブサイトなどで使用することが許可され、「若者を大切にする優良企業」であることを社会に広くアピールできます。

このマークがあることで、求職者は安心して応募することができ、企業の採用活動の信頼の証となります。

2.なぜユースエール認定が若手採用の「切り札」なのか？

近年、若者が企業を選ぶ基準は変化しており、給与や知名度だけでなく、「働きやすさ」や「企業の安定性」が重視されています。

ユースエール認定は、単なる企業のPRではなく、企業の雇用管理が国の基準を満たしているという客観的な証明であるため、若手人材の不安を取り除き、応募を促す強力な採用ツールとなります。

若年層の労働人口が減少する中、中小企業が競争力を維持し、次世代を担う人材を確実に確保するためには、ユースエール認定を取得し、国のお墨付きを得ることが最重要の採用戦略となります。

3.【中小企業必見】ユースエール認定がもたらす4つの戦略的メリット

ユースエール認定は、若手採用力の強化だけでなく、資金調達や公共調達といった経営全般に影響を及ぼす多角的なメリットをもたらします。

認定が、未来への「確かな投資」となる理由を見ていきましょう。

(1)メリット①：公共調達での入札加点（競争優位性の確保）

公共調達や入札に参加する企業にとって、このメリットは極めて重要です。

国や地方公共団体が実施する総合評価落札方式において、ユースエール認定は「ワーク・ライフ・バランス等の推進に関する指標」として明確に評価され、加点優遇を受けられます。

特に競争の激しい市場において、この加点は受注の可能性を大きく左右する決定的なアドバンテージとなります。

(2)メリット②：資金調達の優位性、日本政策金融公庫の低利融資

ユースエール認定企業は、国が提供する融資制度において優遇措置を受けられます。

具体的には、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金（企業活力強化貸付）」などを、通常よりも低い金利で利用することが可能です。

これは、企業の資金調達コスト削減に直結し、設備投資や事業拡大のための重要な経営資源となります。

(3)メリット③：最強の採用ブランディングと求人票の優遇

認定マークの活用は、企業の信頼性と魅力を高めます。

ハローワークでは、認定企業に限定した求人情報を提供したり、若者向けの合同面接会への優先的な参加機会を設けたりすることで、採用活動を強力にバックアップします。

これにより、求職者に対する企業の訴求力が格段に向上します。

(4)メリット④：定着率向上とエンゲージメント強化

認定基準をクリアするために行う「残業時間削減」や「有給取得推進」といった取り組みは、社員の満足度と健康を向上させます。

結果として、若手社員の早期離職を予防し、定着率が向上。採用・教育コストが削減され、組織全体の生産性も高まります。

4. ユースエール認定の核心！満たすべき具体的な5つの基準

ユースエール認定を取得するためには、厚生労働省が定める5つの評価基準をクリアし、その全てを客観的な証拠（エビデンス）をもって証明する必要があります。

【基準チェック：貴社の現状は？認定要件の具体的な数値】

以下の主要な数値基準をクリアすることが不可欠です。

①離職率

直近3事業年度における新卒者等の離職率が20%以下であること。

→この基準は、企業が採用した若手社員をどれだけ定着させているかを示す最も重要な指標であり、若者が安心して働き続けられる環境の証明となります。

②所定外労働時間

直近3事業年度の若者の月平均の所定外労働時間が20時間以下であること。

→これは、働き過ぎがない健全な労働環境であることを示し、残業代が適切に支払われていることも前提となります。

③有給休暇

直近3事業年度の若者の年次有給休暇の平均取得率が70%以上、または平均取得日数が10日以上であること。

→社員がリフレッシュできる時間を確保できているかを測る指標であり、仕事と私生活のバランス（ワーク・ライフ・バランス）が取れていることの証拠となります。

④人材育成

若者に対する人材育成方針と教育訓練計画を策定し、適切に実施していること。

→若手社員のスキルアップやキャリア形成を会社として支援する体制があるかを確認するもので、計画の存在だけでなく、その実施記録が必要です。

⑤法令遵守

各種労働関係法令を遵守しており、過去3年間に重大な違反がないこと。

→労働基準監督署などから是正勧告を受けていないかなど、企業として当然のコンプライアンス体制が整っていることが前提となります。

5. 不認定の原因となる「3つの壁」

多くの企業が自力で申請に挑み、不認定となる原因は、主に以下の専門的な壁にあります。

(1)壁1：データの複雑な収集と算出

認定基準で求められる離職率や残業時間の算出方法は、一般的な勤怠集計とは異なり、非常に専門的な知識が必要です。

特にパート・アルバイトを含めた対象者の選定や期間の設定ミスは、エビデンスの不備として厳しく指摘されます。

(2)壁2：基準未達時の実効性ある改善計画の策定

基準値にわずかでも届かない場合、労務コンプライアンスを確保しつつ、業務効率化や組織体制の見直しといった実効性のある改善策が必要です。

この計画に専門的な裏付けがないと、審査を通過できません。

(3)壁3：膨大な書類とエビデンスの不備リスク

申請に必要な書類は多岐にわたり、一つでも記述ミスやエビデンスの形式不備があると、即座に不認定に繋がります。

人事・総務担当者がコア業務の傍らでこれらを完璧にこなすのは、時間的にも質的にも極めて困難です。

6. 認定へ導く「最短取得の手順」と「専門家の役割」

独力での申請は、不認定リスクや担当者の過大な負担を招きます。

リスクを最小化し、最短で認定を取得するためには、制度を熟知した専門家の活用が最も確実で効率的な方法です。ここで3つのステップを紹介します。

(1)ステップ1：専門家による現状診断と到達点との距離の把握

まずは、貴社が保有する勤怠・人事データの現状をもとに、専門家が認定基準との正確な差分（ギャップ）を分析します。

これにより、「どこに注力すべきか」が明確になり、無駄な作業を省くことができます。

(2)ステップ2：認定要件クリアのための実効性の高い改善設計

専門家は、単に書類を整えるだけでなく、貴社の経営実態に即した、労働時間短縮や有休取得推進のための具体的な業務フロー改善策を提案・伴走します。

これにより、認定取得後の運用もスムーズになります。

(3)ステップ3：確実なエビデンス収集と申請書類の作成・提出サポート

最も専門性が求められるエビデンスの収集・整理と、労働局への申請書類の作成を専門家が支援します。さらに、提出後に労働局から生じた指摘事項への対応や、その後の認定取得に向けたフォローアップも実施します。

これにより、不備による不認定リスクを最小限に抑え、担当者の負担を大幅に軽減することが可能です。

7.ユースエール認定後の戦略

認定マークを取得したら、それを最大限に活かし、「信頼の証」として積極的に活用することで、持続的な若手採用力を確立しましょう。

【認定を活かした具体的な採用広報の3つポイント】

目立つ場所への配置を徹底

認定マークを名刺、会社案内、採用サイト、求人広告の最も目立つ場所に配置します。

若年層向け媒体での露出強化

特に、若者に人気のSNSやWeb媒体での露出を強化することで、他社との差別化を図ります。

具体的な数値をアピール

認定の裏付けとなっている「残業20時間以下」などの具体的な数値を併せて公表することで、求職者からの信頼性が飛躍的に向上します。

さらに、他の認定（えるぼし・くるみん）との戦略的な相乗効果として、認定のノウハウを応用することができます。

ユースエール認定で確立した労務管理体制は、女性活躍を評価するえるぼし認定や子育て支援を評価するくるみん認定といった、他の優良企業認定制度の取得にも応用可能です。

複数の認定を取得することで、企業の社会的評価（Sランク）をさらに高め、より強固な競争優位性を築くことができます。

8.まとめ

ユースエール認定は、若手人材の確保、資金調達の優遇、公共調達での競争力向上という、企業の未来の経営資源を確保するための確かな戦略的投資です。

しかし、その申請には、専門性の高いデータ分析と、厳格なエビデンスの準備、法令遵守の確認が不可欠であり、独力で確実かつスムーズに進めることは容易ではありません。

「認定取得を確実かつスムーズに進めたい」「自社の現状で何が足りないかプロの目で診断してほしい」とお考えでしたら、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。貴社の状況を詳細にヒアリングし、最適な認定取得プランをご提案いたします。

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