【再発防止の鍵】ISO9001の不適合及び是正処置を徹底解説!
2025年11月11日

目次
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- 1.ISO9001における不適合の解決には修正処置と是正処置が必須
- (1)ISO9001における不適合とは?
- (2)ISO9001における是正処置とは?
- (3)ISO9001における修正処置とは?
- 2.不適合発生時に適切な処置を行わないと企業の評価が落ちる
- (1)製品及びサービスでの修正処置の流れを解説
- (2)品質マネジメントでの暫定処置の流れを解説
- 3.ISO9001における不適合発生時に一番重要なのは「原因分析」
- (1)原因分析の結果、処置をしないと決まることもある
- (2)原因分析を行うことは再発防止にも繋がる
- (3)「なぜなぜ分析」を使って不適合の真の原因を考える
- (4)重要視するべきは「再発の可能性を評価すること」
- 4.まとめ
「ISO9001における不適合とは?なぜ是正処置を行う必要があるの?」
「不適合発生から処置までの流れはどうするべき?一番重要なのは何?」
製造業の現場で働く方なら、一度はこんな疑問を抱えたことがあるのではないでしょうか。
ISO9001:2015 8.5.2「不適合及び是正処置」では、苦情(クレーム)や、不適合が発生したときに、会社が行わなければならない要求事項が決められています。
これらを行わないと、製品の品質向上は改善されず、会社の信頼も失うことになってしまうでしょう。
そこで本コラムでは、ISO9001 「不適合及び是正処置」とは何か、また、実際に不適合が起こった時の対処の仕方、さらに、品質との関係をメインに解説していきます。
読み終えていただければ、品質問題にどう向き合い、どう解決すれば良いのかが明確になるはずです。
1.ISO9001における不適合の解決には修正処置と是正処置が必須

不適合が発生した際には、是正処置をとる必要があります。
しかし、是正処置だけでは、すべての不適合に対応することはできません。
製品及びサービスに対する不適合があった場合には、是正処置のほかに修正処置と呼ばれる処置をとる必要があります。
それでは、そもそも不適合、是正処置、修正処置とはどのような内容なのでしょうか。
順に見ていきましょう。
(1)ISO9001における不適合とは?
不適合とは、組織の活動において要求事項を満たしていない状態を指します。
組織の活動に関わる要求事項としては以下が挙げられます。
- ISO9001規格要求事項
- 製品及びサービスに関する要求事項
- 法令・規制要求事項
- 組織内で守るべき要求事項
上記4点の要求事項に含まれる不適合が発生した場合、迅速に処置を行う必要があります。
(2)ISO9001における是正処置とは?
是正処置とは、不適合の原因を取り除き、再発を防止するために講じる処置のことを指します。
原因をきちんと取り除くことで、マネジメントシステムの改善にも繋がってくるので、重要な活動といえます。
是正処置が必要となる主な場面としては、以下の内容が当てはまります。
- ISO9001認証機関審査
- 顧客監査
- 製品及びサービスに対する顧客仕様との整合(工程内検査、最終検査、顧客受入検査)
- 行政機関監査
- 内部監査時に検出された不適合
苦情(クレーム)を含む不適合が発生した場合は、是正処置を実施する必要があります。
(3)ISO9001における修正処置とは?
修正処置とは、マネジメントシステムや規格の要求事項に適合していない点を修正し、それらの要求事項に適合させるための対応を指します。
簡単に説明すると、不具合が発生した原因や要因がある機械やその他の問題に対して、適切な処置を行って、正常な状態に戻すまでのことを指します。
また、修正だけでは不十分な場合もあるため、不適合が発覚した際には起こってしまった結果に対しての処置が必要になってきます。
2.不適合発生時に適切な処置を行わないと企業の評価が落ちる
顧客に直接影響する製品やサービスの不適合は、きちんとした対応をしなければ、そこで企業の評価が大きく変わってしまう可能性があります。
求めていた製品やサービスに欠陥や不備があって指摘しても、一向に良くならなければその企業に不満を覚えますよね。
そうならないためにも、適切な処置が必要なのです。
(1)製品及びサービスでの修正処置の流れを解説
顧客からの苦情(クレーム)や、提供した製品やサービスが顧客の要求に適合していなかった場合、迅速かつ適切な修正処置が求められます。
修正処置の流れとして、以下の5つのステップを実施します。
- 不適合製品が顧客へ出荷されないように隔離
- 不適合製品と良品を選別
- 不適合製品に対し、可能ならば手直しなどの実施
- 外部提供者の不具合であればすぐに返却し処置を指示
- サービスの提供を行っている場合には、サービス自体を一時取りやめ
その後、修正処置を行った製品に対して以下の行動をとります。
- 調査
- 同様の不適合が他の製品やサービスに影響していないかを調査します。
- 顧客へ連絡
- 顧客に提供した製品やサービスに同様の不適合が発生していた場合、連絡をする必要があります。
- 不適合製品の回収
- 不適合が発見された製品やサービスを回収します。
- 処置
- 不適合となったものの選別を行い、処置が必要なものは適切な処置を行います。
- 廃棄
- 選別後、手直しが不可能な場合廃棄します。
- 再作製
- 不適合が発生しない製品やサービスの再作製を行います。これには、顧客側の意見も取り入れる必要があります。
- 協議
- すでに顧客が利用しているなどの、回収が不可能な場合には、補償なども含めた協議を行う必要があります。
これらの対応は一例であり、状況に応じて適切な修正や対応を行うことが重要です。不適合の発生を最小限に抑えるため、継続的な改善活動を進めていきましょう。
(2)品質マネジメントでの暫定処置の流れを解説
審査や監査実施後の品質マネジメントシステム不適合に対して、最近では是正処置の前に暫定処置を行う要求が増えてきています。
暫定処置とは、是正処置に時間がかかる場合に、その代替案として一時的に実施する処置を指します。
これは、製品やサービスを長い時間不適合の状態にさせないようにするための処置です。
品質マネジメントシステムにおける不適合は、主に審査や監査の過程で指摘されることが多い部分です。
主な審査・監査は以下の通りです。
- ISO9001認証機関審査
- 顧客監査
- 行政機関監査
- 内部監査
その後、暫定処置として下記のような処置を行います。
- 不適合なルールの運用を一時的に停止する
- 不適合なルールを一時的に代替ルールに切り替える運用にする
- 上長などが、不適合なルールの運用状況をダブルチェックし、不適合が発生しない状態で運用する
起こったことへの対応として以下の内容を報告、共有します。
- 顧客や審査機関への暫定処置内容の報告
- 暫定処置実施結果のまとめ
先ほども述べたように、是正処置には時間がかかってしまうため、暫定処置と起こった結果への対応を進めるのとともに、同時展開を進めなければなりません。
3.ISO9001における不適合発生時に一番重要なのは「原因分析」
不適合が発生した場合、すべてに対して是正処置を行う必要があるわけではありません。その判断を行う上で重要なのが「原因分析」です。
是正処置では、不適合の処置を実施した後に原因を分析し、その原因を取り除くことで再発を防ぐことが求められます。しかし、再発の可能性が低い場合や影響が軽微な場合には、無理に是正処置を行うと過剰な対応となり、かえって非効率になることもあります。
そのため、原因分析を通じて適切な対応を見極めることが重要です。
(1)原因分析の結果、処置をしないと決まることもある
不適合が発生した場合、その原因について十分に分析し、類似の不適合が過去に発生していないか、また将来的に同じ問題が発生する可能性があるかを検討する必要があります。
その結果、再発の可能性が低いと判断される場合には、無理に是正処置を行わないことも選択肢の一つです。
例えば、製造業では「工程内不良」と呼ばれる問題が多く発生しますが、これらの不良が一時的なものであり、再発のリスクが低いと判断される場合には、是正処置を省略することもあります。
ただし、品質改善のための対策を文書化し、それを基に組織全体で検討する体制が求められる場合もあります。
このような場合には、適切な判断を下すための準備をしておくことが重要になります。
(2)原因分析を行うことは再発防止にも繋がる
不適合が発生した際、その場で修正するだけでは、根本的な解決にはなりません。
なぜなら、同じ問題がまた起きてしまう可能性が残るからです。
そこで行うのが原因分析です。
例えば、検査の工程で通常では検出されないような異常な数値が出たとします。
その数値の修正を行うことは簡単かもしれません。
しかし、根本的な「なぜ異常な数値が出てしまったか」についての解決にはなっていないことになります。
したがって、不適合の発生を防ぎ、さらに再発を防止するためには、製品や、検査装置、そのほかにも該当する原因すべてを分析する必要があります。
(3)「なぜなぜ分析」を使って不適合の真の原因を考える
一言に原因分析といってもいろいろな可能性があるので、仕組みや工程の見直し改善に結びつくようにすると考えやすくなります。
具体的には「なぜなぜ分析」などを使用すると、原因分析が進めやすいといわれています。
製造業の人なら一度は聞いたことがあるであろう「なぜなぜ分析」は、発生した不適合の根本的な原因にたどり着きやすいと言われています。
「なぜなぜ分析」とは、不適合の発生原因に関して、なぜその原因が起きてしまったのか?となぜ?なぜ?を繰り返すことにより原因の原因まで掘り下げる仕組みのことをいいます。
この方法により、製造工程の不備に気づくことができ、同じ不適合の再発防止に繋げることができるようになるのです。
(4)重要視するべきは「再発の可能性を評価すること」
再発の可能性を評価するのに必要なのが原因分析となります。
なぜそのようなトラブルが起きたのか、原因を追求し、問題点を見つけられるようにしなければなりません。
なぜなら、不適合が起きた要因が残っている限り、同じことが繰り返し発生する可能性があるからです。
原因を見極め、再発する可能性があるものなのか、それとも今回限りのものなのかを判断しましょう。
再発を防止することで、企業の製品やサービスの品質は向上し、同じ不適合を発生することなく、よりよいモノが作れるようになるのです。
4.まとめ
本コラムでは、ISO9001:2015 10.2「不適合及び是正処置」とは何か、また、不適合が発生した後の処置の仕方などをご紹介しました。
本コラムを読み終えて、
- 不適合の発生後、修正処置、是正処置を行わなければならないこと。
- また、是正処置とは再発を防止するための処置であること。
- 不適合が発生してから、処置が完了するまでの間で一番重要なのが原因分析であること。
- 原因分析には「なぜなぜ分析」が最も効率が良いこと。
これらが理解できたのではないでしょうか。
発生した問題を隠すのではなく、むしろ積極的に見つけ出し、なぜ起きたのかを徹底的に考え、二度と繰り返さないための手を打つ。
このサイクルを回し続けることで、会社はより高い品質の製品を安定して提供できるようになり、お客様からの揺るぎない信頼を築くことができるようになります。
そのためには、不適合が発生したらきちんと然るべき処置をする必要があります。
ぜひ、本コラムで学んだ「不適合」と「是正処置」の考え方を、皆さんの会社の品質向上に役立たせてください。
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