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ISMS内部監査の完全ガイド!手順・スキル・効果を徹底解説

2025年12月5日

ISMS内部監査の完全ガイド!手順・スキル・効果を徹底解説

情報セキュリティ対策の重要性が高まる中、ISMSを取得している企業では、内部監査の実施が義務付けられています。

しかし、義務だからといって形式的に行うだけでは、十分な効果を得ることはできません。

ISMS内部監査の目的や具体的な進め方を十分に理解しないまま進めてしまうと、監査が形骸化してしまったり、重要な改善点を見逃してしまうリスクがあります。

一方で、ISMSの内部監査を効果的に行うことで、情報セキュリティリスクの早期発見と対策、さらにはISMSの継続的な改善といった多くのメリットを得ることができます。

この記事では、ISMS内部監査の基本知識から、具体的な実施手順、実施例までを体系的に解説します。

最後までお読みいただくことで、ISMS内部監査を効果的に実施するための知識が身につき、自社に最適な監査計画を立てられるようになります。内部監査を通じてセキュリティ対策を強化し、組織の信頼性を高める第一歩を踏み出しましょう。

1.ISMSの内部監査はこれでOK!完全対応チェックリスト

まず、こちらの「ISMSの内部監査完全対応チェックリスト」を無料ダウンロードください。

ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の内部監査を成功させるためには、内部監査チェックリストを活用することが最も効果的です。

ISMS内部監査は、組織の情報セキュリティ体制が適切に運用されているかを確認する重要なプロセスですが、監査範囲が広く、確認すべき項目が多いため、抜け漏れが発生しやすいという課題があります。特に、ISO27001の要求事項に基づく監査では、規格の細かい要件をすべて網羅する必要があり、準備不足では不備が生じるリスクが高まります。

内部監査チェックリストを活用することで、監査の全プロセスを網羅し、重要なポイントを見逃さずに効率的かつ確実に監査を進めることができます。このリストは、監査の準備段階から実施、報告までをサポートし、組織の情報セキュリティ体制を強化するための強力なツールです。

内部監査チェックリストを活用することで、ISMS内部監査をより効果的に進めることができます。このツールを活用すれば、監査の抜け漏れを防ぎ、効率的かつ確実に監査を実施することが可能です。

結果として、組織の情報セキュリティ体制を強化し、ISMSの運用をさらに向上させることができるでしょう。

2.ISMSの内部監査とは

ISMSの内部監査とは、組織が情報セキュリティに関する規定や運用が適切に行われているかを確認し、改善点を特定するためのプロセスです。内部監査は、ISMSの有効性を維持し、継続的な改善を実現するための基盤となります。

ISMSは、情報セキュリティのリスクを管理し、組織の信頼性を高めるための仕組みです。しかし、どれだけ優れた仕組みを導入しても、運用が適切でなければ効果を発揮しません。

内部監査は、運用状況を定期的にチェックし、規定通りに実施されているか、または改善が必要な箇所がないかを確認する役割を果たします。

これにより、ISMSの継続的な改善が可能となり、組織全体のセキュリティレベルを向上させることができます。

例えば、内部監査では以下のような点を確認します。

  • 情報セキュリティポリシーが現場で遵守されているか
  • リスクアセスメントが適切に実施され、リスク対応が行われているか
  • セキュリティインシデントの記録や対応が適切に管理されているか
  • 従業員が情報セキュリティに関する教育を受けているか

これらの項目をチェックすることで、運用上のギャップや改善点を明確にし、次のアクションにつなげることができます。

ISMSの内部監査は、単なる形式的な作業ではなく、組織の情報セキュリティを強化し、リスクを最小限に抑えるための重要なプロセスです。

適切な内部監査を実施することで、ISMSの有効性を高め、組織全体の信頼性を向上させることができます。

3.ISMSの内部監査を進める手順

ISMSの内部監査を効果的に進めるためには、計画から実施、報告、フォローアップまでの手順をしっかりと押さえることが重要です。この手順を正しく進めることで、組織の情報セキュリティ体制を継続的に改善し、ISMSの有効性を高めることができます。

内部監査は、ISMSが適切に運用されているかを確認し、改善点を特定するための重要なプロセスです。適切な手順を踏まないと、監査の目的が達成されず、組織の情報セキュリティにおけるリスクが見過ごされる可能性があります。そのため、計画的かつ体系的に進めることが求められます。

以下は、ISMSの内部監査を進める際の基本的な手順です。

(1)監査計画の策定

監査の目的、範囲、スケジュールを明確にします。

監査対象の部門やプロセスを特定し、リスクの高い領域を優先的に監査します。

具体的に監査計画をまとめるには、細かいことを進めていく必要があります。

監査計画の策定方法

  1. 監査の目的を明確化する:監査の目的を具体的に定義します。たとえば、「情報セキュリティリスクの特定と改善点の抽出」や「ISO27001の要求事項への適合性確認」など、監査を通じて達成したい目標を設定します。
  2. 監査の範囲を設定する:監査対象となる部門、プロセス、システム、または業務範囲を明確にします。特に、リスクが高い領域や重要な業務プロセスを優先的に含めるようにします。
  3. 監査スケジュールを作成する:監査の実施日程を決定し、監査対象部門や関係者に事前に共有します。スケジュールには、監査準備、実施、報告、フォローアップの各段階を含めるようにします。
  4. 監査チームを編成する:監査を実施する担当者を選定します。監査員は、監査対象部門と利害関係がないことが望ましく、必要なスキルや知識を持つ人材を選びます。
  5. リスク評価を考慮する:監査対象の部門やプロセスにおけるリスクを評価し、リスクの高い領域を優先的に監査する計画を立てます。これにより、限られたリソースを効果的に活用できます。
  6. 関係者との事前調整を行う:監査対象部門の責任者や関係者と事前に打ち合わせを行い、監査の目的やスケジュール、範囲について共有します。これにより、監査の円滑な実施が可能になります。
  7. 監査計画書を作成する:上記の内容をまとめた監査計画書を作成します。この計画書は、監査チームや関係者に共有し、全員が同じ認識を持つための基盤となります。

(2)内部監査チェックリストの準備

ISMSの規格(ISO27001など)や組織のポリシーに基づき、監査項目をリストアップします。

チェックリストを活用することで、監査の抜け漏れを防ぎます。ぜひ無料でダウンロードください。

(3)監査の実施

監査員が現場でインタビューや文書確認を行い、実際の運用状況を評価します。

記録を残し、証拠を収集することが重要です。

(4)監査報告書の作成

監査結果を整理し、発見された不適合や改善点を報告書にまとめます。

報告書は、経営層や関係者に共有し、改善アクションの基礎とします。

(5)フォローアップ

報告書で指摘された不適合や改善点について、是正措置が適切に実施されているかを確認します。

必要に応じて、再監査を行います。

ISMSの内部監査を進める際は、計画からフォローアップまでの手順をしっかりと実行することが成功の鍵です。

これにより、組織の情報セキュリティ体制を強化し、ISMSの継続的な改善を実現できます。

4.スムーズにISMSの内部監査を進めには4つのスキル取得がおすすめ

ISMSの内部監査をスムーズに進めるためには、監査の基本的なスキルだけでなく、コミュニケーションや問題解決、さらにはITに関するスキルも重要です。これら4つのスキルをバランスよく習得することで、効率的かつ効果的な内部監査を実現できます。

(1)監査スキル(計画、実行、報告)

内部監査の基本は、計画、実行、報告という3つのステップを正確に進めることです。

これらのスキルが不足していると、監査の目的が達成できず、改善点を見逃してしまう可能性があります。

計画:監査の目的や範囲、優先順位が明確に設定できる状態
監査計画を立てる際には、監査の目的や範囲を明確にし、リスクの高い領域を優先的に監査するための具体的なスケジュールや対象を設定できることが重要です。

実行:監査対象の状況を正確に把握し、客観的な証拠を収集できる状態
監査の実行段階では、計画に基づいて効率的かつ正確に監査を進め、客観的な証拠を収集し、監査結果を信頼性の高いものにするスキルが求められます。

報告:監査結果を分かりやすく整理し、関係者に適切に伝えられる状態
監査報告書を作成する際には、監査結果を分かりやすく整理し、経営層や関係者に正確かつ簡潔に伝えることで、改善活動を促進することが重要です。

例えば、監査計画が不十分だと、重要なリスクや課題を見落とすことがあります。また、実行段階でのチェックが曖昧だと、監査結果の信頼性が低下します。さらに、報告書が適切に作成されていないと、経営層や関係者に正確な情報が伝わらず、改善活動が進まないこともあります。

監査スキルを磨くことで、計画から報告までのプロセスを確実に進め、組織の改善に貢献できる内部監査を実現しましょう。

(2)コミュニケーションスキル

内部監査は、監査員と被監査部門の間での円滑なコミュニケーションが欠かせません。適切な質問やフィードバックができないと、監査の目的が達成されないだけでなく、被監査部門との信頼関係が損なわれる可能性もあります。

例えば、監査中に曖昧な質問をしてしまうと、被監査部門が正確な情報を提供できず、監査結果が不完全になることがあります。また、指摘事項を伝える際に配慮が欠けていると、被監査部門が防御的になり、改善活動が進まないこともあります。

コミュニケーションスキルを高めることで、被監査部門との信頼関係を築き、監査の質を向上させることができます。

しかし、コミュニケーションスキルは一朝一夕で身につくものではありません。日頃から意識して相手と丁寧にコミュニケーションを取る習慣をつけることで、信頼関係を築き、より良い監査を実現していきましょう。

(3)問題解決スキル

内部監査では、発見した課題やリスクに対して適切な解決策を提案することが求められます。問題解決スキルが不足していると、指摘事項が具体性に欠け、改善活動が進まない原因となります。

例えば、監査中に「手順が不明確」という問題を発見した場合、単に指摘するだけでなく、「具体的な手順書の作成」や「担当者への教育」などの解決策を提案することが重要です。

問題解決スキルを身につけることで、監査結果を具体的な改善活動につなげ、組織全体のパフォーマンス向上に貢献できます。

(4)ITスキル

ISMSの内部監査では、情報セキュリティに関する技術的な知識や、ITツールを活用するスキルが求められます。

ITスキルが不足していると、システムやデータの監査が不十分になり、リスクを見逃す可能性があります。

例えば、ログ管理システムの監査を行う際に、ツールの使い方が分からないと、重要なセキュリティインシデントを見逃してしまうことがあります。また、監査報告書の作成においても、ITツールを活用することで効率的に作業を進めることができます。

ITスキルを習得することで、技術的な観点からも監査を実施できるようになり、ISMSの内部監査の精度を高めることができます。かと言って、ITスキルは即座に身につくものではありません。日頃から最新のITツールや技術にアンテナを張り、知識を深めていきましょう。

ISMSの内部監査をスムーズに進めるためには、「監査スキル」「コミュニケーションスキル」「問題解決スキル」「ITスキル」の4つをバランスよく習得することが重要です。これらのスキルを磨くことで、監査の質を向上させ、組織全体の情報セキュリティマネジメントを強化することができます。

5.ISMSの内部監査の効果

ISMSの内部監査を実施することで、組織全体の情報セキュリティ体制を強化し、リスクを未然に防ぐことができます。また、業務プロセスの改善や従業員の意識向上といった副次的な効果も得られ、組織の成長に大きく寄与します。

内部監査は、ISMSが適切に運用されているかを確認するプロセスです。これにより、規格の要求事項や組織の方針に対する適合性を評価し、改善点を明確にすることができます。さらに、内部監査を通じて、情報セキュリティに関するリスクや脆弱性を早期に発見し、対策を講じることが可能になります。

例えば、内部監査を実施することで、以下のような効果が得られます

・リスクの早期発見と対策

内部監査を通じて、情報セキュリティに関する潜在的なリスクや脆弱性を特定し、迅速に対策を講じることができます。これにより、重大なセキュリティ事故を未然に防ぐことが可能です。

・業務プロセスの改善

内部監査を行う中で、業務プロセスの非効率や無駄が明らかになることがあります。これを改善することで、業務全体の効率化や品質向上が期待できます。

・従業員の意識向上

内部監査を定期的に実施することで、従業員が情報セキュリティの重要性を再認識し、日常業務における意識が向上します。これにより、組織全体のセキュリティ文化が醸成されます。

・外部審査への準備

内部監査を適切に実施することで、外部審査に向けた準備が整い、スムーズに審査を通過することができます。

これにより、認証取得や更新のプロセスが円滑に進みます。

ISMSの内部監査は、単なる形式的な作業ではなく、組織の情報セキュリティ体制を強化し、業務全体の改善を促進するための重要なプロセスです。定期的かつ効果的に実施することで、リスクを最小限に抑え、組織の成長を支える基盤を築くことができます。

6.ISMSの内部監査の実施例

ISMSの内部監査を効果的に実施するためには、具体的な実施例を参考にすることが重要です。実施例を知ることで、監査の進め方や注意点を具体的にイメージでき、実務に活かすことができます。

内部監査は、ISMSの運用状況を評価し、改善点を見つけるためのプロセスです。しかし、初めて内部監査を担当する場合や、監査の進め方に不安がある場合、具体的な実施例がないとスムーズに進めることが難しいことがあります。実施例を参考にすることで、監査の流れやポイントを把握しやすくなり、より効果的な監査が可能になります。

以下に、ISMSの内部監査の実施例をいくつかご紹介します。

(1)監査計画の立案例

  • 監査対象:情報セキュリティポリシーの遵守状況
  • 監査範囲:全社のアクセス権管理プロセス
  • 監査スケジュール:1週間前に関係者へ通知、当日は2時間のヒアリングと現場確認を実施
  • 監査チーム:内部監査員2名(例:情報セキュリティ担当者と総務部員)

(2)監査実施の流れ

  • 事前準備:監査チェックリストを作成し、対象部門に事前配布
  • ヒアリング:対象部門の責任者に対し、アクセス権管理の運用状況を確認
  • 現場確認:実際のシステムログやアクセス権設定を確認し、ポリシーとの整合性を検証
  • 指摘事項の記録:不備が見つかった場合は、具体的な事例と改善案を記録

(3)監査報告書の作成例

  • 報告内容:監査の目的、実施内容、指摘事項、改善提案
  • 指摘事項の例:一部の従業員が不要なシステム権限を保持していることを確認
  • 改善提案:定期的なアクセス権レビューの実施を推奨

ISMSの内部監査を成功させるためには、具体的な実施例を参考にしながら、計画から実施、報告までを一貫して進めることが重要です。今回ご紹介した実施例を参考に、貴社の内部監査をより効果的に進めていただければ幸いです。

7.内部監査でよくある不適合・指摘と回避のコツ

ISMS内部監査では、多くの組織で共通する「不適合」や「指摘事項」が繰り返し見つかります。これらは、運用ルールと現場の実態とのギャップや、規格要求事項の理解不足が背景にあります。

内部監査の目的は単なるチェックではなく、

  • リスクの早期発見
  • 業務プロセスの改善
  • ISMSの継続的な改善

にあります。よくある不適合パターンを理解し、日常業務の中で少しずつ改善していくことで、監査指摘を減らすだけでなく、組織全体のセキュリティ運用をより実効性のあるものにできます。

【よくある不適合(指摘)パターンと回避のコツ】

パターンよくある不適合例回避のコツ(受ける側)回避のコツ(監査員側)
リスクアセスメントの形骸化・初回から更新されていない
・新しい脅威や組織変更が反映されていない
・評価基準が曖昧で主観依存
・リスク対応が計画倒れ
・年1回イベントではなく継続的に見直す
・組織変更や環境変化時に必ず更新
・記録の有無だけでなく実態に合っているかを確認
・リスク対応が実施されているかを深掘り
アクセス権管理の不備・退職者や異動者のアカウントが残存
・不要な権限付与
・定期レビュー未実施
・特権ID管理がずさん
・人事部門と連携し権限変更をルール化・自動化
・半期ごとに棚卸しを実施し記録を残す
・台帳確認だけでなくシステム設定やログをサンプリング
教育・訓練の実施不足・記録はあるが理解度確認なし
・教育内容が古い
・新入社員教育が漏れている
・教育は「実施」ではなく「効果測定」までセット
・テストや模擬訓練を導入
・記録確認に加え、従業員へ簡単なヒアリングで浸透度を確認
記録の不備・管理不足・インシデント記録がない
・重要会議の議事録が未作成
・ログが未取得または早期破棄
・「何を記録し、いつまで保存するか」を明確化
・インシデント報告文化を醸成
・規格要求の記録を事前リスト化し、効率的に確認

 

8.エビデンス(証跡)の集め方・確認ポイント

ISMSの内部監査では、監査員の「感想」や「推測」で不適合を指摘することは許されません。監査の信頼性を担保するためには、客観的な証拠(エビデンス)を収集・確認することが不可欠です。

エビデンスは、ISMSのルールが適切に運用されているかを示す事実情報であり、監査報告書や是正措置の根拠となります。単に「やっている」と口頭で説明されても、証跡がなければ適合性は証明できません。

(1)エビデンスの種類

種類具体例
文書・記録セキュリティポリシー、手順書、資産台帳、アクセス権管理台帳
実施記録教育参加者名簿、システムログ、インシデント報告書、会議議事録
物理的証拠サーバルームの施錠状況、クリアデスクの状態など現場の「モノ」や「環境」
ヒアリング(証言)担当者へのインタビューによる運用状況の確認

(2)エビデンス収集・確認のポイント

確認ポイント内容
サンプリングの活用大量の記録を全件確認する必要はない。リスクの高い領域やルール変更直後のプロセスを優先し、ランダムまたは意図的に抜き取り確認。選定理由を説明できることが重要。
ヒアリングの深掘り

Yes/No質問ではなく、具体的な業務の流れを聞くことで、ルールと実態の乖離を発見しやすくなる。
例:「新しいアカウントの初期パスワード変更はどう行っていますか?」

最新版・承認済みの確認手順書や文書が正式な最新版であり、承認プロセスを経ているかを確認。古い文書や承認不明のルールは不適合。
実態との整合性

記録と現場の証拠が矛盾していないかを確認。
例:棚卸し議事録があっても、退職者アカウントが残っていれば不備。

基本チェック項目作成日・更新日・承認者・運用との整合性を丁寧に確認することで抜け漏れ防止。

9.外部委託先・クラウドサービスの監査ポイント

ISMSの運用においては、自社だけで完結するケースは少なく、外部委託先やクラウドサービスの利用が一般的です。これは「自社の情報資産を、直接管理できない外部組織に委ねる」ことを意味し、リスクアセスメントの対象は当然これらの外部サービス提供者(サプライチェーン)にも及びます。

委託先やクラウドサービスでインシデントが発生すれば、自社のリスクに直結するため、内部監査でも重点項目として扱われます。監査では契約内容、認証状況、アクセス管理、データ保護、ログやバックアップの仕組みなどを確認し、外部依存領域のリスクを適切に管理することが重要です。

(1)外部委託先の監査ポイント

確認領域具体的な確認内容
契約・SLA・委託契約書やNDAにセキュリティ要求事項が明記されているか
・再委託の制限、インシデント報告義務があるか
・SLAにインシデント対応時間などが定義されているか
相手の体制確認(間接監査)・ISO27001などの認証取得有無
・認証がない場合はセキュリティチェックシートで回答を得て評価
実地監査(直接監査)・リスクが高い委託先には現地監査を実施
・作業エリアの物理セキュリティや担当者の習熟度を確認

(2)クラウドサービスの監査ポイント

確認領域具体的な確認内容
責任分界点の確認・利用規約や資料で「提供者の責任範囲」と「利用者の責任範囲」を正しく理解しているか
提供者の信頼性評価(間接監査)・ISO27001、ISO27017、SOCレポートなどの認証・公開状況を確認
自社側の設定監査(技術的監査)・管理者権限が適切か
・多要素認証(MFA)が有効化されているか
・外部公開設定の誤りがないか
・操作ログが取得・監視されているか

10.内部監査員の力量と教育

ISMSの内部監査の「質」は、監査員の力量に大きく依存します。監査員が規格(ISO27001)や自社ルールを正しく理解していなければ、不適合やリスクを見逃す可能性があります。逆にスキル不足による不適切な指摘は、被監査部門との信頼関係を損ね、監査への抵抗感を生む原因にもなります。

そのため、監査員には幅広いスキルが求められ、組織として継続的に教育・育成を行う仕組みが不可欠です。

(1)内部監査員に求められる力量(コンピテンシー)

能力領域求められる具体的スキル
監査スキル(専門知識)・ISO27001要求事項の正確な理解
・自社のセキュリティポリシーや規程の理解
・チェックリストの「意図」を理解し逸脱を見抜く力
コミュニケーションスキル(対人能力)・傾聴し、相手をリラックスさせて実態を引き出す
・不適合や改善点を客観的エビデンスに基づき論理的・建設的に伝える
問題解決スキル(分析能力)・現象だけでなく「根本原因」に迫る分析力
・インタビューを通じて背景要因を特定する力
ITスキル(技術的理解)・主要システムやネットワーク、クラウドサービスの概要理解
・ログや設定画面の確認に抵抗がないこと

(2)監査員の教育・育成プラン

①OJT(On-the-Job Training)

経験豊富な監査員と新人監査員をペアにし、実際の監査を通じてヒアリングやエビデンス確認の実践的スキルを習得させる。

②内部研修(Off-JT)

  • 基礎教育:ISO27001規格の読み合わせ、監査の基本手順(計画・実施・報告)の学習
  • 応用教育:過去の不適合事例の研究、最新脅威動向の共有、ヒアリングのロールプレイング

③外部研修・資格の活用

  • ISMS内部監査員養成講座など外部セミナーへの参加
  • ISMS審査員補(ISO27001)など資格取得を奨励し、体系的知識を持つ人材を育成

④力量の評価と任命

研修やOJTの成果を評価し、理解度テストなどを経て正式に「内部監査員」として任命する。任命書の発行などを通じて責任感と専門性を高める。

内部監査員の育成は一朝一夕には成りません。定期的な教育・研修、外部セミナー参加、合同監査などを継続的に行うことで、監査員の力量が安定し、監査が組織の改善サイクルとして機能し、ISMS運用の成熟度向上につながります。

11.最新の審査傾向と内部監査で押さえるべき視点

ISMSは、一度構築すれば終わりではなく、環境変化に応じて継続的に改善していく必要があります。近年のISO27001の審査では、クラウドサービス利用の管理、サイバー攻撃対策、ログ管理、リスクアセスメントの更新頻度と根拠などが特に注目されています。

規格自体も改訂されており(直近ではISO27001:2022)、内部監査が古い視点のままでは外部審査で指摘を受けるリスクが高まります。監査員は最新の動向を学び、監査視点をアップデートし続けることが求められます。

【最新の審査傾向と内部監査の視点】

視点審査での傾向内部監査で確認するべきポイント
サプライチェーン(クラウド・委託先)のリスク管理外部委託先やクラウド経由の情報漏洩が多発し、最重要チェックポイントに・委託先の選定基準は明確か
・定期的な評価(認証確認やチェックシート)は実施されているか
・クラウド設定不備がないか
テレワーク(リモートアクセス)のセキュリティ働き方の多様化に伴い、オフィス外での情報取り扱いルールが問われる・私物PC利用ルールは明確か
・自宅ネットワークのセキュリティ考慮があるか
・VPNやリモートアクセス機器の管理(ID管理・ログ監視)は適切か
インシデント対応の実効性手順書の有無だけでなく「実際に動けるか」が問われる・インシデント記録・対応が適切か
・定期的な訓練(標的型攻撃メール訓練など)が実施されているか
・訓練結果を踏まえた改善が行われているか

新しい管理策への対応
(ISO27001:2022改訂)

移行審査で新しい管理策への対応状況が確認される・脅威インテリジェンスの活用状況
・クラウドサービス利用に関するセキュリティ対策
・物理的セキュリティの監視(監視カメラ等)の適用判断と対策

内部監査では、これら最新の審査傾向をチェックリストに反映し、継続的に更新していくことが重要です。そうすることで、内部監査が「過去の確認」に留まらず、未来のリスクに備える活動として機能し、外部審査での指摘リスクを減らすと同時に、組織全体のセキュリティレベルを高めることができます。

12.監査が形骸化しないための運用改善策

ISMSの内部監査は「認証維持のための形式的なイベント」になってしまうと、本来の目的であるリスクの早期発見や継続的改善が機能しなくなります。形骸化を防ぐには、監査を「事業リスク低減と業務改善に直結する仕組み」へと変えていく必要があります。

(1)監査が形骸化する原因と改善策

原因説明改善策
やらされ感の蔓延被監査部門が「粗探し」と捉え、改善しても評価されないと感じる・監査を「改善の機会」と位置づける
・改善効果を経営層へ報告し、成果を共有
監査のマンネリ化毎年同じチェックリストを読み上げ、Yes/Noを埋めるだけの作業・監査項目を毎年見直し、環境変化や最新脅威に合わせる
・形式的な指摘ではなく実務に影響する課題を深掘り
経営層の関心不足報告が「ご苦労さま」で終わり、改善リソースが配分されない・監査報告をマネジメントレビューの主要議題に設定
・経営層が改善進捗を直接追跡し、現場に関心を示す
監査員の固定化と負担同じ担当者が兼務で毎年監査を行い、新しい視点が入らない・監査員プールを増やし、ローテーションを導入
・他部署人員を登用し、多様な視点を取り入れる

(2)形骸化を防ぐための具体的な運用改善策

リスクベースのアプローチ徹底
リスクの高い領域(新システム導入部門、テレワーク部門など)に監査リソースを集中。リスクが低い部門は監査頻度を調整。
改善状況の継続的反映
指摘事項の改善状況を次年度監査に必ず反映し、改善サイクルを確実に回す。
改善の機会(OFI)の重視
不適合の指摘だけでなく「業務をより良くするヒント」を積極的に抽出。現場の意見を吸い上げ、業務プロセス改善に繋げる。
経営層への報告強化
単なる「規格確認」ではなく「事業リスク低減」の成果を報告し、経営層の関与を高める。

このように、監査を「形式的な審査対応」から「組織の成長に直結する改善活動」へと位置づけ直すことで、ISMSを『生きた仕組み』として運用することが可能になります。

13.まとめ

本記事では「ISMSの内部監査」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

ISMS内部監査の基礎知識として、以下を解説しました。

  • ISMSの内部監査は、組織の情報セキュリティ体制が適切に運用されているかを確認する重要なプロセスであること
  • 内部監査は規格要求事項や組織の方針に対する適合性を評価し、改善点を明確にする役割を担うこと
  • 内部監査チェックリストの活用が、効率的で漏れのない監査に役立つこと

さらに、内部監査の進め方として以下の5ステップを解説しました。

  • 監査計画の策定
  • 監査チェックリストの準備
  • 監査の実施
  • 監査報告書の作成
  • フォローアップ

内部監査をスムーズに進めるための4つのスキルとして、以下を挙げました。

  • 監査スキル(計画・実行・報告)
  • コミュニケーションスキル
  • 問題解決スキル
  • ITスキル

内部監査の効果として、次のようなメリットを解説しました。

  • リスクの早期発見
  • 業務プロセスの改善
  • 従業員の意識向上
  • 外部審査の準備として有効

また、実施例を通じて、内部監査の進め方を具体的にイメージできる内容も紹介しました。

内部監査で頻出する不適合と回避のコツとして、以下を解説しました。

  • リスクアセスメントの形骸化、アクセス権管理の不備、教育・訓練の不足、記録管理の不備など、多くの組織で共通する課題が生じやすいこと
  • 被監査部門側と監査員側で、それぞれ実践すべき「回避のコツ」を具体的に紹介し、改善の方向性を示したこと
  • 不適合を知識として理解するだけでなく「日常の運用改善につなげる」ことが重要である点

エビデンス(証跡)の収集と確認ポイントとして、以下を解説しました。

  • 文書・記録、ログ、物理的証拠、ヒアリングなど、複数種類のエビデンスを組み合わせて確認する必要性
  • サンプリング、最新版確認、実態との整合性確認など、監査の信頼性を担保するうえで必須となる視点
  • 記録や説明だけでなく「事実を裏付ける証拠」を基に判断する重要性

外部委託先・クラウドサービスの監査ポイントとして、以下を解説しました。

  • サプライチェーンリスクが高まる中、外部委託先やクラウドの監査が非常に重要な領域となっていること
  • 契約・SLAの内容、認証有無、設定状態、責任分界点の理解など、委託先監査やクラウド監査で押さえるべき具体項目
  • 外部サービス依存領域のリスク管理が不十分だと、重大インシデントにつながる可能性があること

内部監査員の力量と育成として、以下を解説しました。

  • 内部監査の質は監査員の知識とスキルに大きく依存すること
  • 監査スキル、コミュニケーション、問題解決力、ITリテラシーなど、多面的な力量が必要であること
  • OJT・内部研修・外部研修・資格の活用・力量評価といった、体系的な育成プロセスの重要性

最新の審査傾向と内部監査の視点として、以下を示しました。

  • 審査で重視されるポイントが「クラウド・委託先・ログ管理・インシデント対応・テレワーク」などに変化していること
  • ISO27001:2022への対応を含め、監査視点をアップデートし続ける必要があること
  • 最新動向を踏まえた監査視点を取り入れることで、外部審査での指摘を未然に防げること

ISMS内部監査は形式的に実施するだけでは十分とは言えません。
本記事の内容を参考に、実態に即した監査を行うことで、組織全体のセキュリティ運用が強化され、外部審査に強いISMSへと改善していくことが期待できます。

本記事が、貴社の内部監査のレベル向上や運用改善の一助となれば幸いです。

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資料の内容

  • ・一目でわかる『費用』
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  • ・一目でわかる『サポート内容』

ISMS(ISO27001)認証パートナー
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